【パンテノール、髪と合体していた】まさかのヘアケア新事実。先進研究で明らかになった”ダメージヘアを繋ぎ合わせて補修する*”次世代のヘアケアシステム!

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概要

ヘアケア成分として長年親しまれてきたパンテノールについて、毛髪科学の常識を覆す新たな知見が発表された。これまでスキンケアの保湿・肌荒れ防止成分として評価されることが多かったパンテノールが、実は毛髪深部に浸透・蓄積し、髪のタンパク質と直接相互作用して物理的に補強していることが国際的な学術大会で明らかになったという。

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長年「実家のヘアケア」「安価な大衆向け」といったイメージを持たれがちだったパンテーンが、どのような先進研究を経て新たなヘアケアシステムを確立したのか。P&Gによる研究発表の内容と、その知見を結集して開発された新製品「パンテーン アルティメイト エッセンス ブースターミスト」の成分的特徴や使用法について、美容化学者のかずのすけ氏が解説した。


パンテーンの歴史と「スキンケア成分」としてのパンテノール

パンテーンは、ドラッグストアなどで手軽に購入できるゴールドパッケージのヘアケアとして広く認知されている。ブランドの起源は1940年代のスイスに遡る。ある医師が、パンテノールを塗布していた皮膚の毛が健やかになっていたことを偶然発見したのを機に、ビタミンヘアトニックを開発して「パンテーン」と名付けたのが始まりである。1980年代までは高級デパートで扱われるプレミアムブランドだったが、1991年に日本へ上陸して以降、親しみやすい価格帯のブランドとして定着した。なお、同ブランドは2017年からシャンプーに「ラメラ構造技術」を採用していた実績もあるという。

ブランド名の由来であるパンテノールは、プロビタミンB5(D-パントテニルアルコール)と呼ばれるビタミンの一種である。近年では肌荒れ防止の有効成分として医薬部外品のスキンケアに配合される例が増加しており、高級化粧品だけでなくプチプラ製品にも広がりを見せている。

かずのすけ氏自身、これまでパンテノールを「肌を健やかに整える成分」と認識しており、皮膚が整う副次的な効果として毛髪にも好影響を与えるものと解釈していた。しかし、P&Gの最新研究により、パンテノールが毛髪そのものへ直接的に作用して補修している実態が明らかになった。


2023年・2025年IFSCC発表:毛髪内部への浸透・蓄積とタンパク質との結合

P&Gは国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)において、パンテノールの毛髪補修機構に関する重要な研究成果を相次いで発表した。

1. 毛髪深部への浸透と蓄積の可視化(2023年発表)

毛髪は非常に微細な構造を持ち、塗布した成分が本当に内部まで浸透しているかを証明することは技術的に極めて困難であった。P&Gは先進的な分析技術である「nanoSIMS(超高空間分解能型二次イオン質量分析計)」を用い、パンテノール分子の位置を可視化することに成功した。その結果、毛髪表面にとどまるのではなく、毛髪内部に残存するパンテノールの95%以上が内部構造へ浸透していることが確認された。さらに、高速液体クロマトグラフィーを用いた検証により、継続使用によってパンテノールが毛髪内部へ蓄積していくことも実証された。

2. ケラチンとの物理的相互作用と「毛髪構造リペアシステム」(2025年発表)

2025年の大会では、200億円以上の研究投資を通じて解明された「浸透したパンテノールが毛髪内で何をしているのか」というメカニズムが発表された。固体核磁気共鳴法(固体NMR)を用いた解析の結果、パンテノール処理を行った毛髪では、毛髪の主成分であるタンパク質「ケラチン」とパンテノールが物理的な相互作用を形成し、強く結びついていることが示された。

パンテノールは酸化性などを持たないため、ケラチンと強固な化学結合を結ぶとは考えられていなかった。しかし論文では、パンテノールが持つ多数の水素結合部位がケラチンと「多重水素結合」を起こすことで、比較的強固な結合を形成していると考察されている。毛髪は一度ダメージを受けると自己修復しない「死んだ細胞」とされるが、パンテノールが髪の一部のように内部組織同士をつなぎ合わせ、構造を補強していることが確認された。P&Gはこの補修機構を「毛髪構造リペアシステム」と命名している。

また、引張試験においても、パンテノール処理を施した毛髪は未処理毛に比べて引張強度および弾性率が有意に向上し、切れにくくなることが確認されている。


高純度パンテノール3000%配合の導入美容液「ブースターミスト」

この研究知見を反映した新製品として登場したのが、「パンテーン アルティメイト エッセンス ブースターミスト」(参考価格:税込3,000円)である。従来のパンテーン製品とは一線を画す卵型のパッケージが特徴で、毛髪用の「導入美容液」という位置づけになっている。

全成分表示から見る特徴

本製品の成分構成は極めて特異である。

  • 高濃度の主成分:水の次に「パンテノール」、その次に誘導体である「パンテニルエチル」が記載されている。配合上限が1%である防腐剤フェノキシエタノールよりも上位に位置していることから、極めて高濃度であることがわかる。
  • ベースライン比30倍:従来のパンテーンベースラインと比較して、3000%(30倍)というブランド史上最高濃度の高純度パンテノールを配合している。
  • シンプルな処方設計:シリコーンは配合されておらず、まとまりを与えるポリマー成分(VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー、ポリクオタニウム-16)や、ごく微量の第4級アンモニウム塩(セトリモニウムクロリド)が含まれる程度で、実質的に「パンテノールを毛髪へ集中的に届けること」に特化した処方となっている。

シリコーンによる即時的な被膜形成で手触りを良くする従来のアウトバスミストとは異なり、毛髪内部にパンテノールを浸透・蓄積させて根本から補強することを狙った設計である。


効果を引き出す使用方法と質感の変化

メーカーが推奨する使用方法は、成分の流出を防ぎ、浸透効率を高める工夫がなされている。

  1. 使用タイミング:入浴時にシャンプーとトリートメントを行い、風呂上がりにタオルドライをした後の「湿り気のある髪」に使用する。完全に乾いた状態よりも浸透しやすく、またインバスの流す工程の前に使うと成分が流れ落ちてしまうため、この順序が最適とされる。なお、インバストリートメントに含まれるシリコーン等の被膜の上からでも、パンテノールが浸透することは確認されている。
  2. 使用量:地肌を避け、根元から毛先までしっかり塗布する。塗布量の目安は、ショートで5〜10プッシュ、ミディアムで10〜15プッシュ、ロングで15〜20プッシュと、比較的多めの使用が推奨されている。
  3. 仕上げ:ミストをなじませた後、普段使用しているアウトバストリートメント等があれば重ねづけし、ドライヤーで乾かす。香りは調香師が手掛けたホワイトティーの香りを採用している。

実際に使用した検証では、塗布して乾かした後の毛髪はごわつくことなくサラサラとした仕上がりになり、髪の芯がしっかりとしたような感触が得られたという。表面をコーティングして即座にツヤを出すタイプではないため、成分を髪に蓄積させて補修効果を実感するまでに、まずは14日間の継続使用が推奨されている。


インバスで取り入れる「カプセル美容液」シリーズ

あわせて、インバス(お風呂場)で高濃度パンテノールを取り入れるアイテムとして「パンテーン カプセル美容液 トリートメント&ヘアマスク」も紹介された。

  • パンテノール500%配合:ベースラインと比較して5倍(500%)の高純度パンテノールを配合。トリートメント内にある金色のカプセルに成分が閉じ込められており、手のひらで押しつぶして混ぜることで、髪へ浸透しやすい状態で塗布できる。
  • マイルドな基剤:第4級アンモニウム塩の中でも刺激が少ないとされる中和型の「ベヘントリモニウムメトサルフェート」を採用している。
  • 質感の選択:ヘアマスク(170g、参考価格1,282円)はシリコーンが多めで重ための仕上がり、トリートメント(190g、参考価格1,298円)はより軽やかな仕上がりとなっており、好みに応じて使い分けることが可能である。

毛髪科学への誠実な投資とブランドの進化

「パンテーン アルティメイト エッセンス ブースターミスト」は、ドラッグストア(マツモトキヨシ、ココカラファイン、スギ薬局グループ限定)およびAmazon限定で販売されている。パンテーンとしては比較的高価格帯のラインとなるが、これまでの大衆向けブランドという枠組みを超え、長年の基礎研究に裏打ちされた意欲的な製品となっている。

毛髪の内部構造に成分が直接作用し、タンパク質と結合して強度を補うという今回の研究知見は、従来のヘアケアの限界を押し広げるものといえる。かつての固定観念にとどまらず、誠実に積み重ねられた科学的アプローチが製品へと結実している。