早朝営業の定食店、デカ盛り海鮮重、炭火焼き豚:東京・町田の3つの店
日テレNEWS東京・町田市で客を集める3つの店を紹介する特集である。早朝6時から営業する定食店、客への感謝からネタを増やし続けた海鮮重の店、100年以上続く精肉店の炭火焼き豚が登場する。いずれの店主も、客の反応をどう受け止め、それを店の形にどうつなげてきたかを語っている。
旅館の料理長が開いた大衆食堂
町田駅前の通り沿いにある「板前が作る大衆食堂 しまだ」は、去年9月に開店した。旅館で料理長を務めた料理人が独立して開いた店である。ランチタイムの客は「町田で本当に素晴らしい定食屋を見つけた」「大衆食堂というより高級料亭ぐらいのレベルがあるのでは」と話していた。
定食は15種類以上ある。そのひとつ、天ぷら定食は1000円で、大きめのエビ、キス、イカに季節の野菜3種類が付く。さらに日替わりの小鉢およそ15種類から好きなものを1つ選べる。人気の出し巻き卵はランチタイムだけで20皿以上出るという。昆布と鰹節から丁寧にとる出汁が、上品な味の決め手になっている。
定食はご飯と味噌汁のお代わりが自由だ。カツ丼などのご飯は客が自分で好きな量を盛るセルフ方式になっている。一番人気は店オリジナルの利休焼き定食で、白ごまのペーストを入れた特製ダレを豚肉にたっぷり絡める。客は「お肉が柔らかくてめっちゃ美味しい」「ご飯が進む味」と評していた。
「お客さんの顔を見たい」という独立の理由
店主の島田真俊さん(36歳)は、店を一人で回している。中学卒業後に和食店で10年以上修業し、その後は実家の旅館で料理長を務めた。旅館では客の顔を見ずに料理を作って出すことが多かった。客の顔を見て、喜ぶ様子を見たいと思ったことが独立の理由のひとつだと島田さんは話す。
この店には変わった特徴がある。ランチタイムを来客の第1のピークとすると、第2のピークは早朝に来るのだ。
朝6時からのモーニング定食
店は「モーニング」と銘打った定食を朝6時から出している。ある日曜日、島田さんは午前3時に店の明かりをつけ、仕込みを始めた。最初にとりかかるのは、料理にも味噌汁にも欠かせない出汁づくりである。昆布と鰹節から丁寧に出汁をとることが、店で一番大事なところだと島田さんは言う。
住宅街の定食屋が早朝営業を選んだ理由について、島田さんは、他の店と同じ時間帯で勝負しても後から始めた店では難しく、違う色を出したかったと説明する。新参者として特徴を出す必要があった。そこで思い浮かんだのが、自分があったらいいと思っていたモーニング定食の店だった。夜の営業はきっぱり諦め、早朝営業を売りにすることにした。
日曜日の朝にどれほど需要があるのか。この日も仕込みの量はかなり多かった。6時の開店直後、店の周りには人影がなかった。しかし3分後に2人が来店すると、それを皮切りに客が次々とやって来た。6時50分には席が埋まった。
ある夫婦は、朝にご飯と味噌汁をしっかり食べられれば楽だと話した。番組によれば、日曜日は朝食づくりを休む人が多いようだ。深夜の清掃の仕事を終えてから立ち寄る客もいた。
モーニングは、お代わり自由のご飯と味噌汁に、約15種類の小鉢から好きなものを選ぶ形式である。小鉢1つなら450円で、3つ選べる650円のセットが人気だ。この日は3時間の営業で45人が来店した。平日より日曜日のほうが客数はずっと多いという。
一人で動き回る島田さんを、客は「頑張っているから応援したくなる」と語る。島田さんは客への感謝を口にし、自分で店をやるうちに、これが天職なのかなと思うようになったと話した。
雨の日も開店前から行列ができる海鮮の店
2軒目は、鶴川駅から車で5分ほどの店である。盛りの良さで話題になっており、取材の日は雨だったが、開店10分前から客が並んでいた。店主は「雨なのにありがたい」と話す。がっかりして帰られるのが嫌なので、ギリギリまで準備するという。
開店と同時に客が詰めかけた。この日のおすすめは、ブリのアラを甘辛く煮た煮魚定食(1859円)。そして開店前から並んででも食べたいという客が多いのが、デカ盛り海鮮重(1936円)である。
初めて食べに来た男性は、まず厚切りのマグロを口にした。ネタが山盛りでなかなかご飯が見えてこず、ようやくご飯が見えたところで「ネタが大きい」「ただただ美味しい」と話した。初挑戦の女性客や、家族3人全員でこの海鮮重を注文した客もいた。
19種類・26切れのネタを重ねる作り方
番組では作り方も紹介された。まず酢飯を200g盛り、卵と大葉をのせる。続いてマグロ、カンパチ、ゆでダコなどを重ね、彩りにも気を配りながら中トロ、コチ、サーモン、ネギトロ、バナメイエビ、アワビ、ズワイガニなどを盛っていく。大葉の下にはタケノコを忍ばせる。イワシ、穴子、マグロなどは軽く炙る。最後に赤エビを真ん中に据え、とびこ2種類と海苔で飾って完成となる。この日のネタは19種類、数は26切れだった。
朝一番に注文した男性も、女性客も完食した。女性客は「コスパは信じられないぐらい最高」と話していた。
この店には1日5食限定の「おまかせ刺身の下駄盛り定食」(3080円)もある。その名のとおり下駄の上に刺身を盛り、注文からおよそ5分で出てくる。この日はネタ12種類・20切れで、岩手県産の生牡蠣やカニも盛られていた。店主によると、魚を一本買いしているため、ネタの大きさがまず違い、使う部位も違うという。注文した男性は40分かけて完食した。
コロナ禍のどん底から生まれたデカ盛り
番組によれば、この店のデカ盛りは客への感謝の気持ちから生まれた。店主は5年前まで大手のレストランなどで総料理長を務めていた。当時は日本でコロナが広がり、多くの従業員が職場を離れていった。店主はそうした従業員たちを誘い、コロナ禍のさなかに自分の店を開いた。
店主自身、どん底からのスタートで、さらにそのどん底が続いたと振り返る。コロナ禍は予想以上に長引き、店を開けても客は来なかった。店先で弁当を売ったが、最初は1か月で15個しか売れなかった。開業から丸2年で貯金も底をついた。最後は車を売り、それでもだめならと考えていたところで、客が来てくれるようになったという。
コロナが落ち着くにつれ、店に少しずつ活気が戻った。それが嬉しくて、来てくれた客への恩返しとしてネタを増やしていった結果、今のデカ盛りになった。
物価高のなかで盛りを守る
今の課題は物価高だ。デカ盛りを維持するため、店主は毎日市場に通う。「仕入れが命」「仕入れで全部が決まってしまう」と店主は言う。店を始めてまだ4年なので、市場で顔を覚えてもらえるよう、とにかく顔を出すようにしている。市場の関係者も、毎日来ていると話していた。
1円でも安く仕入れるため、まとめて大量に買う。1個2個では安くならないからだ。そうして安く仕入れた分を、デカ盛りで客に返している。
先の見えない物価高でも、店主は負けたくないと話す。量を減らすのではなく、むしろ増やしたい。料理を運んだときに客が「うわっ」と声を上げてくれるのが一番嬉しいという。
町田のソウルフード、守屋肉店の炭火焼き豚
3軒目は精肉店である。町田の街で地元のソウルフードを尋ねると、50年くらい前から食べているという人や、焼き豚だとみんな思っているという人がいた。その焼き豚を作るのが、創業106年の守屋肉店だ。看板にも幟にも「焼き豚」の文字が大きく掲げられている。ケースには国産の牛肉、鶏肉、豚肉が並び、店頭には焼き豚が積まれている。
炭火で焼く焼き豚は1本およそ1500円から。醤油ベースの甘いタレが付いている。肉は柔らかく、炭火で焼いた香ばしさが特徴だ。この商店街で生まれ育った客は、物心ついたときから焼き豚はここだと決めていて、小さい頃からずっと食べていると話した。
常連客の食べ方はさまざまだ。千切りキャベツをご飯にのせ、焼き豚をのせてタレをかける焼き豚丼にする人がいる。パンに挟む人、ラーメンにのせる人、小さく切って麻婆豆腐に使う人もいる。麻婆豆腐はコクが出て美味しいという。1本300gほどだが、脂ののり具合や大きさで選んで2本買っていく人もいて、1日に20kgも売れるそうだ。
着色をやめて広まった焼き豚
店は大正8年に守屋さんの曾祖父が創業し、昭和に入って2代目が焼き豚を作り始めた。当時は着色料を使った真っ赤な焼き豚で、最初は10本ぐらいしか売れなかったという。
50年ほど前、4代目の父が改良を加えた。着色をやめ、食材そのものの味を大切にした。すると「毎日食べたくなる」と評判が広がり、長年にわたって町田の名物になった。4代目の守屋さんは、今の味を変えてはいけないと思い、そのまま続けてきたと話す。
その味は5代目の修平さん(28歳)に受け継がれた。老舗に生まれ育ったので、仕事というより守らなければいけないものだと修平さんは言う。
作り方はこうだ。国産の豚肩ロースを、長年継ぎ足してきた秘伝のタレに1日漬け込む。味が染みた肉を焼き豚専用の窯に入れ、炭火で30分ほど焼く。全体に均一に火が入るようにするのがポイントだという。半生の状態でいったん窯から出し、余熱でじっくり火を通す。これが肉汁と旨みを閉じ込める大事な工程である。最後にもう一度窯で30分焼いて完成する。修平さんのおすすめは、切ってご飯の上に置き、少し待つ食べ方だ。ご飯の熱で温まり、一番美味しく食べられるという。
誕生日の食卓と、夕方の完売
この日、常連の奥山さんは家族と一緒に来店し、焼き豚を1本まるごと買った。妻と娘の誕生日で、子どもも好きなのでリクエストがあったという。
番組は自宅も訪れた。父親が腕をふるい、小さく切った焼き豚をとろみのある餡にして豆腐にかけた「焼き豚豆腐」と、焼き豚チャーハンを作った。サラダを添えて誕生日を祝うと、家族は「美味しい」と喜び、子どもは肉ばかり食べていた。父親は、作った料理を喜んでもらえてよかったと話した。
午後4時過ぎに来た客には、焼き豚はもうなかった。この日焼いた20kgは完売していた。父から老舗のバトンを受け取った修平さんは、昔から代々引き継いで焼いてきたこの地域の大事な商品だと語り、幸せだと思いながら焼いていると話した。
東京・町田。ここにいささか変わった営業スタイルを取っている定食屋さんがあるんです。
町田駅前通り沿いにある、板前が作る大衆食堂しまだは、去年9月にオープンした、旅館の料理長が独立して開いたお店です。
ランチタイム、お食事中のお客さんに伺うと。「町田で本当に素晴らしい定食屋を見つけたなっていう。大衆食堂っていうよりも、高級の料亭ぐらいのレベルがあるんじゃないですかね」
お客さんの舌をロックオンする定食は15種類以上ありまして。「おいしいな、すごい」
天ぷら定食、1000円なり。大きめのエビ、キス、イカに季節の野菜が3種類。これに、15種類ほどある日替わりの小鉢から、お好みが1つ選べちゃうんですよ。
鉄板人気のだし巻き卵は、ランチタイムに20皿以上出るといいます。昆布と節から丁寧に取るだしがいい仕事をしていて、これがまた上品な味わいなんだとか。
おかずうまけりゃ、ご飯もどんどん進んじゃう。でも心配はございません。定食類はご飯も味噌汁もおかわり自由の太っ腹。
ちなみに、丼の場合は。「カツ丼で」「カツ丼でよろしいですか?」「はい」「ありがとうございます」。もりもりマッチョ。
ライスの量は、お客さん自らお望みの分だけ盛るセルフ。上に具を乗せてもらえば、もりもりマッチョなカツ丼に。「僕、いかが?」「おお」。いただきました。
サービスもマッチョな定食で一番人気は、白ごまのペースト入りの特製だれを豚肉にたっぷり絡めた、店主オリジナルメニュー、定食・利休焼き。ごま風味のたれと豚肉のうまみが、腹ぺこ袋にぶっ刺さるらしい。
「お肉は柔らかくて、めっちゃおいしいです。すごいご飯が進む味です」
店を営むのは。「ありがとうございます」「ありがとうございます」。島田真俊さん、36歳。ワンオペで店を回す彼は、中学卒業後、和食店で10年以上腕を磨き、その後、実家の旅館で料理長を務めていました。
「こちらに冷たいものと、あと温かいもの入ってますので、こちらからお好きなもの、ご種類お選びください」。旅館の料理長を務めた確かな腕前を持つ真俊さんが、独立を決意し、町の住宅街に定食屋さんを開いたのには、こんな理由がありました。
「お客さんの顔を見ずに、ただ料理を作ってお出しするってことが多かったので、ちょっとお客さんの顔を見て、喜んでる顔とか、そういうのを見たいなっていうのも独立の理由にありますね」
そんな真っすぐな男が開いた店だけあって、この定食屋さん、かなり変わった特徴がありましてね。ランチタイムが来客の第1ピークとすると、続く第2ピークは『ええ、本当に?』って時間帯だったんですよ。
東京定食物語、通っちゃうには訳がある。板前さんが営む定食屋さんは、営業スタイルがいささか変わっておりましてね。とある日曜日の午前3時、お店に明かりが。
「おはようございます」「おはようございます」。実はこのお店、モーニングと銘打った定食を、朝6時から提供しているんです。
朝一番に始めるのは、料理や味噌汁に欠かせないだし作り。「昆布とかつお節から丁寧にだしを取るのが、やっぱり一番うちの店で大事なところなんで」
でも、なんで住宅街にポツンとある定食屋さんが、朝6時からモーニングを始めたのか。
「他のお店と同じ時間帯で勝負しても、やっぱり後からやってるお店なんで、違う色を作りたいと思うのもあったんで」
新参者ゆえ、特徴を出さねばならない。ぱっと頭に浮かんだのは、開いててよかったモーニング定食の店。夜営業はすぱっと諦め、それを売りにしようと考えたんです。
とはいえ、この日は日曜日。結構な量を仕込んじゃってますが、早朝からこんなにニーズがあるんでしょうか。
そして迎えた朝6時。店の周りには人っ子一人見えぬ中、のれんを掛けますと。3分後、2人がご来店。これを皮切りに、次から次へとお客さんが来るわ、来るわ、来るわ。「すげえ」。店にある席が埋まっちゃった。これ、朝の6時50分。ランチタイムじゃありませんよ。
というご夫婦に伺うと。「朝、しっかりご飯とお味噌汁を食べられたら楽なので」。日曜日は朝食作りをお休みして、といった方が多いようで。
「仕事終わると、ほら、やってるから」「仕事帰り?」「そうです。お掃除です」。こちらは深夜の仕事終わりですか。お疲れさまです。
モーニングは、おかわり自由のご飯と味噌汁に、15種類ほどある小鉢からお好みを選ぶスタイル。小鉢1個だと450円ですが、人気は値段がかなりバグった3個のチョイスの650円。この日、朝飯前の方に人気だったのは。
「何ですか?」「カツですね」「カツはちょっと取っちゃいますね」。カツの注文がひっきりなしに。
この朝は3時間の営業で45人が来店。平日よりも断然、日曜のほうが来客数が多いんだとか。
ワンオペで動き回る真俊さんに、お客さんは。「頑張るの、やっぱり応援したくなりますよね」
「感謝ですね、皆さん。これが天職なのかなって思うようになりましたね、自分でお店やってて。ありがとうございます。またお願いします」
お客さんの笑顔が見たくて開いた定食屋さんは、その一皿に店主の感謝の思いが込められています。
まずは東京都町田市から。鶴川駅から車で5分。朝、その店には。
「今、開店10分前なんですが、雨でもお客さん並んでますね」。こちら、とにかく盛りがいいと今話題の店は、ダイニング知龍。営むのは店主の川又知洋さん。
「雨なのにありがたいですね。がっかりされて帰られるのが嫌なので、もうギリギリまで盛ってきます」
開店するやいなや、客が詰めかけます。この日のおすすめメニューは、あらを甘辛く煮付けたブリの煮魚定食、1859円。そして、開店前から並んでも食べたいデカ盛りがこちら。
「はい、お待たせしました。どうぞ」。うわさのデカ盛り海鮮重。お値段1936円なり。これを初めて食べに来たという男性は。
「海鮮重。すごい。見切れてる。はみ出しちゃってる。やばい」
まずは厚切りのマグロから。「おいしい」。でも、あまりにもネタがてんこ盛りなので、こっちもたまらしくて。「全然ご飯が」「本当」「見えてこない」「見えてこないね。すごい」「すごい」
「見えた」「やっと見えてきた」「ほんまネタが大きい」「すごい」「もう、ただただおいしいっていうだけです」
女性客も初めてこのデカ盛りに挑みます。「すごいですね」「いけます?」「食べられるかな?」「いただきます」
こちらは家族3人全員がデカ盛り海鮮重を注文。「迫力しかないですね」「迫力あるね」
一体、このデカ盛り、どれほどネタが乗っているのか。その作り方をちょっと拝見。まずは200グラム、酢飯を盛って、卵に大葉、メバチマグロにカンパチ、アカイカにゆでダコを2切れ乗せたらば、彩りにもこだわって、またメバチに中トロ、またカンパチ。そしてコチにカレイ。
隙間にカンパチとマグロ、サーモン、ネギトロ。大葉の下にタケノコを忍ばせて、バナメイエビ。ここでイワシとアナゴとマグロをちょっとあぶって、あぶりアナゴ、アワビ、そしてズワイガニ。あぶりマグロとあぶりイワシ、赤エビを真ん中に鎮座させて、とびこ2種類を盛って、最後に赤のりで飾り付ければ完成です。
この日のネタは19種類、ネタ数は26。朝一番に注文した男性は見事に完食。「最高です」。こちらの女性客も無事に完食。「コスパは信じられないぐらい最高だと思います」
ほかにもこの店には、1日5食限定のすごいやつがあるとか。「下駄盛り1つです」「はい」。その名の通り、下駄の上にネタを盛り付けます。
注文からおよそ5分で完成。「お願いします」「はい、お待ちさま」。これがうわさの大将おまかせ、刺身の下駄盛り定食、3080円。1日5食限定です。
注文しちゃった客は。「下駄盛りになります。ごめんなさい、ちょっとお茶のほういいですか? すみません。一応、かき醤油のほうはこちらになりますね」「はい」「醤油です」「おお」
あまり見たことがない驚きの盛りに、思わず。「ドンと、という定食で」。この日は、おいしいところを集めたネタ12種類、そのネタ数は20。豪華に岩手県産の生ガキとカニも盛られています。頼んだ客は、まずはあぶりマグロから。
「下駄盛りに関しては、やはり1本買いしてますんで、ネタの大きさがまず違うっていうのと、あとは部位が違いますね。さらにまたおいしいですよ」
40分後、男性はこの刺身の下駄盛り定食を見事完食。実はこの店のデカ盛りも、客への感謝の気持ちから生まれたもの。
5年前、大手のレストランなどで総料理長を務めていた店主の川又さん。当時は日本にコロナがまん延。多くの従業員が店を離れていきました。川又さんはそんな従業員たちを誘い、一念発起。自分の店を始めることに。
「コロナ禍にもかかわらず、この店を開業しました。どん底スタートで始まったんですが、さらにそのどん底でありまして」
しかし、予想以上に長く続いたコロナ禍で、店を開けても客は来ない。店先でお弁当も販売しましたが、これも不発。「初めは1か月15個でした」「ええ」。開業から丸2年、ついに貯金も底をつき、店は大ピンチ。
「もう最後に車を売って、もうそれも駄目だっていうんであればと思ったんですけど、お客さん来てくれたんですよ」
コロナが収まると、少しずつ店に活気が戻ってきました。それがうれしくて、来てくれた客への恩返しと、ネタ数を増やしていくうちに、今のデカ盛りとなったのです。今度は物価高。
デカ盛りを維持するために、川又さんは毎日市場に通います。「仕入れが命ですね。もう仕入れで全部が決まっちゃいますんで」
店を始めてまだ4年。市場で顔を覚えてもらうため、とにかく顔を出すようにしているとか。「毎日来てます」「来てる。よっぽどじゃない限り、彼は一緒だ」
1円でも安く仕入れるために、川又さんはこんな努力もしています。「1個、2個じゃやっぱり安くなんないですね。今日買っていただいてるんで」「おお」「パックで買った場合で全然違うんで」。大量に買って安く仕入れる。そしてデカ盛りで客に還元。
先が見えない物価高の中でも、川又さんは。「そんなことに負けたくないですね。逆に量を減らすよりか、量を増やしたいっていうのが思いですね。持ってったときに『うわ』って言われるのが、一番私はうれしいですね」
訳あってデカ盛り始めました。そこには、客に感謝の気持ちを伝えたい店主の熱い思いがありました。
東京の西部で屈指の繁華街、町田市。目当てのソウルフードについて聞くと。「結構前から食べてることは食べてます。もう50年ぐらいはたってんじゃない?」「焼き豚とは、みんな思っているんですけど」
こちらが4階建ての焼き豚御殿。106年続く守屋肉店です。看板に焼き豚、のぼりにも大きく焼き豚。ケースには新鮮な肉がずらり。国産の牛肉、鶏肉、豚肉が並びます。
そして町田のソウルフードがこれ。店頭にどーんと置かれている焼き豚です。「焼き豚をお願いしたいの」「焼き豚、ちっちゃいのところください」「そう。焼き豚、この列3本ください」「はい」
炭火を使った焼き豚は、1本でおよそ1500円から。セットで醤油ベースの甘いたれが付いています。肉は柔らかく、うまみ満点。炭火で焼いた香ばしさが後を引く味わいなんです。
「物心ついてから、焼き豚は絶対ここ。この商店街で生まれ育ったんですけど、だからもう小さいときからずっと食べてますね」
常連さんは好きな食べ方があるそうで。「キャベツの千切りをご飯の上に乗っけて、上に乗っけて、焼き豚丼」
やってみましたよ、焼き豚丼。たれをたっぷりかければ、ご飯が進むこと間違いなし。パンに挟んだり、ラーメンに乗せたり、食べ方はいろいろ。焼き豚を小さく切って麻婆豆腐を作る人も。コクが出ておいしいんだそうです。
「脂乗ってるのが好きでしたら、こっち側のほう選んで。お姉さんが一番手前のそれとか」。大きさや脂の乗り具合などで、好みの焼き豚をチョイス。1本300グラムほどですが、2本買っていく人も。1日で20キロも売れるそうです。
町田のソウルフード、炭火焼き豚誕生の歴史とは。老舗の4代目が守屋さん。「今の味を変えちゃいけないなと思って、そのままやってきたんですけどね」
大正8年、守屋さんの曽祖父が創業。昭和に入り、2代目が焼き豚を作りました。当時は着色料を使った真っ赤な焼き豚。「初めは10本ぐらいしか売れなかったんですよ。もっと自然なものということで始めたんですね」
50年ほど前に、父のか夫さんが改良します。着色をしないで食材そのものの味を大切にすると、『毎日食べたくなるね』と人気が広がったそう。長年、町田市の名産品になっているんです。
その味は息子へと受け継がれました。5代目の修平さん、28歳。「老舗に生まれ育ったがゆえに、仕事っていうよりか、守らなきゃいけないものなので」
焼き豚作りを拝見。国産の肩ロースを、長い間継ぎ足している秘伝のたれに1日漬け込みます。味が染み込んだ肉は焼き豚専用の窯へ。炭火で30分ほど熱します。
「全体が均一に火が入るようにしてあげるっていうのがあるんですね」。半生の状態で窯から出したら、余熱でじっくり。肉汁とうまみを閉じ込める大事なポイントなんです。もう一度窯の中へ入れて30分。これでソウルフードの出来上がり。
「切って、ご飯の上に置くだけで、ちょっと待てばご飯の熱気で温まってくれるので、一番おいしく食べられるかな」
この日、親子でやってきたのは常連の奥山さん。焼き豚1本お買い上げ。「妻と娘の誕生日なんですけど、子供も好きだっていうところもあって、オーダーがあったんで、購入しに来たって感じですかね」
自宅にお邪魔いたしました。感謝を込めて、お父さんが料理を作ります。「腕の見せどころだ」
小さく切った焼き豚を、とろりとしたあんに。これを豆腐にかけて、焼き豚豆腐。もう一品は、ご飯をパラパラと炒めた焼き豚チャーハンです。サラダと合わせて3品で誕生日パーティー。
「ハッピーバースデー・トゥー・ユー」「おめでとう」。焼き豚尽くしのごちそうでお祝い。「パパの手料理はどう?」「おいしい」「おいしい」「肉だけ食べてる」「肉だけ」「肉だけ食べてるじゃん」
「今日、作ってもらって、やっぱりおいしい味だなって」「本当、喜んでもらえてよかったなって思いますね」
午後4時過ぎ、また1人。「いらっしゃいませ」「焼き豚はない?」「焼き豚、完売してしまいました」。この日焼いた20キロ、完売です。
父から老舗のバトンを受け取った5代目は。「ずっと昔から代々引き継いで焼いてきて、この地域として本当に大事な商品だなと思って、幸せだなと思いながら、頑張って焼いてますね」
町田市のソウルフード、炭火焼き豚。今日も食卓の主役を飾っています。
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