キャンプ場を災害拠点にする:NTT東日本・NTTランドスケープ・大塚商会が組む「フェーズフリー」と「オフグリッド」

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概要

田村淳がMCを務める番組「TaMaRiBa」の今回のテーマは「フェーズフリー&オープンイノベーション最前線」である。日常時にも非常時にも役立つように物やサービスを設計する「フェーズフリー」の考え方を、キャンプ場という場で実装しようとしている3社が登場した。通信のNTT東日本、そのグループでキャンプ場運営を手がけるNTTランドスケープ、新規事業として防災分野に進出した大塚商会である。番組では、普段は稼げる施設が災害時には避難や生活の拠点になるという仕組みが、どこまで具体化しているのかを掘り下げた。自身もキャンプ場を作っている最中の田村は、その当事者として話を聞いている。

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防災産業とフェーズフリーという考え方

番組のナレーションは、熊本地震や千葉での被害など日本が繰り返し災害に見舞われてきたことに触れ、防災関連の市場規模は拡大が予測され、防災産業は基幹産業になるポテンシャルを秘めているとまで言われていると紹介した。

その防災産業で注目されているキーワードがフェーズフリーだ。例として挙げられたのはリュックサックである。救命胴衣並みの浮力を備えているため水害時には浮き袋になり、給水タンクとしても使える。ナレーションによれば、フェーズフリーの国内市場規模は4年でおよそ3倍に拡大する見込みだという。番組は、こうしたフェーズフリーを生かして企業同士が知見を持ち寄る「防災のオープンイノベーション」の例として、キャンプ場とDXの組み合わせを取り上げた。

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「一家に1台キャンピングカー」と言ってきた田村淳の関心

田村は以前から、キャンピングカーは災害時に大きな力を発揮するので一家に1台あった方がいいと発言してきたという。「みんながみんなキャンピングカーを買えない」と批判されたとも振り返った。そのうえで、キャンプ場そのものを災害に強くするという視点はこれまで持っていなかったと話す。

田村は現在、自身のオンラインサロンでキャンプ場を作っている。災害に強いキャンプ場にして、いざという時に「うちのキャンプ場を使ってください」と言えるようにしたいというのが、今回の話に関心を持つ理由だと述べた。

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大塚商会:10日間発電できるLPガス発電車

大塚商会は近年、新規事業として防災分野に参入した。主に家庭用のLPガス発電機を販売していて、これを搭載した車をメーカーと共同で開発している。普通のプロパンガスをつなげば10日間でも発電し続けられるという。説明では、4人家族で40A契約の家庭を基準にした数字が示され、1台で十数軒規模をまかなえるという趣旨のやり取りがあった。

この発電車は、災害時には避難所で電源車として使い、普段はイベントで施設に電源を供給できる。平時と非常時の両方で役に立つという意味で、フェーズフリーの製品として紹介された。大塚商会がフェーズフリー分野で協業している相手がNTT東日本である。

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NTT東日本がキャンプ事業に乗り出した理由

NTT東日本の担当者は、自社には電話やインターネットのイメージが強いだろうとしたうえで、地域に根差した事業として、地域の困りごとを解決するところまで踏み込んでいると説明した。地域の「ソーシャルイノベーションパートナー」として取り組む事業の一つがキャンプだという。

担当者によれば、国内には約5,000のキャンプ場があり、そのうち4割ほどを自治体や第三セクターなど公的な主体が運営している。キャンプ市場は盛り上がる一方で、人手不足や、効率化を担える人材がいないといった悩みを抱えている。オペレーションをDXして効率化すること、NTT東日本が持つネットワークを使ってPRし集客することができると考え、キャンプ事業に参入したという。

田村は、字面だけ見るとNTTとキャンプは結びつかなかったが、NTTがやるとかなり良い効果がありそうだと応じた。

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NTTランドスケープの「フィールドDX」とスマートチェックイン

そのために設立されたのがNTTランドスケープである。DXを活用したスマートキャンプ場の運営や再生を手がけ、アウトドアのフィールドをDXすることを「フィールドDX」と呼んでいる。現在は3カ所のキャンプ場を運営している。

中心となる仕組みの一つが、自社開発したスマートチェックインというアプリケーションだ。受付を通らず、無人でチェックインとチェックアウトができる。田村は、キャンプ場のチェックインには非常に時間がかかると指摘した。管理人が出てきて名前を確認し、「Aの3番ですね」と案内している間に行列ができてしまう、という自身の体験も交えている。担当者もその通りだとし、キャンプ場ごとにゴミの捨て方が違い、危険な場所もあり、サイトの場所を一つ案内するだけでも時間がかかると説明した。これらをすべてアプリ上で伝えるのがスマートチェックインだという。田村は、口頭の説明ではゴミの場所が分からないこともあるが、アプリなら確実に伝わると評価した。

田村はさらに、キャンプに慣れていない人や外国人の利用が増えていて、英語対応が必要になると印刷した紙では対応しきれないという課題を挙げた。ウェブで提供すれば日本語の情報からすぐに翻訳でき、問題が起きた時のサポートもオンラインでできる。安心して利用でき、手続きの時間が短くなる分、本当に楽しみたいアナログな時間を増やせる、というのが田村の見方である。

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迷子対策と鳥獣対策

安心・安全の面では、子どもの迷子対策も紹介された。自然の中にあるキャンプ場では子どもの迷子が心配になる。子どもに持たせた端末で歩いたルートをすべてトレースでき、通話機能で「今どこにいる?」「戻ってきなさい」と呼びかけることもできる。現在は貸し出し形式で実証実験を行っている段階だという。

ほかにも、レーザーを照射するドローンを飛ばして鳥獣を施設から遠ざけ、ゴミを荒らされる被害を防ぐ取り組みがナレーションで紹介された。

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「NTTがやる意味」をめぐる田村の見立て

田村は、NTTがキャンプ場をやることには大きな意味があると述べた。NTTは電話事業を通じて、どんな時でもサービスが使えることをひたすら追求してきた会社なので、簡単には撤退しないだろうと考えている。取り組みが定着して知られていけば、防災につながっていくはずだという。

一般の利用者が、そのキャンプ場をNTTが運営していると意識していない点も、田村はむしろ良いと見る。「このキャンプ場が良かったから同じ系列の別の場所にも行こう」と利用を重ねた末に、実はNTT東日本だったと分かれば評価が大きく上がるのではないか、という見立てである。

NTTランドスケープは、自社で磨いたDXの仕組みを、自社が運営していない他のキャンプ場や公営キャンプ場にも使ってもらい、経営改善につなげることも目指している。自治体が運営するキャンプ場なら、自治体の財政改善につながる話だと担当者は説明した。

フェーズフリーとの関係について、担当者は次のように述べた。非常時の対応が必要なことには誰も異論がない。重要なのは、平時にどうするかである。自治体にとってのメリットをどう提案できるかが、本当の意味でのフェーズフリーにつながる。

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防災対応型トレーラーハウス:平時はホテル、災害時は宿泊拠点

キャンプ場のフェーズフリーに欠かせないアイテムとして紹介されたのがトレーラーハウスである。車で牽引できる家で、車両として扱われる建物だ。山中湖のキャンプ場にはトレーラーハウスが設置されていて、フィールド全体にWi-Fiが行き渡るよう、回線をかなり緻密に設計しているという。

北海道むかわ町の事例では、トレーラーハウスを使ってホテルを運営している。写真に映った室内はベッドが並んだビジネスホテルそのもので、出演者も驚いていた。田村が「平時はビジネスホテルで、災害時は被災した人が寝泊まりする場所になるのか」と確認すると、担当者は「まさにおっしゃる通り」と答えた。こうしたトレーラーハウスは防災対応型トレーラーハウスと呼ばれ、店舗型など平時にさまざまな用途で使えるタイプもある。

ナレーションによれば、NTTランドスケープは今年7月にむかわ町と包括連携協定を結び、町内の道の駅の隣にこの防災対応型トレーラーハウスホテルを設置した。自治体の主要拠点である道の駅やその周辺に防災対応型トレーラーハウスを置く動きは、全国的に広がりつつあるという。

販売方法を問われた担当者は、NTTランドスケープとしては全国の自治体と話をしていると説明した。道の駅や自治体運営のキャンプ場に設置し、普段はマネタイズして、いざという時には災害用に使うという考え方である。

田村は、全国をカバーしているという点でNTTは郵便局と並んで最強クラスであり、どんな田舎にも必ずある組織がこうした取り組みをする意味は大きいと述べた。知人が冬に被災して体育館で寝泊まりした際、床が冷たくて耐えられなかったと話していたことも紹介し、そうした状況に応えられる可能性があるサービスとして期待を示した。

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オフグリッドという課題:トレーラーを運んでもインフラにつなげない

災害が起きると電気や水道などのインフラが遮断されることが多い。担当者は、トレーラーハウスを災害現場に運んでも、生活インフラに接続できる環境が非常時にはなかなかないと説明し、オフグリッドの環境をどう作るかが大きな課題だと述べた。オフグリッドとは、既存の電気・水道・ガスなどのインフラに頼らず、エネルギーや生活に必要なものを自分たちで確保する仕組みのことである。

ここで鍵を握るのが大塚商会だ。大塚商会の担当者は、オフグリッドで考えると電気と水道に加えてトイレや上下水の問題があると指摘した。トレーラーハウスを運べば水道工事や下水道工事が発生し、その工事が大変になる。大塚商会のパートナー企業がさまざまな仕組みを持っているので、それらの組み合わせをNTTと一緒に提供していく、という構想である。目指しているのは、上下水道の工事をしなくても生活できる環境だという。

18:27

水の循環:ウォーターボックスの活用

水の確保について、大塚商会の渡辺氏は以前の放送で、最近のトレーラーハウスに水循環システムを共同開発で載せているが、それでは大きすぎると話していた。そこで注目したのが、シャワー設備などを手がける東大発ベンチャーが作ったボックスである。上下水道工事をするよりも、そのボックスを入れれば、雨水や川の水を循環させて生活ができるという。

ナレーションによれば、ウォーターボックスは水道のない場所で水を使えるようにするポータブルな水再生システムで、排水の98%以上を再生して循環利用できる。これをトレーラーハウスに装備し、手洗いの水、飲み物、トイレの水の3系統に分けて処理する。大塚商会の担当者は、そうすることで上下水道工事なしで生活できる環境を作ることを目指していると説明した。

20:03

電力:ソーラーだけでなくLPガス発電車と連携

電力については、一般的にはソーラーパネルで発電するのが主流だと担当者は認めつつ、施設が大きくなるほど、大塚商会が扱うLPガス発電車と連携して何十もの施設に一度に電気を供給する方が有効だと述べた。そうした技術を持つパートナーの仕組みをNTTと組み合わせることが、今回の協業の中身だという。

田村はこれを聞いて「最強のキャンプ場ができますね」と応じ、平時にも災害時にも強いキャンプ場になると評価した。

20:40

平時から仕組みを持つ意味:「健康は金で買える、ただし健康なうちだけ」

番組の出演者の一人は、地震などで被災した自治体では役所がまず被害を受けてしまうことが多いと指摘した。こうした設備が日頃から存在すると認識しておく仕組みを作っておけば、いざという時に生きるのではないかという意見である。導入については、市民の理解があれば税金を投入でき、首長の判断になるだろうという話も出た。

田村は、自分の好きな言葉として「健康は金で買える。ただし健康なうちだけ」を挙げた。平常時に準備しておくことがすべてであり、非常時にしか使わない設備ではなく平常時にも使えることがポイントだという。非常事態では頭がそれほど働かないので、細かいことはできない。「ここに行けばどうにかなる」と少ない判断でとりあえず生活できるインフラがあることは、大きな安心材料になると田村は述べた。すぐに使える状態のものを自治体が持ち、しかも普段は稼ぐ道具になる点が強い、という評価である。

ログハウスを建てて情緒を楽しむという従来のキャンプ場のイメージに対し、田村は、災害時に使えるという選択肢を組み込んだ複合的な場所になる必要があるし、そうすべきだろうと話した。NTTランドスケープ側も、自治体のさまざまな場所にあるアウトドアのフィールドは、非常時に備えつつ平時を活用するという意味で重要な拠点になると考えていると述べた。

22:50

次の計画:富士山麓での4つ目のキャンプ場と実証

今後の挑戦を問われたNTTランドスケープの担当者は、2027年後半から2028年にかけて4つ目のキャンプ場を開発する予定だと明かした。場所は、ある企業が所有していた富士山麓の土地で、グランピング施設として計画を進めている。

担当者は、ここでもオフグリッド環境が非常に重要だと考えている。開発の際に水道インフラを引くには大きな投資がかかるため、オフグリッドの仕組みをうまく使って投資を抑えられないかを、富士での開発で実証したいという。テントを張るサイトも用意しつつ、トレーラーハウスを並べ、トレーラーで水場を作ったりトイレをきれいに整備したりする開発方法を考えている。それが実用に耐えることを確かめたいと話した。田村が、これほど大きな規模でオフグリッドに取り組む例は日本ではあまりないのではないかと尋ねると、担当者は注目される場所になるポテンシャルがあると答えた。

24:27

田村淳のキャンプ場でも

最後に田村は、自治体向けに提供しているトレーラーハウスを自分には売ってもらえないのかと冗談交じりに問いかけた。Wi-Fiが全体に届く拠点となる本部をNTTのトレーラーハウスで用意できれば、自分のキャンプ場も災害時にはみんなで使ってもらえる場所にできるという考えである。担当者が「特別価格で提供します」と応じ、スタジオは笑いに包まれた。

田村のキャンプ場は大規模ではないが、トレーラーハウスが1台あるだけでも全く違うと出演者は話した。田村のキャンプ場も2028年頃の開業予定で、NTTランドスケープの富士の計画と時期が重なることを確認し合い、番組は締めくくられた。