湯島の親子丼、有楽町ガード下のしっとり天丼、埼玉の大盛りばらちらし:家族で受け継がれるどんぶりの店

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概要

この動画は、どんぶりを看板にする3軒の店を順に訪ねる特集である。湯島の鳥料理専門店、有楽町のガード下にある天ぷら店、埼玉県さいたま市の町の寿司店。料理も客層も違うが、どの店も家族で営まれ、先代から受け継いだ味ややり方を次の世代へどうつなぐかが語られている。

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湯島の鳥料理専門店:創業113年の「つゆだく」親子丼

最初の店は、湯島天神からすぐの場所にある鳥料理専門店である。創業は1912年(大正元年)で、番組によれば今年で113年目になる。店先には親子丼を打ち出した看板が掲げられ、昔ながらの造りの店内には親子丼の香りが満ちている。客は「出汁の味と卵の味が濃い」「生に見えるが、実はしっかり火が通っていて濃く感じる」と話していた。

厨房で親子丼を作るのは4代目の山本鉄太郎さんである。手順は簡単に見える。まず秘伝の甘辛いたれで、もも肉と胸肉の2種類の鶏肉を煮始める。卵は菜箸で黄身を切るように、さっと軽く混ぜるだけにとどめる。番組はここをポイントとして紹介した。火加減を見ながら鶏肉を返し、頃合いを見て卵を加える。卵がちょうどよい半熟になる瞬間をとらえて、どんぶりに移す。

できあがるのは、100年前に初代が考案したという汁たっぷりのとろとろの親子丼である。リポーターは卵の艶を強調し、「出汁の香りが一気に広がる」「卵の味わいが濃いので割下に負けていない」と評していた。

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写真嫌いの父と、大学を辞めて弟子入りした長男

店には2代目の写真は残っているが、3代目である父・晃彦さんの写真はほとんどない。鉄太郎さんによると、父は江戸っ子気質の恥ずかしがり屋で、「写真を撮ると魂を抜かれる」というような人だった。若い頃の父と自分はそっくりだとよく言われるという。

鉄太郎さんは5人きょうだいの長男だが、父からは店を継がなくていいと言われ、大学に進んだ。それでも店の忙しさと父の大変さを見て、楽にさせたいと手伝いを始める。大学を中退し、20歳で父に弟子入りした。料理の経験はなく、ゼロからのスタートだった。父は「鬼のように厳しい時もあった」と鉄太郎さんは振り返る。父が厨房で着ていた白衣は今も店に置いてあり、それを見ると厳しかった修業時代を思い出すという。

とろとろの親子丼は、わずかな火加減やタイミングのずれで失敗する。修業中は「遅い」「もっと早く」と繰り返し言われた。父は仕事で大事なのは「スピードとパワー」だと教えた。少し目を離すと火が入りすぎたり、卵が硬くなったりする。父が100人、150人分を一人でこなす姿を見てきた、と鉄太郎さんは話す。

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代替わりと、兄を支える妹

修業を始めて5年後、鉄太郎さんは父から店を継いだ。ただ、最初は体力的に厳しかったという。見かねた妹のマリアさんが店を手伝うようになった。マリアさんは「兄が一人になってからすごく痩せてしまって大変そうだったので、力になれるならと思った」と語っている。今はきょうだいで忙しい店を回せるようになった。

父から受け継いだのは親子丼だけではない。夜のメニューの鶏鍋に使うスープは、地鶏を半日ほど煮込んで作る。具の「たたき」と呼ばれる鶏団子は、挽肉を叩いて混ぜるため、手で混ぜるより滑らかでふわっと仕上がると説明された。これに地鶏のもも肉を加え、濃厚なスープで食べる。リポーターは、ふんわりしているのに鶏の食感もしっかりあり、噛むごとにうまみが出ると評した。

鉄太郎さんは、鶏鍋でも親子丼でも、父の教え「スピードとパワー」を今も忘れないという。「同じ親子丼は二度と作れない。毎回少しずつ違う」。だからこそ、忙しい時でも目の前の一人のために最高の一杯を出すことを何度も繰り返す。父の厳しさについては、結局は自分ができるようになるために言ってくれていたと受け止めている。鉄太郎さんは父を、尊敬や感謝という言葉では表しきれない「偉大な父親」と表現した。

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有楽町ガード下の天ぷら店:73年続く家族経営

2軒目は東京・有楽町である。銀座方面へ抜けるガード下には、昭和の雰囲気を残す渋い店が軒を連ねている。その一角で73年営業している天ぷら店で、昼は近くの会社員でにぎわう。

家族経営で、店主は3代目の川口敬紀さん。両親も現役で店に出ている。父の成一さんは職人らしい雰囲気をまとっているが、一年中女将さんに叱られている。女将さんは「もう口にテープを貼りたい」と言うほどで、しっかり者の女将さんに対し、成一さんは営業中も軽口ばかりたたく気楽な父親として描かれる。それでも天ぷらを揚げる時は真剣な表情になり、客からも「あの年であれだけ揚げられるのはすごい」という声が出ていた。

成一さんは職人として60年以上のキャリアを持つ。天ぷらは上質なごま油だけで揚げることにこだわっている。

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揚げたてをつゆに浸す「しっとり天丼」

ランチで人気なのは天ぷら刺身定食(1400円)で、豊洲で仕入れた鮮魚の刺身と揚げたての天ぷらが付く。ただ、客が一番に挙げるのは独特の天丼である。常連客は「サクサクの天ぷらと違ってしっとり系で、無性に食べたくなる。最初はびっくりするかもしれない」と話す。

この天丼は、揚げたてのサクサクの天ぷらを濃いめのつゆにたっぷりと浸し、つゆを吸わせてから、硬めに炊いたご飯にしたたるまま載せる。セットで1300円。具はエビ、キス、野菜、イカと小エビのかき揚げである。番組は、このしっとりした食感を昭和から変わらないスタイルとして紹介した。リポーターは甘めのたれがしみ込んでいること、ごま油の香ばしさ、中のぷりぷりの食感を挙げていた。

成一さんは、先代のやり方を守ることについて話している。下手な材料を使って客の信用をなくすより、きちんとしたものを出すことが大切だという趣旨である(字幕は一部聞き取りにくい)。

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冗談のつもりが本当に継ぐことになった2代目

茨城育ちの成一さんは18歳で店に入った。先代の妻とは親戚だった。しかし都会暮らしで遊んでばかりいて、先代はそれを優しく見守っていたという。成一さんによれば、「旦那が死んだら俺がやるよ」と冗談で言っていたところ、先代が本当に早く亡くなってしまった。急きょ2代目を継ぐことになり、必死で技術を身につけた。

昭和の景気のいい時代には店は繁盛した。結婚して子どもにも恵まれ、順調だった。ところがバブル崩壊で売り上げは半分に落ちる。男の子3人を育てていて、とにかくお金がかかった時期だったと振り返る。

この苦境で奮闘したのが、元看護師の女将さんである。天ぷら以外にも家庭料理を出し、居酒屋のようなスタイルに変えた。宴会の予約まで取ってくる働きで、経営は持ち直した。成一さんが「そろそろ感謝状でも送ろうか」と言うと、女将さんは「いらない、いらない」と返していた。

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3代目の和食と、夜の店の空気

現在は、和食の修業を積んだ3代目の敬紀さんが店を盛り立てている。夜はお酒が1杯付いた2800円のセットが人気で、豊洲で目利きした魚を日替わりで出す。刺身にはサワラや天然の鯛が並び、焼き物も付く。手作りにこだわっているという。夜の店も客でにぎわっており、常連客は3代目の料理を「美味しい」と評していた。

天ぷらの注文が入らない間、成一さんは客の席で飲んでいる。グラスの中身は水ではなく焼酎だと分かってしまう、というやり取りも映っていた。女将さんは、客が楽しんでいるならと大目に見ている。客は「都会でこんなに温かい店があるのか」と話していた。天ぷらの注文が入ると、成一さんは常連客に促されて持ち場に戻る。締めは成一さんの天丼で、これを食べなければ終われないと客たちは口をそろえる。

ある日の午後には、敬紀さんの長男と次男が店で天丼を食べていた。二人はよく店で食べるという。店を継ぎたいかと聞かれると、客と話して友達のようになれるところがいいと答え、祖父の揚げる天ぷらについて「こんな美味しい天ぷらを揚げられる人になりたい」と語った。目標は店を100年続けることである。

常連客は、不真面目な父親は見ている側には楽しくて人気があり、そこに真面目にもてなすお母さんがいるのが最高のバランスだったのではないか、と分析する。安心して休めるような雰囲気が好かれているのかもしれないし、それは家族でやっているからできるのだろう、とも話していた。

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埼玉・東大宮の町の寿司店:海なし県のコスパ海鮮丼

3軒目は埼玉県さいたま市。東大宮駅から徒歩10分ほどにある創業43年の寿司店である。店主はこの道52年の鈴木さんで、妻と二人で店を切り盛りしている。

昼時は会社員や地元客でにぎわう。客からは「安くて美味しい」「この値段で食べられるのが申し訳なくなる」という声が上がっていた。ランチの潮騒(1650円)は、握りと巻物に小鉢、茶碗蒸し、味噌汁が付き、生本マグロの大トロも入る。中落ち丼(1650円)は、特製の醤油だれに漬けた中落ちと温泉卵の組み合わせ。メバチマグロの中トロをはじめ13種類のネタを載せた海鮮丼(1650円)も人気である。店主は「回転寿司より安いというイメージがないと、なかなか来てくれない」と話す。

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1.1キロのばらちらし大盛りと、2.5キロ超のメガ盛り

不動の人気1位は、ばらちらし丼の大盛り(1650円)である。味付けした漬けのネタが山盛りになり、重さは1.1キロある。運ばれてくると、客はしばらくどんぶりを見つめ、まず記念撮影をする。一方で大盛りの常連客は、自分で醤油をかけて調節するよりこの味加減が絶妙だと言い、いつもこればかり頼むと話していた。

作り方はこうだ。メバチマグロの赤身を刻み、鯛、ヒラメ、スズキなどの白身を加える。さらにメバチマグロの中落ちと卵を合わせる。たれは、まろやかな醤油に酒やみりんなどを加えたオリジナルで、素材の味を生かすという。大盛りのご飯は2合。刻みのりを散らし、両手でネタをすくってご飯の上に一気に載せ、崩れないようにしばらく押さえてから形を整える。

この日の挑戦者は、1人が完食し、1人は撃沈した。別の2人組もあと少しが入らずギブアップした。残りは持ち帰りもできる。なお並盛りは1430円である。

ある男性客は、実は「メガ」を頼もうとしたが様子を見ることにした、と明かした。この店には大盛りの上にメガ盛りがあり、重さは2.5キロ超、価格は1870円である。ただし制限時間は30分で、食べきれなければ罰金というルールがあるため、挑戦者はほとんどいない。

こうしたメニューを作った理由について、番組は店主の思いを紹介している。回転寿司が流行るなかで、若い人にも気軽に本格的な寿司店に来てほしい。店主は「一回入ってもらわないと分からない。入ってもらえば、こんなメニューもあるんだなと知ってもらえる」と語った。

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マグロへのこだわりと、店主の人柄

客を引き寄せるのはメニューだけではないようだ。SNSで「イケメン店主」として知られているという話題で、客が写真を撮ってもいいかと尋ねると、店主は自分のことかと身を乗り出す。しかし撮りたいのは別のものだと分かり、がっかりしてみせる。こうした明るい人柄が愛されていると番組は伝える。

鈴木さんは毎朝自分で仕入れに行く。この日は、ショーケースにあったマグロを全部、約15キロ買い上げていた。マグロにお金をかけられるかどうかが寿司の価値を決める、という考えで、良いマグロを客に食べてもらうのが喜びだという。月に1回はランチでマグロを大盤振る舞いし、炙りトロ丼(1650円)を出している。

最後に夢を聞かれた鈴木さんは、「若い人たちが育って、後を継いでくれるのが私の最高の夢」と答えた。店ではすでに2代目が厨房で働き、さらに3代目もこの春4月から修業を始めている。番組は、海なし県・埼玉のこの店には、若い人にもうまい寿司を食べてもらいたいという店主の思いがある、と結んでいる。