寝不足の損失は年間30兆円、日中の眠気とスリープテック市場の伸び

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概要

BSテレ東「日経モーニングプラスFT」の特集は、睡眠不足がもたらす経済損失と、睡眠の課題をテクノロジーで改善しようとする「スリープテック」を取り上げた。ゲストの日本経済新聞編集委員・中村奈都子氏は、日本人、とりわけ女性の睡眠不足の深刻さを指摘した。さらに、夜に十分眠っても残る「日中の眠気」が企業にとって無視できない損失になっていると論じた。

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睡眠への注目と「30兆円」の内訳

番組の冒頭でキャスターは、今年は睡眠が例年以上に注目されていると紹介した。ノーベル賞には惜しくも届かなかったものの、ノーベル賞の登竜門と呼ばれるラスカー賞を、睡眠の分野で筑波大学の柳沢教授が受賞したことを、その理由に挙げた。

番組では損失額の試算が2つ示された。アメリカのシンクタンク、ランド研究所の試算では、十分な睡眠時間が取れないことによる経済損失は年間およそ20兆円で、日本のGDPのおよそ3%にあたる。これに加えて野村総合研究所は、十分に寝ても残る日中の眠気を試算の対象にした。日中の眠気は生産性の低下や重大事故のリスク要因になり、その経済損失だけで8兆円を超えると見込んでいる。番組は、睡眠不足と日中の眠気による社会損失を合計すると年間およそ30兆円にのぼると紹介した。

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日本人の睡眠時間と女性の「16時間労働」

日本人の睡眠時間の現状について、中村氏はOECDの調査を挙げた。日本人の平均睡眠時間は7時間42分で、加盟35カ国の中で最下位だという。背景として中村氏は、寝ずにがむしゃらに働くことを美徳と感じる日本特有の性質があると述べ、高市総理の就任演説にもそうした考え方が表れていたと付け加えた。

中村氏がとくに深刻だとしたのは、主要国の中でも日本の女性の睡眠不足である。共働き世帯が一般的になったいま、女性は外で7〜8時間働いて帰宅した後も、家でさらに8時間ほど働いている。中村氏は、男性も以前に比べれば家事や育児をするようになったと認めた。それでも日本の女性は家の内と外で16時間働いており、十分な睡眠を取る余裕がないと説明した。キャスターが男女間の差はまだ大きいということかと確認すると、中村氏は同意した。

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新しい論点としての「日中の眠気」

野村総合研究所の試算にある約8兆円は、睡眠時間が足りているのに日中の眠気によって生じる損失である。キャスターが、日中の眠気は比較的新しい概念と考えてよいかと尋ねると、中村氏はそうだと答えた。これまでは夜に6〜7時間眠ることが良いとされ、睡眠が6時間未満の人が意外に多いことが問題視されてきた。しかし夜に十分眠っても、会議中などに昼間眠くなることはある。中村氏は、こうした眠気は気合いで乗り越えられるものではないと述べた。そのうえで、今回の調査は昼間の眠気に着目した点が新しいと評価した。

中村氏によると、日中の眠気は生産性の低下につながる。ドライバーのような職種では、重大事故のリスクにもなりかねない。企業に健康経営が求められる時代なので、社員の日中のコンディションにもっと気を配る必要があると中村氏は指摘した。仕事を休むほどではないが、出勤してもパフォーマンスが落ちている状態を「プレゼンティズム」と呼ぶ。中村氏は、こうした経済損失にも企業が向き合わなければならなくなっていると述べ、社員の睡眠不足に無関心ではいられない時代だという見方を示した。

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スリープテック市場の拡大

こうした状況の中で注目されているのがスリープテックである。番組の説明では、睡眠とIT・テクノロジーを掛け合わせた分野で、ベッドなどの睡眠器具のほか、時計や指輪といったウェアラブルデバイスにも搭載が進んでいる。研究所の調べとして紹介された数字によれば、日本のスリープテック市場の規模は今年度の予測で150億円になる。3年前は95億円だった。

市場は伸びていると見てよいかという問いに、中村氏は伸びていると答えた。そのうえで、伸びているのはスリープテック市場だけではないと付け加えた。「バクネ」をはじめとするリカバリーウェアのヒットのように、リカバリー市場も含めた睡眠周りの健康市場全体が大きく伸びていると中村氏は感じているという。

番組の最後に、スリープテックの中で注目する事例を問われた中村氏は、まず睡眠に特化した「スリープツーリズム」を挙げた。ただし、この動画はその説明が始まったところで終わっており、具体的な内容は語られていない。