早朝営業の定食店、デカ盛り海鮮重、炭火焼き豚:東京・町田の3つの店

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概要

東京・町田市で客を集める3つの店を紹介する特集である。早朝6時から営業する定食店、客への感謝からネタを増やし続けた海鮮重の店、100年以上続く精肉店の炭火焼き豚が登場する。いずれの店主も、客の反応をどう受け止め、それを店の形にどうつなげてきたかを語っている。

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旅館の料理長が開いた大衆食堂

町田駅前の通り沿いにある「板前が作る大衆食堂 しまだ」は、去年9月に開店した。旅館で料理長を務めた料理人が独立して開いた店である。ランチタイムの客は「町田で本当に素晴らしい定食屋を見つけた」「大衆食堂というより高級料亭ぐらいのレベルがあるのでは」と話していた。

定食は15種類以上ある。そのひとつ、天ぷら定食は1000円で、大きめのエビ、キス、イカに季節の野菜3種類が付く。さらに日替わりの小鉢およそ15種類から好きなものを1つ選べる。人気の出し巻き卵はランチタイムだけで20皿以上出るという。昆布と鰹節から丁寧にとる出汁が、上品な味の決め手になっている。

定食はご飯と味噌汁のお代わりが自由だ。カツ丼などのご飯は客が自分で好きな量を盛るセルフ方式になっている。一番人気は店オリジナルの利休焼き定食で、白ごまのペーストを入れた特製ダレを豚肉にたっぷり絡める。客は「お肉が柔らかくてめっちゃ美味しい」「ご飯が進む味」と評していた。

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「お客さんの顔を見たい」という独立の理由

店主の島田真俊さん(36歳)は、店を一人で回している。中学卒業後に和食店で10年以上修業し、その後は実家の旅館で料理長を務めた。旅館では客の顔を見ずに料理を作って出すことが多かった。客の顔を見て、喜ぶ様子を見たいと思ったことが独立の理由のひとつだと島田さんは話す。

この店には変わった特徴がある。ランチタイムを来客の第1のピークとすると、第2のピークは早朝に来るのだ。

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朝6時からのモーニング定食

店は「モーニング」と銘打った定食を朝6時から出している。ある日曜日、島田さんは午前3時に店の明かりをつけ、仕込みを始めた。最初にとりかかるのは、料理にも味噌汁にも欠かせない出汁づくりである。昆布と鰹節から丁寧に出汁をとることが、店で一番大事なところだと島田さんは言う。

住宅街の定食屋が早朝営業を選んだ理由について、島田さんは、他の店と同じ時間帯で勝負しても後から始めた店では難しく、違う色を出したかったと説明する。新参者として特徴を出す必要があった。そこで思い浮かんだのが、自分があったらいいと思っていたモーニング定食の店だった。夜の営業はきっぱり諦め、早朝営業を売りにすることにした。

日曜日の朝にどれほど需要があるのか。この日も仕込みの量はかなり多かった。6時の開店直後、店の周りには人影がなかった。しかし3分後に2人が来店すると、それを皮切りに客が次々とやって来た。6時50分には席が埋まった。

ある夫婦は、朝にご飯と味噌汁をしっかり食べられれば楽だと話した。番組によれば、日曜日は朝食づくりを休む人が多いようだ。深夜の清掃の仕事を終えてから立ち寄る客もいた。

モーニングは、お代わり自由のご飯と味噌汁に、約15種類の小鉢から好きなものを選ぶ形式である。小鉢1つなら450円で、3つ選べる650円のセットが人気だ。この日は3時間の営業で45人が来店した。平日より日曜日のほうが客数はずっと多いという。

一人で動き回る島田さんを、客は「頑張っているから応援したくなる」と語る。島田さんは客への感謝を口にし、自分で店をやるうちに、これが天職なのかなと思うようになったと話した。

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雨の日も開店前から行列ができる海鮮の店

2軒目は、鶴川駅から車で5分ほどの店である。盛りの良さで話題になっており、取材の日は雨だったが、開店10分前から客が並んでいた。店主は「雨なのにありがたい」と話す。がっかりして帰られるのが嫌なので、ギリギリまで準備するという。

開店と同時に客が詰めかけた。この日のおすすめは、ブリのアラを甘辛く煮た煮魚定食(1859円)。そして開店前から並んででも食べたいという客が多いのが、デカ盛り海鮮重(1936円)である。

初めて食べに来た男性は、まず厚切りのマグロを口にした。ネタが山盛りでなかなかご飯が見えてこず、ようやくご飯が見えたところで「ネタが大きい」「ただただ美味しい」と話した。初挑戦の女性客や、家族3人全員でこの海鮮重を注文した客もいた。

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19種類・26切れのネタを重ねる作り方

番組では作り方も紹介された。まず酢飯を200g盛り、卵と大葉をのせる。続いてマグロ、カンパチ、ゆでダコなどを重ね、彩りにも気を配りながら中トロ、コチ、サーモン、ネギトロ、バナメイエビ、アワビ、ズワイガニなどを盛っていく。大葉の下にはタケノコを忍ばせる。イワシ、穴子、マグロなどは軽く炙る。最後に赤エビを真ん中に据え、とびこ2種類と海苔で飾って完成となる。この日のネタは19種類、数は26切れだった。

朝一番に注文した男性も、女性客も完食した。女性客は「コスパは信じられないぐらい最高」と話していた。

この店には1日5食限定の「おまかせ刺身の下駄盛り定食」(3080円)もある。その名のとおり下駄の上に刺身を盛り、注文からおよそ5分で出てくる。この日はネタ12種類・20切れで、岩手県産の生牡蠣やカニも盛られていた。店主によると、魚を一本買いしているため、ネタの大きさがまず違い、使う部位も違うという。注文した男性は40分かけて完食した。

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コロナ禍のどん底から生まれたデカ盛り

番組によれば、この店のデカ盛りは客への感謝の気持ちから生まれた。店主は5年前まで大手のレストランなどで総料理長を務めていた。当時は日本でコロナが広がり、多くの従業員が職場を離れていった。店主はそうした従業員たちを誘い、コロナ禍のさなかに自分の店を開いた。

店主自身、どん底からのスタートで、さらにそのどん底が続いたと振り返る。コロナ禍は予想以上に長引き、店を開けても客は来なかった。店先で弁当を売ったが、最初は1か月で15個しか売れなかった。開業から丸2年で貯金も底をついた。最後は車を売り、それでもだめならと考えていたところで、客が来てくれるようになったという。

コロナが落ち着くにつれ、店に少しずつ活気が戻った。それが嬉しくて、来てくれた客への恩返しとしてネタを増やしていった結果、今のデカ盛りになった。

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物価高のなかで盛りを守る

今の課題は物価高だ。デカ盛りを維持するため、店主は毎日市場に通う。「仕入れが命」「仕入れで全部が決まってしまう」と店主は言う。店を始めてまだ4年なので、市場で顔を覚えてもらえるよう、とにかく顔を出すようにしている。市場の関係者も、毎日来ていると話していた。

1円でも安く仕入れるため、まとめて大量に買う。1個2個では安くならないからだ。そうして安く仕入れた分を、デカ盛りで客に返している。

先の見えない物価高でも、店主は負けたくないと話す。量を減らすのではなく、むしろ増やしたい。料理を運んだときに客が「うわっ」と声を上げてくれるのが一番嬉しいという。

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町田のソウルフード、守屋肉店の炭火焼き豚

3軒目は精肉店である。町田の街で地元のソウルフードを尋ねると、50年くらい前から食べているという人や、焼き豚だとみんな思っているという人がいた。その焼き豚を作るのが、創業106年の守屋肉店だ。看板にも幟にも「焼き豚」の文字が大きく掲げられている。ケースには国産の牛肉、鶏肉、豚肉が並び、店頭には焼き豚が積まれている。

炭火で焼く焼き豚は1本およそ1500円から。醤油ベースの甘いタレが付いている。肉は柔らかく、炭火で焼いた香ばしさが特徴だ。この商店街で生まれ育った客は、物心ついたときから焼き豚はここだと決めていて、小さい頃からずっと食べていると話した。

常連客の食べ方はさまざまだ。千切りキャベツをご飯にのせ、焼き豚をのせてタレをかける焼き豚丼にする人がいる。パンに挟む人、ラーメンにのせる人、小さく切って麻婆豆腐に使う人もいる。麻婆豆腐はコクが出て美味しいという。1本300gほどだが、脂ののり具合や大きさで選んで2本買っていく人もいて、1日に20kgも売れるそうだ。

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着色をやめて広まった焼き豚

店は大正8年に守屋さんの曾祖父が創業し、昭和に入って2代目が焼き豚を作り始めた。当時は着色料を使った真っ赤な焼き豚で、最初は10本ぐらいしか売れなかったという。

50年ほど前、4代目の父が改良を加えた。着色をやめ、食材そのものの味を大切にした。すると「毎日食べたくなる」と評判が広がり、長年にわたって町田の名物になった。4代目の守屋さんは、今の味を変えてはいけないと思い、そのまま続けてきたと話す。

その味は5代目の修平さん(28歳)に受け継がれた。老舗に生まれ育ったので、仕事というより守らなければいけないものだと修平さんは言う。

作り方はこうだ。国産の豚肩ロースを、長年継ぎ足してきた秘伝のタレに1日漬け込む。味が染みた肉を焼き豚専用の窯に入れ、炭火で30分ほど焼く。全体に均一に火が入るようにするのがポイントだという。半生の状態でいったん窯から出し、余熱でじっくり火を通す。これが肉汁と旨みを閉じ込める大事な工程である。最後にもう一度窯で30分焼いて完成する。修平さんのおすすめは、切ってご飯の上に置き、少し待つ食べ方だ。ご飯の熱で温まり、一番美味しく食べられるという。

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誕生日の食卓と、夕方の完売

この日、常連の奥山さんは家族と一緒に来店し、焼き豚を1本まるごと買った。妻と娘の誕生日で、子どもも好きなのでリクエストがあったという。

番組は自宅も訪れた。父親が腕をふるい、小さく切った焼き豚をとろみのある餡にして豆腐にかけた「焼き豚豆腐」と、焼き豚チャーハンを作った。サラダを添えて誕生日を祝うと、家族は「美味しい」と喜び、子どもは肉ばかり食べていた。父親は、作った料理を喜んでもらえてよかったと話した。

午後4時過ぎに来た客には、焼き豚はもうなかった。この日焼いた20kgは完売していた。父から老舗のバトンを受け取った修平さんは、昔から代々引き継いで焼いてきたこの地域の大事な商品だと語り、幸せだと思いながら焼いていると話した。