細田守とレイラ役4人が語った『竜とそばかすの姫 -PROJECT LAYRA-』の手応えと難しさ

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概要

アニメーション映画『竜とそばかすの姫』の5年後を描くアニマーシブライブ『竜とそばかすの姫 -PROJECT LAYRA-』は、ゲネプロの後に囲み取材を行った。参加したのは細田守監督と、新たな歌姫「レイラ」を演じる出演者4人である。原作者が自作の拡張をどう受け止めたか、そして演技経験も音楽的な背景も異なる出演者がひとつの役をどう演じ分けているかが、取材の主な話題だった。

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原作者として「ものすごく新鮮な体験」

細田監督はこの日、自身の作品がスピンオフの没入型公演になった舞台を初めて観た。感想を問われると、「一応原作者の癖して」ものすごく新鮮な体験をしたと答えた。監督によれば、この公演はライブともミュージカルとも演劇とも違い、カテゴリー分けができない。むしろそれらを合わせ、さらにその上に行ったような不思議な体験だったという。『竜とそばかすの姫』がこうした形に拡張され、演じてもらえることを「素晴らしい」「面白い」と感じたと語った。

映画を観た人と、初めて作品に触れる人それぞれへの見どころを聞かれると、監督は作品の出発点から説明した。私たちは現実の世界とインターネットの世界という2つの世界を普通に生きている。その前提の上でどんな新しい物語ができるかを考えたのが、『サマーウォーズ』から続く物語であり、『竜とそばかすの姫』だった。PROJECT LAYRAはその先に新しく広がった世界だと監督は位置づける。そのため、映画を気に入った人も、この公演で作品を初めて知る人も、両方が楽しめるのではないかと述べた。

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「役の中で歌う」初めての緊張

続いて、この日のゲネプロで舞台に立った出演者に、「60億人から愛される」レイラを演じた感想が尋ねられた。出演者は16年歌ってきて、大勢の前で歌った経験はあると話した。ただ、アニマーシブライブという形で演技をしながら、レイラという役の中で歌うのがどういう体験なのかは、この日初めて実感したという。普段のライブとはまったく違うと感じ、とても緊張した。無事に終わって少しほっとしていると話した。

以前のイベントで「初挑戦」についてコメントしていたことに触れ、何が最も難しかったかも質問された。出演者が挙げたのは大型スクリーンとの掛け合いである。観客に没入感を味わってもらうには、スクリーンとのやり取りがとても重要になる。そのうえで、現実なのか仮想世界なのか分からない、両者が融合したところにあるものを演じたいと考えている。レイラなのかコトミなのか、という部分を演じることが正直いちばん難しいと語った。

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同じレイラを、それぞれの「自分らしさ」で

レイラ役は5人が交代で演じる。そこで4人それぞれに、同じ役の中で自分ならではの表現として何を大切にしているかが質問された。

最初に答えた出演者は、舞台で演技をすること自体が初めてなので、自分がどう演じられているかはまだ客観的に分析できていないと前置きした。演出家と役を作っていく過程で、無邪気なところが良さだと言われた。ただし、その無邪気さを出せるようになるまで「6回ぐらいかかる」とも言われたという。そのため反復練習を重ね、ありのままにレイラになりきれるようになるまで続けるつもりで取り組んでいる。

2人目は普段舞台で活動しており、演じることは自分にとってそれほど遠いものではないと話した。一方で、今回の作品ではライブの要素がとても重要で、その「ライブの温度感」が分からなかったという。5人でよく話し合うが、悩むところが一人ひとりまったく違う。出演者はそれも、異なる5人が集まった大きなポイントだと捉えている。自分らしさを言葉にするのは難しいとしつつ、課題として挙げたのは、演じることよりも音楽とライブを通して作品のパワーや魅力を届けることだった。

3人目は2人目と逆の立場で、演技の経験がなく、この公演が初めての演技だった。アーティストとしてライブやステージに立つ経験はあるが、どう演技をすればよいかとても悩んだ。稽古で演技指導の担当者に「深く考えなくていい」「ありのままでやればいい」と言われ、その言葉が強く印象に残ったという。右も左も分からないからこそ、まっすぐありのままにやる。それが自分らしさにつながっていればいい、と話した。

4人目は、最初に受けた説明を紹介した。この役で何より大切なのは、5人それぞれの良さがしっかり出て「5人5色のレイラ」になることだと言われたという。レイラは、この出演者が普段仕事にしているシンガーと同じ職業で、セリフもMCのようなものが多い。そこでステージに立ったときに自分自身が話している感覚、ライブをしている感覚になるまで、毎日ひたすらセリフを唱えた。「演じる」ことからいったん離れ、レイラと自分が融合することを目指して練習したと語る。その結果として5人5色のレイラが自然に出てくることがこの公演の良さであり、全員の演技、歌、ダンスがまったく違うことが魅力だと述べた。

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観客へのアドバイス:スマホの充電と早めの来場

最後の質問は、これから観る人に向けた楽しみ方だった。

1人目は、ゲネプロやリハーサルを観た経験から、いちばん伝えたいのは「スマホの充電をマックスにしておいてほしい」ということだと答えた。公演中はスマートフォンをつけっぱなしにし、端末と連動しながら観るのがこの公演の最大の魅力だという。モバイルバッテリーを持って参加してもらえれば満足だ、と笑いを交えて話した。

2人目は、アニマーシブライブが世界初の試みである点を挙げた。出演者自身が歌も演技もすべてこなし、バーチャルとリアルが融合する。出演者にとっても観客にとっても、新しい世界が見えるのではないかと語った。

3人目は、原作映画のファン、ライブ好き、音楽好き、舞台好きの誰もが楽しめるように、各要素がうまく融合してひとつの作品になっていると話した。来場すれば「100%で150%」の満足度で帰ってもらえるものになっているはずだと述べた。

4人目は具体的な準備を2つ勧めた。ひとつは原作映画を必ず見返してから来ること、もうひとつは会場に早く着くことである。開演前の30分間にヒロちゃんが登場し、楽しみ方をかなり詳しくレクチャーしてくれる。その時点からUの世界に入る準備が整うという。映画を見返し、早めに来場すれば、序盤から『竜とそばかすの姫』の世界にやってきたという没入感を味わえるはずだと語った。

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細田監督「楽しさが5倍に」

取材の締めくくりに、細田監督が改めて話した。監督はこの日、1人の出演者の舞台を観た。ほかの出演者の話を聞いて、それぞれがどんな舞台になるのか楽しみになったという。ひとつの物語でありながら、出演者によってまったく違う体験ができるのではないかと期待を示した。

監督は映画でオリジナルのベルを演じた中村佳穂にも触れた。中村がこれまでとはまったく違う顔を見せてくれたように、今回レイラを演じる出演者たちも、この舞台を通してこれまでとは違う側面を見せてくれるだろうと述べた。そうした面も含めて楽しさが5倍になるものになるのではないかと語り、観客に期待を呼びかけて取材は終わった。