海底ケーブルで日本は「世界拠点」を維持できるか 細川昌彦氏の見方

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概要

BSテレ東「日経モーニングプラスFT」の特集は、海底ケーブルを取り上げた。問いは、太平洋の通信の要所である日本が、その地位を今後も保てるかどうかだ。ゲストは内閣官房参与で明星大学教授の細川昌彦氏である。細川氏は経済産業省で通商交渉や経済安全保障などを担当し、昨年、内閣官房参与に就いた。細川氏は、日本を避けるルートが一部で出てきても、それはリスク分散の範囲にとどまり、ハブ機能は維持できるとみている。そのうえで、生産能力と敷設能力の強化が課題だと指摘した。

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海底ケーブルの現状と日本の位置

番組によると、海底ケーブルは高市政権の成長戦略17分野に含まれ、経済安全保障の面でも重要とされている。大陸と大陸を結ぶネット通信の99%は海底を通るといわれる。生成AIやデータセンターの需要拡大で通信量が急増し、海底ケーブルの需要も増えている。太平洋の海底ケーブルの多くは日本を経由しており、番組は日本を世界拠点の一つと位置づけた。

ケーブル建設は3社で世界の9割以上を占め、NECはそのうち3位である。細川氏はこの状況を高く評価した。通信インフラという経済基盤を自分の手で確保する「自立性」がキーワードであり、その一角を日本企業が押さえていることは非常に大きいという。さらに競合はいずれも国が支援する官民一体型で事業を進めており、その中で「よく頑張っている」と述べた。

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日本を通らないルート計画とその背景

一方で番組は、メタが建設中の世界を結ぶ海底ケーブルの計画図を示した。このルートはアジアも日本も通っていない。グーグルも同じような経路で計画を進めているという。

アジアを避ける理由について、細川氏は地政学的リスクを挙げた。例えば中国は「九段線」で独自に主権を主張しており、その海域でケーブルを修理するには中国の承認が必要だとしている。インドネシアやマレーシアは、自国の船舶を使うよう求めている。細川氏は、このようにさまざまな注文が付くリスクを考慮した結果だろうとみる。

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投資の担い手はハイパースケーラーへ

番組は、米調査会社テレジオグラフィーの見通しも紹介した。今後4年間で、海底ケーブルへの投資は年平均40億ドルにのぼるという。ただし、その大半はハイパースケーラーが手がける。メタの例のように、アジアを通らないケーブルが増える可能性もある。番組はこの点を踏まえ、日本が太平洋のハブとしての位置を維持できるかを細川氏に尋ねた。

細川氏は、一部で「ジャパンパッシング」ではないかという懸念が出ていることを認めた。それでも、そう判断するのは早いと述べた。根拠として、次の点を挙げた。

  • 太平洋をまたぐ通信事業の規模が非常に大きい
  • アジアとの接点として日本には地理的な優位性がある
  • 日本国内でもデータ通信の需要が爆発的に伸びている

このため、ハイパースケーラーにとって日本は非常に魅力的だという。ハイパースケーラー同士の競争も激しい。細川氏は、日本を通らないルートが一部で出てくるとは考えている。ただしそれはリスク分散にすぎず、メインのハブ機能は維持できるとの見方を示した。

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政府目標と、生産能力・敷設能力という課題

日本政府は、2040年度までに官民で2.4兆円を海底ケーブル分野に投じる計画である。あわせて、日本の海底ケーブル建設シェアを現在の20%から、2030年までに35%程度へ引き上げることを目指している。

この目標に必要なものとして、細川氏は二つを挙げた。一つ目は生産能力である。需要はこれからどんどん増えるため、それに追いつく生産基盤が要る。二つ目は敷設能力である。ケーブルは製造するだけでは足りず、海底に敷設しなければならない。そのためには敷設船が必要になる。細川氏によると、競合企業はそれぞれ自前で7〜8隻を保有しているが、NECは持っていない。船を借りてこなければならず、そこが制約になっている。

細川氏は、敷設船を自社で持てる仕組みを整え、生産能力と敷設能力の両方を強化することが非常に大事だと述べた。