ブルーカラーを選ぶ若者と、定年後も働くシニア 人手不足の中で企業は採用をどう変えているか

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概要

この動画は、テレビ東京の2本の番組をまとめたものだ。前半の「NIKKEI NEWS NEXT」は、新卒でタクシー運転手や建設職人を選ぶ若者が増えている背景を取材する。後半の「ガイアの夜明け」は、USJ、YKK、カルビーを例に、60歳を過ぎた人材を積極的に雇う企業を追う。どちらも、人手不足の中で企業が採用と処遇をどう変えようとしているかを扱っている。

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大卒でタクシー運転手になった理由

番組がまず紹介するのは、大学卒業後にタクシー大手の日本交通に就職した野崎さんだ。野崎さんがこの仕事を選んだ大きな理由は、売上に応じて給与がいくらになるかがはっきり決まっている点だという。タクシー運転手は売上のおよそ半分を給与として受け取る仕組みで、野崎さんがこれまでで一番頑張った月は額面で47万円ほどだった。70万円をもらっている人もいるようだと野崎さんは話し、経験年数を重ねて知識が増えれば営業収入も上がっていくと見ている。

番組によると、タクシー運転手の賃金は2020年から54%増え、他の業種と比べてもトップだった。高齢化が進むタクシー業界は若者を確保するために様々な策を打ち出している。日本交通は業界でいち早く2012年に大卒の新卒採用を始めた。葛西営業所には新卒入社の若手社員だけが配属されており、社員同士のコミュニケーションのためにカフェスペースを設けて若手同士が交流できる場をつくっている。番組はこれを、若い人材を長く引き留めるための努力だと説明する。

仕事は長時間や深夜に及ぶことも多いが、番組はこの勤務形態が自分のペースを大切にする今の若者に意外に合っていると伝える。社員は、基本的に1日働いて1日休む勤務なので個人の生活に合わせた働き方ができると話す。体を動かして働くほうが自分の性格に合っていると考えて、この仕事を選んでよかったと語る社員もいた。

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就活生の75%がブルーカラーを視野に

ブルーカラーの労働市場が動く中で、ブルーカラーに特化した就職支援をする企業にも注目が集まっている。求人サイト「クロスワーク」の会員登録者数は累計100万人を超えた。代表によると、タクシーのほか、建設現場の施工管理といった仕事にも未経験で興味を持つ人がとても増えているという。

番組によると、オフィスでの仕事を希望する学生のうち75%が、条件次第ではブルーカラーの仕事を選ぶことも考えている。最近はホワイトカラーからブルーカラーへの転職を考える人も増えている。代表は、事務職から転職して年収が100万円以上になった例があるという趣旨の話をしたうえで、ノンデスクワーカーに挑戦したほうが専門性が身につき、長く働けるのではないかという考えがあると説明した。

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積水ハウス建設は職人を直接雇用へ

深刻な人手不足に悩む建設業界の例として、番組は積水ハウスグループの施工部門を担う積水ハウス建設を取り上げる。取材した日は訓練校の入校式が行われていて、入校生の多くは高校の新卒者だった。代表者は「一人前のクラフター(技能工)に成長できますよう努力する」と誓った。積水ハウス建設は今年、新卒社員を112名採用している。

これまで建設現場の労働力は、協力会社から派遣されるブルーカラーに頼ってきた。積水ハウス建設はこの方針を変え、若い人材を直接雇用して職人として育てることにした。番組が訪れたのは30世帯分の賃貸物件を建てる予定の現場で、若手がバルコニーにつける「笠木」という仕上げ材を設置していた。

積水ハウス建設は、新人から中堅までの賃金制度を大幅に改定した。入社3年目で20歳の斎藤さんは給料について「十分もらっていると思う」と答えた。入社7年目の日向さんも、同年代の同級生と比べれば高いほうで、平均より上だと話す。30〜40歳のリーダーには年収が最大900万円になる社員もいるという。日向さんは、自分が入社した頃より働き方や給料、休日の取りやすさが改善されていて、今はとても働きやすい環境だと感じている。

会社の担当者は改革の背景を次のように説明する。協力会社はとてもよくやってくれているが、5年後、10年後に今と同じ数の協力会社が残っているかは分からなくなってきた。施工力がなければ事業は成長しないので、社員として雇用して一定の人数を確保することが重要だと考えている。待遇面では、グループとして年間最大129日の休日を維持し、完全週休2日に近い体制をとっている。男性の育児休業の取得も進めていて、取得率はほぼ100%だという。積水ハウスはグループ全体で、2033年までに職人1000人を直接雇用する計画を立てている。

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専門家と番組の見方:賃金上昇をどう受け止めるか

これまでホワイトカラーに集中してきた日本の人材がブルーカラーに移っていくのかについて、番組は労働市場に詳しい法政大学の山田教授に聞いた。山田教授は、ブルーカラーの職場の条件がどこまで改善されるか、そして大卒でも現場で働くのが当たり前だという感覚が社会に広がるかが鍵になると指摘する。そのうえで、現場の仕事がなければ世の中は成り立たないとして、現場労働の大切さや魅力を見直すことが大事ではないかと述べた。

スタジオでは取材した記者が、各社が若い人に来てもらい、離職率を抑えながら長く働いてもらうために工夫していると感じたと話した。だからこそ職場環境を良くする動きが生まれ、賃金もそれに合わせて上がっている。人手不足は深刻な問題だが、それがきっかけで職場環境が良くなっている面もあるというのが記者の見方だ。

賃金の伸びについては、タクシー運転手が1位で、大工や自動車組立工など他のブルーカラーの職種も上位に入っている。ただし、もともとの金額が低かったから伸び率が高く見えるという面もあると記者は留保をつけた。番組の題にある「ブルーカラービリオネア」という言葉についても、そこまで稼ぐのはさすがにハードルが高いのではないかという話が出ていたと紹介している。

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USJで働く60代は800人

後半はシニアの雇用を取り上げる。大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)では、「クルー」と呼ばれるスタッフに若者のイメージがあるが、よく見ると年配のスタッフがあちこちで働いている。電子機器の設計・製造をしていた62歳の人、元教員、前職が介護士の人などで、「働けるなら働けるだけ働きたい」という声もあった。USJで働く60代は800人にのぼる。

63歳の俊さんは、定年退職後にツアーガイドとして採用された。前職は産業機器メーカーの技術者で、アメリカに8年間駐在した経験があり、得意の英語を接客に生かしている。60歳を過ぎて体力面の不安はあるが、毎日よく歩くのでとても健康になったことが一番のメリットだという。40歳年下の同僚は、人生経験を積んでいるので何事にも動じずに冷静に対応してくれるところがとても頼りになると話す。

4月にUSJの運営会社が開いた就職説明会でも、熱心に話を聞くシニアの姿があった。15日に退職するので16日から働きたいという人もいた。USJは60代を「アクティブシニア」と呼び、2年前から採用に力を入れている。来場者の年齢層が年々広がっていることへの対応でもあるが、理由はそれだけではない。担当者によると、学生クルーは卒業のタイミングで入れ替わりが起き、勤務も土日中心になりがちだ。長期的に安定して働いてもらえれば、高いゲストサービスの水準を安定して保てる。会社はそこに大きな魅力を感じているという。

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定年を廃止したYKK

番組によると、日本企業の9割以上に定年制があり、そのうち7割は定年を60歳にしている。一方で、少子高齢化による人手不足や健康寿命の伸びを背景に、ダイキン工業やカインズなどの大手企業は定年を65歳に延ばした。

さらに定年そのものを廃止した企業として紹介されたのが、世界的なファスナーメーカーのYKKグループだ。売上高はおよそ1兆円、国内の従業員だけで1万8000人の大企業で、2021年度にそれまで65歳だった定年を廃止した。経営側は、決断の背景に競争力を保つ狙いがあると説明する。どの世代でも挑戦できるという考えが出発点で、定年廃止は人材戦略の一つだという。世の中が変わる中で働き方を変えながら力をつける会社が成長し、競争力を持つ。そのためには社員に残ってもらいたいという考えだ。

番組は続く内容の予告として、一律の定年退職が必要なのかという問いを掲げた。入社条件が「60歳以上」という会社や、「できることなら80歳まで働きたい」と話す人の姿、カルビーの68歳の社員が「私は逆に悪い人になろうか」と覚悟を語る場面が短く映されたが、このまとめ動画ではそれぞれの詳しい経緯までは扱われていない。

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カルビーの「シニアマイスター」制度

カルビーは東京・丸の内に本社を置き、売上高3400億円、従業員はおよそ5100人で、国内のスナック菓子市場でトップシェアを持つ。マーケティング本部で働く60歳の社員は、北海道土産として知られる「じゃがポックル」のブランド戦略を担当している。若手社員との会議では、北海道が生んだカルビーの商品であることを大事にしていると話し、キャラクターを目印に商品を見つける人が多いので真ん中に目立つように置こうと提案していた。

この社員はかつてシリアルの「フルグラ」を担当し、朝食用として売り出すマーケティング戦略を立ててトップシェアに押し上げた。今年3月にいったん定年退職したが、4月から「シニアマイスター」という新しいポストに任命された。この制度はカルビーが2024年に、高い専門性を後継者に伝えて育てるためにつくったものだ。通常の再雇用とは違い、年齢の上限がなく、現役並みの報酬が続く。本人は、59歳も60歳も61歳も自分の中では大きく変わらないので、同じ条件で同じ内容の仕事ができるのはとてもありがたいと話す。

会社側が制度をつくった理由は後継者育成の課題にある。社内で後継者を計画的に育てているかを尋ねたところ、あまりやられていないのが実態だと分かり、まずい状態だと考えた。そこで、高い専門性を持ち、計画的に後継者育成に取り組む人をしっかり処遇することを狙って制度を新設したという。

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鹿児島工場で安全を伝える68歳

シニアマイスターの第1号は、鹿児島市に住む68歳の鮫島さんだ。自分の健康は自分で守らなければと考え、毎日1時間弱歩いている。家では同じく68歳の妻のさゆりさんが帰りを待っている。鮫島さんは仕事の多くを在宅でこなし、本社の上司に「全員参加で安全意識の向上を図りたい」と進捗を報告していた。上司は、鮫島さんの長い現場経験と、そこから来る安全への意識や知識を頼りにしていると話す。

2月中旬、鮫島さんはカルビー鹿児島工場を訪れた。全国に7か所あるポテトチップス工場の一つで、1975年に設立され、九州を中心に出荷している。鮫島さんにとっては古巣でもある。後輩に声をかけ、生産ラインを見て回る。鮫島さんがまず確かめるのは、安全な作業ができているか、不安全な環境になっていないか、不安全な行動をしていないかだという。

翌日は月に一度製造ラインを止めて点検と清掃をする休日で、機械が止まるこの日こそ鮫島さんがマイスターとしての本領を発揮する日だと番組は伝える。動画はその場面に入るところで終わっていて、点検の日に鮫島さんが何をしたのか、予告にあった「悪い人になろうか」という覚悟が何を意味するのかは描かれていない。