3人の投資家が語る相場との向き合い方:ちょる子、92歳の小林良次、堀古英司

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概要

この動画は、テレビ東京WBSなどで過去に公開された3本のインタビューをまとめたものだ。スマホで約5億円を運用する個人投資家ちょる子、1950年代から株式投資を続ける92歳の小林良次、ウォール街で活動する堀古英司が、それぞれの立場から投資のやり方を語っている。3人に共通する問いは、株価が大きく動くなかで個人投資家はどう判断し、どう振る舞えばよいかである。

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ちょる子:オリエンタルランド株をきっかけにデイトレードへ

ちょる子は通称で情報発信をしている個人投資家で、運用総額は「今ちょっと5億超えてきた」と本人は話す。出版した書籍のサイン会にはファンが列をつくり、トークイベントはほぼ満席になるという。参加者からは「主婦で短期でも増やしたのがすごい」「ちょる子さんになりたい」という声が上がっていた。

本格的に個別株投資を始めたのは、長女を出産した2019年だ。2011年に240万円で買ったオリエンタルランド株がおよそ1800万円になっていたことがきっかけで、デイトレードを始めた。国内企業の大型株を中心に売買を繰り返し、本格的に始めてから7年で元手のおよそ30倍、5億円の資産を築いたと番組は伝えている。

投資スタイルは、隙間時間にスマホで売買するというものだ。取材時も、ある銘柄に800万円分、別の銘柄に1589万円分の買い注文を入れ、太陽誘電に2400万円分の売り注文を出していると説明していた。

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保有銘柄と損切りのルール

この日は、女性の金融活動を支援するコミュニティ「きんゆう女子。」のメンバーが、ちょる子に直接質問した。保有銘柄について、ちょる子は「今のタイミングだとJTがいいかな」と答えた。JT、武田薬品工業、AGC、積水ハウスなどは「ほったらかしている」銘柄だという。

損切りの基準についての説明は具体的だった。業績が良いと判断し、決算をまたぐつもりで買った銘柄は基本的に決算をまたいで持つ。ただし買値から10%下がったら、エントリーの位置が悪かったと判断して売る。チャートを見て「上がりそうだ」と入った場合は、最初に撤退ラインを決めておき、そこまで下がったら手放す。

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初心者には「指数」とETFを勧める理由

日本株は100株単位でしか買えず、初心者には手を出しにくいという質問に対しては、ETFを勧めた。「200A」などの半導体関連ETFなら1口や10口から買えるので、少しずつ買い足していけばよいという。

ちょる子は、今の相場では個別株より指数のほうが有利だと考えている。ある日はMLCC(積層セラミックコンデンサー)の銘柄が上がり、次の日は電線、その次の日は半導体製造装置と、物色がローテーションしているからだ。日経平均のような指数を買えば全体に網をかけられる。モメンタムがついて上がっているから買う、という動きが続いている相場だが、その買い手がいつ飽きるかは分からない。だからこそ、個別に追いかけるよりETFをこつこつ買うほうがよいという考えだ。

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決算をまたぐ怖さ:ビジョナルと東京エレクトロン

決算をめぐる経験も語られた。きんゆう女子。のメンバーの一人は、ビジョナルの決算をまたぐかどうか迷い、指し値の都合で結局保有しなかったという。この決算は売上が前年同期比28%増だったのに、株価は9%下がった。好決算なのに売られる理由が分からなかったという話に、ちょる子も「私もわかんない。いつもわかんない」と応じた。

ちょる子自身の失敗例は、昨年4月末に東京エレクトロンの決算をまたいだときのものだ。株価はストップ安となり、前日比でマイナス2600万円の損失を出した。株主総会で社長は「大丈夫」と言っていたが、ちょる子はどこか含みがあると感じながら聞いていたという。そこへ厳しい業績見通しが出て、本人は「すごい震えていました」と振り返る。この経験から、決算前には半分だけでも利益確定しておき、結果が出てから買い直せばよいと話していた。

勝つための単純なコツを問われると、ちょる子は「過去最大の下げ幅」と報じられるような局面で買うのがよいと答えた。例として挙げたのが、2025年4月のトランプ関税ショックだ。メディアが大きく報じるので、そうした局面は見つけやすいという。

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小林良次:初任給への焦りから住友商事株へ

2本目のインタビューに登場するのは、1933年(昭和8年)生まれの小林良次だ。周囲からは「りょうさん」と呼ばれている。

投資を始めたきっかけは昇給額だった。大学を卒業して入社した翌年、昇給はわずか1000円だった。初任給は1万1000円ほどで、全国平均の1万3000円前後と比べて特別低いわけではなかった。それでも、当時は2万円あれば所帯を持てると言われていて、このままでは10年かかると考えて焦ったという。

最初に買ったのは住友商事株だった。銀行や郵便局に預けるより配当が良いので、少しはましだろうと考えたという。ところが1か月もしないうちに株価がどんどん上がり、給料を上回る譲渡益が出て驚いた。この経験から、配当や利回りより株価の値上がり益を考えるべきだと気づいた。そして、自分の信念で「間違いのない素晴らしい企業」を選べばよい、と分かったという。

給料の使い道は3分の1ずつに分けていた。3分の1は世話になった礼として家に入れ、3分の1は社会人としての自分の小遣い(タバコ代など)に充てた。残りの3分の1は貯金に回し、それがたまると株を買った。周囲に株をしている人はいなかったという。

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ノートをつけ、自分の見方を検証する

技術系の仕事で残業が多く、在職中はいったん投資を中断した。その後も時々「今がいい」と思ったときに買う程度で、本格的に取り組んだのは60歳を過ぎてからだ。最近、昔のノートを見返したところ、「これでいい」と判断した銘柄はほとんど当たっていたという。本人は「天才まではいかんけど運が強いんだなと思いました」と振り返り、ちょうど株が上がり始めた時期だったことも挙げている。

ノートをつける意味について、小林は「自分の評価ですから」と説明する。予想が当たるかどうかは、自分の先を読む見方が正しいかどうかを示すものだからだ。銘柄選びで何より気にするのは、会社が潰れないことだという。そのうえで、これから伸びていく会社や、自分がよく知っていて親しみのある会社を選んできた。リタイア後に本格的に始めると、世界情勢や経済の動きがよく分かり、勉強になって面白かったと話す。

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伊藤忠・日立・ソニーの3本柱と、暴落時の買い方

小林は「あれもこれも」と分散するのは嫌いだという。自分が理解でき、信頼でき、応援したいと思える会社、そして世界に負けない技術を持つ会社を選ぶ方針を最初から貫いてきた。その中心が伊藤忠商事、日立製作所、ソニーの3銘柄で、何十年も持ち続けている。

不安はなかったかと聞かれると、「全然ありません」と答えた。下がっても持っていれば戻る、日本の企業は必ず復帰する、というのが小林の考えだ。信頼できる会社を自分で選んだのだから、下がってもじっと見ていればよいという。バブル崩壊後の下落やソニーショックについても「何ともなかった」と話す。

暴落時には、みんなが怖がって売るなか、逆に買いに出た。ただし一度にまとめて買うことはしない。まだ下がると思えば2割、3割、5割と分けて買い、「もうこれでストップだろう」と判断すれば10割買う。売るときは「このぐらいになったら売ろう」と目標を決めておく。売った後に株価がさらに上がることはよくあるが、その分は「他の人に差し上げればいい」と言う。自分も十分にもらったのだから、それ以上を欲しがることはない、という考えだ。

小林にとって投資の楽しみは、儲けや損ではなく、自分の考えが当たるかどうかにある。当たったときに「俺の解析は良かったな」と思えることが、一番の楽しみだったし、今もそうだと語った。トランプ関税ショックのときに日本株を買い、「やった」と思ったとも話している。どの銘柄がよいか迷ったら、自分の一番身近なものを見ればよいという助言もしていた。

インタビューの最後には、日経平均は上がっているのに、日立のような日本を代表する銘柄が止まっているのはおかしい、と指摘した。いつまで半導体が相場を引っ張るのか、という疑問を口にしたところで映像は終わる。

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堀古英司:日々の鍛錬と、相場に耐える心身

3本目は、堀古英司が聞き手とビールを片手に語る「ウォール街裏話」だ。冒頭では、堀古が社会人時代にアサヒビールのアメリカンフットボールチーム「シルバースター」でプレーしていたことや、ビール業界がかつて大手に限られ、1994年ごろの規制緩和で変わったことなどが雑談として語られた。

ジョギング中に転んだ聞き手が年齢による衰えへの心配を口にすると、堀古はこの1年ほど続けている習慣を明かした。毎日1回、「これ以上やったら死ぬ」というところまで運動するというものだ。血の巡りを良くしておけば認知症の予防になるのでは、という理由に加え、市場の大きな下落に耐える精神力と体力を養う狙いもあるという。

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リスクを取ったことのない世代

話題は、イラン攻撃やホルムズ海峡封鎖のリスクで揺れる相場に移る。聞き手は、新NISAで投資を始めた若い人たちが動揺し、さらにリスクを取る気持ちになれずにいると指摘した。

堀古によれば、日本株がはっきり右肩上がりになったのは2013年のアベノミクス以降で、それからおよそ15年がたつ。今の30代くらいまでの投資家は、嫌な経験をほとんどしていない。堀古は、投資家の役割はリスクを取ってリターンを得ることであり、リスクを取らずにリターンだけを得ることはないと強調した。一方で、自分も前回の放送で「今年は良い年」と話してしまったと謝り、それだけ相場は分からないものだとも認めている。証券会社がリスクを十分に説明しておらず、錯覚している人もいるのではないかという。リスクを取ったうえでリターンを得るのなら、後ろ指をさされる理由はない、というのが堀古の立場だ。

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株価を決める4つの要因とリスクプレミアム

では、この下落はピンチなのか。堀古は「チャンスでもある」と答え、株価の決定要因を4つ挙げた。利益、リスクのない金利(通常は国債の金利)、リスクプレミアム、成長率である。

イラン攻撃で主に変わったのはリスクプレミアムだと堀古は見る。原油高の影響で成長率や利益が変わる企業も一部にはあるが、全体で見ればリスクプレミアムの変化が中心だという。リスクプレミアムは、裏返せば株から得られるリターンそのものだ。将来の株価は変わっていないのに、株から期待できるリターンを引き上げるために、今の株価が下がった。堀古はこの下落をそう説明する。聞き手が「業績の見通しが変わらなければ、今の大幅安はバーゲンになる」とまとめると、堀古は「おっしゃる通り」と同意した。

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長期見通しは変わらないのか

聞き手は、長期の見通しこそ難しいのではないか、インフレ率もコロナ後に大きく変わったではないか、と問いかけた。堀古の答えは、世界の株価は上下を繰り返しながらも右肩上がりで推移しており、その傾きを延長すれば長期リターンが見える、というものだ。それはインフレ率や成長率とほぼ比例しているという。

原油についても、原油はどこかにあり、必要とする人もどこかにいるので、いずれ売り手と買い手は一致すると堀古は話す。今は一時的に封鎖されているといった問題にすぎないという見方だ。ただし「絶対ではない」と留保をつけ、高い確率でそうなるという前提の話だとしている。

割安な銘柄を問われると、業績が良いのにリスクプレミアムの上昇だけで下がっている銘柄を挙げた。業績の成長分とリスクプレミアム分の両方を取れるので、期待リターンが上がっている。こういうときに言うのは失礼だが「チャンスはチャンス」だという。

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戦争時の下落は「大体5%」

最後に堀古は、大まかな目安として次のような見方を示した。地政学リスクや大きめの戦争が起きると、株価指数は大体5%下がる。その後は戦況次第で、解決すればそのまま上がる。多くの場合すぐには解決しないが、市場がだんだん戦争を織り込み、元の軸に戻っていく。ロシアのウクライナ侵攻もそのパターンだったという。堀古は、これは「本当にざっくりしたアイデア」だと断っている。

アメリカ株は高値から5%程度の下落にとどまっているが、日本株はそれ以上に下がっている印象があると聞き手が指摘した。これに対し堀古は、上がりすぎていた面があるのではないかと答えた。株はリスクのあるものなのに、リスクがないかのような水準まで買われていて、「やっぱりリスクあるわ」と市場が思い出したような調整ではないか、という見方である。

なお、冒頭の予告部分では、堀古が日本について円安とインフレが止まらない「悪のスパイラル」を指摘し、円以外の資産を持っておくことが最低条件だと話す場面も流れている。ただ、この点が本編でどう展開されたかは、今回の字幕には含まれていない。