フランスの高校生デモはなぜ大規模化したのか 教員不足・老朽校舎への抗議と「声を上げる文化」
日テレNEWSフランスで、高校生を中心とする抗議デモが先月中旬から続いている。日本テレビ「news every.」の解説コーナー「みんなのギモン」は、なぜここまで大規模になったのかを取り上げた。番組は、生徒たちの具体的な訴え、政府の対応、パリの高校前からの中継、そして抗議を市民の当然の権利とみなすフランスの歴史的背景の順に伝えた。
全土に広がった抗議と、一部の過激化
番組によると、デモの中心は高校生で、教員不足の解消と学校施設の改善を訴えている。先週もフランス各地で大規模なデモがあった。ロイター通信の報道では抗議は先月始まり、その後フランス各地に広がった。フランス内務省は、6日の大規模デモに全土でおよそ26万6000人が参加したとしている。
一方で、一部では抗議活動が過激化し、警官隊も出動した。番組は、これまでに6800人以上が拘束されたと伝えた。学生運動の主催者らは、放送当日の13日にも新たなデモを行うとしていた。
訴え① 教員不足
番組によると、マクロン大統領は少子化や財政赤字などを理由に、中学・高校の教員を数千人単位で削減してきた。その結果、退職した教員の後任を補充できず、学校の人手不足が深刻になっている。教科によっては授業が何か月も行われない事態がすでに起きているという。
訴え② 傷んだ校舎
もう一つの訴えは学校施設の改善である。番組はパリ郊外の高校で撮影された写真を紹介した。天井には穴が開き、通気設備は壊れ、教室の椅子も壊れていて数が足りない。トイレにはペーパーがなく、生徒からは使いたくないという声も出ているという。
パリ市内には設備の整った学校もある。高校生たちは自分たちの学習環境の改善を求めると同時に、郊外の高校への支援も強く訴えていると番組は伝えた。
スタジオのコメンテーターは、暴力は絶対に許されないという前提を置いたうえで、デモは民主主義の手段の一つだと述べた。そして今回のデモは、天井や椅子を直してほしいという個別の要求というより、国に対して自分たちへの教育投資をきちんと求める問いかけだと受け止めたと話した。
政府の対応:教育予算の増額と臨時教員
一連のデモを受けて、フランス政府は教育予算をおよそ2100億円(12億ユーロ)増やし、来年度は11兆円規模にすると発表した。教員不足への対策としては、臨時教員を3000人ほど増やす方針を示している。スタジオでは、一定の効果は出そうだという受け止めもあった。
パリの名門高校前からの中継:封鎖とクラクション
パリの佐藤記者は、現地時間午前9時37分に名門高校の前から中継した。校門前には100人以上の高校生が集まり、学校を封鎖して中に入れないようにしていた。この抗議は2週間以上続いており、その間は校内で授業ができず、行われてもオンライン授業になっているという。
佐藤記者によると、街には生徒たちを応援する人も多い。大手調査会社の世論調査では、フランス人の過半数が高校生の抗議運動に賛成している。学校前の道路を通るバスや車はよくクラクションを鳴らす。これは学生への応援の意味で、鳴らされると高校生たちから歓声が上がるという。
スタジオからは、警察と学生が衝突してけが人も出ているが危険な状況なのかという質問が出た。佐藤記者は、高校生の抗議そのものはおおむね平和的に行われていると答えた。ただし破壊活動をする一部の集団がいて、そちらばかりが注目されるのは残念だと高校生たちは話しているという。
収束の見通し:要求額との隔たりと秋休み
今後収束するのかという問いに、佐藤記者は政府の対策を改めて説明した。政府は、教員不足が深刻な学校に代わりの教師を重点的に配置する方針を打ち出している。来年度予算案には12億ユーロ、およそ2100億円の増額を盛り込んだ。
しかし、学生組合の一つは、100億ユーロ(およそ1兆7000億円)規模の対策が示されるまで抗議を続けると主張している。政府案とは大きな差がある。当日もフランス各地で大規模デモが予定されていた。
一方で、学校の封鎖自体は徐々に減ってきているという。フランスは今週末から秋休みに入る。政府側はこの休みで抗議が収まることを期待しているが、休み明けに運動が再び広がる可能性もある。佐藤記者は、政府が今後どこまで具体的な改善策を示せるかが焦点になると締めくくった。
背景にある「声を上げる」歴史
高校生がなぜここまで激しい行動を取るのか、という疑問について、番組はフランスの歴史が関係しているという見方を紹介した。18世紀のフランス革命以来、フランスでは市民が自ら立ち上がって権利を勝ち取ってきたとされる。政策や制度に不満があれば「おかしい」と声を上げ、街頭に出て抗議することは市民の当然の権利であり、歴史的にも正当な手段だと認識されているという。
番組は、こうした文化の中で育った生徒たちが抗議に出るのは自然な流れかもしれないと述べた。若者たちの訴えはSNSを通じて広がり、各地での大規模デモに発展した。
最後に番組は、外務省によるとフランスには3万6000人を超える日本人が暮らしていることを伝えた。デモの影響を案じるとともに、生徒たちが安心して学べる環境が早く戻ることを望むと結んだ。
今日のギモンはこちら。フランス高校生デモ、なぜ大規模に? 先月中旬から始まったフランスの高校生らによる抗議デモ。学生運動の主催者などは、今日13日にも新たなデモを行うとしています。
こちらは先週、フランス各地で発生した大規模デモの様子です。
デモの中心となっているのは高校生。教員不足の解消や学校施設の改善を訴えているのです。ただ、一部では抗議活動が過激化し、警官隊も出動。これまでに6800人以上が拘束され、地元メディアでは1000人以上がしたと報じられています。ロイター通信によりますと、抗議は先月、周辺で始まり、フランス各地に拡大しました。
また、内務省によりますと、6日に行われた大規模デモでは、フランス全土でおよそ26万6000人が参加したということです。
かなりの大規模なデモですし、フランス各地にこうやって広がっているということですけれども、それだけ今、子供たちの学校現場っていう状況が悪化しているっていうことなんでしょうか?
はい。なぜこんなに激しい抗議デモが行われているのか、まず高校生が訴える教員不足の解消についてお伝えします。マクロン大統領は少子化や財政赤字などから、中学や高校の教員を数千人単位で削減してきました。
その結果、退職する教員の後任が補充できず、学校で人手不足が深刻化し、教科によっては授業が何か月も行われないといったことが、すでに起きているといいます。
そして、もう1つの学校施設の改善です。こちら見ていただきたいんですけれども、これらはパリ郊外の高校で撮影されたものです。穴の開いた天井、そして壊れた通気、また教室の椅子も壊れて足りていないといいます。
また、トイレにはこちら、ペーパーがなく、生徒から使いたくないという声も聞かれるといいます。
こういう環境で授業を受けたいとは思わないですし、親としても、やっぱり通わせたくないっていうのがありますよね。
そうですね。こういう環境ですもんね。パリ市内には設備の整った高校ももちろんあるんですけれども、高校生たちは自分たちの学ぶ環境を整えてほしいと訴えるとともに、郊外の高校を支援してほしいということも強く訴えているというんです。
暴力はもう絶対駄目だっていう前提はあります。その上で、デモっていうのは確かに民主主義の1つの手段だと思いますし、今回のデモっていうのは、この天井を直してくれとか椅子を直してくれって言うんじゃなくて、国は自分たちに教育としてちゃんと投資をしてくれよっていう問いかけなんだなってことを、改めて感じますよね。
そうですね。一連のデモを受けまして、フランス政府は教育予算をおよそ2100億円増やして、来年度は11兆円規模にするということです。また、教員不足対策として臨時の教員3000人ほどを増やすことを発表しました。
じゃあ、一定の効果は出てきそうですね。
はい。こうした発表によりデモは収まっていくのでしょうか? それではフランス、パリから最新情報を伝えてもらいます。佐藤さん。
はい。パリは今、午前9時37分です。こちらはパリの名門高校の前なんですが、ご覧ください。学校の前には大勢の高校生たちが集まっているんですね。
高校生たちはもう100人以上はいる状況でして、学校の方を封鎖していまして、中に入れないようにしているんです。この抗議活動は2週間以上も続いていまして、その間、生徒は中に入れない状態ですので、中での授業は行われておらず、あってもオンライン授業となっているんです。
この活動について、町の人たちは応援している人も多いんです。大手会社スの世論調査によりますと、フランス人の過半数が高校生の抗議運動に賛成している状況ですし、こちら、道路がありますが、この道路を通るバスや車がクラクションをよく鳴らすんですね。それは学生を応援しているという意味でして、クラクションが鳴らされますと高校生たちも歓声が上がるという状況なんです。
なるほど。今、佐藤さんがいるその学校の前というのは、それほど緊迫した状況には見えませんが、先ほどのデモの映像を見てみますと、警察と学生が衝突して、けが人も出ているという情報もありますが、かなり危険な状態になるっていうこともあるんでしょうか?
そうですね。このような高校生の抗議自体は、おおむね平和に行われているんです。ただ、一部の破壊活動を行う集団がいまして、そちらの方に注目がされるのは残念だと高校生たちは話しているんです。
佐藤さん、政府は教員を増やすと発表をしましたけれども、今後、収束するんでしょうか?
はい。先週、フランスでは26万人以上が参加する大規模なデモ行進が行われました。政府は教員不足が深刻な学校に代わりの教師を重点的に配置する対策を発表しています。
また、来年度の教育予算案では12億ユーロ、日本円でおよそ2100億円の増額を盛り込んでいます。しかし、学生組合の1つは100億ユーロ、日本円で1兆7000億円規模の対策が示されるまで抗議を続けると訴えていて、今日もフランス各地で大規模なデモが予定されています。
一方、学校の封鎖自体は徐々に減ってきている状況なんです。また、フランスでは今週末から秋休みに入ります。政府側は、この休みでこの抗議活動が収まるのではという期待も寄せているんですが、一方で、この休み明けにまた抗議運動が広がるという可能性もあります。政府が今後どこまで具体的な改善策を示せるかが焦点となります。
佐藤さん、ありがとうございました。
今日もデモが予定されているということですけれども、高校生がなぜここまで過激な行動をという感覚も湧くのではないかと思いますが、背景にはフランスの歴史が関係しているとも言われています。
18世紀のフランス革命以来、自分たちの権利は市民自らが立ち上がり、勝ち取った。政策や制度に不満があればおかしいと声を上げ、街頭に出て抗議活動を行うことが市民の当然の権利であり、歴史的にも正当な手段だと認識されています。
こうした文化で育った生徒たちが抗議に出るのは自然な流れかもしれませんね。
若者たちの訴えがSNSを通じて広がり、フランス各地での大規模デモに発展したということなんです。
外務省によりますと、フランスには3万6000人を超える日本人が暮らしています。デモの影響が心配されるとともに、安心して学べる環境が早く戻ることが望まれます。
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