「ゾンビ腸」とは何か 小林弘幸氏が語る腸内環境と食事・生活習慣

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概要

便秘、お腹の張り、肌荒れ、疲れ、イライラ。こうした不調を「いつものこと」と放置していると、腸の働きが弱った「ゾンビ腸」になっているかもしれない。この回では、元テレビ東京アナウンサーの松丸友紀氏が聞き手となり、自律神経の専門家で順天堂大学医学部特任教授の小林弘幸氏に、腸内環境が全身に与える影響と改善法を聞いている。小林氏の立場ははっきりしている。「健康を語るなら、まず腸を味方にしないと絶対に無理」だという。

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健康な腸はピンク、ゾンビ腸は真っ黒

小林氏によれば、「ゾンビ」という名前には、不気味で、広がっていき、なかなか抵抗できないという悪いイメージが込められている。通常の腸とゾンビ腸の決定的な違いを一言で言えば「色」だという。健康な腸はピンク色だが、ゾンビ腸は真っ黒になる。

番組では、小林氏の患者2人の腸の画像が示された。どちらも20代から30代である。1人は市販の下剤を1日100錠飲んでおり、もう1人は1日最高600錠を毎日飲んでいた。600錠は「どんぶりいっぱい」の量だと本人が話していたという。本来ピンク色できれいな腸が、こうした服用で不気味な色に変わってしまったのが、小林氏の言うゾンビ腸である。

なぜそこまで量が増えるのか。小林氏の説明では、もともと便秘で2錠ほど飲んでいたが、出ないので4錠、8錠、10錠と増えていく。そのうち便秘解消ではなく「痩せるため」に飲むようになり、下痢をして痩せようとする段階に入ると、8錠でも効かなくなって倍々に増え、600錠まで達する。小林氏はこれを「案外と危険」だと述べた。容量を守っているかと松丸氏が尋ねると、小林氏は「もう皆さん守ってない」と答えている。

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色が悪い腸では「毒」が体に溜まる

色が悪い腸は、吸収も排泄も悪くなると小林氏は言う。悪いものが外に出ていかず、体の中に毒が溜まるイメージだという。そしてその影響は腸だけにとどまらず、肌、肝臓、脳、メンタルなど、さまざまなところに及ぶ。

では、下剤を大量に飲んでいない普通の人もゾンビ腸になるのか。この問いに小林氏は「なります」と答えた。食習慣が悪い、睡眠が悪い、運動をしない。こうした生活習慣が重なると、同じような道をたどることになるという。

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脳腸相関と新型コロナウイルス

腸は他の臓器にも影響する。小林氏はまず「脳腸相関」を挙げた。脳で考えていることは腸に影響し、腸の状態も脳に影響する。そのため、うつ病、パニック障害、認知症なども腸と関係があり、腸を見直す必要があるという。

この関心に火をつけたのが新型コロナウイルスだった、と小林氏は振り返る。流行時には、高齢者、糖尿病の人、肥満の人は注意が必要だと言われた。小林氏によれば、この三者に共通するのは腸内環境が悪いことであり、腸内環境の悪い人が感染すると重症化してしまう。これをきっかけに腸内環境が注目されるようになった、というのが小林氏の見方である。「腸活」という言葉については、今は「腸育」、つまり育てる方の言葉の方がいいと述べている。

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ゾンビ腸予備軍と増える大腸の病気

ゾンビ腸予備軍になりうるのは、生活習慣が乱れた人だと小林氏は言う。食物繊維を取らない、運動しない、睡眠が短い、暴飲暴食がある。こうした人はゾンビ腸予備軍になる。

小林氏は大腸がんや直腸がんで亡くなる人のニュースが増えていることにも触れ、それは話題として取り上げられているだけではないと述べた。女性の死因(がん)の1位は大腸がんで、男性もすぐ1位になるだろうとし、腸の病気が非常に増えているのは事実だと話した。

小林氏の著書にはゾンビ腸のいくつかのパターンが載っており、松丸氏が驚いたのは「体臭ゾンビ」だった。小林氏は便秘外来の経験として、診察室に入ってきた瞬間にひどく臭う人は、相当便が溜まっているという。いわゆる悪臭で、口臭にもなり、体からも出てくる。小さな子どもの場合は学校でいじめにあうこともあり、子どもにもゾンビ腸予備軍はいると小林氏は述べた。毒が体中に回り皮膚にも影響していると見た方がいい、というのが小林氏の説明だ。

もう1つのパターン「ムキムキゾンビ」は、筋肉質で健康そうな響きとは違う。小林氏によれば、揚げ物や肉類などタンパク質ばかりを取りすぎると、腸の筋肉だけが異常に肥厚し、かえって動きづらくなる。腸には粘膜のほかに内輪筋と外縦筋という筋肉があり、それが太ると、その分動きが悪くなるという。

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セロトニンと悪循環、そして「腸は裏切らない」

メンタル面との関係について、小林氏は「幸福ホルモン」と呼ばれるセロトニンを挙げた。小林氏によれば、セロトニンは8割方腸で作られる。ゾンビ腸になると作る機能が失われ、セロトニンが出ずにうつになる。うつになると腸の動きがさらに悪くなり、悪循環に入っていく。

一度そうなると戻すのは大変なのか、という問いに対し、小林氏は腸を「すごく利口な臓器」と表現し、やったことに対しては裏切らないと答えた。生活習慣を見直せば必ず良い方向に復活するので、絶対にやった方がいいという。

セロトニンについて松丸氏が「朝起きて日光を浴びると増える」と聞いたことがあると話すと、小林氏は、太陽の光を浴びて朝食をしっかり取ればセロトニンはどんどん増えると応じた。やっているようでやっていない人が多い、とも付け加えている。

健康にお金はかけない、習慣化が最も重要

お金もかからず簡単にできる、という松丸氏の感想に対し、小林氏は「基本的に健康はお金をかけるものではない」と述べた。今あるものを利用すればよく、お金で解決しようとしても長続きせず、良い方向にも行かないという。

小林氏が最も重要だとするのは「習慣化」だ。ハードルを上げると手が出なくなるので、1週間に1つでもできることを見つけ、それを毎週増やしていくのがいいと勧める。

小林氏自身の実践も語られた。前回の出演で「ジムに行かなくても階段の上り下りだけでいい」と話していたが、この日は電車で来て、短い距離でなぜエスカレーターを使うのかと思い、階段を1段飛ばしで上ってきたという。また10月から、スクワット100回、腕立て伏せ100回を1日の目標にした。ハードルが高いのではと問われると、この日は40回ずつ分けてやっていると答えている。

ゾンビ腸という言葉は誇張に聞こえるかもしれないが、小林氏は、最も怖いのは最後に大腸がんが待っていることだと述べる。そこに行き着く前に早めに気づき、リセットすることが重要だという。

松丸氏の体験:ヨーグルトで変わったこと

前回、自律神経をテーマにした回で小林氏がヨーグルトを勧めたのを受け、松丸氏はその後ヨーグルトを食べ始めたところ、「劇的に変わった」という。悩みだった便通がすっきり解消し、ヨーグルトだけでこんなに変わるのかと思うほどだった。小林氏は、それまで何もしていなかった人は劇的に変わると応じ、反応するものがない生活をしていると、ちょっとしたものが入るだけで全然違うと説明した。

松丸氏はその後も続けており、一時期あった胃の不調がなくなり、睡眠もぐっすり取れるようになったと話す。フリーになった時期に自律神経が乱れ、めまいなどの不調があったが、今は落ち着いているという。ヨーグルトだけが理由ではないだろうと断ったうえで、体感として腸内環境は良い状態だと話している。

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高齢男性で増える便秘と定年退職

便秘は若い女性のイメージが強いが、小林氏の外来では高齢男性の便秘が増えているという。小林氏が紹介した厚生労働省の統計では、50代くらいまでは女性が多いが、60歳を超えると男女比が同じくらいになり、80歳を超えると男性の方が多くなる。65歳で急激に増えることについて、小林氏は「定年退職だと思う」と個人的な見方を示した。

小林氏の解釈では、便秘の原因は生活習慣とメンタルである。退職後は家にいると邪魔だと言われて居場所がなくなり、朝起きて出かけるという生活パターンもなくなる。そこに運動不足が加わって便秘になる。また女性は便秘に敏感で美容とも関係するため病院に行くが、男性は時間がなく行っていなかったのが、退職後に行けるようになるという面もある。小林氏は「面白い統計」として、60歳前の男性はヨーグルトなどに頼るが、60歳を超えると薬に頼るようになると紹介し、生活パターンの変化が表れた結果だと述べた。

退職して時間ができればメンタルも良くなりそうだという松丸氏の見方に、小林氏は「悪影響ですね」と返した。仕事中は若い人も仕方なく話しかけてくれたが、退職後は誰も話しかけてくれず、孤独を感じる一方だという。

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腸内細菌は「善玉・悪玉」から「有用・有害・日和見」へ

腸内細菌の数について、小林氏は学説によって幅があるとしたうえで、約500種類、40兆とも100兆とも言われ、今は40兆とする研究者が多いと説明した。量にすると1.5リットルのペットボトル1本くらいだという。

呼び方も変わり、以前の善玉菌・悪玉菌は、今は有用菌・有害菌と呼ばれるという。これに日和見菌を加え、どういう腸内環境が良いかを100人の医師に聞けば、必ず「有用菌2割、有害菌1割、日和見菌7割」と答えると小林氏は言う。日和見菌は、良いときは良い方に、悪いときは悪い方に味方する菌である。

なぜ有害菌が1割いなければならないのか。有害菌がゼロで有用菌3割の方が良さそうに思えるが、小林氏によれば、有害菌がいないとかえって体調が悪くなる。小林氏はこれを政治にたとえた。野党がいないと与党がサボるように、悪玉菌がいないと善玉菌がサボってぼーっとしてしまう。悪玉菌は「かわいそうだけど必要悪」だという。

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ヨーグルトは「転校生」、種類を変えるとよい

この文脈で、小林氏はヨーグルトの働きを説明した。小林氏が紹介したアンケートでは、ヨーグルトを食べると腸内環境が良くなると本当に理解している人は少なく、みんなが食べているから食べている人が多いという。

小林氏のたとえでは、ヨーグルトは「転校生」である。別の菌が入ってくると腸内がざわつき、ぼーっとしていた菌が刺激を受けて目を覚ます。ヨーグルトの菌は2週間ほどで出ていってしまうので、継続して刺激を与えることが大事だという。さらに、同じ子が転校してきても驚かないように、毎日違う子が来た方がいいので、種類も変えた方がいいと勧めた。

小林氏はここから、腸内環境は人の人生に似ていると話を広げた。良いときもあれば悪いときもあり、刺激がないとだめで、悪いことがあってもそれが刺激になって良い展開になることもある。腸内環境の正解は人生と同じだ、というのが小林氏の考えである。

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長雨とインフルエンザ、免疫の7〜8割は腸に

小林氏は今年の外来で大きな変化を感じているという。雨が40日ほど続いたが、以前から便秘で通院し腸内環境を整えている患者は案外元気だった。一方、初診で来る患者は体調不良、倦怠感、頭痛、めまいなどにやられていた。検査データに異常がないため、乳酸菌と食物繊維を出すと案外改善するという。腸はこうした異常気象にも対応できる状態にしておかないと厳しい、と小林氏は述べた。

小林氏の説明では、雨が続くと低気圧で交感神経が下がり、体が動けなくなる。さらに副交感神経も上がってこないので腸が動かず、腸内環境が悪くなり、倦怠感や頭痛、めまいといった不定愁訴が起きる。患者数は例年の約2倍に増えていると小林氏は報告した。

インフルエンザの大流行についても、小林氏は腸がダメージを受けて免疫が落ちたためだろうと推測している。免疫細胞の7割から8割は腸にあり、腸がだめになると免疫が落ちるというのが小林氏の説明だ。

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腸内フローラが乱れると何が起きるか

腸内フローラは腸内細菌と同じ意味で、40兆の細菌が腸の表面に埋まっている様子が花畑のように見えることからそう呼ばれる、と小林氏は説明する。

これが乱れて有害菌が増えると、硫化水素、インドール、アンモニアなどの毒を出し、それが肝臓を伝わって心臓に行き、全身に回る。その結果、糖尿病やアレルギー、全身の倦怠感、肌荒れ、不眠などさまざまな症状が出る。それが積み重なると病気になり、生活ができなくなる人も多いという。小林氏はまた、腸内環境が悪いと労働生産性が落ち、腸内環境の悪い人を多く雇っている会社は生産性が低いというデータもあると紹介した。

健康診断に腸の検査を取り入れるべきかと問われると、小林氏は「やった方がいい」と答えた。大腸がんが増えているので、行政が実施している便潜血検査を受けられるならきちんと受けるべきだという。

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ゾンビ腸の先にある大腸がん

ゾンビ腸をこじらせると最終的に大腸がんになりうるかという問いに、小林氏は「言えます」と答えた。ゾンビ腸は結局「炎症のなれの果て」であり、炎症が続けば大腸がんになるという。下剤の飲みすぎも大腸がんのリスクを上げると小林氏は述べた。腸の病気には過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎などいろいろあるが、便秘は大腸がんのリスクが高いので、便秘だからと放置せず改善に向かうべきだという。

血液の質との関係については、コレステロールや糖尿病にも影響し、ひどい場合は肝臓を通って全身に回るため肝臓にもダメージを与えかねないと説明した。

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食事の基本:朝食、よく噛む、寝る3時間前までに夕食

腸を整える食事について、小林氏はまず3つの基本を挙げた。朝食を必ず取ること、よく噛むこと、夕食は寝る3時間前までに終えて腹八分目にすること。これを守ったうえで、食事内容として食物繊維などを取ることが重要だという。

タンパク質については、細胞や骨を作る重要な物質だとしながらも、「皆さん極端すぎる」と指摘した。タンパク質と言えばタンパク質だけ、油と言えば油だけになりがちだが、重要なのはバランスで、普通に食事をしていればタンパク質も十分取れるはずだという。過度な食事制限やダイエットはやめた方がいいと述べた。

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朝食は起床後1時間半以内に、しっかりと

松丸氏が、朝食が苦手でブランチと夕食の1日2食になっていると打ち明けると、小林氏は「正直言ってアウト」と答えた。小林氏の説明では、朝食の意義は夜から朝へ体を起こすことにある。人の体には37兆個の細胞があり、その中に時計が入っている。そのスイッチを押すのに必要なのが朝食と日光で、朝食を取らなければ体は夜のままだという。昼食でスイッチが入ればいいのではという質問がよく来るが、小林氏によれば、起きてから1時間半以内に食べないとスイッチは入らない。もっとも小林氏は、こうした論文が出て時間の重要性が分かってきたものの、1時間半でなく2時間程度でも、起きてから少しの間に食べるのが常識的になっていくだろうという言い方もしている。

量については、以前はヨーグルトとバナナだけでいいと言っていたが、今はそれでは体が動かないことが分かってきて、しっかり食べるべきだとされているという。おにぎり1個については、食べないよりは良いのは間違いないが、しっかり食べることを心がけた方がいいと答えた。

小林氏自身は、そうした論文が出てから吉野家の朝食をよく食べているという。焼き魚に牛丼の具が少し乗り、味噌汁、ご飯、サラダが付いて800円ほどだと紹介した。自宅では、ご飯、納豆、漬物を用意し、味噌汁はインスタントでもいいので添えて食べている。最低限、味噌汁と納豆とご飯と漬物、それが無理ならおにぎりと味噌汁でもいいので、とにかく食べてほしいと強調した。

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食べる順番より「よく噛む」こと

野菜から食べると血糖値の上昇が抑えられるという話について、小林氏は自分でも試したが、そこまで変わる感じではなかったという。それよりも重要なのはよく噛むことだと述べた。

小林氏によれば、噛むことの最大の効果は免疫力を上げることだ。よく噛むと唾液の量が増え、唾液にはIgAという、小林氏の言葉で「ロケットミサイル」のようなものが含まれている。コロナ禍で会話を控え、食事時間を短くしたことも、免疫が落ちた原因の1つだと小林氏は考えている。

ただし、噛む回数を数えるのはストレスになり逆効果だという。小林氏が勧めるのは、朝食・昼食・夕食それぞれにかかる時間を測り、5分延ばすことだ。例えば朝食15分を20分にすれば、噛む回数は自然に増える。小林氏はさらに、源頼朝の鎌倉幕府の時代と比べて現代人の噛む回数は大きく減っており、それが免疫が落ちてきた理由ではないかと述べた。この数字は、昔の食べ物の種類から必要な噛む回数を逆算したデータに基づくと説明している。

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ガムの効果、フレイル、スポーツの現場

噛むことは自律神経にも影響すると小林氏は言う。野球選手がガムを噛むのは、かつて行儀が悪いと言われたが、格好をつけているのではなく、免疫機能を上げたり自律神経を整えたりするためだという。小林氏はスポーツ選手に、試合直前までガムを噛んでリズムを取ることを勧めている。ガムを噛むと表情筋が緩み、全身がリラックスできるという。松丸氏のように本番前に一気に緊張が上がる仕事でも、ガムを噛んでから入るのと入らないのとでは「入りが全然違う」と小林氏は話した。

噛む力はフレイルとも関係する。小林氏によれば、フレイルは体力が弱って動けなくなることで、その出発点がオーラルフレイルだという。噛む力がなくなると食べられる食材が限られ、栄養が偏り、筋肉が衰えて動けなくなる。対策としては、歯に問題がなければガムやグミを噛む、食事時間を長くして噛む回数を増やす、虫歯や歯周病の治療をして丈夫な歯を保つことを挙げた。スルメも口や顎を鍛える意味で良いという。

以前の番組で歯科医が「ガムや飴は歯に良くない」と話していたことを松丸氏が持ち出すと、小林氏は、噛むことと手入れは別の話だと整理した。歯が悪くなるのはほとんど手入れの問題なので、ガムを噛んでもいいが、歯磨きなどのケアはしっかりすべきだという。

小林氏は千葉ロッテマリーンズのチームドクターの統括責任者を務めており、検査データを見るだけでなく、最も力を入れているのは腸内環境だという。5年前と比べて選手の腸内環境は明らかに良くなり、怪我が少なくなり持久力もついてきたと小林氏は話す。腸内環境をベースに整えておけば睡眠や疲労回復にもつながり、これは先に挙げた労働生産性の話とまったく同じだと述べた。

若者にも多いゾンビ腸

ゾンビ腸は若者にも多いのかという問いに、小林氏は「もういっぱいいますよ」と答えた。「腸は第2の脳」と言われるが、小林氏は逆で「脳は第2の腸」だとし、脳は腸に逆らえないと述べた。

収録はここで前半が終わり、後半では腸を整えるための具体的なアドバイスが予告されている。予告の中で小林氏は、食事・睡眠・運動に加え、腸を伸ばしたり縮めたりする動きに触れ、続ければ「1か月経ったら別人になる」と話していた。その具体的な中身は、この字幕の範囲では語られていない。