木原官房長官会見:緊急地震速報の取り消し、灯油価格対策、G7首脳テレビ会議の首相欠席を問われる

YouTubeで開く ↗
概要

2026年10月16日午後の定例会見で、木原官房長官は冒頭発言を行わず、記者との質疑だけで会見を進めた。質問は、同日昼に発表され後に取り消された緊急地震速報、灯油価格の上昇への対策と原油調達、10月2日夜のG7首脳テレビ会議を高市首相が欠席した経緯、ロシアで拘束された北海道新聞記者への対応の4点に及んだ。中でも記者の追及が集中したのはG7会議の欠席理由で、複数の記者が政府側の説明の食い違いや準備体制を問いただした。

8分で読めます
0:18

過大推定による緊急地震速報と取り消し

最初に質問したのはNHKの記者である。緊急地震速報には性質上誤差が生じることを踏まえつつ、過大な発表が出たことへの受け止めを尋ねた。さらに、速報で一時示された場所と同じ方面の島しょ部は超巨大地震のおそれがある地域で、防災・観測の上でも重要な場所だとして、再発防止策を聞いた。

木原長官によれば、地震は本日12時38分ごろ、ある半島付近を震源として発生した。マグニチュードは6.9である。12時40分に気象庁が緊急地震速報を発表したが、実際には大きな震度は観測されず、速報は取り消された。会見時点で、この地震による被害の報告は受けていないという。

長官は、速報が出た地域で避難や安全確保の行動を取った人々、交通機関や事業活動に影響を受けた人々に多大な心配と負担をかけたことを「政府として重く受け止めている」と述べた。気象庁はこれまでに、速報処理の過程で震源を別の位置に決定し、マグニチュードを9.9と過大に推定したことが発表の原因だと明らかにしている。ただし、発表に至った経緯やシステム上の問題の有無などは、気象庁が引き続き確認している段階だ。政府としては事実関係の把握に努め、判明した内容は速やかに公表するとした。

長官は緊急地震速報について、国民の生命と身体を守るため、一刻も早く地震発生の可能性を伝える仕組みだと位置づけた。そのうえで、極めて短時間で情報を出す必要がある性質上、原因を詳しく調べ、再発防止に万全を期すと述べた。具体的な再発防止策には、この時点では触れていない。

2:53

灯油価格上昇への対策と原油調達の現状

共同通信の記者は、経済産業省が同日、灯油価格の上昇を受けて対策の強化を表明したことを取り上げた。北海道などで価格が上がっている中、新たな対策で国民生活にどのような効果を期待するのか、また原油調達の現状をどう認識しているのかを尋ねた。

長官は、灯油は冬季の暖房に使われる国民生活に不可欠な燃料で、安定供給は重要な課題だと述べた。北海道などで灯油の小売価格が上昇傾向にあることも認めた。一方で、灯油を含む石油製品は日本全体として必要量を確保できているとの認識を示した。それでも、例年の需要を上回る注文の動きなどがあり、一部の国民の間に冬季の供給への不安が広がっている、というのが長官の説明である。

これを受けて経済産業省が発表した対策として、長官は二つを挙げた。供給の偏りや流通の目詰まりに備えた灯油の融通スキームの新設と、輸入灯油に対する支援の重点化である。政府としては供給に支障が出ないよう万全を期し、偏りや目詰まりについては石油元売り事業者と緊密に連絡を取りながら、寄せられた個別の案件を一件一件確実に解消していくとした。

原油そのものの調達については、10月は前年同月比で約10割の調達を実現できる見込みだと述べた。そのうえで、日本全体として必要な量は確保できているとの認識を繰り返した。

5:14

G7首脳テレビ会議の欠席:官邸の設備と準備体制

朝日新聞の記者は、10月2日夜に開かれたG7首脳テレビ会議を取り上げた。高市首相はこの会議を欠席している。首相は同日の参院予算委員会で、開催時間が直前まで分からず、回線接続の設定のために業者を手配しようとしたが間に合わなかったと説明していた。記者はこれを踏まえ、公邸のオンライン会議の設備は常設なのか、その都度設定しているのかを確認した。あわせて、設定ができていなかったのなら官邸に移動して参加する選択肢はなかったのかも尋ねた。

長官は、首相官邸と公邸には海外要人とオンライン会議を行える設備が整っていると答えた。そのうえで、首相が実際に出席する際には、必要な機材の設置や回線接続を含む準備作業を政府職員とサービス業者が行っていると説明した。また、首相は本年3月のG7オンライン首脳会議や6月のG7エビアン・サミットなどに出席してきたと述べた。今後も国益の観点からG7首脳会議に出席し、G7と緊密に連携していくとした。官邸へ移動するという選択肢についての質問には、直接は答えていない。

同じ記者は続けて、欠席理由に関する首相の別の説明にも触れた。首相は、議題が米国と欧州の間の問題だったため、代理出席でよいという話を受けたとも説明している。記者は、逆に日本が議題となる場合に欧州の首脳が参加を見送るような懸念はないのかと尋ねた。長官は、今回は開催が当日直前に確定したこと、議題が指摘の通りの内容だったことから、準備が事務的に整わなかったと説明した。そのため、G7のシェルパを務める外務審議官が代理で出席したという。日本が議題になった場合の懸念については、明確な答えはなかった。

7:31

頻繁なオンライン会議と代替手段、議題の認識

別の記者は、今年に入ってからG7関連のオンライン会議が3月、6月と繰り返し開かれていることを指摘した。今回もフランスの提唱によるものである。これだけ頻繁に開かれているのに、毎回回線を整える必要がある状態のままでよいのかと問題を提起した。さらに、今回の会議ではトランプ大統領も映像が出せない回線環境で、電話回線で参加したと聞いているとして、日本はそうした代替手段を使わなかったのかと尋ねた。加えて、フランス政府のホームページによれば会議ではホルムズ海峡の航行の自由やエネルギーの安定供給が議論されたとされ、首相が説明した議題とは必ずしも一致しないのではないかとただした。

長官は、具体的な日程が確定したのは当日の開催直前だったと改めて述べた。そのうえで一般論として、オンラインや電話による首脳会議では、会議の間隔や議題などを踏まえ、首相本人が出席するか代理が出席するかを判断するものだと説明した。今回は当日の開催だったこと、議題の観点からも実情に詳しいG7シェルパの審議官が代理で出席するのが適切と判断したことを挙げた。電話での参加という代替手段を検討したかどうかには、具体的に答えなかった。

9:41

「当日設定」説明への疑義

タイムズ紙の記者は、さらに踏み込んだ質問をした。フランス大統領府は10月3日のリリースで、この会議を数日前に招集したと発表している。一方、高市首相は自身のXへの投稿で、議長国フランスが当日急遽設定したものだと説明していた。それが国会答弁では、夜9時半なのか午前3時半なのかが分からなかった、という趣旨に変わった。記者はこれを、時刻が分からなかっただけで大まかな日程は分かっていたという説明への変化だと受け止めた。トランプ大統領を含む首脳が当日設定の会議に集まれるはずがなく、この話は9月20日ごろから国際的に大きな話題になっていたとも述べ、フランス側と首相のどちらかが事実と異なることを言っていることになるのではないかと迫った。

記者はもう1点質問した。夜9時半でも午前3時半でも同じ夜のうちであり、事前に準備すれば参加できたはずだという指摘である。首相のその日の動静を見ると、内閣記者会のキャップや論説委員と会っており、当日午後に会ったのは国家安全保障局長と国家情報局長だけだった。記者はこれを根拠に、経済に関わる議題について何の準備もしていなかったと指摘した。大体の時間が分かっていたのなら事務的な作業のために人を呼ぶこともできたとして、急な設定が理由ではなく、もともと出席しないと判断していたのではないかと尋ねた。

長官は、具体的な日時が確定したのは当日の開催時だったことは事実だと答えた。また、G7首脳の中には欠席した首脳もいたと述べた。出席するか、代理出席にするかは議題などを含めて総合的に判断するもので、その結果が外務審議官の代理出席だったと繰り返した。フランス大統領府の発表との食い違いや、もともと欠席を決めていたのではないかという点に、それ以上の説明はなかった。

12:46

ロシアで拘束された北海道新聞記者への対応

最後に、産経新聞の記者が、北海道新聞の男性記者がロシアで拘束された事案について質問した。これまで日本政府は邦人保護に万全を期すと発信する一方、記者の解放には直接触れていないように見えると指摘した。前日の自民党の会議では即時解放を要求すべきだとの声も出ているとして、政府としてロシア側に即時解放を求める考えがあるのかを尋ねた。

長官は、政府としてまず一刻も早く領事面会を実現し、本人の健康状態や事実関係の確認ができるよう全力で取り組むと答えた。引き続きロシア側に強く働きかけ、今後判明する事実関係を踏まえて適切に対応するなど、邦人保護に万全を期すとした。即時解放を求めるかどうかについては、明言しなかった。

会見はこの質問で締めくくられた。終了間際には、指名されなかった記者が質問を求める声も聞かれた。