「現場に常駐する」PEファンドと外資による再生:ベインキャピタルのキオクシア・すかいらーく投資と、フォートレスのハワイアンズ買収

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概要

この動画は2つの番組をまとめたものだ。前半では、ベインキャピタル日本代表の杉本勇次氏がインタビューに答え、日本で「ハゲタカ」と見られがちだったPEファンドがどう信頼を得てきたか、すかいらーくやキオクシアへの投資で何をしたかを語る。後半は「ガイアの夜明け」の取材で、震災とコロナで約280億円の負債を抱えたスパリゾートハワイアンズを、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループが買収し、再生に乗り出すまでを追う。共通する問いは、ファンドが「お金を出す」だけでなく、事業そのものにどう入り込むのかである。

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2006年の日本と「ハゲタカ」のイメージ

ベインキャピタルが日本オフィスを開いたのは2006年で、今年で20年になる。杉本氏は当時の状況を、日経平均がまだ1万7000円前後で、バブル崩壊後の「失われた20年」の時期だったと振り返る。日本企業はどう成長し、どう企業価値を上げればよいのか暗中模索していたというのが杉本氏の見方である。

加えて、M&Aはまだそれほど盛んではなく、ファンドといえば不良債権の処理やコストカットをして短期で売り抜ける「ハゲタカファンド」の印象が強かったという。そのため、プライベートエクイティファンドが何をする存在なのかを経営者に伝えることから始めなければならなかった。

受け入れられるまでには時間がかかった。経営陣と一緒に投資してガバナンスを握り、経営を共に担うと説明しても、なかなか理解されなかった。企業トップにアポイントを申し込んでも会えず、ようやく会えたと思ったら総務部長が出てきたこともあったという。当時、総会屋対策を担っていたのは総務部で、ファンドもそうした相手と同列に見られていた時期があった、と杉本氏は語る。

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コンサル出身という出自と信頼の得方

信頼をどう勝ち取ったのかという問いに対し、杉本氏は「説明するだけでは納得してもらえない」と答える。実際に投資し、経営陣と一緒に経営して、その成果を見てもらうことで徐々に信頼されるようになったという。

その背景として杉本氏が挙げるのがベインキャピタルの成り立ちだ。同社は1984年、コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーからスピンオフして生まれた。コンサルティングだけでは助言して終わりになり、その後どうなったか分からないというもどかしさがあった。そこで、助言した内容を経営陣と一緒に投資して実践するためにつくられたファンドだという。

そのため、経営者と会う際も「御社の事業にはこういう問題があるのではないか」「こういう形で一緒に事業改革ができる」という具体的な話をし、投資後にそれを実践してきた。これが信頼につながったのではないか、と杉本氏は述べる。

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月1回の取締役会ではなく「常駐」

聞き手は、ファンドといえば数字には強いが現場には口を出すだけ、という印象があると問いかける。杉本氏はそれを「全く真逆」だと否定した。お金を出して月に一度の取締役会でああだこうだ言うスタイルではなく、投資先の会社に部屋を借りてデスクを並べ、ベインの人間が何名か常駐する。工場や現場にも足を運び、経営課題を見つけて一緒に改善していくのだという。

杉本氏によれば、取締役会は「ある意味出来上がったフォーマリティ」であり、そこに臨む前にすべてを理解しているのが自社のスタイルだという。投資銀行出身者が中心のファンドとは異なり、事業会社やコンサルティング出身者が多いことが、事業の中に深く入り込む特徴につながっていると説明する。

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すかいらーくの和風ドレッシング

その具体例として杉本氏が挙げたのが、すかいらーくへの投資である。すかいらーくはガスト、バーミヤン、ジョナサン、藍屋など多くのブランドを持っており、ベインはブランドをまたいで資材調達を統一することを提案した。

その一つが、どの店でも使われていた和風ドレッシングだ。中身を精査すると、健康志向から減塩醤油を使っていた。ところが原材料の最後に塩が入っている。理由を尋ねると、減塩醤油では味が足りないので塩を足しているという答えだった。減塩醤油は少し価格が高いため、普通の醤油に戻せばよいのではないかと提案した。杉本氏によると、それだけで例えば5円安くなり、すかいらーくの規模では和風ドレッシングだけで300万〜400万円程度のコスト削減になったという。味は変わらない。

聞き手は「醤油の成分を見ているのか」と驚いていたが、杉本氏はこうした検証を現場で一つずつ積み重ねるのが自社のやり方だと話した。

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評価が変わった2つの分岐点

外資系PEファンドへの見方が変わった分岐点として、杉本氏は2つの案件を挙げる。

1つ目はすかいらーくだ。日本でトップのレストランチェーンで、ほぼ全国民が知る企業だが、業績が振るわない時期に投資した。財務面だけでなく、ドレッシングのほか、席の配置、メニュー、料理の味にまで深く関わったという。3〜5年かけて再上場を果たした際、「すかいらーく、良くなったね」「美味しくなった」「メニューが魅力的になった」「店がきれいになった」といった声をもらい、それが分岐点になったと同時に、杉本氏自身も大変嬉しかったと語る。

2つ目が東芝の半導体メモリ事業、現在のキオクシアである。大型案件で、しかも経済安全保障に関わる案件だった。そこに投資してしっかり上場させ、現在の状況に至ったことが2つ目の分岐点だと杉本氏は考えている。

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なぜ東芝メモリに投資したのか

投資当時、東芝は経営再建の途上にあり、原子力を含む社会インフラと半導体を二本柱にしていたが、経営は難しくなっていた。杉本氏は、この2つは性格が全く違う事業だと説明する。社会インフラは中長期的に安定し、愚直にオペレーションを続ける事業である。一方の半導体は景況に左右され、浮き沈みが激しい。当時の東芝の状況で両方を同時に経営するのは難しかったのではないか、というのが杉本氏の見立てだ。

それでも両事業とも社会的には重要で、とりわけ半導体は当時から「産業の米」と呼ばれ、中長期の成長が見込めた。そこでベインが半導体事業を譲り受け、東芝本体は社会インフラに集中して安定させる。半導体はベインが責任を持って引き受ける。これが投資の背景だったという。

聞き手は、2018年当時は半導体の重要性が今ほど認識されておらず、浮き沈みの激しいリスクの大きい投資にどうして踏み切れたのかと尋ねた。杉本氏は、中長期的に半導体が成長するという確信は当時からあったと答える。ただし、AIブームでここまで大きくなることは「正直申し上げて当時は想定していなかった」とも認めた。中長期で伸びることだけは確信していたので、設備投資と研究開発を怠らないことが重要だという認識を当時から持っていたという。

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破綻の危惧もあった3度の不況

投資後の企業価値向上は順風満帆だったのかという問いには、杉本氏は明確に否定した。半導体事業は浮き沈みが激しく、3度ほど不況があり、このままでは破綻するのではないかという危惧を抱いた時期もあったという。最も底だったのは2023年で、半導体不況の中、キオクシアは最終損益で約2400億円の赤字を出した。杉本氏は「本当に大変な状況」だったと述べ、関係者が一丸となって取り組んだと語り始めたところで、動画は次の番組に切り替わる。

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スパリゾートハワイアンズが抱えた負債

後半は福島県いわき市の大型リゾート施設、スパリゾートハワイアンズだ。館内は南国ムードで、高低差40メートルの日本一のウォータースライダーが呼び物の一つ。家族で楽しめるテーマパークとして年間100万人が訪れる。最大の目玉は1日3回のフラガールのダンスショーで、現在43人のフラガールが在籍している。来年で60周年を迎え、運営は地元企業の常磐興産だ。

社長の関根氏は昨年就任した地元出身者で、本物のハワイには行けなかった自分にとってハワイアンズは憧れのハワイであり、家族の思い出が詰まった場所だと話す。しかし経営は厳しかった。2011年の東日本大震災で施設は大きな被害を受け、長期休業を余儀なくされた。さらに新型コロナで約3カ月休業し、赤字が続いた。関根氏によれば、震災とコロナで借入金が膨らみ、合計約280億円が経営にのしかかったという。番組は、多額の負債に加えて施設の老朽化が進み、先々の投資を続けることが難しくなっていたと伝えている。

19:07

フォートレスによる株式取得

そのハワイアンズに買収を仕掛けたのが、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループだ。運用資産総額は7兆円を超え、2023年にはそごう・西武を買収したことで日本でも名が知られた。昨年11月5日、番組は買収の動きを取材していた。フォートレスは2カ月前から常磐興産の株を買い付け始め、この日、目標としていた85%以上の保有に達した。

指揮を執ったのは山本俊祐氏である。山本氏は最初は警戒されたものの、本気で再生しようとしていると語る。ハワイアンズについては、これから50年、60年と勝ち続けられるかといえば今の財務体質では残念ながら厳しいとの見方を示した。また、本物のハワイを体験している日本人が増えているため、大幅に変えていく必要があるとも話している。

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ホテル再生のプロ・山本俊祐氏の経歴

山本氏は早稲田大学在学中にバックパッカーとして世界を巡り、ホテルに心を引かれたという。ヨーロッパには個性の強いホテルが多く、強く印象に残り、自分が目指したい方向だと感じたと振り返る。外資系証券会社を経てフォートレスに入社し、フォートレスが買収したホテルを運営するマイステイズ・ホテル・マネジメントを立ち上げ、会長に就いた。

2021年には日本郵政が運営していた「かんぽの宿」の大半を取得し、温泉ホテルチェーン「亀の井ホテル」として再出発させた。番組によると、客室稼働率を2割近く引き上げ、赤字だった経営を立て直したという。ほかにも経営不振のリゾートホテルを各地で買収しており、代表例が海の上に建つホテルニューアカオだ。その立地を生かし、ホテル内から釣りができるマリンアクティビティを始めた。施設の個性を最大限に生かすのが山本氏の戦略だと番組は紹介する。

山本氏は、全国には素晴らしい施設がまだ多くあるのに、設備投資の遅れで休館や廃館に追い込まれる宿が多いと話し、それを支援することが大事だと述べる。こうして買収・再生してきた施設は184に上り、業界6位の規模になったという。

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初顔合わせと施設チェック

昨年11月、ハワイアンズの会議室に常磐興産の社員が集まり、そこへフォートレスのグループ会社の社員約20人がバスで到着した。山本氏も自ら乗り込み、代表権のある会長への就任が決まっていた。山本氏は歴史ある常磐興産の経営に参画できることを光栄だとしたうえで、施設のオーナーにはフォートレスがなり、設備投資をして勝ち続けることが大事ではないかと話した。番組の予告部分では、お金をかけて施設そのものを変える発想や、至る所でハワイを感じられる方向性が示される一方、社員からは「どうなるのか分からないから怖い」「ハワイアンズの歴史とパワーは消えてほしくない」といった不安の声も紹介されている。

再生にあたり、以前に客として訪れたことがあるという山本氏は、館内を細かく見て回った。エントランスについては「ガチャガチャしている」と述べ、売店のあるエリアを野球場の1階のようだと評した。飲食スペースでは「これだと社員食堂ですよね」と率直な感想を口にした。動画はこの施設チェックの場面で終わっており、ハワイアンズが具体的にどう作り変えられるのかは、この素材の範囲では描かれていない。