承認欲求をめぐるコメディ『俺のこと、なんか言ってた?』 役所広司らが語った撮影の舞台裏

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概要

Netflixシリーズ『俺のこと、なんか言ってた?』の完成報告会が都内で開かれ、主演の役所広司、賀来賢人、松山ケンイチ、江口のりこ、磯村勇斗、上川周作、坂井真紀、吉田羊、ロバートの山本博、金子文紀監督が登壇した。主人公は、ある日突然世界から忘れられた大物俳優・高瀬川。司会者は「承認欲求モンスター」と紹介した。脚本は宮藤官九郎、演出は金子文紀、プロデューサーは磯山晶で、このチームに役所が初めて参加した作品である。会見では、作品のテーマ、各キャストと役所の共演の様子、ロンドンのグローブ座と下北沢での舞台公演という大がかりな撮影、そして登壇者自身の「エゴサーチ」事情までが語られた。

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1:08

登壇者の挨拶と、それぞれの役

役所はまず、高瀬川ならこういう場が大好きだろうが自分はどうも苦手だと笑わせた。そのうえで、脚本の宮藤、演出の金子、プロデューサーの磯山のチームに初めて参加し、登壇した俳優たちと仕事ができたことを「とても幸せ」と述べた。

賀来賢人は売れない劇作家・岡本を演じる。宮藤作品に憧れてこの業界に入ったと明かし、今回のオファーと、役所との初共演を光栄だと語った。松山ケンイチは助監督の川島役である。作中では撮影の裏側も描かれ、観客の知らない世界として楽しめるはずだと話した。江口のりこは高瀬川の妻・マチ子、吉田羊は高瀬川の元妻で所属事務所社長の野々村ヨウコを演じる。吉田は役名を一度言い間違えて笑いを誘った。さらに、まだ作品を見られない観客がこれだけ集まったことに作品への期待の高さを感じると付け加えた。

上川周作は高瀬川の元付き人兼運転手・大森役。山本博はベテランのプロのエキストラ役で、「なんでお前がここにいるんだと思ってると思いますけども」と自虐を交えつつ、共演者の名前を聞くたびにすごい作品に出たと感じたと語った。坂井真紀はサウナ店の社長の愛人役。磯村勇斗は、現場で忘れられない経験をたくさんした、幸せな現場だったと振り返った。

金子監督は全話のうち第1、2、5、7話を担当した。作品について「どんだけ褒められても褒め足りない元俳優」と、彼を取り巻く人々のドラマだと説明した。登壇している本物の大物俳優たちが、どれだけ褒められたいと思って演じたかはわからない。ただ、なりふり構わず、今まで見たことのない姿を惜しみなく見せてくれたという。考察するような作品ではないので、気楽に笑って楽しんでほしいと呼びかけた。

6:52

「3歳児と変わらない」承認欲求というテーマ

このチームは日本のドラマ史に残る作品を生んできた。今回何を意識したのかと問われ、金子監督は承認欲求の普遍性を挙げた。人は物心ついた3歳ごろに「すごいね、よく食べたね」と褒められることから始まる。小学生になれば友達に、社会に出れば先輩に認められたくなり、出世すれば役職で認められたくなる。最後は一国の大統領になっても、まだ褒められたがっている。監督はニュースを見ていてそう感じるという。どれだけ偉くて地位があっても、その気持ちは3歳児と変わらないというのが監督の見方である。

だからこそ全員が共感できるテーマだと監督は考えた。役所演じる高瀬川や周囲の人々を通して、それが面白おかしく伝わればいい。見た人が、少し腹の立つ人を許せるようになったり、優しい目で見られるようになったりしたら「おいしい」。そんなつもりで作ったと話した。

8:28

役所広司が出演を決めた理由と、褒める現場

役所はもともと宮藤の世界が好きで、その人物造形に強い興味があった。以前一度宮藤作品に出演したことがあり、打ち上げで宮藤に「またやりましょうね」と言われた。すぐ次が来ると思っていたが、実際に声がかかったのは何年も後で、磯山から依頼を受けて出演が決まったという。

脚本を読んだ最初の感想は「セリフ長いな」。それでも面白いと思った。ただ、読んでいるだけで面白い脚本を人間が演じて面白くなくなったらどうしよう、と弱気になりかけたという。ところが現場では、監督が「俳優は褒めておけば良くなるだろう、機嫌がいいだろう」という調子で褒めてくれたので、それに乗れたと役所は振り返った。

これに対して金子監督は、褒めたというより、むしろ「そんなにやって大丈夫ですか」と心配になったと明かした。もう少し抑えるかと思ったら、役所はどんどん踏み込んでくる。だから見ないと損だ、と重ねた。

10:10

サウナ店の「楽屋」で始まるセリフ合わせ

高瀬川はどん底に落ちた末、サウナ店でアルバイトを始める。そこで共演が多いのが賀来と坂井である。坂井によると、店のシャツを従業員として着るだけで、役所、賀来、自分の間に「同志感」が生まれた。ずっと同じ場所、同じ楽屋で過ごしたという。

賀来が印象深かったと語ったのは、役所のセリフ量だ。役所は全シーンに出演しており、セリフが膨大になる。自然とセリフ合わせが始まるのだが、賀来は「役所広司と本読みをさせていただけてる」というだけでニヤニヤしていたと話した。

役所の説明はこうだ。待機場所で各自が台本を見ているとき、自分が最初のセリフを口にすると、坂井がすぐに応えてくれる。続いて賀来も応える。自分のためにみんなが付き合ってくれた、という感覚だったという。賀来は、こちらこそやりたかったと返した。ただ、いつ始まるかわからない。お茶場でお菓子をいじっているときに始まることもあり、すぐ反応できるかを試されたと笑った。

コミカルな演技にアドリブは多かったのかと問われると、賀来は「ないと思います」と答えた。宮藤の脚本で演じるのは今回が初めてで、大ファンでもある。だから一言一句間違えずに言うことを自分の務めと考え、楽しく丁寧に演じたという。見どころとしては、何通りもの役所が見られる豪華さを挙げた。もう一つは磯村が演じる村井の「様子のおかしさ」で、見ていて「マジか」と思ったそうだ。坂井は、役所が熱心に練習していたアウフグース(サウナで熱波を送るパフォーマンス)の場面を推した。

14:13

松山ケンイチの助監督役と「かわいいおっさん」

松山演じる川島は、いつか監督になる夢を追う助監督で、ロケのためにサウナ店を訪れる場面もある。松山は、この仕事を始めてからずっと目の前に助監督がいたと話す。何十人もの助監督を見てきたので、演じられたのはうれしかった。皆の真似をしているだけだとも思ったが、個性的な助監督も多いので、自分なりの色を出せたらと考えて演じたという。

役所との共演について松山は、表舞台の裏側で、制作の裏の本音を語り合うような描写が多かったと説明した。高瀬川という人物の裏側に接している感覚があり、「役所さん、かわいいおっさんだな」とずっと思っていたという。隣で頷いていた吉田も「すごいかわいいです。全身かわいいです」と同意した。

役所も、自分たちは長年助監督を見てきたと応じた。真面目な川島のような助監督はいい、と評価する。作中で高瀬川は川島の「遺作」に関わる流れになるという。監督を目指す助監督はたくさんいるが、こういう助監督がいたら自分も絶対に出たいと思わせるところを松山は演じてくれた、と役所は述べた。

16:17

浜田雅功の「意外な」現場での姿

高瀬川のライバルとなる売れっ子俳優は浜田雅功が演じた。松山によると、浜田の撮影初日もサウナ店のシーンだった。本人は緊張していると言っていたが、役所に顔をものすごく近づけ、煙を吐いていたという。

役所は、コメディの現場なので、お笑いにうるさい浜田に「こんなんじゃ笑わへんぞ」と言われるのではと身構えていた。だが浜田は、とても真面目に俳優として接してくれたという。

バラエティでの浜田を知っているのは自分くらいだろう、と前置きして話したのは山本である。バラエティでは浜田はメインなので、収録が始まるときに入り、終わればすぐ出ていくのが普通だ。ところがドラマの撮影では、空き時間やセッティング中にずっと静かに座って待っていた。「何待ち?」とも「押してるの?」とも一切言わない。その姿が新鮮だったという。

金子監督は、浜田が撮影現場をリスペクトしてくれていると強く感じたと話した。監督から見れば浜田は大先輩だが、浜田は敬語で話した。中には、浜田に突っ込まれたくて、わざとボケたことを言うスタッフもいた。浜田はそれに対しても「いや、それはちょっと違うと思いますね」と丁寧に返し、叩くような突っ込みはしなかった。それを見て、本当に気を遣ってくれていると毎日感じたという。

19:26

二人の妻から見た高瀬川

吉田と江口が演じる元妻と妻は、どちらも高瀬川のことを覚えていない。高瀬川はそれに打ちのめされ、かつて傲慢だった自分と向き合うことになる。高瀬川の魅力を問われた吉田は、とにかく何においても全力な点を挙げた。人気絶頂のときに調子に乗る様も全力、一度忘れられてゼロから再出発する一つ一つの様も全力だという。妻たちとの関係は良くなかったが、娘と息子には愛情深く、その仕草が愛おしかった。承認欲求や嫉妬、妬みといった、本来なら人が隠したい感情をさらけ出す正直さも愛おしいと語った。江口の答えは短く、「頑張り屋さん」なところが素敵だというものだった。

おすすめのシーンとして、吉田は自分が演じるヨウコが同じ俳優を「2回スカウトする」場面を挙げた。江口は、台本を読んで一番面白かったという、高瀬川が京都の撮影所に行くパートを推した。

役所は、こんな素敵な二人を妻にしながら高瀬川は浮気ばかりしていると苦笑した。一生懸命嘘をつくがバレバレで、「そんな嘘あるか」と言われても突き通す。そこが高瀬川のかわいいところだという。吉田は、日本の俳優全員が役所との共演を望んでいるはずだと言い、元妻役とはいえ共演できて「いつ死んでもいいなっていうぐらい」幸せだったと話した。江口は、監督に「こう動いてください」と言われても、役所はほぼ「はい」としか言わずにすぐやってみせる、と印象を語った。それがかっこよかったという。賀来も、役所はいつも「やってみます」と言って実行していたと証言した。

24:18

上川周作とロバート山本の役づくり

上川演じる大森は、傲慢だった頃の高瀬川にひどい扱いを受け、深く恨んでいる。緊張感のあるシーンが多く、上川自身も緊張したままクランクインを迎えた。初日のリハーサル後、本番までの間に一人で悩んでいると、金子監督と役所が演出について話す声が聞こえてきた。役所は「大森君の芝居に合わせていこうと思います」と言っていたという。上川は一瞬、何にだろうと戸惑った。だがそれ以上にうれしかった。緊張している自分に、どんな球を投げても受け止めると言ってくれているように感じ、思い切っていこうと決めたという。

作中には、大森がかつての仕打ちをやり返す場面もある。上川は、実際にそういう経験はないが、役所を見ながら想像をかき立て、もっと言ったらどうなるかと現場を楽しんだと話した。役所は、こんな人間がいるんだなと思ったと応じ、こうやって恨まれることもあるから自分も気をつけなければと笑わせた。上川の大森は本当に面白く、現場でも皆が笑っていたという。

山本が演じるのは、どんな撮影でも背景に溶け込み、存在感を出さないプロのエキストラだ。一方の高瀬川は何をしても存在感が強すぎ、ADやスタッフにダメ出しされる場面もある。山本は、自分にはもともと個性がないので役作りというほどのものはないと謙遜した。そのうえで、今も実際にボランティアエキストラとして撮影に参加していると明かした。最近も参加したかった作品に出たが、一日誰にも気づかれずに帰ってきたという。その時の気持ちを思い出して役に生かした。現場で見たベテランエキストラの姿勢も参考にした。監督の声が届いていないところに指示を回したり、「革靴持ってきてます」「帽子3パターンあります」と準備していたりする人たちだ。作中で高瀬川に上から目線で演技論を語る場面については、大富豪のジョーカーをスペードの3がやっつけるような瞬間で、面白い経験だったと語った。役所は、山本に出会わなければ高瀬川は復活できなかったと持ち上げた。高瀬川は「普通」がわからない男だからだという。

29:17

磯村勇斗の村井と劇団ウイスキーボンボン

磯村は、劇団ウイスキーボンボンの看板俳優・村井を演じる。これまでも宮藤作品で印象の強い役を演じてきたが、村井は中でも強烈だと司会者は評した。役作りのポイントを問われた磯村は「肉体作り」と答えた。肉体作りによって芝居が生まれるという考え方があり、今回それを試してみたという。

賀来は村井について、やられたというより「怖くなっちゃって」と表現した。何をしているのか一つも理解できず、ただ圧倒される瞬間があったという。しかも磯村本人はストイックに向き合っていて、それがおかしすぎたと話した。磯村は、舞台に立たせてもらい、役所に見られている状況はこんな機会はないと思い、自分のステージのつもりで演じたと語った。

劇団のシーンで印象に残ったことを聞かれると、賀来は劇団員たちの役名が好きだと答えた。ライアン・ゴズリングをもじったような名前などを挙げ、そこに狂気を感じると笑った。磯村は、劇団員役の共演者が村井の暴れぶりをすべて受け止め、嫌な顔一つせず芝居に乗ってくれたことに感謝した。それでも、本当は嫌だったのではないかと、毎回家に帰って夜に思い出してしまうほどだったという。

32:29

ザ・スズナリでの実際の舞台公演、役所は23年ぶりの舞台

作中には、エピソードの一つとして舞台公演が登場する。司会者によれば、これを実際に下北沢のザ・スズナリで5回、本当に上演したという。役所にとっては23年ぶりの舞台出演となった。

きっかけは役所自身の発言だった。初めて宮藤と会ったとき、最後に舞台公演の場面があると聞いた。それで軽口のつもりで、せっかく宮藤の脚本なのだから本当に芝居としてやったらどうかと言ったら、実際にやることになっていたという。稽古が始まると、磯村も自分もセリフを覚えられるかという恐怖があった。普通の観客の前で本当に上演するからだ。それでも23年ぶりに、観客の反応によって演じ続ける勇気が湧いてくる感覚を思い出したと語った。

磯村は、稽古から含めて夢のような時間だったと振り返った。役所は立ち稽古の段階から台本を一切持たず、セリフがすべて入っていて、とにかくエネルギッシュだったという。一日一日が終わっていくのがどこか寂しいほど、濃厚で貴重な時間だったと話した。

34:24

「俺のこと、なんか言ってた?」と気になった経験

タイトルにちなみ、自分の評判が気になった経験を聞かれた。松山は、ドラマの放送直後からずっとSNSと「向き合っている」と即答した。感想がすべてだと考えているので、自分で見るより先に感想を読み、そのうえで作品を見たい派だという。今回も完成版を第2話の途中で止めている。配信が始まったらSNSと一緒に見るつもりで、それを「新しい楽しみ方」と表現した。

吉田もエゴサーチをするという。寝る直前に検索して寝て、朝起きて一番に検索する。寝ている間に1件増えているのではないかと思うからだ。配信開始の22日からもやるだろうと話した。

エゴサーチはしなさそうだと振られた役所も「しますよ」と答えた。こうしたイベントの後や映画の上映後は気になって仕方がないという。「つまらなそうなドラマだ」と書いている人がいるのでは、と冗談めかしつつ、会場の観客にも語りかけた。

36:40

観客からの質問:役所広司の「七変化」と、忘れられたら誰に思い出してほしいか

続いて、来場者が事前に書いた質問に答えるコーナーに移った。一つ目は、予告編でも話題のアウフグース姿をはじめ、劇中の役所の「七変化」でどれが衝撃的だったかという質問。賀来はサウナの白い衣装姿がかわいいと答え、ロケバスで弁当を食べる役所も好きだと挙げた。

山本はこの弁当にまつわる話を明かした。エキストラが集まる場面で、雑多に配られた弁当を食べるシーンがある。撮影直前、役所は弁当置き場でずっと弁当を見比べていた。後で聞くと、アジフライのサイズが一番いいものを探していたという。山本によれば30個ほど見ていたそうで、そこまで画にこだわるのかと驚いたと語った。役所本人は覚えていないと笑った。坂井は、喫茶店の場面で役所がメインのカップルの後ろに座る白いセーターの客を演じたことを挙げ、背景に完全に溶け込む「普通さ」がすごかったと話した。

二つ目の質問は、高瀬川のように突然世界から忘れられたら、まず誰に思い出してほしいか、何と声をかけるか。吉田はマネージャーを挙げた。自分の窓口として各所を営業してくれる人なので、まず思い出してもらい、一から売り込みに行ってほしいという。坂井は家族に「お母さんだよ」と言うと答えた。江口も身内を挙げ、生活しなければならないので「お金を借ります」と答えて笑いを誘った。上川は、自宅の目覚まし時計に自分の声で「おはよう、朝だよ」と録音しているので、家族に「これ俺の声だよ」と聞かせたいと話した。

三つ目は、誰も自分を知らない状況になったら何をしたいか。賀来は、今の生活に困っていないとしつつ、俳優でなければやってみたかったという古着屋をやりたいと答えた。髪を伸ばしてだらしない格好をしたいという。松山は、誰も自分に気づかないのだから俳優のスキャンダルを追う「パパラッチする側」に回り、どんな裏側が出てくるのか見てみたいと話した。磯村は、渋谷のスクランブル交差点で自撮り棒を持ち、信号が青になった瞬間に叫ぶようなふざけたYouTube動画を撮りたいと答えた。

43:34

撮影の苦労:エキストラの勘違いと、グローブ座の『リア王』

最後の質問は、撮影で最も苦労したことや驚いたことについて。役所は、高瀬川がホームレスになり、髭だらけの汚れた姿で看板持ちのアルバイトをする場面を挙げた。その現場にいたエキストラが「VIVANT」と口にしたという。『VIVANT』のシーズン2の撮影だと思ったのではないか、と役所は推測する。エキストラは当日どんな作品の撮影か知らされていないので、そういう人もいるのだろうと話した。

金子監督が最も大変だったと語ったのは、第1話の冒頭だ。役所がロンドンのグローブ座で『リア王』を演じる場面から物語が始まる。海外で多くのエキストラを集め、由緒ある劇場を何日も押さえて撮影すること自体が大変だった。しかしそれ以上にすごかったのは役所の準備だと監督は言う。セリフは英語で、しかも400年前の、イギリス人でも聞き取りにくい特殊な英語である。役所はそれを完璧に身につけ、長いセリフを演じた。準備は1年以上前から始めていた。監督が3カ月ほど稽古を見た時点で完璧に思えたが、本人はまだダメだと言い続けたという。最終的には、グローブ座で演出に携わる人たちが見ても称賛するレベルに達したと監督は語った。

役所は、イギリス人の前で英語の芝居をして「この人、何語を喋ってるんだろう」と思われるのは嫌だったので必死だったと話した。その場に立ち会った吉田も補足した。イギリスの人々は幼い頃からシェイクスピアに親しんでいる。だから、たとえフィクションのドラマの一場面でも、シェイクスピアのセリフを覚えて舞台で語るだけで敬意を払う。最初のリハーサルで役所が場面を演じ終え、カットがかかると、会場から大きな拍手が起きたという。吉田は「あれは感動しましたね」と振り返った。

47:56

アウフグースでの祝福と、役所広司からのメッセージ

会見の終盤には、作中のサウナシーンにも登場するアウフグースのパフォーマンスで作品の完成を祝った。アウフグースの監修を務めたパフォーマーがラベンダーの香りの熱波を送り、最後は会場全体で「整った」の掛け声で締めた。司会者からは、劇中歌を収録したオリジナル・サウンドトラックが10月23日から配信されることも告知された。

最後に役所は、自分が出ているので作品が良いのか悪いのか正直わからないと前置きした。それでも、宮藤の脚本に金子と磯山のチームなら面白くないわけがないと思う、と語った。登壇した俳優たちは本当に魅力的で、最終回に向けてどんどん盛り上がるドラマになっていると思うので、まずは見てみてほしい。そう呼びかけて会見を締めくくった。