血液型を問わず使える「人工血小板」:防衛医科大学校・木下学教授が語る血液不足と災害医療
テレ東BIZ ダイジェスト献血者が減るなかで、輸血に使う血液をどう確保するのか。BSテレ東の科学番組「いまからサイエンス」に、人工血小板研究の第一人者である防衛医科大学校の木下学教授が出演し、MCの加藤浩次、テレビ東京アナウンサーの古旗笑佳と話した。番組の冒頭では、少子化などで献血者数が年々減っていること、これまでにない規模の血液不足が迫っていることが示される。木下教授が開発した人工血小板は、血液型に関係なく投与でき、保存期間は約1年だという。教授はこれが災害医療や救急医療を大きく変えうると主張した。
輸血は「3つの成分」に分けて行われている
加藤は当初、人工の血液ができれば輸血はすべてそれで済むのではないかと考えた。木下教授によると、現状はそう単純ではない。出血した患者には、水分にあたる「血漿」、酸素を運ぶ「赤血球」、血を止める「血小板」の3つの成分を入れる必要があるからだ。
血漿は基本的に水分と考えてよいが、血液を固める「凝固」の働きを持つ成分も含んでいる、と教授は説明した。番組のナレーションによれば、止血は次の順で進む。まず傷口付近の血管が縮んで血流を緩め、そこへ血小板が集まって血栓となり傷口をふさぐ。最後に血漿中の凝固因子が傷口を固める。大きなけがでは止血のために血小板などの輸血が必要になり、現在の日本ではその血液はすべて献血でまかなわれている。
献血された血液がどう扱われるのか、加藤が尋ねた。教授によると、検査に加えて、血液は赤血球・血小板・血漿の3つに分けられる。手術でよく見る赤いバッグは赤血球のバッグで、これとは別に血漿のバッグと血小板のバッグがある。加藤と古旗は、採った血をそのまま輸血していると思っていたと驚いた。教授によれば、40〜50年ほど前は採った血液をそのまま入れていた。今は「成分輸血」といって、3つの成分をバランスよく入れる方法がとられている。
血小板だけがストックできない
3つの成分のなかで問題になるのが血小板である。教授は、病院には血小板がほとんどストックされておらず、必要になると血液センターに連絡して持ってきてもらうと語った。
理由は保存期間の差にある。教授の説明では、献血由来でも血漿は1年以上、赤血球は約1か月もつ。一方で血小板は長くても1週間ほどしかもたない。さらに血小板も血液型をそろえて投与するのが望ましく、日本では同じ血液型の人のものを集めるよう推奨されている。保存がきかないうえに血液型ごとに分けて備える必要があるため、いざというときに血小板が足りなくなるおそれがある、と番組は整理した。
室温で1か月もち、揺らす必要もない
ここで木下教授は実物の人工血小板をスタジオで見せた。白い液体である。教授によれば有効期間はおよそ1年で、室温でも約1か月はもつ。番組はこれを「血液のおよそ50倍長持ち」と紹介した。教授がとくに重視するのは室温で1か月もつ点で、大規模災害のときにはこれが非常に大事になると述べた。
保管方法の違いも大きい。通常の血小板は温度を管理しながら揺らし続けないと止血の機能が失われ、出た血が止まらなくなる。人工血小板はただ置いておける。加藤が、固まらないのはなぜかと聞くと、教授はこの状態でも液体のまま保たれると答えた。ナレーションによれば、人工血小板はほとんどがリポソームという脂質でできていて、常温でも固まらない性質を持つ。
被害の中心ほど医療資材が届かない
人工血小板が災害医療にどう効くのか。教授は熊本地震を例に挙げた。電気が乏しい状況では、使える電気は被災者の冷房や他の物資の保存に回したい。そう考えると、室温で1か月保存できることには大きな意味がある、と教授は言う。通常の血小板は1週間しかもたないのだから比べものにならない、という加藤の言葉に、教授は「もう圧倒的ですね」と応じた。
教授は東日本大震災やネパールの土石流にも触れ、被災地のいちばん中心部が最も医療を必要とする一方で、医療資材を最も届けにくい場所になると指摘した。災害が起きてから運ぶのでは、本当に必要な場所で使えない。だからあらかじめ拠点ごとに分散して置いておくのがよい、というのが教授の考えである。番組は2024年の能登半島地震で道路の陥没などにより救助・救援が妨げられた例を挙げ、人工血小板を分散配置しておけば、物資が届かなくても多くの命を救える可能性があると伝えた。
血液型を問わない点も、備蓄のしやすさにつながる。加藤が、A型・B型・AB型・O型の区別がなく誰にでも使えるということかと確かめると、教授はそのとおりだと答えた。血液型ごとに分けて備蓄しなければならない今のやり方は煩雑で、量も多く必要になる。その点で人工血小板は大きく違う、と教授は述べた。
次の課題は乾燥粉末化
加藤はさらに、ドローンで無人輸送するプログラムをあらかじめ用意しておくような使い方はできないかと尋ねた。教授は、今後はそうなっていくだろうと答えた。そのうえで、もう秘密にする必要もないと思うと前置きし、アメリカも取り組んでいて自分たちも挑戦していくと言って、人工血液を乾燥粉末にする構想を明かした。粉末にすればドローンで運べるうえ、保存期間も延びる。教授は、次世代の人工血液は乾燥させる必要があるだろうと見ており、その分野ではアメリカやヨーロッパとの新たな競争になると語った。
救急車の中から止血を始める
人工血小板は災害時だけでなく、日常の救急医療でも役立つと教授は言う。交通事故で大量に出血した人のもとに救急救命士が駆けつけても、その場で患者の血液型はわからない。血液型を問わずに投与できれば、従来は救命救急センターで行っていた止血の根本的な治療を最初の段階から始められる。教授はこれを「まさに夢の血液、夢の治療革命」と表現した。
ナレーションによると、現在は病院に着いてから医師が血液型を判断し、そのあとで血小板を輸血して止血しながら治療する。人工血小板が使えるようになれば、救急車で運ぶ間に救命士が止血を行い、病院に着いてすぐ治療に入れる。一刻を争う救命医療で、大幅な時間短縮が期待できるという。
ここまで聞いた加藤は、天然の血小板と人工血小板がこれほど違うことはわかったとしたうえで、そもそも人工血小板とは何なのかを尋ねた。教授が仕組みの説明に入ろうとしたところで、この映像は終わっている。
災害など緊急時に必要となる輸血用血液。しかし少子化などで献血者数は年々減少。未曽有の血液不足はすぐそこまで。そこで脚光を浴びているのが、血液を人工的に生み出す研究。
血液型に関係なく投与できるんですよね。有効期間が大体1年。ああ、すごいな。
アメリカ国防総省もこの研究に大注目。
これは先生、すごい発明しましたね。
元々小さな島のドクターが、なぜ血液の世界へ? 最新理系トークにワクワク。いまからサイエンス。
今回のテーマはこちらです。血液不足から災害医療まで、医療に革命を起こす夢の血液とは、ということで。
血液不足っていうのは、多分献血とかが少ないんでしょうね、今ね。
そうですね。災害とかの医療で急遽血がいるっていう時には、やっぱりなかなか大変なんでしょうね。
その時に、夢の血液っていうのは何なのかっていうのはちょっと分からないですけど、もしかしたらそういうことに結構役立つ可能性が高いってことですよね。
では、どんどん聞いていきたいと思います。
これが夢の血液、人工血小板です。今日のゲストは人工血小板研究のトップランナー、防衛医科大学校の木下学教授。執筆した論文が世界で関心を集めたサイエンティスト。今回の見どころがこちら。木下先生の夢の血液、最新研究にとことん迫ります。
まずは1つ目。血液のおよそ50倍長持ち、人工血小板、驚きの仕組み。
先生、本日はよろしくお願いします。よろしくお願いします。ちょっとテーマで夢の血液って出てましたけれど、先生の研究は何になるんですか?
人工で作った血液なんですね。
人工の血液っていうことですか。そうか。人工の血液ができたら、例えば輸血なんかもそれでいいんじゃないかと思っちゃうんですけど、そうもいかないってことですね、現状は。
そう、血液って、出血する時は3つの成分を入れないといけないんです。血漿っていうのと、あと赤血球っていう酸素を運搬する成分と、あと血を止める血小板なんですけれど。
今ね、血漿と赤血球と血小板っておっしゃったじゃないですか。まずそもそも血小板って、学生時代にね、血液を凝固する、固めるっていうのは言いましたけど、間に言ってる血漿っていうのは、これ何なんですか?
血漿っていうのは水分ですね。水分だと思っていただいていいです。ただ、その中に血液を固める、凝固するっていうのがありまして、それは血小板が止めたところを、それを固めるっていう。
例えば出血をした場合、まずは傷口付近の血管が収縮し、血流を緩めることで出血を抑えようとします。続いてそこに血小板が集まり、血栓となって傷口を塞ぐ役目を果たします。そして仕上げとして、血漿中の凝固因子が傷口を固めるというのが止血のメカニズム。
大きなけがなどの場合は、止血のため血小板などの輸血の必要が。現在、日本の輸血のための血液は全て献血で賄われています。すると加藤さんから献血に関する素朴な疑問。さらにトークは輸血が抱える大きな問題へ。
献血するじゃないですか。僕の血を取って保管するじゃないですか。調べて攪拌するのか? あれは攪拌するんですか?
攪拌もしますけれど、赤血球と血小板と血漿っていう水の部分、3つに分けます。
分けるんですね、やっぱり。だから献血したら分けるんだな、あれ。献血、ぱっと来るじゃないですか。輸血だっつって、手術とかでも。あれは何入ってんですか?
あれは、いわゆる私たちがよく見る赤いバッグですね。あれが赤血球のバッグで、それとは別に血漿のバッグ、血小板のバッグっていうのが、3つ別々にあるんです。
へえ。俺知らなかった。知ってた? 知らないでしょ?
知らなかったです。あの赤いイメージしかなかったです。
血を取って、それを輸血してるのかと思ったでしょ。
思ってました。違うんですね。
昔、今から40、50年ぐらい前は、取ってそれを入れたんですけれども、今は成分輸血と申しまして、赤血球と血小板と血漿っていう、その3つをバランスよく入れていく。その中で病院にやっぱり血小板ってなかなかストックされてないんですね。だから血小板は血液センターに行ってくればすぐ入れる、そういう。
血小板のストックがないんだ。
ないです。血小板はストックできないですね。血液センターにコールして、そして持ってきてもらうっていう感じですね。
すげえな。
止血を促すため、医療現場で必要とされる輸血用の血小板。しかし医療機関にはほとんどストックされていないのが現状だ。その理由とは。
血漿っていうのは、大体1年以上持つんですね。人の献血でも。そして赤血球っていうのは大体1か月持ちます。でも血小板っていうのは、持って1週間ぐらいですから。
血小板が一番短いんですか?
ええ、とっても短いです。
僕、献血するじゃないですか。みんな、古旗さんとかみんなするとするじゃないですか。僕の血小板と違う人の血小板が一緒になるんですか?
血小板もやっぱり血液型に分けて投与した方がいいんで、血液型が一緒の人を集めますね。日本ではそういうふうに推奨してます。
そうなんですね。そうなってんのね。
献血で得た血小板。その保存期間は長くても1週間程度とあって、そもそもストックが難しいのに加え、投与する際に血液型に合わせる必要が。そのため、いざという時に必要な血小板が足りないというリスクをはらんでいるんです。では、木下先生が開発した人工血小板は。
血液型に関係なく投与できるんですよね。
おお。そこですよね。
ちょっとお見せしても。
あるんですか? 今日、先生、実物を持ってきていただいている。白い。これが人工の血小板。マッコリみたい。
これがまとめたものなんですが。
先生が作ってるこの人工血小板は、有効期間が?
大体1年ぐらいは持ちます。
おお、すごいな。
室温にした場合は、大体1か月ぐらいは持つっていう。でもその室温で1か月持つっていうのが、大規模災害とかあった時にはすごく重要になるんですね。
保存方法が、人工血小板がどうなんだろう。
血小板って温度管理をしながら揺らさないと、止血能っていうのが、血が止まらないんですね。人工血小板は置いておけるんです。
なんでですか? 固まらない?
固まらないですね。今の白い、この状態でも液体の状態を保ってるっていうんですね。
この人工血小板、そのほとんどがリポソームという脂肪で作られており、常温でも固まらないという性質を持っているんです。ではここからその実力を徹底解剖。その場で治療可能に、災害医療革命。
例えば熊本の地震もそうですけれども、電気がないところで、もし電気があったら、その被災者の冷房に使ったりとか、いろんなものを保存するのに使う。だから室温で1か月でも保存できるっていうのは、すごく重要なことだと思います。
そうですね。そこはだって普通の血小板、1週間しか持たないわけですからね。それに比べたら、そうですよね。もう圧倒的ですね。
東日本大震災とかありましたし、ネパールの土石流を見てもそうですけれど、実は一番被害が大きいところで、当然、医療リソースは一番必要になってきますけれど、そこが一番届けにくいんですよね。その被災地の一番中心部が一番医療ニーズがあるけれど、一番医療資材を届けられないところになってくるんで、それを考えると、できるだけ拠点拠点に分散して置いていく、それがいいと思います。
だから何か災害が起こってから持っていくっていうのは、やっぱりなかなかできないし、本当に必要なところで使えない。
例えば2024年に発生した能登半島地震。この時は道路が陥没などで寸断。救助や救援が阻まれたというニュースを覚えている方も多いのでは。そういった場合でも、この人工血小板を分散して置いておけば、医療物資が届かなくても多くの命を救える可能性を秘めているんです。
というのが、すごく強みになってると思います。
さらに血液型も先ほど言ってたけど、これ型ごとにA、B、AB、Oとかってあるのが、ないってことですよね。これ誰でもいいってことだよね。
そうです。それはすごく重要で、血液型に分けてストックをしないといけないっていうのはすごく煩雑で、たくさんいりますもんね。だから、その辺は全然違うと思います。
あれ、どうですか? この輸送に関しての、例えばドローンとか使ったりとか、ドローンで無人でばーっと運べるようなプログラムを事前に作っとくとか、そういうのっていうのは?
そうですね。それも今後はそういうふうになっていきますし、おそらく、もうこれは秘密にする必要もないと思うんですけど、アメリカもやってますし、我々もチャレンジしていくんですけれど、あれを乾燥粉末みたいにして。
なるほど。ドローンで持っていくっていう。乾燥粉末にすると持ちもしますよね。
だから、おそらく次の世代の人工血液は乾燥化をしないといけないんだろうなって。そこはまた新たなアメリカなりヨーロッパとの競争になっていきますね。
緊急災害時に我々の命を守る可能性を大いに秘める人工血小板。それだけでなく、日常の中でも有効活用ができるというのですが、一体どんな時に。
血液型を問わずに輸血できる、投与できるっていうのは、すごくいいメリットなんですね。例えば交通事故で大量出血してる人のところに、現場に救急車、救急救命士が到着しましても、患者さんの血液型なんて分かりませんよね。そういう時に、従来であれば救命センターでやっていたような止血に対する根本的な治療が、一番最初からできるっていうのは、まさに夢の血液、夢の治療革命だと思います。
現在は病院に到着してドクターが血液型を判断。その後、血小板を輸血し、止血をしながらの治療という流れですが、人工血小板は血液型に左右されないため、救急車で搬送している間に救命士が人工血小板で止血。病院に到着したら、すぐさま治療が可能に。一刻を争う救命医療においても、大幅な時間短縮が期待できるといいます。
その実力が分かってきたところで。
普通の人間の持ってる血小板と人工血小板、こんだけ違うっていうのは分かったんですけど、人工血小板って何だよと、ここになってくるんですよ。
これですね。
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