「実体なき株高」は是正されるか 岡崎良介氏と木野内栄治氏が読む日米利上げ局面

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概要

FRBがおよそ3年ぶりに利上げに踏み切り、日銀も政策金利を引き上げた。日米がそろって利上げ局面に入ったことで、株式市場はどう動くのか。金融ストラテジストの岡崎良介氏は、今回のFRBの引き締めを「ITバブルを潰した時と同じようなスキーム」と見る。ただし規模はその半分程度にとどまり、米国株も日本株も3〜6カ月の冷却期間を経て、2027年ごろに再スタートを切ると予想する。大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は、チャートやデータを使って岡崎氏の議論を補足しつつ、引き締めが景気を冷やしすぎる「オーバーキル」の兆しにも注意を促した。

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金利による暴落にはまだ余裕がある

司会の柴田阿弥氏が株価暴落の危険性を尋ねると、岡崎氏は「株ですから何かの拍子に暴落することはある」と前置きしたうえで、金利が原因の暴落についてはまだ余裕があると答えた。

岡崎氏によれば、金利は株価とは性質が違う。ある水準に一瞬触れただけで風船が割れるのではなく、高い金利がどれだけの期間続くかによって経済への影響が決まる。同氏の計算では、2026年9月の米10年金利の平均はおよそ4.9%で、1年前は約4.1%だった。借入コストの上昇幅は0.8ポイントほどにすぎない。

過去と比べると差ははっきりしている。1987年10月のブラックマンデーでは10年金利が10%まで上がったが、1年前は8%で、上昇幅は2ポイントを超えていた。2022年の急激な利上げでも、ITバブル崩壊前の2000年でも、10年金利は1年で約2ポイント上昇した。岡崎氏は「2%ぐらい上がってくると、さすがに待ったがかかる」と述べた。今回の金利上昇は昨年から始まっており、市場には慣れもできているため、現在の水準だけで大きく崩れる心配はないというのが岡崎氏の見方だ。

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利上げ=株安ではない 8回の転換点から

岡崎氏は、1986年1月以降に米国の金融政策が緩和から引き締めへ転じた8回の局面を表にまとめて示した。同氏は1987年5月から資産運用の仕事をしており、「この8回のターンアラウンドについてはいくらでも話せる」という。

8回のうち、株価が暴落したのは1番目と7番目だけだった。岡崎氏はここから、「利上げをすれば株価が下がる」という単純な方程式では株は解けないと強調した。5番目の局面では、2004〜2006年に10回以上利上げし、2008年9月にリーマン・ブラザーズが破綻した。この経緯を10秒で要約すれば「利上げで株が下がり金融危機になった」となるが、実際には5年の時間がある。2番目の1994〜95年の局面では10年金利が2ポイント以上上がったのに、株価の下落は8.9%にとどまった。結果が分かれたのは、時代ごとの背景と、人々が株式市場に期待するものが違ったからだと岡崎氏は説明する。

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今回の利上げは「景気を冷やす」ための利上げ

続いて岡崎氏は、利上げ時点のインフレ率と政策金利を局面ごとに比べた。今回、FRBの手元にあるコアCPIは2.4%で、政策金利はそれを上回っている。実質政策金利はプラス1.3%程度だ。これに対し、7番目の局面ではインフレ率が6.4%なのに政策金利は0.25%だった。5番目と6番目も同じく、21世紀に入ってからの利上げは、インフレに追いつくための「正常化」だった。

今回は、すでに金利がインフレに勝っている。議長は「インフレ、インフレ」と言うが、理由はそれだけではないはずだと岡崎氏は見る。根拠として挙げたのが二つのデータだ。一つは失業率と自然失業率の差で、現在は0.1と軽い人手不足を示している。もう一つはマネーサプライで、前年比5.4%増えている。古いタイプの中央銀行家は、マネーサプライが増えている状態を景気過熱とみなす。労働需給がタイトで通貨量も増えている以上、米国の景気は過熱気味だというのが岡崎氏の判断だ。「インフレ退治」は世界に分かりやすい言い方にすぎず、正しくは「景気を少し冷やす」ことが今回の目的だという。

この点で今回は1〜4番目の局面に近く、中でも3番目と4番目に最も近いと岡崎氏は位置づけた。

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1997年と1999年の分かれ道

3番目は1997年である。当時アジア通貨危機が起きており、米国が利上げを続ければ資金が米ドルに吸い寄せられ、危機がさらに激しくなる状況だった。そのためFRBの利上げは1回で終わった。米国株はこの年に約4割上昇した。岡崎氏はこれを「他人の不幸は蜜の味」と表現した。アジアと日本が苦しんだおかげでFRBが利上げをやめ、投資家が強気になったという意味である。10年金利も7%から下がり続け、株式市場の追い風になった。

4番目の1999年は事情が違った。アジア通貨危機は収まり、IMFなどの努力でセーフティーネットも整った。FRBは海外を気にせず、米国の景気を冷やすことに集中できた。政策金利は4.75%から6回引き上げられ、10年金利は6.75%まで上がった。前年からの上昇幅は約2ポイントである。株価は利上げ開始から9カ月後ごろ、約15%上がったところでピークをつけ、そこからITバブル崩壊の下落が始まった。岡崎氏は、利上げ開始から210営業日後に6.0%から6.5%へ0.5ポイント引き上げたことが「息の根を止めた」と指摘した。

では今回はどうか。前週金曜日のCMEのFF金利先物から割り出すと、政策金利は現在の4.0%から5.0%程度まで上がるという見通しが広がっている。岡崎氏は、水準がITバブル崩壊時よりはるかに低く、利上げのペースもおそらく緩やかだと見る。FRBはITバブルがどう崩壊したかを知っているので、あの時のようには急がないだろう。そのため、バブルの縮小・冷却の規模はITバブルの半分ほどになるというのが岡崎氏の見立てだ。

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ITバブル崩壊の下落は「純粋には2割」

岡崎氏はさらに、ITバブル崩壊で米国株が半値になったという一般的な理解は誤りだと述べた。2001年の同時多発テロ、2002年のエンロンとワールドコムの不正会計事件という三つの出来事が重なったから、下落が大きくなった。ITバブルの変な企業が淘汰されただけなら、S&P500の下落は2割ほどだったはずだという。

今回は同じことにはならないと岡崎氏は考える。最大でも2割、FRBが手加減するのでおそらく1割程度の下落で、3〜6カ月の冷却期間で終わるという予想だ。

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見えないリスク プライベートクレジット

利上げの影響を直接受けるのは、信用リスクの高い企業だ。岡崎氏によると、米国の格付けで最低ランクのトリプルCの企業は、統計上100社のうち1年後に残るのが85社程度で、15社は破綻する。だから15%の金利を払えという、「血も涙もない」世界だ。

問題は、そのトリプルCのさらに下にあるプライベートクレジットである。トリプルCまでなら格付け会社の情報を買えば実態が分かる。しかしプライベートクレジットの中身は、アポロなど資金を出している運用会社にしか分からないブラックボックスだ。昨年も詐欺的な事件があったように、焦げ付きが隠れているかもしれない。「AIは本当にもうかるのか」という疑念が広がれば、貸し手や株の買い手が怖くなり、負のスパイラルが起きる可能性がある。そうなれば、意図した冷却ではなく「やりすぎた」冷却になるリスクが残ると岡崎氏は注意を促した。

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木野内氏が見る「オーバーキル」の兆し

木野内氏は、前編で示した図を使って岡崎氏の話を整理した。金融引き締めがうまく軌道に乗るパターンもあれば、インフレや景気がオーバーシュートして引き締めをやり直すパターンもある。そしてやり直した後も、再びオーバーシュートする場合、景気を殺してしまう場合、うまくいく場合に分かれる。木野内氏によれば、岡崎氏が挙げた3番目と4番目の局面は、まさにこのやり直しの場面にあたるという。

木野内氏が気にしているのは、長期金利が上がっているのに、景気敏感株の代表である米国の輸送株が下がっていることだ。輸送株はエアラインを含むため原油価格にも敏感だが、景気が強くて金利が上がっているのなら輸送株は上がっているはずだ。下がっているのは、引き締めの悪影響がすでに出ているからではないか。木野内氏は、米国でも景気を冷やしすぎている可能性が出てきたと見る。

それでもFRBは満足しないだろうと木野内氏は予想する。ADP雇用報告は強く、失業保険の継続受給者数も低いので、今週末の雇用統計は強く出やすい。さらに9月のCPIでは、ガソリンが前月比で8%前後上がっているとみられる。エネルギーのウエートは6〜7%ほどあるため、総合指数の前月比を0.6ポイントほど押し上げるはずだという。そうなればFRBは「もっと景気が冷えるまでやる」と構えかねず、話が変わってくる。

意外にも、金利高のわりにREITや商業用不動産は悪くない。木野内氏は、これらにデータセンターが含まれているためAIの恩恵を受けているとみる。一方で、ジャンク債やプライベートエクイティ関連の株はかなり下がっている。加えて米国では、銀行が貸し出しやすくなるよう金融規制を緩める動きがある。これまでプライベートエクイティやクレジットは、銀行が規制で貸せない分の資金需要を取り込んできた。銀行が貸せるようになれば、そこへの資金流入が止まる。投資家から解約を求められれば貸付債権を売るしかなく、その売却が市場を悪くし、保有資産の評価損がさらに膨らむ。木野内氏はこの連鎖を懸念する。ただし、ジャンク債は年末にリバウンドしやすく、今の悪化には季節的な面もあると見ている。年末までにクレジットの悪化が深刻化することはないだろうとしつつも、年末までは注意が必要だと述べた。

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米国の利上げは日本株に悪くない

木野内氏は、米国の利上げは日本株にとって必ずしも悪くないと話した。米国が利上げできるのは景気が悪くないからだ。日経平均とFF金利を並べると、2022年3月に米国が利上げを始めた時、米国株は半年ほど下げたが、日本株はちょうど底を打った。逆に米国が緩和を始めると、米国株は上がっても日本株は上がらない。米国が景気を殺しにきている可能性はあるが、景気はすぐには死なない。そのため木野内氏は、しばらくは日本株に良い環境が続くことを「お祈りしている」と語った。

岡崎氏はこれを補足した。アベノミクス相場が始まって以降、米国株が日本株に与える影響は統計的に小さくなった。かつては米国が1下がれば日本は1.5下がったが、最近の月間騰落率では、米国が10下がっても日本は5程度だ。その裏返しとして、日本株を押し上げてきたのは円安の力が大きかったことになる。岡崎氏が最も危険だと見るのは、米国でクレジットの問題が出て株が下がり、米国が利下げに動き、同時に円高が進む展開だ。その場合は日本株がピンチになるという。

23:24

AIバブルは崩れても「本物」は残る

AI・半導体分野のバブル崩壊の可能性について、岡崎氏は「バブルだったら崩壊する」と答えた。しかし、実を結ぶ大きな木に育つものなら話は別だという。例に挙げたのはITバブルだ。当時は光ファイバーや通信技術の進化に無限の可能性を見て資金が集まった。岡崎氏自身もそうした株を買い続け、「大失敗したグループ」だったと振り返る。それでも崩壊から15年たつと、当時の夢は現実になった。Wi-Fiで映画を見るのは当たり前になり、Netflix、Amazonプライム、YouTubeが生まれた。夢は間違っていなかったのである。

AIについても、岡崎氏は「すでにやりすぎてしまった」と考えている。そのうえで、いったん落ち着いた後に本物が生まれるという見方を示した。ハイパースケーラーの数は多すぎ、Amazon、Google、Microsoftなどの間で淘汰が始まっていると見る。

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SOX指数が示す「NVIDIA一強」

淘汰の進み具合を最も分かりやすく示すのが、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)だと岡崎氏は言う。今年6月22日にSOX指数はピークをつけ、その後29%下落した。岡崎氏は構成30社のうち10社の値動きをピーク以降追った。そこから見えたのは、30社あっても結局はNVIDIAだけという構図だ。最近はAMDも健闘していたが、やはり及ばない。マイクロンが急騰した時期などもあったが、AI相場の本命は最初から最後までNVIDIAだったのではないかと岡崎氏は考える。その周りに、NVIDIAを支えるTSMC、TSMCを支えるアドバンテスト、さらにそこへ供給する東京エレクトロンといった複合体ができている。

岡崎氏は投資家の行動を競馬にたとえた。ゲートが開くと、どの馬にもチャンスがあるように見える。そして投資家は出遅れた馬が追いつくのではないかと考え、出遅れ組を買う。これはいつものことだという。AI相場は続いているが、銘柄の選別はこれからさらに厳しくなる。それが岡崎氏の率直な感想である。

26:52

ハイパースケーラーの明暗

ハイパースケーラーの巨額投資のリスクについて、岡崎氏が問題視するのは、投資を自社のバランスシートに載せないオフバランスで進めている2社、メタとオラクルだ。オラクルはジャンク扱いになりつつあり、脱落が始まったと言ってよいという。逆に無傷なのは、ハイパースケーラーの競争に参加しなかったAppleだ。

Amazon、Google、Microsoftには毎日キャッシュフローが入ってくる。Amazonにはショッピングとクラウドがあり、世界中から税金を取るような会社だと岡崎氏は表現する。GoogleとMicrosoftも同様だ。一方メタは、ヒットしたアプリで一時的に稼いでも、いずれ廃れていくことを繰り返しているため、キャッシュフローに不安がある。岡崎氏は、ハイパースケーラーの本命はこの3社で決まったのではないかと述べた。

28:12

木野内氏の長期観 コンドラチェフの波と「利回り革命」

木野内氏は、より長い時間軸で議論を整理した。半世紀に一度デフレから脱却するというコンドラチェフの波があり、脱却から十数年後にイノベーションが起きるという。前回のデフレ脱却局面は今とよく似ていた。長期停滞論が唱えられ、高圧経済でうまくいった。財務省とFRBがアコードを結んで金利を抑え、量的緩和で中央銀行が買った国債は、少しプレミアムを付けた非市場性の国債に借り換えさせて「塩漬け」にした。木野内氏によれば、今日の長期金利をめぐる議論は、量的緩和の後始末の話にあたる。

当時は金利が上がりながら株も上がった。イノベーションが起きたからである。木野内氏が集めたデータでは、1950年代に商用コンピューターが登場してからIBMの大天井まで20年余りあり、その間IBMの株価はおよそ100倍になった。今はそれを繰り返している最中ではないかとして、まだ先行きの心配はないと述べた。

金利上昇下で株が上がった理由について、木野内氏は株のバリュエーションが変わったからだと説明した。1950〜60年代の日本では「利回り革命」と呼ばれる現象が起きた。それまでは、株は損をするかもしれないから配当利回りは預貯金金利より高くなければならないと考えられていた。それが逆転したのである。1995年以降のデフレで再び配当利回りが預貯金金利を上回ったが、最近は株でそれほど損をせず、増配も続いている。現在は長期金利が配当利回りに並んだか追い越したあたりだ。いずれは、金利が高くても成長して増配するのだから低い配当利回りでもよい、と投資家が考えるようになる。木野内氏は、本命銘柄が上がり続け、高いバリュエーションが許容される「金利高にもかかわらず株高」という状況になるのではないかと述べた。

32:04

日本株は「リフレ相場」を消すための調整を

話題は日本に移った。日銀は政策金利を1%から1.25%に引き上げた。岡崎氏は、日本株はまだそれほど膨らんでいないので大暴落はないとみる。ただ、1〜2割の下落はあってもおかしくなく、日経平均が6万円を割る程度、TOPIXは1割程度の下落を想定する。

経済財政担当大臣がリフレ政策の局面は終わったと発言したことについて、岡崎氏は「それはそう言いますよ」と一蹴した。我々が見ている数字はすべてインフレが乗った名目の数字であり、それに対して金利が低かったから株価が水膨れしているというのが岡崎氏の見方だ。企業業績もインフレ分が乗った名目値で、企業物価指数が7%もあれば業績が良く見えるのは当然だという。

そのため岡崎氏は、年内に一度きちんと調整した方がよいと考えている。13〜14%の下落では足りず、20%規模の調整が必要だという。根拠はSOX指数が29%調整したことだ。日経平均はSOX指数と半分程度連動するので、15%以上の調整が必要だったと岡崎氏は見る。最も不安なのは「ハリボテ相場」であり、リフレ相場の要素を日本株から完全に消し去ることが「きちんとする」という意味だと説明した。日本株は3〜6カ月ほど伸び悩む。その間に、1年もかからずに金利上昇分に見合うだけの実質成長が出てくる。そして2027年、あるいは2027年度に再スタートを切る、というのが岡崎氏のイメージだ。

銘柄選びについて岡崎氏は、金利上昇に負けないバリュー株が復活すると予想する。さらに、バリューかグロースか、攻めか守りかという二択に加えて、「クオリティ」が必要だと強調した。信用が悪化し金利が上がる局面では、信用力の高い会社が見直される。一度そうした投資で出直せば、個人投資家も10年持とうと思える銘柄を見つけられるはずだという。

35:17

日銀は2%まで、長期金利は3.25%程度

今後の追加利上げについて、岡崎氏は政策金利がインフレ率と同じ2%まで上がると予想する。一方、10年金利はそれほど変わらないと見る。政策金利との差は1.0〜1.25ポイント程度なので、政策金利が2%になっても10年金利は3.25%程度にとどまるという。

その理由として岡崎氏は日本人の貯蓄の多さを挙げた。メディアは「預金はインフレに負ける」と報じるが、岡崎氏はこれを誤りだという。年間500万円を消費する人は、1000万円、2000万円、あるいは1億円単位の預金を持っている。消費に回るお金の数倍の預金に1〜2%の利息がつけば、物価上昇分はすぐに賄える。そうなれば国内で貯蓄と投資のリバランスが起き、金利上昇は止まるはずだ。家計の預金だけで日本の財政赤字はファイナンスできるので、日本の長期金利上昇は米国より心配ないというのが岡崎氏の見方だ。

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円安が続けば国力が衰える

為替について岡崎氏は、円安傾向がこのまま続けば日本の国力が衰えると考えている。購買力の低下よりも重要なのは、円安が「日本人が安い」ことを意味する点だという。日本人が海外から安く買われる労働者になっていく。日本の国力を支える若者が世界に負けない人材に育つには、留学や武者修行で海外に出る必要がある。しかし1ドル160円、1スイスフラン200円では行けない。10年後、20年後の国力が損なわれるという。

岡崎氏は120円や100円を目指せと言っているわけではない。コロナ禍の100円が最後の円高局面だったと見ている。そのうえで、円の先高感を作らなければならないと主張した。そのためにもリフレ論の終わりをもっとはっきり打ち出し、日銀も実質金利がプラスになるまでの姿勢を見せるべきだという。実際にそこまで実行するのはおそらく難しいとしても、である。

木野内氏は、米国の住宅価格の伸びとドル円レートを3年ほどずらすと連動して見えるというチャートを示し、ここから先は円高気味になる可能性があると述べた。岡崎氏はこれを受けて、家賃は米国のサービス物価そのものであり、今後3年ほどサービス物価が鈍化するなら、FRBの利上げは適度なところで止まり、再び緩和に動けると応じた。木野内氏も、家賃の鈍化で物価が落ち着き、原油価格がピークアウトすれば、FRBはそれほどタカ派にならずに済み、米国側の要因から円高が進む可能性があると話した。

原油について岡崎氏は、供給側の議論がにぎやかだが、需要側から価格を下げる方法もあると指摘した。景気が少し冷え、データセンターの電力消費も抑えられれば、原油需要が減って価格が下がる。利上げがうまく噛み合えばそうしたシナリオも見えてくるという。これに対し木野内氏は、中国が来年の共産党大会を前に原油を買い始めているため、価格はなかなか下がらないかもしれないと返した。岡崎氏が「もう一度不動産バブルが崩壊すればいい」と冗談で応じたところで、対談は締めくくられた。