タコを愛して40年の店主と、卵を愛する夫婦の店 ひとつの食材に偏ったメニューの裏側

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概要

ひとつの食材が好きすぎて、メニューがその食材ばかりになってしまった店がある。「news every.」の特集は、タコ料理を30種類以上そろえる東京・千駄木の店と、卵料理を300種類以上作ってきた埼玉県戸田市のカフェを訪ね、料理の中身と、店主がその食材にのめり込んだ経緯を紹介している。

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千駄木の坂の途中にあるタコの店

最初の店は、谷根千として知られる文京区千駄木にある。坂を少し登ると、提灯がタコの足の形になった店が見えてくる。店名は「たこや三忠」だ。店内はタコ好きの客でにぎわっている。客の一人は、タコが大好きだが、これほど多くの種類を食べられる店は他にないと話す。2種類のタコにウニなどを乗せた丼や、タコ入りコロッケの「タコロッケ」も人気だという。

店主は「タコに恋して40年」という佐藤さんだ。タコの面白さについて佐藤さんは、部位によって食感が違い、切り方でも食感が変わると話す。刺身やたこ飯など、メニューは30種類以上にのぼる。

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一番食べてほしいのは「踊り食い」

佐藤さんが一番食べてほしいと挙げたのは踊り食いだった。その日に仕入れた活きのいいタコを、注文が入ってからさばく。リポーターが箸を近づけるとタコはまだ動いていて、食べると口の中で吸いついてくる。

この日のタコは横須賀産だった。佐藤さんによれば、潮の流れがある場所にいたタコは身が締まっており、その分足が短く太くなる。こうしたタコを毎日選んでくることが、仕事のひとつになっているという。国産のタコにこだわる佐藤さんは毎日豊洲市場に通い、40年の目利きで身の締まり具合やオスかメスかを見てタコを選んでいる。

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高さ20センチの明石焼き

次に勧められたのは、オリジナルの明石焼きだ。明石焼きは普通ひと口大だが、運ばれてきたのは高さ20センチの山形の一品だった。小麦粉は使わず、卵の白身を泡立ててタコを加え、山形に整えてオーブンで焼き上げる。佐藤さんは、掘るとタコの宝が出てくるようなイメージだと説明する。

温かい出汁にくぐらせて食べると、リポーターは、口当たりはふわふわなのに一瞬で消え、後からタコが強い存在感で来ると感想を述べた。

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硬いと言われ、柔らかすぎると言われて

佐藤さんは最初からタコ専門の店を目指したわけではない。29歳のとき念願の日本料理店を開き、当初は普通の和食、とくに会席料理がメインだった。

転機は客の一言だった。タコの刺身を出したところ、硬くて噛み切れないと言われた。そこで柔らかくしようと、その場にあった大根でタコを叩いてみた。確かに柔らかくなったが、今度は柔らかすぎてタコの食感がまったくない、歯ごたえがなければタコを食べる意味がないと言われてしまう。

これで料理人魂に火がついた。隠し包丁を入れるなどあれこれ試すうちに、柔らかいのにぷりぷりした食感にたどり着いた。調理の仕方ひとつで食感ががらりと変わる。佐藤さんは、どの調理法が合うかを試行錯誤しているうちに、タコそのものがすっかり好きになったと振り返る。気づけばメニューはタコだらけになっていた。

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世界最大の水ダコをしゃぶしゃぶで

タコの種類にもこだわりがある。店では一般的なマダコに加えて水ダコを扱う。水ダコは足だけで1メートル以上になる世界最大のタコで、水分が多いことからその名がついたという。リポーターは実物の大きさに驚いていた。

佐藤さんが旨みが一番わかる食べ方として勧めるのが、しゃぶしゃぶだ。水ダコを凍らせて薄くスライスすると、見た目にはタコと思えない美しい一皿になる。出汁へのくぐらせ方にもこだわりがあり、いったん火を止め、低温の出汁にくぐらせる。リポーターは、温めて食べる刺身のようだと表現し、タコでは感じたことのないしっ名取した食感で、ふわっとした後にもちっとくると感想を語った。

9:02

佐藤さんが目を輝かせる「吸盤」

タコ愛が止まらない佐藤さんが目を輝かせるのは吸盤である。可愛いと言い、こういう細部まで愛でるのが偏愛だと番組は伝える。中が空洞になっている部分など、見たことがある人はあまりいないだろうと佐藤さんは話す。

吸盤は片栗粉をまぶして天ぷらにする。佐藤さんのおすすめは小さい吸盤で、リポーターはおやつのようだと言い、吸盤ならではのコリコリ感を評価した。タコにこんなに可能性があるのかという問いに佐藤さんはうなずき、番組は佐藤さんのメニュー開発がまだ続きそうだと締めくくった。

10:09

戸田市のキッチンカーで行列になる卵サンド

2軒目の舞台は埼玉県戸田市だ。きっかけは、キッチンカーで売られていた卵サンドだった。噛むと出汁とマヨネーズがあふれ出し、出店するとすぐ行列ができるという。作っているのは卵マニアの夫婦で、出し巻き卵をその場で焼き上げるためふわふわに仕上がる。マヨネーズを塗ったパンで出し巻き卵を挟む。

この夫婦の店は、路地裏にたたずむ「エッグカフェ アンバー」である。開店して6年、店内は客でにぎわっている。客からは、卵だけの店は珍しい、家ではなかなか食べられない味だ、卵の味が濃いのでどのメニューもおいしい、といった声が聞かれた。

11:56

「主役にも引き立て役にもなれる」卵

妻は卵の魅力について、主役にも引き立て役にもなれ、みんなを幸せにできる食材だと考えていると話す。卵の魅力に取り憑かれていると言っても過言ではないほど卵を愛しているという。

夫婦が惚れ込んだのは、地元埼玉の「ハッピー卵」だ。加熱するとさらに味が濃くなる卵で、とにかく黄身が濃厚だという。これを焼き上げた名物の卵サンドは厚さおよそ10センチある。かぶりついたリポーターは、茶碗蒸しに近い味わいで出汁をしっかり感じられると評した。

店ではほかに、オムライスにうなぎととろろを乗せた「うな玉オムライス」や、食パンをくり抜いて温泉卵を乗せた料理などを出している。これまで作ってきた卵メニューは300種類以上になる。

13:33

きっかけは剣道少女時代のお弁当

なぜここまで卵に偏ったのか。妻は、子どもの頃にやっていた剣道がきっかけだと答える。小学生の頃から剣道に打ち込み、稽古の日に母親が作る弁当にはいつも卵料理が入っていた。試合の日には卵たっぷりのカツ丼を、勝つぞと意気込んで食べ、午後の試合に臨んでいたという。

卵の虜になった剣道少女が後に出会ったのが、同じく卵好きの耀一さんだった。2人のデートは養鶏場巡りで、卵好きの2人は結婚し、卵料理の専門店を始めた。毎日卵のことばかり考えていると話す。

15:01

子どもも誕生日も卵料理

夫婦には3人の子どもがいて、3人とも卵好きだ。家では家族みんなで卵料理を作る。子どもたちが大好きなメニューは、泡立てた白身を雲に見立てたオムライスで、崩すと中から卵が流れ出す。リポーターは、濃厚な卵の甘さが広がった後に優しい味のオムライスが来ると感想を述べた。

さらに店には、通常サイズのおよそ5倍、1.5キロの「ジャンボオムライスプレート」がある。サフランライスに卵10個分のオムレツを乗せ、デミグラスソースとトマトソースをかけ、エビフライやチキンカツなどを盛り込んだ一皿で、リポーターは持つだけで腕が震えていた。耀一さんによれば、毎年妻の誕生日に恒例でデカ盛り料理を作っており、それを見た客から自分も食べたいという声が上がって、メニューに加えたという。

番組は、ひとつの食材が好きすぎて偏ってしまった店には、客と店主の笑顔があったと結んでいる。