「いいね」を売り上げにどうつなげるか:ピングー復活に見るキャラクターIPの新戦略

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概要

BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」の日経BPのコーナーでは、日経エンタテインメント!の電子版編集長が「キャラクタービジネス最前線」をテーマに解説した。人気キャラクターのファンをどう広げ、どう深めるかがこの回の問いである。中心的な事例は、ソニー・クリエイティブプロダクツが手がけるピングーの復活と、同社が43年ぶりに自ら生み出したオリジナルキャラクターだ。

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新作なしで売り上げが倍増したピングー

ピングーは1980年にスイスで生まれたクレイアニメーションのキャラクターで、日本では1990年代から2000年代にかけて大ブームになった。誕生から46年たち、新作アニメも始まっていない。それでも番組によれば、2025年度の国内売上は前年のおよそ2倍になった。

この復活を仕掛けたのが、ピングーをはじめ多くの人気キャラクターのライセンスを管理するソニー・クリエイティブプロダクツである。番組は、当時のブームを知らない若い世代にもSNSを中心に人気が広がっていると伝えた。数字として示されたのは次の点だ。今年開催された「可愛いだけじゃない!?ピングー展」には、想定の3倍にあたる13万人が来場した。期間限定ショップは年間34か所からおよそ100か所に増えた。ピングーを使った商品を展開する企業も、この3年半でおよそ3倍になった。

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「SNSバリア」を越える二つの方法

番組は、復活の鍵を「SNSバリア」の攻略だと説明した。SNSバリアとは、「いいね」はたくさんつくのに、なかなか買ってもらえないという壁のことだ。

一つ目の方法はカプセルトイである。SNSで興味を持った若者でも、数百円なら手を伸ばしやすい。カプセルトイを購買の入り口にするという発想だ。

二つ目は「ツッコミ」である。ピングーには癒やされるだけでなく、突っ込みたくなる余白がある。番組が挙げた例では、メソメソ泣くピングーのグッズを買った人が写真を撮り、「今の私の気分」と一言添えてSNSに投稿する。それに「わかる」と共感する反応が次々と広がった。ある投稿はおよそ1300万回閲覧され、購入者自身が宣伝役になったと紹介された。

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キャラクターごとに変える戦略:「広げる」と「深める」

同社はキャラクターによって戦略を変えている。番組が対比として挙げたのが、水森さんの作品である。公式Instagramのフォロワーはおよそ4万人で、数としては多くない。ただ、フォロワーが商品購入につながる割合が高い点に同社は注目した。熱心なファンに向けて商品を展開すると売れ行きが伸び、商品化する企業は2年半で5倍に増えたという。

番組はこの二つを、ピングーは新しいファンを「広げた」例、水森さんの作品は今いるファンを「深めた」例と整理した。

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43年ぶりのオリジナルキャラクター:売る前にファンを育てる

IPを育てる側の同社が、1983年の「タマ&フレンズ」以来43年ぶりに、自社でキャラクターを生み出した。日々のモヤモヤを抱えてつい夜更かししてしまう、というキャラクターである。まだ商品化されていないのに、誕生からわずか1年でSNSフォロワーはおよそ12万人に達した。

担当者はインタビューで、ターゲットを20代、特に社会人3年目から5年目くらいに想定していると説明した。そのうえで、エンゲージメントが高いことがポイントだと話した。主に展開しているのは10枚をスワイプして読む漫画である。日々出しているストーリーは生活に直結した内容が多く、「そうだよね、よくわかる」と思える共感ネタを多く取り込んでいる。担当者はそこが支持されている理由だろうと見ている。

オンラインだけでなく、フィジカルな展開にも力を入れたという。例として、ある駅の屋外ビジョンで夜22時から23時に限って動画を流し続けた施策を挙げた。夜更かしや夜遊びで外にいる人たちに、時間を区切ってコミュニケーションする。担当者は、こうした取り組みを増やしたこともフォロワー増につながったと考えている。

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初の商品は来年、東京のポップアップ店で

来年には東京で初めてのポップアップストアが開かれ、初めて商品が世に出る予定である。担当者はこれをとても大事なポイントだと位置づけた。熱量が高く、グッズが欲しい、キャラクターをそばに置きたいと思うファンを多く増やす作業を1年半続けてきた。だから、このタイミングで勝負できると考えているという。

番組の締めくくりで、キャスターは1年半もグッズを売らずにファンを温めることについて、ものすごい覚悟と戦略だと受け止めた。ポップアップでの初の商品展開がその成否を試す場になる。