金利上昇のなかで踏みとどまる株価、米中間選挙とフランス財政をどう見るか

YouTubeで開く ↗
概要

2026年10月10日放送の「モーサテサタデー」冒頭では、世界的に長期金利が上がるなかで株式市場がどこまで耐えられるかが主なテーマだった。ゲストのUBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹氏は、株価は今まさに踏みとどまっている局面だとみる。短期的には金利上昇が株価の重しになるリスクが残るものの、米長期金利は来年にかけて低下していくという見立てを示した。番組ではこのほか、米中間選挙の市場への影響、フランスの長期金利上昇、パラマウント・スカイダンスによるワーナー・ブラザース・ディスカバリー買収完了についても取り上げた。

8分で読めます
0:02

9日のニューヨーク市場:ソフトウェア株の買い戻しと決算期待

9日のニューヨーク市場では、ソフトウェア関連を中心に買い戻しが入った。来週から本格化する決算シーズンへの期待もあって株価指数は堅調に推移し、ダウは一時500ドルを超える上昇となった。

業種ごとの動きは分かれた。AI事業の先行き不透明感から、エヌビディアやAMDなど半導体株は下げた。一方、前日に売られた反動もあり、マイクロソフトやオラクルをはじめとするソフトウェア株は堅調だった。個別銘柄で目立ったのはアマゾンで、セールが好調に推移しているとの見方などから株価は約3%上昇した。官民によるワクチン開発強化の一部報道を受けて、ヘルスケアも上昇した。原油価格と長期金利は大きく下げるまでには至らなかったが、上昇は一服し、市場にはひとまず安心感が広がったと番組は伝えた。

1:19

実質金利の「急拡大」が株価を押し下げる

司会の山川龍雄氏は、金利が上がるなかで株価がなんとか踏みとどまっているように見えるとして、青木氏の見方を尋ねた。

青木氏は米国の実質金利とS&P500の関係を示すグラフを使って説明した。実質金利がある程度高い状態そのものは、景気が強いことの表れでもあるため、全体としては株価も上がっていくという。問題になるのは実質金利が急拡大する局面で、2023年の利上げ観測に伴う金利上昇、昨年の相互関税による上昇、そして今年の上昇の各局面で株価は下押しされてきた。いま再び実質金利が上がってきているなかで株価が踏ん張っている、というのが青木氏の現状認識である。

2:21

短期は重し、来年にかけて金利は低下へ

今後については、目先は来週の米CPI、選挙のリスク、イラン情勢があり、金利がもう少し上がって株価の重しになるリスクは残っていると青木氏は述べた。ただ、米国ではすでに4回の利上げがマーケットに完全に織り込まれた水準にあり、これは「少し前のめり」だという。そのうえで、年末までは10年債利回りが5%程度の水準もあり得るものの、来年後半には4%台後半、4.7%程度まで下がっていくのではないかとの見通しを示した。

2:51

中間選挙:民主党スイープなら政策の方向性が見えにくくなる

投開票まで1カ月を切った米中間選挙について、青木氏はトランプ大統領がかなり苦戦しているとみる。民主党が下院だけでなく上院も奪う「スイープ」のシナリオまで意識され始めているという。

ねじれ議会であれば政策が大きく変わることはないが、民主党スイープとなると話が変わるというのが青木氏の見立てだ。例として挙げたのがデータセンター投資である。データセンター建設には住民の反発があり、中止になった案件も出ている。世論調査を踏まえて、データセンターの拡大を遅らせるような政策が出てくれば、株価にはマイナスになる。民主党スイープになると政策の方向性が見えにくくなり、マーケットのボラティリティが上がりやすくなるのではないか、と青木氏は述べた。

3:51

ニュース:スペースXの携帯参入、デルタ航空の減益、物価をめぐる世論

ニュースのコーナーは、新人アナウンサーの鈴木芹里乃氏が担当した。

9日のニューヨーク市場では、ベライゾン・コミュニケーションズやAT&Tなど通信大手の株価が急落した。スペースXが前日、屋内などでも携帯の電波が届きやすい800MHz帯の周波数免許を取得すると発表したことが材料になった。スペースXが通信キャリア事業に本格参入し、競争が激しくなるとの見方が広がっている。

デルタ航空が9日に発表した7〜9月期決算は、堅調な旅行需要を背景に売上高が伸びた。しかし燃料価格の上昇が響き、純利益は前年同期から47%減った。デルタ航空はこの流れが続くとみて、2026年12月期通期の1株利益の見通しを下方修正した。

ロイター通信などが5日まで実施した世論調査では、回答した米国の成人約4500人のうち78%が、収入の伸びを上回るペースで物価が上がっている責任はトランプ大統領の政策にあると答えた。トランプ大統領の経済運営を支持しないとの回答は、共和党支持者で約25%、無党派層で63%、民主党支持者で92%に上った。

物価高への不満が強まるなか、トランプ大統領は9日、ロシアのプーチン大統領と協議し、ロシアが米国などに30万トンを超える軽油を直ちに供給することで合意したと明らかにした。この30万トンに加えて11月中に50万トン、その後に100万トンが供給され、さらにロシアの製油所の状況次第で300万トンが追加供給されるという。

2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏は、フランス財政の悪化について「大きすぎて救えない」という懸念を示した。クルーグマン氏は、フランスは持続不可能な道を進んでいると述べた。高齢化が進むなかで、歳入に比べて年金関連などの歳出が急速に膨らんでいるとも指摘した。さらに、フランスはユーロの一員であることから、ヨーロッパの債務危機につながる可能性があると警鐘を鳴らした。

6:53

フランスの長期金利:危機的ではないが予算審議と格付けが焦点

番組では、世界的に長期金利が上がるなかでも、財政不安などを背景にフランスの上昇が際立っているとして、ドイツとの金利差がこの数カ月で大きく広がったことをグラフで示した。

青木氏は、フランス経済や債務残高のGDP比、財政赤字のGDP比が5%程度であることを踏まえ、まだ本当に危機的な状況だとは思っていないと述べた。ただし、フランス国債は外国人の保有比率が高い。来週から予算の審議が始まるが、ルコルニュ首相率いる与党は議会で少数与党である。今の財政健全化策がきちんと予算案に盛り込まれ、財政健全化が進むのかどうかが非常に注目されているという。

直近では23日にムーディーズによるフランス国債の格付け判断が予定されている。見通しがネガティブであるため格下げのリスクがあり、そうなれば信用が一段と低下することを市場は意識しているという。それでも青木氏は、格下げされても日本と同じ水準であり、そこまで心配していないとした。ECBにもまだ政策余地があるため、ユーロへの大きな懸念につながるまでにはまだいくつもの段階があるとの見方である。

8:11

来年4月の仏大統領選とルペン氏

山川氏は、来年4月のフランス大統領選で、極右とも呼ばれる国民連合のルペン氏が有力視されていることを挙げ、財政運営がどうなるかを尋ねた。青木氏によれば、ルペン氏も実は財政健全化についてある程度の方針を掲げている。ただ、ルペン氏が大統領になる可能性が高まっても議会は少数与党のままであり、掲げる財政健全化策を本当に進められるのかは分からない。そのため、不透明感の高い環境はしばらく続くのではないか、と青木氏は述べた。

9:01

ウォール街エクスプレス:巨大メディア「スカイダンス」は配信戦争をどう戦うか

後半のコーナー「ウォール街エクスプレス」では、パラマウント・スカイダンスによるワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収が今週完了し、巨大複合メディア企業スカイダンスが誕生したことを取り上げた。会員数は2億人に上るとされ、動画配信競争がさらに激しくなることが予想される。ニューヨーク証券取引所との協力によるこの企画では、ロサンゼルスを拠点にエンターテインメント企業の戦略立案に関わるアナリストが、規模の力を手に入れたスカイダンスが武器にすべき強みを分析した。

このアナリストは、パラマウント・プラスとHBO Maxが統合されるかは分からないとしたうえで、消費者向けにバンドルやより良いオファーが出てくる可能性があると述べた。また、大作映画だけでなく、インディペンデント作品のような作品も含めて、映画が安定して供給されるだろうとの見方も示した。一方で、「ストリームフレーション」と呼ばれる値上げの傾向も続くだろうと指摘した。

番組がまとめた大手各社の状況によると、各社は特に広告なしプランでたびたび値上げに踏み切っている。スカイダンスが手がけるパラマウント・プラスとHBO Maxは当面それぞれ独立したプラットフォームとして続く見通しだが、買収の相乗効果を出すために、お得なセットプランであるバンドルをどのような形で投入するかが注目される。

新規会員の獲得と既存会員のつなぎ止めに向けたコンテンツ戦略について、アナリストはNFLや大学スポーツといった大型スポーツリーグに触れた。さらに、「Backrooms」や「Obsession」といった作品で目覚ましい成果が出ることへの期待も語った。

11:38

CNNの編集の独立性という論点

今回の買収により、トランプ政権が敵視するCNNもスカイダンスの傘下に入る。スカイダンスのデイビッド・エリソンCEOの父、エリソン氏はトランプ大統領と長年親しい間柄である。番組は、エリソン氏の影響下でCNNが編集の独立性を守れるのかを懸念する声が上がっていると伝えた。報道部門の運営が、今回の買収をめぐる重要な論点になりそうだという指摘でコーナーは締めくくられた。