中朝を結ぶ「開かずの橋」新鴨緑江大橋、完成から10年以上を経てなぜいま開通したのか

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概要

中国と北朝鮮を結ぶ新しい橋「新鴨緑江大橋」が10月15日に開通した。この橋は10年以上前に完成していたにもかかわらず、長く使われないまま「開かずの橋」と呼ばれてきた。日本テレビ「news every.」の「みんなのギモン」コーナーでは、元中国総局長の富田氏が開通が遅れた背景を説明し、現地を取材した坂本記者が中朝貿易の変化を報告した。最後に、日本への影響が論じられた。

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全長3キロの新しい橋と、古い友誼橋

15日午前には開通を記念する式典が開かれた。番組によると、新鴨緑江大橋は全長3キロで、車が行き来できる。中朝の国境を流れる鴨緑江に架かっている。

番組の説明では、これまで中朝間の貿易は、新しい橋からおよそ10キロ北にあるもう1本の橋、友誼橋を主に通じて行われてきた。友誼橋には鉄道も通っており、北朝鮮の最高指導者である金正日総書記や金正恩総書記が中国を訪れる際の特別列車もこの橋を渡った。ただし友誼橋は戦前に造られたもので古く、輸送能力にも限りがある。そこで新しい橋が2014年に建設された、というのが番組の説明である。

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「開通するかも」と現地へ通った元総局長の経験

富田氏は中国総局長を務めていた時期に、この橋を何度も訪れたという。新しい橋が開通するかもしれないという情報がときどき入り、遠い現地まで取材に駆けつけた。しかし行ってみると結局開通せず、「また開かずの橋か」ということが何回かあったと振り返った。

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開通を阻んだ中朝の「つかず離れず」の関係

開通がここまで遅れた理由について、富田氏は中国と北朝鮮の「つかず離れず」の関係が影響していると見られると説明した。

まず、橋が造られた2010年代半ばには、北朝鮮が中国の嫌がる核実験などを強行した。これに怒った習近平政権は北朝鮮に対する制裁決議に賛成するなどし、両国関係は冷え込んだ。この間、橋は開通しなかった。

2018年には金正恩総書記が電撃的に中国を訪問し、翌年には習主席も北朝鮮を訪れた。関係改善で橋も開通するかと思われたが、2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大した。北朝鮮は中国を含むすべての国との行き来を厳しく制限し、事実上の鎖国状態になったと富田氏は述べた。

状況が動いたのは去年である。中国は日本との戦争に勝利して80周年だとして式典を開き、金総書記を招待した。これで関係強化が一気に進み、今年は習主席も北朝鮮を訪問している。富田氏は、こうした流れの中で今回の開通が実現したと考えられると分析した。スタジオでは、このタイミングで中朝の思惑が一致し、両国が近づいているようにも見えるという受け止めが示された。

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現地取材で見えた貿易品目の変化

開通の影響について富田氏は、中朝間の物流が盛んになるのは間違いなさそうで、実際にそのニーズも高いと述べた。

坂本記者は今月初めに橋の周辺を取材した。橋の開通はいつになるのかと多くの市民が訪れており、中には北朝鮮との貿易に関わる人もいて、ビジネスの拡大に期待していたという。坂本記者によると、中朝間の貿易はここ数年で急増しており、輸出入品目の移り変わりからある変化が見えてくる。

今年1月、北朝鮮が中国から輸入した品目のランキング上位に、パスタなどの麺類が入った。日本政府の関係者はこれに驚き、北朝鮮の市民生活が改善している証拠の一つだと指摘していたという。坂本記者はさらに、平壌市内では今年、ペットショップや車のディーラー店がオープンし、かなり高級なものまで販売されていると伝えた。北朝鮮でも近年普及が進む電気自動車については、中国から入ってきているという見方もあると紹介した。

逆に中国が北朝鮮から輸入するものとしては、最近特にタングステンなどのレアメタル鉱石が増えている。坂本記者は、中国側にも貴重な鉱物を手に入れられるという利点があると説明した。

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国連制裁との関係

スタジオからは、北朝鮮との貿易は国連の制裁対象ではないのかという質問が出た。坂本記者によると、特定の品目は制裁の対象になっている。たとえば北朝鮮から海産物や一部の天然資源を輸入すること、北朝鮮へ自動車などの輸送機器を輸出することは、国連安保理の制裁対象である。坂本記者は、新しい橋の開通で物流が増えると同時に、国連制裁の形骸化が進むことも懸念されると述べた。

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日本への影響:中国・ロシア・北朝鮮の「トライアングル」

日本への影響について富田氏は、中朝物流の活発化が、北朝鮮が核開発を進めるための物資調達や、それを支える経済基盤の強化につながる可能性があると指摘した。

富田氏はさらにロシアとの関係にも触れた。北朝鮮では先月、ロシアとの初めての道路橋が開通した。北朝鮮はロシアへの数万人規模の追加派兵を検討していると伝えられ、武器や弾薬をロシアに送っているとも指摘されている。富田氏は、中国・ロシア・北朝鮮のトライアングルがさらに強まることで、北朝鮮の軍事開発や活動が活発になる恐れがあると述べた。スタジオでは、3か国の関係が経済面でも強まることは、隣国の日本にとって無視できず、影響が心配されるという声が上がった。

富田氏は、新しい橋の開通が北朝鮮に実際に何をもたらすのかは、中朝両国の貿易データなども確認しながら注視していきたいと締めくくった。