「現場に常駐する」PEファンドと外資による再生:ベインキャピタルのキオクシア・すかいらーく投資と、フォートレスのハワイアンズ買収
テレ東BIZ ダイジェストこの動画は2つの番組をまとめたものだ。前半では、ベインキャピタル日本代表の杉本勇次氏がインタビューに答え、日本で「ハゲタカ」と見られがちだったPEファンドがどう信頼を得てきたか、すかいらーくやキオクシアへの投資で何をしたかを語る。後半は「ガイアの夜明け」の取材で、震災とコロナで約280億円の負債を抱えたスパリゾートハワイアンズを、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループが買収し、再生に乗り出すまでを追う。共通する問いは、ファンドが「お金を出す」だけでなく、事業そのものにどう入り込むのかである。
2006年の日本と「ハゲタカ」のイメージ
ベインキャピタルが日本オフィスを開いたのは2006年で、今年で20年になる。杉本氏は当時の状況を、日経平均がまだ1万7000円前後で、バブル崩壊後の「失われた20年」の時期だったと振り返る。日本企業はどう成長し、どう企業価値を上げればよいのか暗中模索していたというのが杉本氏の見方である。
加えて、M&Aはまだそれほど盛んではなく、ファンドといえば不良債権の処理やコストカットをして短期で売り抜ける「ハゲタカファンド」の印象が強かったという。そのため、プライベートエクイティファンドが何をする存在なのかを経営者に伝えることから始めなければならなかった。
受け入れられるまでには時間がかかった。経営陣と一緒に投資してガバナンスを握り、経営を共に担うと説明しても、なかなか理解されなかった。企業トップにアポイントを申し込んでも会えず、ようやく会えたと思ったら総務部長が出てきたこともあったという。当時、総会屋対策を担っていたのは総務部で、ファンドもそうした相手と同列に見られていた時期があった、と杉本氏は語る。
コンサル出身という出自と信頼の得方
信頼をどう勝ち取ったのかという問いに対し、杉本氏は「説明するだけでは納得してもらえない」と答える。実際に投資し、経営陣と一緒に経営して、その成果を見てもらうことで徐々に信頼されるようになったという。
その背景として杉本氏が挙げるのがベインキャピタルの成り立ちだ。同社は1984年、コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーからスピンオフして生まれた。コンサルティングだけでは助言して終わりになり、その後どうなったか分からないというもどかしさがあった。そこで、助言した内容を経営陣と一緒に投資して実践するためにつくられたファンドだという。
そのため、経営者と会う際も「御社の事業にはこういう問題があるのではないか」「こういう形で一緒に事業改革ができる」という具体的な話をし、投資後にそれを実践してきた。これが信頼につながったのではないか、と杉本氏は述べる。
月1回の取締役会ではなく「常駐」
聞き手は、ファンドといえば数字には強いが現場には口を出すだけ、という印象があると問いかける。杉本氏はそれを「全く真逆」だと否定した。お金を出して月に一度の取締役会でああだこうだ言うスタイルではなく、投資先の会社に部屋を借りてデスクを並べ、ベインの人間が何名か常駐する。工場や現場にも足を運び、経営課題を見つけて一緒に改善していくのだという。
杉本氏によれば、取締役会は「ある意味出来上がったフォーマリティ」であり、そこに臨む前にすべてを理解しているのが自社のスタイルだという。投資銀行出身者が中心のファンドとは異なり、事業会社やコンサルティング出身者が多いことが、事業の中に深く入り込む特徴につながっていると説明する。
すかいらーくの和風ドレッシング
その具体例として杉本氏が挙げたのが、すかいらーくへの投資である。すかいらーくはガスト、バーミヤン、ジョナサン、藍屋など多くのブランドを持っており、ベインはブランドをまたいで資材調達を統一することを提案した。
その一つが、どの店でも使われていた和風ドレッシングだ。中身を精査すると、健康志向から減塩醤油を使っていた。ところが原材料の最後に塩が入っている。理由を尋ねると、減塩醤油では味が足りないので塩を足しているという答えだった。減塩醤油は少し価格が高いため、普通の醤油に戻せばよいのではないかと提案した。杉本氏によると、それだけで例えば5円安くなり、すかいらーくの規模では和風ドレッシングだけで300万〜400万円程度のコスト削減になったという。味は変わらない。
聞き手は「醤油の成分を見ているのか」と驚いていたが、杉本氏はこうした検証を現場で一つずつ積み重ねるのが自社のやり方だと話した。
評価が変わった2つの分岐点
外資系PEファンドへの見方が変わった分岐点として、杉本氏は2つの案件を挙げる。
1つ目はすかいらーくだ。日本でトップのレストランチェーンで、ほぼ全国民が知る企業だが、業績が振るわない時期に投資した。財務面だけでなく、ドレッシングのほか、席の配置、メニュー、料理の味にまで深く関わったという。3〜5年かけて再上場を果たした際、「すかいらーく、良くなったね」「美味しくなった」「メニューが魅力的になった」「店がきれいになった」といった声をもらい、それが分岐点になったと同時に、杉本氏自身も大変嬉しかったと語る。
2つ目が東芝の半導体メモリ事業、現在のキオクシアである。大型案件で、しかも経済安全保障に関わる案件だった。そこに投資してしっかり上場させ、現在の状況に至ったことが2つ目の分岐点だと杉本氏は考えている。
なぜ東芝メモリに投資したのか
投資当時、東芝は経営再建の途上にあり、原子力を含む社会インフラと半導体を二本柱にしていたが、経営は難しくなっていた。杉本氏は、この2つは性格が全く違う事業だと説明する。社会インフラは中長期的に安定し、愚直にオペレーションを続ける事業である。一方の半導体は景況に左右され、浮き沈みが激しい。当時の東芝の状況で両方を同時に経営するのは難しかったのではないか、というのが杉本氏の見立てだ。
それでも両事業とも社会的には重要で、とりわけ半導体は当時から「産業の米」と呼ばれ、中長期の成長が見込めた。そこでベインが半導体事業を譲り受け、東芝本体は社会インフラに集中して安定させる。半導体はベインが責任を持って引き受ける。これが投資の背景だったという。
聞き手は、2018年当時は半導体の重要性が今ほど認識されておらず、浮き沈みの激しいリスクの大きい投資にどうして踏み切れたのかと尋ねた。杉本氏は、中長期的に半導体が成長するという確信は当時からあったと答える。ただし、AIブームでここまで大きくなることは「正直申し上げて当時は想定していなかった」とも認めた。中長期で伸びることだけは確信していたので、設備投資と研究開発を怠らないことが重要だという認識を当時から持っていたという。
破綻の危惧もあった3度の不況
投資後の企業価値向上は順風満帆だったのかという問いには、杉本氏は明確に否定した。半導体事業は浮き沈みが激しく、3度ほど不況があり、このままでは破綻するのではないかという危惧を抱いた時期もあったという。最も底だったのは2023年で、半導体不況の中、キオクシアは最終損益で約2400億円の赤字を出した。杉本氏は「本当に大変な状況」だったと述べ、関係者が一丸となって取り組んだと語り始めたところで、動画は次の番組に切り替わる。
スパリゾートハワイアンズが抱えた負債
後半は福島県いわき市の大型リゾート施設、スパリゾートハワイアンズだ。館内は南国ムードで、高低差40メートルの日本一のウォータースライダーが呼び物の一つ。家族で楽しめるテーマパークとして年間100万人が訪れる。最大の目玉は1日3回のフラガールのダンスショーで、現在43人のフラガールが在籍している。来年で60周年を迎え、運営は地元企業の常磐興産だ。
社長の関根氏は昨年就任した地元出身者で、本物のハワイには行けなかった自分にとってハワイアンズは憧れのハワイであり、家族の思い出が詰まった場所だと話す。しかし経営は厳しかった。2011年の東日本大震災で施設は大きな被害を受け、長期休業を余儀なくされた。さらに新型コロナで約3カ月休業し、赤字が続いた。関根氏によれば、震災とコロナで借入金が膨らみ、合計約280億円が経営にのしかかったという。番組は、多額の負債に加えて施設の老朽化が進み、先々の投資を続けることが難しくなっていたと伝えている。
フォートレスによる株式取得
そのハワイアンズに買収を仕掛けたのが、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループだ。運用資産総額は7兆円を超え、2023年にはそごう・西武を買収したことで日本でも名が知られた。昨年11月5日、番組は買収の動きを取材していた。フォートレスは2カ月前から常磐興産の株を買い付け始め、この日、目標としていた85%以上の保有に達した。
指揮を執ったのは山本俊祐氏である。山本氏は最初は警戒されたものの、本気で再生しようとしていると語る。ハワイアンズについては、これから50年、60年と勝ち続けられるかといえば今の財務体質では残念ながら厳しいとの見方を示した。また、本物のハワイを体験している日本人が増えているため、大幅に変えていく必要があるとも話している。
ホテル再生のプロ・山本俊祐氏の経歴
山本氏は早稲田大学在学中にバックパッカーとして世界を巡り、ホテルに心を引かれたという。ヨーロッパには個性の強いホテルが多く、強く印象に残り、自分が目指したい方向だと感じたと振り返る。外資系証券会社を経てフォートレスに入社し、フォートレスが買収したホテルを運営するマイステイズ・ホテル・マネジメントを立ち上げ、会長に就いた。
2021年には日本郵政が運営していた「かんぽの宿」の大半を取得し、温泉ホテルチェーン「亀の井ホテル」として再出発させた。番組によると、客室稼働率を2割近く引き上げ、赤字だった経営を立て直したという。ほかにも経営不振のリゾートホテルを各地で買収しており、代表例が海の上に建つホテルニューアカオだ。その立地を生かし、ホテル内から釣りができるマリンアクティビティを始めた。施設の個性を最大限に生かすのが山本氏の戦略だと番組は紹介する。
山本氏は、全国には素晴らしい施設がまだ多くあるのに、設備投資の遅れで休館や廃館に追い込まれる宿が多いと話し、それを支援することが大事だと述べる。こうして買収・再生してきた施設は184に上り、業界6位の規模になったという。
初顔合わせと施設チェック
昨年11月、ハワイアンズの会議室に常磐興産の社員が集まり、そこへフォートレスのグループ会社の社員約20人がバスで到着した。山本氏も自ら乗り込み、代表権のある会長への就任が決まっていた。山本氏は歴史ある常磐興産の経営に参画できることを光栄だとしたうえで、施設のオーナーにはフォートレスがなり、設備投資をして勝ち続けることが大事ではないかと話した。番組の予告部分では、お金をかけて施設そのものを変える発想や、至る所でハワイを感じられる方向性が示される一方、社員からは「どうなるのか分からないから怖い」「ハワイアンズの歴史とパワーは消えてほしくない」といった不安の声も紹介されている。
再生にあたり、以前に客として訪れたことがあるという山本氏は、館内を細かく見て回った。エントランスについては「ガチャガチャしている」と述べ、売店のあるエリアを野球場の1階のようだと評した。飲食スペースでは「これだと社員食堂ですよね」と率直な感想を口にした。動画はこの施設チェックの場面で終わっており、ハワイアンズが具体的にどう作り変えられるのかは、この素材の範囲では描かれていない。
こんにちは。こんにちは。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。中長期的に半導体が成長していくという確信は当時からありました。設備投資、研究開発。これを怠らないということが重要だろうと。
関係者の方々との最終調整、価値向上の取り組みっていうのは、順風満帆に来たんでしょうか?
3度ぐらい危機がございまして、本当にこのままですと破綻するんではないかという危惧があった時もありました。
なかなか、お金を出して、月1度の取締役会に出てああだこうだ言うと、そういうスタイルでは全くなくて、お部屋を借りて、そこにデスクを並べて、私どもの人間が何名か常駐していると。経営課題を見つけて、それを一緒に改善していくと。
すかいらーくさん、ここに投資させていただいた時に、和風ドレッシングで、当時、減塩醤油っていうのを使っていました。そこを変えるだけで、例えば5円、それが安くなると。
企業のM&Aですとか、大型の買収、事業再編、事業承継という、そういう動きを追っている人たちにとっては、知らない人はいないだろうという存在、名前になってきたわけですけれども、ベインキャピタルが日本に来てからも20年だそうですね。
そうですね。2006年に日本オフィスを立ち上げまして。
その当時、2006年と言いますと、どういう状況だったんでしょうか?
まず思い返していただくと、2006年っていうのは日経平均がまだ1万7000円前後の頃なんですよ。ちょうど失われた10年が終わって、バブル崩壊、失われた20年の時期で、日本経済及び日本企業もどう成長していくか、どう企業価値を上げていけばいいのかというところで、暗中模索の時代だったんではないかなというのが1つですね。
2つ目に、M&Aっていうのはまだそこまで盛んではなかった。特にファンドと言うと、ハゲタカファンドに代表される、不良債権ですとかコストカットをして、短期的に売り抜くというような、あまりいいイメージではなかったと思うんですね。従いまして、その中で我々プライベートエクイティというファンドがどういうもので、何をしていくのかというところを企業の経営者の方に伝えていくと、そういう時代でございましたね。
すぐ受け入れられました?
いやいや、これがやはり時間がかかりまして。私どもはプライベートエクイティファンドですと、企業の経営陣と一緒に投資をして、ガバナンスを握って、経営改革を一緒にしていくものですと言っても、なかなかピンとは来ないのでございますので。例えばこんな話がありましてね。企業のトップの方にアポを申し入れても、なかなかお会いできないと。ようやくアポが取れたと思ってお会いしに行くと、総務部の部長さんであったりするわけですね。
CFOじゃないと。
そうなんですよ。ですから、総会屋対策っていうのが、総務部の方々が当時やってらっしゃいましたんで、そういうふうに見られていた時もございましたですね。
少し隔世の感があるような。
そうですね。
そういう日本企業の受け止め方が広く浸透している中で、この20年という時間を経て、今のポジションを取られているわけですけど、どうやって企業の信頼を勝ち取っていったんですか?
これはやはり説明していくだけでは、なかなかご納得いただけないということがありますので、実際に投資をして、企業の経営陣の方と一緒に経営改革をしていく。その成果を見ていただくことで、徐々に信頼をしていっていただけたんではないかなというふうに感じています。
なるほどね。具体的な手法ですね。その辺りはどういう距離の詰め方であるとか、投資を実施するまでの関係の作り方、この辺りどんな手法を用いて距離を詰めていったんでしょうか?
1つは、私どもベインキャピタルの生い立ちなんですけれども、もともと1984年にコンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーという会社、コンサル会社からスピンオフしてできたプライベートエクイティファンドなんですね。従いまして、もともとの母体がコンサルティング会社なんです。
哲学が、コンサルするだけではなくて、実際に経営陣の方と一緒に投資をして経営改革を実践していきたいと。コンサルだけですと、コンサルして終わりじゃないですか。その後どうなったか分からないというもどかしさがあって、実際にコンサルティングを行って、それを経営陣と一緒に実践していく。これを行いたいということでできたファンドなんですね。
従いまして、非常にビジネスですとか事業への理解、コンサルティングのアドバイスというのに長けているファンドでございますので、経営陣の方とお会いしても、御社の事業というのは今こういう問題があるんじゃないですか、私どもがご一緒させていただくと、こういう形でこういう事業改革を一緒にできると思いますと。こういう話をしながら、実際に投資をさせていただいて、それを実践していくという、そういう形で信頼を得たということかもしれないですね。
なるほどね。コンサルタントとかファンドって言うと、非常にお金、数字には強い。その実業の部分ですね、この辺りについて、口は出しても、金は出しても、実際に動かしている現場にどういうふうにリーチして、そこの信用を得るのかっていうのは大事だと思うんですけども。本当におそらく泥臭いこともされたんじゃないかなと思うんですけど、少しPEのファンド、外資ファンドのイメージとはちょっと違うようなエピソードというか、何かそういうことになっているんですか?
そうですね。私ども、今おっしゃっていただいた投資、お金を出して、月1度の取締役会に出てああだこうだ言うと、そういうスタイルでは全くなくて、真逆でございましてね。私どもの人間が、投資させていただいた会社に常駐するんですね。お部屋を借りて、そこにデスクを並べて、私どもの人間が何名か常駐しているという、そういう形なんですね。
現場の方と一緒に、工場にも行きますし、あるいは現場にも行って、経営課題を見つけて、それを一緒に改善していくと、そういうやり方を取っております。
1つの例としては、すかいらーくさん、ここに投資させていただいた時に、すかいらーくさんっていろんなブランドを持ってらっしゃるんですね。ガストから、バーミヤンから、ジョナサンから、藍屋からと。私ども、そこを統一して資材の調達をしていけばいいんではないかというようなお話をさせていただいて。
1つの例として、和風ドレッシング。これ、どこのレストランでも使ってらっしゃるんですけども、この中身を精査していったんですね。ドレッシングの材料というと、サラダ油ですとか、お塩、お醤油とかあるじゃないですか。当時、減塩醤油っていうのを使ってらっしゃったんですね。なぜかというと健康ブームで、消費者の方にとって、お客様にとって減塩の方がいいだろうと。
油、減塩醤油、最後に塩っていうのが入っているんですね。これ何ですかって言うと、いや、減塩醤油だとちょっと味が足りないんで塩を足しているんですと。じゃあ普通のお醤油にやっぱり直した方、戻した方がいいんじゃないですかっていうのは、減塩醤油って高いんですよ、少し。
なるほど。
従って、そこを変えるだけで、例えば5円、それが安くなると、すかいらーくさんの規模なんで、和風ドレッシングだけで300から400万円ぐらいのコスト削減になるんですね。味も変わらず、何も変えずにそれだけの削減ができるので、そういった形で現場で1つ1つ検証しながら、いろんな経営改革をお手伝いしているっていうのが、こういうスタイルなんですね、私ども。
細かいですね。
細かいですよ。
細かいですね。なんとなく、月に1度の経営会議に参加して、社長さんとか財務責任者に注文をつけて、数字を見て、それでもっと叱咤激励するみたいな、そういうイメージですけど、全く違うんですね。醤油の成分を見ているんですね。そうですか。
取締役会っていうのは、ある意味、出来上がったフォーマリティのようなものですから、そこに行く前に全て理解しているっていうのが、私どものスタイルでございますね。
そこはやっぱり、いわゆる投資銀行の人たちで構成するファンドとは、ちょっと。
そうですね。やはり事業会社、コンサルティング出身者が多いということだけあって、実際に現場に行く、あるいは事業の中にどんどん入っていって、そこを深く理解するっていうのが私どもの特徴でございますね。
なるほどですね。知れば分かる、ベインキャピタルのいわゆる現場主義というか、泥臭さというか、親近感みたいなものっていうのは伝わるのかなと、今聞いていて思ったんですけど。振り返って、外資系PEファンド、ベインキャピタルに対するイメージというか、何かが変わったなっていうような分岐点とか、変化みたいなことはあったんでしょうか?
そうですね。大きく2つあると思っていて、1つはやはり先ほどお話ししたすかいらーくの投資だったと思うんですね。日本でナンバーワンのレストランチェーンでいらっしゃって、ほぼ全ての国民の方が知ってらっしゃると。業績があまりうまくいっていなかった時に私ども投資させていただいて、財務的なところのみならず、先ほど申し上げたオペレーションまで深く入っていきました。
従いまして、先ほどのドレッシングだけではなくて、席の配置ですとか、メニューですとか、それからもちろんお料理の味ですとか、そこにも深く入っていったんですね。3年から5年かけて再上場をすることができたんですけれども、その時に皆様から、すかいらーくって良くなったよねと。おいしくなったし、メニューも非常に魅力的になったし、店もきれいになってということで、すごくお褒めの言葉をいただいて。これが1つ分岐点になったのかな。私も大変うれしかったんですね。
2つ目が、やはり東芝半導体、キオクシアでございますね。あれだけの大型案件で、特に日本の経済安全保障に関わる案件でございましたので、ここに私どもが投資をさせていただいて、これもしっかりと上場ができて、今の状況に至るということで、このキオクシアの投資というのが2つ目の分岐点だったんではないかなというふうに感じております。
そうですよね。メモリーの再生っていうのは、相当困難を極めたんじゃないかなと思うんですけど。そもそも当時の東芝メモリ、現在のキオクシアに投資をしようと思った狙いっていうのは、どこにあったんでしょうか?
当時を振り返っていただくと、東芝という日本を代表する企業さんが経営の再建の中にありましたと。当時、社会インフラ、原子力も含めてと、それから半導体という、この2本柱で経営をされていたんですが、やはりなかなか難しくなっていったと。
この社会インフラと半導体って、全く性格の違う事業でございまして、社会インフラというのは、中長期的に安定した、しっかりと愚直にオペレーションしていくという事業だと思うんですね。一方、半導体っていうのは市況に左右される、非常に浮き沈みの激しい難しい事業なんですね。これを2つ同時に経営していくっていうのは非常に難しいですし、当時の東芝さんの状況ですと、なかなか難しかったんではないかなと。
一方で、両方とも社会的には非常に重要な事業でございますし、特に半導体のところは、当時から産業の米と。今はAI、DXブームで非常に盛り上がっていますけれども、当時から非常に重要な産業でしたと。中長期的に成長も非常に見込まれますので、私どもとしてはこの半導体のところ、ここを私どもが譲り受けて、東芝本体は社会インフラに集中する。安定するし、半導体事業も私どもが責任を持って引き受けられると、そういう背景から投資をさせていただいたという状況でございます。
産業の米という話もありましたけど、まだ2018年、買収当時は、そこまで半導体の重要性っていうのは認知されていなかったんじゃないかなって思うんですよね。どちらかというと、今、杉本さんがおっしゃっている浮き沈みの激しい事業、性格を持ったビジネスであるということなんで、ここはいずれこれほどまでに半導体が重要になるというふうに予見していたのか、それともまた何か違う理由があったのか。リスクが非常に大きい投資にドンと行けたのは、どこにあったんでしょうか?
中長期的に半導体が成長していくという確信は当時からありました。ただ、このAIブームでここまで大きくなるというのは、正直申し上げて当時は想定していなかったです。ただ、中長期的に伸びていくことだけは確信がありましたので、ここにしっかりと投資をしていく。それから設備投資、研究開発を怠らないということが重要だろうという認識を当時から持っておりました。
なるほどですね。キオクシアを買収して、上場、そして今の絶好調の業績があるわけですけれども、振り返って、キオクシアの企業価値向上の取り組みっていうのは、順風満帆に来たんでしょうか?
いえいえ、これは先ほど申し上げた通り、半導体事業というのは浮き沈みが激しゅうございます。3度ぐらい危機がございまして。
3度。
本当にこのままですと破綻するんではないかという危惧があった時もありました。その一番の底が2023年だったと思うんですけども、半導体不況と言われて、当時キオクシアも最終損益で2400億程度の赤字を出しました。この時は本当に大変な状況でございましたけれども、私ども一丸となって。
福島県いわき市にある巨大リゾート施設、スパリゾートハワイアンズ。中に入ると、名前の通り南国ムードの空間が。呼び物の1つは、高低差40メートル、日本一のウォータースライダー。家族で楽しめるテーマパークとして、年間100万人が訪れています。
楽しみです。日本にいながらハワイを味わえるところ。
入れる。
中でも目玉は、1日3回行われるフラガールのダンスショー。現在、フラガールが43人在籍しています。
来年60周年を迎えるハワイアンズ。常磐興産という地元企業が運営しています。
アロハ。アロハ。アロハ。
気さくなこの人。去年社長に就任した関根さん。地元の出身です。
本当のハワイは絶対行けなかったので、私にとっての憧れのハワイで、家族の思い出が全てに詰まっているみたいな。
生え抜きの社長としてハワイアンズを引っ張る関根さん。しかし、ギリギリの経営を強いられていました。2011年の東日本大震災。ハワイアンズは施設に大きな被害を受け、休業を余儀なくされたのです。さらに新型コロナによっておよそ3か月間の休業。赤字が続きました。財政が一気に厳しくなったのです。
東日本大震災とコロナの中で、やっぱり借入金がかさんだっていうのが、合計で言えば約280億なんですが、これが経営にのしかかってきたなと。
多額の負債に加え、追い打ちをかけたのが施設の老朽化。新たな投資を続けることが難しくなっていたのです。そんなハワイアンズに買収を仕掛けている会社が、東京にありました。去年11月5日、ガイアはその動きを取材していたのです。
最低限必要な株数を超過したということを示していますね。
2か月前から常磐興産の株を買い付け始め、この日、目標としていた85%以上を保有したのです。
最初はやはり警戒されましたけど、我々は本気で再生しようとしている。
仕掛けたのはアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループ。運用資産総額は7兆円を超えます。2023年にはそごう・西武を買収。その名を日本に知らしめました。今回、指揮を執った山本俊祐さん。ハワイアンズをどう見ているのか。
これから50年、60年、勝ち続けることができるかというと、今の財務体質だと、残念ながら厳しいのかなと。あとは、本当のハワイを体験している日本人が増えていますし、大幅に変えていく必要があるのかなと思います。
老舗リゾートを復活させるホテル再生のプロに独占密着。激動の300日を追いました。
莫大な資金力。外資ファンドの大改革が始まった。
お金をかけて施設自体を変えちゃうんだよっていう発想。至るところにハワイを感じるっていう方向性は。
本場ハワイにあり。求められる変革。その現場では。
どうなるんですかね。本当に分からないから怖いですよね。
ハワイアンズという歴史とパワーっていうものは、消えてほしくないです。
同じ頃、バブルの象徴、あの巨大リゾートも買収していた。
何も残さなくていいので、全体的に作り直している。
その裏には、日本人の旅を変えていく野望が。復活師が変える老舗リゾート。
去年11月、ハワイアンズの会議室に常磐興産の社員たちが集まっていました。
我々としても、100年残る企業のために非常に重要な日だと思っております。
そこへやってきた1台のバス。降りてきたのはフォートレスのグループ会社の社員たち、およそ20人。
はい、今さっき撮った。おはようございます。おはようございます。
買収を計画し、先頭に立って動いた山本さんも、自ら乗り込んできました。ハワイアンズの再生を始めるにあたり、初の顔合わせ。山本さんは代表権のある会長への就任が決まっていました。
この度は、歴史のある常磐興産の経営に参画できるということで、大変光栄に思っております。こちらの施設のオーナーにはフォートレスがなって、設備投資をして勝ち続ける。ここではないかな。
山本さんは早稲田大学在学中に、バックパッカーとして世界各地を巡りました。旅を続ける中で心を引かれたのが、ホテルだと言います。
ヨーロッパを旅すると、個性の強い、特徴のある運営のホテルがいっぱいあって、ものすごく印象に残りましたね。自分が目指していきたいところだなと思いましたね。
その後、外資系証券会社を経てフォートレスに入社。フォートレスが買収したホテルを運営するマイステイズ・ホテル・マネジメントを立ち上げ、会長に就任します。2021年には日本郵政が運営していたかんぽの宿の大半を取得することを決めました。それを新たに温泉ホテルチェーン、亀の井ホテルとして再出発させます。客室稼働率を2割近くアップさせ、赤字だった経営を立て直しました。
広いですしね。お風呂もとてもいいですよ。
他にも経営不振に陥った各地のリゾートホテルを買収。その代表がホテルニューアカオです。海の上に立つ珍しい立地に目をつけました。施設の個性を最大限に生かすため、山本さんが始めたのはマリンアクティビティ。ホテル内から釣りができます。魅力を見いだし、につなげる、山本さんの戦略です。
素晴らしい施設がまだ全国にいっぱいありますので、設備投資の遅れとかで、残念ながら休館だったり、廃館に追い込まれるっていう宿が多くございますので、我々が支援するっていうのが大事なポイントかなと思います。
こうして日本各地のリゾートやホテルを買収し、復活させてきました。その数は今や業界第6位の184棟に上ります。
調整が必要な。
では、ハワイアンズをどう再生するのか。
エントランス、ガチャガチャしていますよね。
買収前に客として訪れたことがある山本さんですが、改修に先立ち、施設内を細かくチェックします。
何だろう、これ。野球場の1階みたいな感じですよね。この売店とかあるエリアのね。
続いて向かったのは飲食スペース。
ああ。これだと何だろう、もう社員食堂ですよね。
社員食堂。
まあ。
記事公開 · 更新
