ネタニヤフ与党はなぜ苦戦しているのか、トランプ政権はイランを再び攻撃するのか
日テレNEWSハマスによるイスラエル奇襲攻撃から3年がたった。イスラエルでは10月27日に、この攻撃後で初めての総選挙が行われる。アメリカでは11月3日に中間選挙が控えている。両国の選挙を前に、アメリカのニュースサイト「アクシオス」は、トランプ政権が近くイランへの大規模攻撃を再開し、イスラエル軍も加わる可能性が高いと報じた。BS日テレ「深層NEWS」は、アメリカの外交・安全保障戦略を専門とする明海大学教授の小谷哲男氏と、日本エネルギー経済研究所中東研究センター主任研究員の渡邊駿氏を迎え、次の3点を議論した。ネタニヤフ首相率いる与党リクードが苦戦している理由、奇襲を事前に把握していたとする報道の影響、そしてイラン攻撃再開報道の真意である。小谷氏は、攻撃報道を「情報戦」とみる立場をとった。
停戦後も続く死者と、動かないガザ和平
番組の紹介によれば、ガザでの戦闘による死者はイスラエル側で2300人以上、ガザ地区で7万4000人を超える。昨年10月、トランプ政権が主導した計画の第1段階として停戦合意が交わされた。しかしその後もイスラエル軍の空爆は続き、ガザ保健当局によれば停戦後だけで1400人以上が死亡した。渡邊氏は、停戦が第1段階から先に進まないなかでパレスチナの民間人の死者が減らないことを「非常に残念で悲しい」と述べた。
イスラエルはハマスの完全な武装解除を撤退の前提とし、ハマスはイスラエル軍の撤退を求めている。双方の主張は折り合っていない。小谷氏によれば、平和評議会でもハマスの武装解除を進めることになってはいるが、イスラエル側が協力しないため進んでいない。トランプ政権は現状を快く思っていないものの、選挙前のイスラエルから協力を引き出すのは難しいと判断し、選挙が終わるまで待つ構えだという。直後にはアメリカの中間選挙もあるため、当面は両国とも「国内モード」になると小谷氏はみる。選挙後もトランプ政権の最優先課題はイラン情勢であり、すぐにガザが動くわけではない。ただ、イラン情勢が落ち着くか膠着した段階で、再びガザに目を向ける可能性はあると小谷氏は述べた。
世論調査でリクードを上回る中道政党「ヤシャル」
総選挙の世論調査は媒体によってばらつきがあるものの、リクードの苦戦が予測されている。イスラエルの民放チャンネル12が5日に公表した議席予測では、アイゼンコット元参謀総長が率いる中道政党ヤシャルが23議席で、リクードの21議席を上回った。陣営別では野党側が54議席、ネタニヤフ陣営が49議席で、どちらも過半数の61議席に届いていない。どの政党が勝っても、連立に向けた交渉が必要になる見通しだ。
渡邊氏によると、ヤシャルは中道のなかでもかなり右派に近い政党で、リクードと重なる部分が大きい。だからこそ、ネタニヤフ氏に「うんざり」した従来のリクード支持者の受け皿になっているという。不満の背景として渡邊氏は三つを挙げた。第一に、汚職裁判が続くなかで、最高裁に口出しされないよう司法制度を変えて政治家がコントロールできるようにしようとしたこと。第二に、10月7日の攻撃をなぜ防げなかったのかという批判に対し、独立調査委員会の設置に後ろ向きであること。第三に、それらを通じて首相個人への不満が高まっていることである。
アイゼンコット氏とはどのような人物か
番組の紹介によれば、アイゼンコット氏は2015年から2019年までイスラエル軍の制服組トップである参謀総長を務め、2022年に中道政党「国民連合」に加わって国会議員になった。ガザでの戦闘中はネタニヤフ氏の呼びかけで戦時内閣に入ったが、のちに首相の方針に抗議して離脱した。昨年には国民連合からも離れ、ヤシャルを設立している。2023年12月には、当時25歳だった息子のガル氏をガザでの戦闘で亡くし、甥2人もガザで亡くなっている。
渡邊氏は、経歴の中心は軍人としてのキャリアであり、国の安全を守ってくれるという期待を集めやすいと説明した。イスラエルでは安全保障が重視されてきた時代が長く、歴代首相にも軍歴を持つ人物が多いという。その点ではネタニヤフ氏と重なるが、首相とは違う路線をとってきた。政治活動の経験が浅いため「良くも悪くも未知数」だが、汚職の汚点もない。このクリーンさがネタニヤフ氏に対する強みになっていると渡邊氏はみる。息子を亡くした経験については、10月7日の検証に後ろ向きな首相と比べて、「アイゼンコット氏ならしっかり明らかにしてくれるだろう」という期待につながっているという。人柄は実直だと言われ、党名の「ヤシャル」も「まっすぐ」「実直」といった意味にかけたもので、それを強みとして打ち出していると渡邊氏は述べた。
トランプ政権の見方について、小谷氏は先週のタイム誌インタビューを挙げた。トランプ氏はアイゼンコット氏について「悪い話は聞かない」と表現しており、ポスト・ネタニヤフのパートナーとして一定の評価をしているとみられる。イランに強硬であること、ハマスの一部武装解除と引き換えにガザ復興に前向きであることは、トランプ政権にとって組みやすい点だという。一方で選挙結果は接戦になりそうなため、連立をうまく組めるのかについて、大統領よりも政権内の中東担当者の間で懸念があるようだと小谷氏は話した。渡邊氏も、イスラエル国内には政権運営への不安感があり、リクードが「しっかりやれないのではないか」という攻撃材料にしていると述べた。
ヨルダン川西岸をめぐる両党の違い
各メディアの報道をまとめると、パレスチナ国家の樹立には両者とも反対している。ヨルダン川西岸への対応では、リクードが強硬姿勢、ヤシャルが比較的慎重な姿勢をとる。渡邊氏はこの違いを二点で説明した。一つは、リクードの連立相手に極右政党がいることである。極右政党は、パレスチナ人を力で追い出してでも西岸を自分たちのものにすべきだと強く主張している。もう一つは、ヨーロッパを中心に国際社会の批判が強まっていることで、アイゼンコット陣営は国際社会ともう少しうまくやるべきだと考えているという。
ただし渡邊氏は、ヤシャルが政権を取っても入植の拡大が止まるとは期待できないとみる。今ほど強硬ではなくなっても、拡大自体は続くだろうという見立てである。コメンテーターの伊藤俊行氏(読売新聞編集委員)は、ネタニヤフ氏には業績投票、ヤシャルには期待投票が働いているのではないかと指摘し、何が期待されているのかを尋ねた。渡邊氏は、長期政権でダーティーなイメージがついたネタニヤフ氏から、とにかく違う路線に移りたいという思いがいちばんの要因だと答えた。
「奇襲を事前に知っていた」報道
イスラエル紙ハアレツは先月8日、UAE(アラブ首長国連邦)のムハンマド大統領がハマスの襲撃の10日ほど前にネタニヤフ首相に警告していたと報じた。同紙はほかにも、エジプトの総合情報庁長官、パレスチナ自治政府の主流派ファタハの元高官、イスラエルの情報機関シンベトの長官から事前警告があったと伝えている。ネタニヤフ氏は一連の報道を否定している。
渡邊氏は「結構びっくりしちゃうような話」と述べた。そのうえで、もし警告を黙殺したのであれば、ネタニヤフ氏に過信があったのではないかと推測した。ハマスがそれほど大きな攻撃をするとは思わなかった可能性と、何があってもイスラエルなら防げると信じていた可能性である。背景には、10年以上ガザを封鎖してハマスを封じ込めてきた実績への自信があったとみる。UAEにとっても大規模な紛争で中東全体が混乱するのは望ましくないはずで、脅威を感じていたならしっかり伝えていたはずだと渡邊氏は述べた。
2020年のアブラハム合意で国交を正常化したUAEの警告が無視された形になった点について、渡邊氏は次のように説明した。正常化後の安全保障協力は、主にイスラエルの技術をUAEに持ち込む方向で進んできた。そのため、今回のUAEからイスラエルへという逆方向の件で関係が大きく損なわれたとは思わないが、UAE側に「これで大丈夫か」という不安が生じた可能性はあるという。イスラエル側にUAEの情報を黙殺する政治的思惑があったとまでは考えていない。
国内の受け止めについて渡邊氏は、10月7日の検証に後ろ向きな首相への怒りはもともと反ネタニヤフ層の間で強く、同じ点を批判する材料が加わった形だと述べた。アイゼンコット氏は独立調査委員会を設置すべきだと主張しているため、政権を取れば委員会の立場から経緯を精査する方向になるとみる。
アメリカへの説明と、深まる分断
小谷氏によれば、イスラエルは10月7日の直後、当時のバイデン政権に対し「完全にハマスに騙された」と説明していた。攻撃に至るまで、ハマス側から関係を改善したいというシグナルがさまざまに出ていたという趣旨である。最近はトランプ政権にも同様の説明をしているようで、事前把握説を否定しようとしているという。
トランプ氏はネタニヤフ氏と複雑な関係にある。ただ小谷氏によれば、現職の国のトップがミスを理由に突き上げられ、退陣に追い込まれるような流れには、自らに照らして同情する。トランプ氏はこれまでもネタニヤフ氏をめぐってイスラエル側に働きかけてきた経緯があり、この問題で首相を追及することはなく、むしろかばう言動を続けるだろうと小谷氏はみる。
伊藤氏は、ネタニヤフ支持者の間で陰謀論が広がっていると紹介した。イスラエルとして情報は得ていたが、知っていたのは治安機関であり、首相をはめるために黙っていたという説である。支持者の8割ほどがこれを信じ、野党支持者の8割ほどがおかしいと考えているという。伊藤氏は、もともとの分断がこのニュースで変わっていないように見えると述べた。渡邊氏も同意し、境目がなくなるよりも分断が深まる方向に進むだろうと答えた。
トランプ氏の「ノー」と、ネタニヤフ氏との実際の関係
トランプ氏は先月28日のタイム誌のインタビューで、イスラエルはネタニヤフ氏にもう1期を与えるべきかと問われた。明確には答えず、インタビュアーが2度3度と同じ質問を繰り返すと、短く「いいえ」と答えたという。小谷氏は、本当は答えたくなかったが何度も聞かれて答えてしまったのだろうとみる。実際には、ネタニヤフ氏とアイゼンコット氏のどちらが勝っても自分が影響力を持てるよう、立場を明確にしたくないのが現状だという。
両者の関係について小谷氏は、2月28日に共にイランを攻撃したことから「蜜月」と言われるものの、トランプ氏の側近で2人が蜜月だと感じている人は1人もいないと述べた。1期目から難しい関係で、利益が重なるときは一緒に動くが、そうでないときのほうが多い。蜜月だったことはおそらくなく、そう見えた時期があっただけだという。今のトランプ氏にとっての基準は、ネタニヤフ氏が使える存在であり続けるかどうかで、そうでなければ切るという状況だと小谷氏はみる。人格的な共感はまったくなく、2020年の大統領選でトランプ氏が負けを認めなかったときに、真っ先にバイデン氏へ祝福の電話をした1人がネタニヤフ氏だった。トランプ氏はそのことを今も許していないという。
アメリカの支持基盤についても、小谷氏は変化を指摘した。ユダヤ系ロビー団体やユダヤ系の人々のなかで、ネタニヤフ氏に強い不満や反感を持つ人は多く、むしろ増えている。イスラエル支持が必ずしもネタニヤフ支持ではないということだ。この傾向は3年前から民主党内で強かったが、最近は共和党内でも見られ、ここ数十年のアメリカでは見られなかった現象だと小谷氏は述べた。共和党がネタニヤフ氏をてこ入れする動機は基本的になく、勝てば関係は維持するとしても、支持は消極的なものにとどまるという。伊藤氏がイスラエルの選挙結果と中間選挙の関係を尋ねると、小谷氏は直接の影響はないとしつつ、イラン戦争が中間選挙の大きな要因になっていると答えた。共和党内にも、ネタニヤフ氏に引きずられてトランプ氏が戦争を仕掛けたことを許せないという人がおり、MAGA支持層の一部も離れているという。
相次ぐイラン関与疑惑とアクシオスの攻撃再開報道
番組はイランをめぐる最近の出来事を紹介した。9月30日、UAEからイスラエルに向かっていたUAEの航空会社フライドバイの機内で、副操縦士が機長を襲撃する事件が起きた。イスラエルメディアによれば、副操縦士は旅客機を乗っ取り、テルアビブ近郊のベングリオン空港に激突させる計画だったと供述している。トランプ氏は「私が聞いている限りでは答えはイエスだが調査中だ」と述べ、イランの関与を示唆した。
イギリスでは、アメリカ軍の対イラン作戦の重要拠点であるフェアフォード空軍基地をめぐり、9月27日に攻撃を計画した疑いで複数の男が逮捕され、イランの関与が疑われた。ウォール・ストリート・ジャーナルは今月4日、米軍が同基地に配備していたB1爆撃機12機をすべて撤収させたと報じた。トランプ氏は「脅威があったから少し移動させた」と述べている。トランプ氏は3日にも、イランへの対処は自分が決めるとし、穏便にやるか厳しくやるかの問題だと述べて、攻撃再開も選択肢に含まれるとの認識を示した。イランのアラグチ外相は4日、アメリカが再び軍事衝突の道を選ぶなら、より激しい反撃を覚悟すべきだと牽制した。
アクシオスは7日、当局者の話として、国防総省が数日前に中央軍に対しイランでの戦闘再開に向けた準備を完了するよう指示したと報じた。攻撃は両国の選挙前に行われる可能性があり、その際はイスラエル軍も参加する可能性が高いという。記事は、激しい戦闘が再開されればネタニヤフ氏にとって追い風になりうるとも指摘している。
小谷氏「選挙前の攻撃は考えにくい、これは情報戦」
報道の信憑性を問われた小谷氏は、「情報戦の一環」だと答えた。大規模攻撃の情報を流してイランに圧力をかけるのが目的だという。軍事攻撃という選択肢を排除しているとは思わないが、中間選挙前の攻撃は考えにくいとした。トランプ氏は、ホルムズ海峡でのイランに対する海上封鎖がかなり効いており、経済制裁の強化もあってイラン経済は相当苦しいと認識している。封鎖と制裁を維持・強化すれば、いずれイランから譲歩を引き出せるタイミングが来るというのが政権の大方の見方で、その時期を早めるためにあえて攻撃情報を流している可能性が高いと小谷氏はみる。
小谷氏は、今攻撃しても基本的にいいことはないと述べた。原油価格は上がる。ホルムズ海峡から出てくるタンカーの数は増えているが、イランはフーシ派とも協力して代替ルートを塞ぎ、湾岸諸国の石油施設も攻撃するだろう。アメリカ国内ではすでにディーゼル燃料の価格高騰に困っており、マイナスしかないという。
アクシオスの記事には、2日にバンス副大統領ら政権中枢がキャンプデービッドで秘密会合を開いたことまで書かれていた。キャスターの右松健太氏が、攻撃に賛同する閣僚がいるのかを尋ねた。小谷氏は、ヘグセス長官は賛成するかもしれないが、今はおそらくいないと答えた。ベッセント長官は当然反対で、バンス副大統領ももともと攻撃したくなかった。ルビオ長官もバランス感覚があり、基本的には反対だろうという。小谷氏はさらに、完全に秘密の会議の詳細が出ること自体がおかしいと指摘した。アクシオスはホワイトハウスに相当食い込んでいるが、ホワイトハウスが情報戦のためにアクシオスを使うこともあり、今回もそうだった可能性があるという。
伊藤氏は、郵便投票で先に投票する人も多いなか、選挙結果に影響を与えるために政権が仕掛けるデッドラインはいつごろかと尋ねた。小谷氏は、それはおそらくもう過ぎていると答えた。対外政策で結果を変えることは考えておらず、トランプ氏やバンス氏が激戦区を回り、共和党支持者に期日前投票を含めて確実に投票させることに重点が移っているという。外交を形勢逆転の手段にするのは実際の行動ではなく、情報戦で少しでも有利になればという程度だとみている。
一方、中間選挙が終わればトランプ氏には恐れるものがなくなると小谷氏は述べた。議会の構成次第ではあるが、側近たちは口をそろえて、中間選挙後のトランプ氏はレガシーづくりに入り、国内情勢は動かしようがないので外交・安全保障でレガシーを作ろうとするだろうと見ているという。そのなかにはイランへの攻撃や北朝鮮との対話なども含まれうるというのが、側近の見立てだと小谷氏は紹介した。
ネタニヤフ氏はトランプ氏を再び動かせるか
渡邊氏によれば、イスラエル国内では、アメリカとイスラエルのイランへのやり方は手ぬるく、もっと徹底的にやるべきだという世論がある。本格的な攻撃になればネタニヤフ氏にとって多少のプラス材料になるという。ただ、それはイスラエル単独ではできず、アメリカの協力が不可欠である。イスラエル側から動かせる余地は特にないと渡邊氏はみる。
2月28日の攻撃は、ネタニヤフ氏がトランプ氏をけしかける形で始まったと検証されてきた。同じ動きが再びありうるかについて、渡邊氏は、世論を背景に攻撃を求めることはありうるとしつつ、局面を打開する有効な手段をイスラエルが今持っているかは疑問だと述べた。2月のときは、イランの政府高官や主要人物を一気に殺害できる好機だという材料を持ち込んだが、現状ではそうした手段が見当たらないという。小谷氏も、ネタニヤフ氏が持っていた手札はすでに失われており、うまく口車に乗せてトランプ氏を再び攻撃に向かわせることはまず考えにくいと述べた。
イスラエルの有権者が求めているのは強い指導者か、戦争を終わらせる指導者か。渡邊氏は、強い指導者を求めていることは間違いないと答えた。財政負担や長引く戦争による兵士の疲弊、兵力不足といった問題はある。しかし、イスラエルへの脅威を取り除くこと、例えばイランの核開発を絶対にできないようにすることまで含めて、ようやく戦争が終わるというのが支配的な世論だという。外から想像されるような「すぐに戦争を終わらせる」方向には、なかなか向かわないだろうと渡邊氏はみる。
核問題の焦点と、核施設周辺の「キルゾーン」案
小谷氏によれば、国連総会に合わせてアメリカとイランの間接協議が再開された。イランはホルムズ海峡の管理のあり方を議論しようとしているが、アメリカはホルムズ海峡は自分たちが開放したのだから核の問題を話そうという立場である。焦点は二つある。イランがウラン濃縮の権利を放棄するかどうかと、すでに濃縮したウランの扱いである。バンス副大統領の発言を見ると、濃縮ウランの扱いを優先しているようだと小谷氏は述べた。今後この問題に集中した協議の流れができる可能性があり、イランが拒否し続ければ、中間選挙後に大規模攻撃という流れもありうるという。
地下深くの施設を攻撃するような最終手段はあくまで選択肢として保持するにとどまる。それとは別に、イスラエル側から核施設の周辺を「キルゾーン」にする提案が出ていると小谷氏は紹介した。イランが施設に近づく動きを見せれば攻撃し、物理的にアクセスを拒否するという案で、小谷氏はアメリカとしても検討に値するのではないかと述べた。現在は衛星などで常時監視しており、今後そこに近づく動きがあれば攻撃するところまで踏み込む可能性はあるという。
空母派遣とB1撤収の背景
ウォール・ストリート・ジャーナルは1日、米軍が原子力空母セオドア・ルーズベルトと追加の海兵隊部隊を中東に派遣すると報じた。小谷氏は、これも大規模攻撃をにおわせる情報戦の一環ではあるが、実際の目的はイランに対する海上封鎖の維持だとみる。横須賀を母港とするジョージ・ワシントンは中東での展開期間がかなり長くなっており、どこかで下げる必要があるため、交代させるのが主な理由だろうという。
B1爆撃機の撤収について、小谷氏は次のように説明した。イギリスの米軍基地へのテロ計画が浮上し、イギリス当局が摘発した件があった。それに加えて、ウクライナがロシア領内で行った「スパイダーウェブ作戦」と同じように、イランがイギリス国内からドローンで米軍基地を攻撃するという情報があったらしい。ただし、その情報源はイスラエルだった。イスラエルからイギリスの当局に流された情報がアメリカとも共有され、念のために爆撃機を下げたという。イスラエルの情報が正しいのかについてはアメリカ国内でも評価が割れている。それでも、7月のNATOサミットの際にトランプ氏がイスラエルの情報で狙われる可能性があるとして飛行機を乗り換えたこともあり、政権内にはイスラエルの情報を無視できないと考える人たちがいるという。
揺らぐトランプ氏の求心力と、選挙後のイスラエル
トランプ氏は7日、中間選挙の激戦州で応援演説を行った。集会では抗議の声が相次ぎ、少なくとも17人が退場させられるなど一時騒然となった。小谷氏は、トランプ氏の集会ではあまり見られない光景で、求心力がやや落ちてきている表れだとみる。MAGA支持層の一部はイラン戦争をきっかけに離れている。トランプ氏は今後も激戦州を回り、バンス副大統領もそれを支える動きを見せているが、どこまで共和党支持者を固められるかが課題だという。
イスラエルの総選挙の行方について、渡邊氏は接戦のまま投票日を迎えるとみている。選挙に向けた材料は出そろっており、世論は二極化して浮動層は限られているからだ。右松氏が、アメリカでいう「オクトーバー・サプライズ」のように、どちらかに追い風が吹く出来事が起きる可能性を尋ねた。渡邊氏は、そこまでは考えにくいと答えた。
選挙後のイスラエルの姿について、渡邊氏はネタニヤフ氏が残ってもアイゼンコット氏の政権になっても、基本的な安全保障路線は変わらないとみる。ただ、国際的に大きな批判を浴びている論点については引いていく可能性があるため、ヨルダン川西岸の問題なども含めて広く見ていく必要があると述べ、議論を締めくくった。
ガザでハマスによる統治が行われることはない。我々への攻撃に関与した者やイスラエルの市民を人質にした者に猶予はない。必ず報復する。
イスラム組織ハマスの奇襲攻撃から3年。中東情勢の緊迫が続く中、アメリカのニュースサイトは、トランプ政権が近くイランへの大規模攻撃に踏み切り、イスラエル軍も参加する可能性があると報じています。中間選挙を控えるトランプ大統領と総選挙に臨むネタニヤフ首相。共に選挙戦での苦戦が伝えられる中、イラン攻撃を選挙戦に利用する狙いはあるんでしょうか?
深層NEWS、本日のゲストをご紹介します。ホワイトハウスに独自の人脈を持ち、アメリカの外交安全保障戦略がご専門の明海大学教授、小谷哲男さんです。お願いします。
よろしくお願いします。よろしくお願いいたします。
パレスチナ情勢やイスラエルの政治に詳しい、日本エネルギー経済研究所中東研究センター主任研究員の渡邊駿さんです。お願いします。
よろしくお願いします。よろしくお願いいたします。
ハマスによるイスラエル南部への攻撃から始まったパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘は、今月7日で3年となりました。戦闘での死者はイスラエルで2300人以上、ガザ地区では7万4000人を超えています。渡邊さんにまず伺いますが、去年10月には、トランプ政権が主導した計画の第1弾として停戦合意は交わされましたが、ただ、その後イスラエル軍の空爆が続いている。ガザ保健当局によりますと、停戦後も1400人以上が死亡しているという、この現状をどのように受け止めていますか?
はい。そうですね。停戦がなかなか第1段階からその先に進まない中で、なかなかパレスチナの民間人の死傷者が減らないというところは、非常に残念で悲しく思っております。
小谷さん、イスラエルはハマスの完全な武装解除を撤退の前提としていると。一方、ハマスはイスラエル軍の撤退を求めて、そもそも双方折り合っていないという状況ですよね。トランプ政権は今、この和平合意が、和平計画が停滞していることをどのように捉えているんでしょうか?
そうですね。平和評議会の方でも、このハマスの武装解除、これを進めるという話になってはいるんですが、イスラエル側がこれに協力しないということで、なかなか進んでいないのが実情です。
トランプ政権とすれば、もちろん今の状況を快いとは思っていないわけですけれども、イスラエルの選挙に、イスラエルからの協力を引き出すことは難しいということで、イスラエルの選挙が終わるまでは待とう。その直後にアメリカの中間選挙もあったりしますので、当面はアメリカもイスラエルも国内モードというところになるのではないかと思います。
そうしますと、この両国の選挙が終わった後は、この中東情勢のガザ地区を含めて、何か動きがある可能性もあるということでしょうか?
トランプ政権は引き続き最優先課題はイラン情勢になると思いますので、すぐにガザということにはならないかもしれませんけれども、イラン情勢が落ち着く、あるいはイラン情勢が動かないといった時に、このガザの問題に再び目を向けて、これを動かそうということはあり得ると思います。
そしてイスラエルでは27日に、ハマスの奇襲攻撃後初の総選挙が実施されます。まずは最新の情勢を見ておきます。総選挙についての世論調査は各メディアが報じていて、一定のばらつきはありますが、ネタニヤフ首相率いる与党リクードの苦戦が予測されています。
イスラエルの民放チャンネル12が5日に公表した世論調査に基づく議席獲得予測によりますと、アイゼンコット元軍参謀総長の中道政党ヤシャルが23議席、ネタニヤフ首相率いる与党リクードの21議席を上回っています。野党陣営は54議席で、ネタニヤフ陣営は49議席。両陣営ともに過半数の61議席には届いていません。いずれの政党が勝利しても、連立に向けた政党間の交渉が行われる見通しです。
世論調査では、この中道政党のヤシャルが、ネタニヤフ首相率いる右派与党のリクードを上回っているという。これは渡邊さん、どのような背景があるんでしょうか?
はい。アイゼンコットの率いるヤシャル、今、中道政党というふうにご紹介いただきましたけれども、中道の中でもだいぶ右派に近いところにある政党になります。そういった意味で、リクードと被る部分が大きいわけなんですけれども、だからこそ、ネタニヤフはもううんざりだと、ネタニヤフに対する批判が高まっている中で、それまでリクードに期待していた人たちがどこに投票するかとなった時、ヤシャルが受け皿になっているというところがあるという。
そうしますと、国内全体的に右にシフトしているというのが、国の定位置なのかもしれないけれども、それでもやはりネタニヤフは嫌だなという受け皿として、この政党が今、言ってみると存在感を高めているということなんですか?
はい。そうですね。まさにおっしゃっていただいた通りでして、ネタニヤフ首相は前から汚職の裁判が続いていて、それがどうなるのかという中で、最高裁判所にうるさいことを言われないように、司法制度も変えてしまって政治家がコントロールできるようにしようということでしたり、冒頭にご紹介になった10月7日の攻撃をなぜネタニヤフ首相は防げなかったのかということの批判に対して、独立調査委員会を設置するということに非常に後ろ向きであったり、そういったところで首相に対する不満が今高まっているというところが背景としてあります。
今お話があったような、自らにかかる疑惑に対する態度とか、さらには10月7日の3年前の出来事とか、こういったものがふつふつと今、国内に不満として高まっているという。そういった意味で、逆に反ネタニヤフの受け皿が存在感を増している、こういった状況と言えるんですか?
そうですね。まさにおっしゃっていただいた通りだと思います。
では、現在一歩リードしている中道政党ヤシャルを率いるアイゼンコットとは、一体どういった人物なんでしょうか?
アイゼンコット氏は2015年から2019年に、イスラエル軍の制服組トップである参謀総長を務め、2022年に中道政党の国民連合に参加して国会議員になりました。パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘中には、ネタニヤフ氏の呼びかけで戦時内閣に入るも、後にネタニヤフ氏の方針に抗議して離脱。去年には国民連合からも離れ、中道政党ヤシャルを設立しました。また、アイゼンコット氏は2023年12月、ガザ地区での戦闘で当時25歳だった息子のガル氏を亡くし、甥2人もガザ地区で亡くなっています。
渡邊さん、アイゼンコット氏はどういった人物なんでしょうか?
はい。今ご紹介がありました通り、やはり彼の経歴の中で中心となるのは、軍人としてのキャリアであるということになります。ですので、国の安全を守ってくれるだろうという期待は集めやすい人物であるという点が、1つ言えるかなと思います。
ただ、その点はある意味、ネタニヤフ首相と被るところが結構あるわけなんですけれども、ネタニヤフ首相とはやっぱり違う路線を取るというのが、今ご紹介があった動きにありまして、そもそも政治活動をそれほどまだやっていませんので、よくも悪くも未知数であるというのと同時に、政治的汚点もまだないというところで、ある意味クリーンさというのが、ネタニヤフ首相に対して強みとしてアイゼンコット氏は言えるところにあるかなと思います。
政治経験が乏しいという点はあると思うんですが、やはり参謀総長を務めたキャリアというのは、首相になる、そういった適性があるというふうに見なされやすいんですか?
そうですね。イスラエルでは、やはりこれまで国の存亡というのが非常にフォーカスされてきた時代が長くて、これまでの首相を見ても、軍のキャリアを経ている人物は非常に多いです。
加えて、ガザ情勢で、この戦闘の中で息子さんを亡くされているということなんですよね。こういった事実というのはどうでしょうか? 有権者にはどのように映るのか、いかがですか?
そうですね。非常に悲しいことであるということであり、先ほどネタニヤフ首相はあまり10月7日のことに対して調べることに後ろ向きだという話を申し上げましたけれども、それと比べると、きっとアイゼンコット氏ならしっかりやってくれるだろうと。国の安全のために、そして悲しい事件をしっかり明らかにするということに力を砕いてくれるだろうという期待があると言えると思います。
ただ、国の舵取りをするには、もちろん政策もそうですし、これまでの経歴も大事ですが、人柄としてこの方というのはどういったタイプの人間なんですか?
そうですね。割と実直であるというようなところは言われておりますし、まさにこのヤシャルという政党の名前も、真っすぐであるとか、実直であるというようなところにかかる語になっていますので。
実直という意味なんですか?
はい。それを非常に強みとして打ち出しているかなと思います。
小谷さん、ネタニヤフ首相の再選を脅かす対抗馬としてのアイゼンコット氏、これをトランプ政権、ないしトランプ大統領はどう見ているんでしょうか?
そうですね。先週トランプ氏がタイム誌と行ったインタビューの中では、このアイゼンコット氏について「悪い話は聞かない」という表現をしていますので、ポスト・ネタニヤフ、ネタニヤフ氏に代わるパートナーとして、一定程度評価をしているんだと思います。
例えば、イランに対しては強硬であるということ、それからガザの問題でも、ハマスの一部の武装解除と引き換えにガザの復興に前向きであるという点は、トランプ政権からしても一緒にやりやすいというところがあるんだと思うんですね。
ただ、政治手腕が未知数なところがあって、おそらく選挙結果は僅差になるでしょうから、どのような形で連立を組むのかといった時に、果たしてそこがうまくできるのかという点は、大統領というよりは政権の中東担当者の間では、やや懸念されているようですね。
つまり政治経験が乏しいということで、イスラエルは渡邊さん、やはりとにかくたくさんの政党が複数連立を組んでいくということで、相当政治力が問われる政権運営となるわけですよね。もちろん軍のキャリアですとか、一定の国民からの支持を集めたとしても、その後の政権運営に対する不安感というのは国内にないんですか?
それはまさに僅差になっている現状というところで、不安感が高まっていて、ネタニヤフ首相は彼への攻撃材料として、しっかりやれないんじゃないかというのを使っていたりします。
そして2人の主な政策を各メディアの報道からまとめてみますと、パレスチナ国家の樹立については双方、2人とも反対だということで。ただ、ヨルダン川西岸への対応ということで、ネタニヤフ氏のリクードは強硬姿勢で、相当今、いろいろなことを力でもって行動しているということもあるようですが、それに対してヤシャルは比較的慎重姿勢と。つまり、大きな差は方向性としてはないんだけれども、この対応については少し違う。この辺りは渡邊さん、どういうふうに読み解けばいいんでしょうか?
そうですね。2点指摘しておきたいところがあるんですけれども、1つ目、リクードがなぜそれだけヨルダン川西岸に対して強硬かというと、リクードと一緒に連立を組んでくれる人に極右政党がいるからということになります。彼らはもうパレスチナ人を力で追い出してでも、ヨルダン川西岸をイスラエルのものにしようということを強く主張しています。
そうした状況が、第2点目として、やはり国際社会から非常に強い批判が上がっていて、特にヨーロッパから強い批判が上がっている中で、アイゼンコット陣営の側は、そうした国際社会に対してもう少しうまくやっていった方がいいんじゃないかというところを考えているというところが、リクードとヤシャルの違いにつながっているかなと思います。
仮にヤシャルが政権を取った時には、このヨルダン川西岸に対する対応については、今、かなり強硬な姿勢で武力をもって追い出そうとしているようなことが随分改善される。そしてヨーロッパからの心証はよくなるんですか?
そうですね。ただ、冒頭にあるようにパレスチナ国家の樹立に対して反対という立場を取っていますので、入植の拡大が止まるかというと、おそらくそこまでは期待できないと思っていて、今ほど強硬にはいかないけれども、入植拡大は続くということかなと思います。
はい。伊藤さん、いかがでしょうか?
選挙って業績投票と期待投票によって行われるんですね。ネタニヤフに対しては業績投票で、ヤシャルの方に対しては期待投票ということになると思うんですけれども、何を期待するんですか? 国際社会の中での改善なのか、それとも別のことなのか、他に何か要素はありますか?
そうですね。やはりネタニヤフは非常に長期政権でしたし、非常にダーティーなイメージが今ついているところから、とにかくそこから違う路線に行きたいというところが、1番ヤシャルが支持を集めているところにあるんですかね。
そういった中で劣勢に立たされているネタニヤフ首相ですが、3年前のハマスによる奇襲攻撃について、事前に情報を得ていたという報道が出ています。総選挙への影響はこの後です。
イスラエルの地元紙は先月、ネタニヤフ首相はハマスによる奇襲攻撃を事前に知っていた可能性があるということについて報じています。
イスラエルの地元紙ハーレツは先月8日、UAE、アラブ首長国連邦のムハンマド大統領が、ハマスによる襲撃の10日ほど前にネタニヤフ首相に警告していたと報じました。ハーレツはその他に、エジプト総合情報長官、パレスチナ自治政府の主流派ファタハの元高官、イスラエル情報機関シンベト長官から事前警告があったと報じています。
ネタニヤフ氏は一連の報道を否定しているわけですが、渡邊さん、もし仮に事前の警告を受けていたにもかかわらず黙殺したとすれば、一体何が背景にあるんでしょうか?
そうですね。結構びっくりしちゃうような話なわけですけれども、やはりネタニヤフ首相はハマスの攻撃に対して少し過信しているところがあったのかなというふうに思っています。ハマスがそれほどまで大きい攻撃をやることは思えないと思ったというところもあるでしょうし、逆に何かあったとしても、イスラエルがそれは絶対防げるだろうというようなところが、ちょっと過信していたんじゃないかなというふうに私は感じています。
では今回の報道が事実であるならば、警告を受けても脅威と見なさなかったと。つまり、これはネタニヤフの分析の失態だということが、地元では今、批判の的になっているということなんですか?
そうですね。この報道に関しては、そうした論調となっています。
ただ今回、UAEがどれほどの脅威認識を持って、ネタニヤフ首相に相当危ないぞというふうなことを伝えたのか、この点についてはまだまだ分からないところもあるんですが、その辺りはどういうふうにご覧になりますか?
そうですね。UAEにとっても、ハマスとイスラエルの間で大きな紛争になってしまうのは望まないことであったはずですので、中東全体が混乱するというのが見えていたわけですから。ですので、もし脅威を感じていたのであれば、しっかり伝えていたはずだというふうに思います。
今回の報道で注目されるのが、2020年にアブラハム合意で国交が正常化しているUAEが、イスラエルに対して警告を行ったと。ただ、それを言ってみると無視した格好になった。この辺りはどのような意味合いを、この合意を含めて見いだせばいいんでしょうか?
そうですね。国交正常化の時に、イスラエルと安全保障の協力を強くしましょうということが、そこから進んできたわけなんですけれども、基本的にはイスラエルの進んだ技術をUAEに持っていくというか、そこの連携を強くするという方向でしたので、今回の逆の方向、UAEからイスラエルというところで、それほど関係に大きな影響はなかったかなと思いますけれども、ただ、これで大丈夫かというふうに不安になったというのは、少なくともあるのかなと思います。
何かこのUAEの情報を黙殺するような政治的な思惑がイスラエル側にあったというふうな見方はできるんですか?
そこまでは考えていなかったんじゃないかなと。自分として、自分と申しますか、イスラエルの側としてどう捉えるかというところになったかなと思います。
じゃあ少なくとも1400人が殺害されたと、当時ですね、というふうな大規模な攻撃になるということ。その攻撃があるということは把握していたけれども、ただ、例えばイスラエルも強力な情報機関を持っていて、それと照合すれば、もう少しその認識についても高められたんじゃないかということも言えると思うんですね。ただ、そこに行かなかったのはなんでなんでしょうか? なんでだったんでしょうね。
それだけ、これまでガザにハマスを封じ込めてきたというところが、イスラエルの、それまで10年以上にわたって封鎖してきましたので、それが自信になっていたということになるかなと思います。
もう過信に尽きるということなんですかね。野党は今回の報道を受けて、ネタニヤフ首相を批判しているわけですね。これは言ってみると、もう選挙の政治姿勢というべきなのか、それともイスラエル社会で広く共有されていることなのか、今、現地の空気はどうなんでしょうか?
そうですね。先ほど申し上げたように、そもそもネタニヤフ首相が10月7日の攻撃の調査について後ろ向きであるというところは、もうイスラエル国内で反ネタニヤフの人たちは非常に強く怒っていたところですので、ある意味そこにプラスの、同じところを批判する材料が加わったというところになると思います。
仮にアイゼンコット氏が政権を取った時に、ネタニヤフに対して、その時はネタニヤフ前首相となるかもしれませんが、この10月7日の奇襲攻撃の内容について調査する、ある意味、公権をもって調査するという動きはあり得るんですか?
そうですね。ネタニヤフ首相は独立調査委員会を置くのは反対だというふうに言っているわけですが、アイゼンコット氏としては置くべきだというふうに言っていますので、そうした独立調査委員会の立場から、何が起きていたかというのを精査する方向になると思います。
小谷さん、トランプ大統領は、こういった事前情報における今回の報道をどういうふうに見ているんでしょうか?
イスラエルは3年前、10月7日の直後ですけれども、当時のバイデン政権に対しては、完全にハマスに騙されたというような説明をしていたようです。つまり、10月7日に至るまでに、ハマスの方から関係を改善したいといったシグナルが様々出されていたということのようで、完全に騙されたんだという説明をしていたんですけれども、最近トランプ政権にもそのような説明はしているようなんですね。ですから、この事前に知っていたんじゃないかという情報については、否定しようとしているということです。
トランプ大統領はネタニヤフ首相とは複雑な関係ですけれども、現役の国のトップが何かしらのミスによって突き上げられる、それこそ弾劾に追い込まれるような流れというのは、自らに照らし合わせて同情するんですね。だから、これまでもネタニヤフ氏を赦免するべきだということをイスラエルに働きかけてきましたので、この問題でネタニヤフ首相を追及するような動きはおそらく見せなくて、むしろかばうという、そういう言動を続けるんじゃないかなと思います。
なるほど。伊藤さん、いかがでしょうか。
はい。さっき右松さんが、強力な情報機関をイスラエルは持っているという話で、ネタニヤフの支持者の間では、知っていたと、イスラエルとしては知っていたけれども、それは治安機関が知っていたので、ネタニヤフさんは知らなかった。ネタニヤフさんをはめるために治安機関が黙っていたんだという、こういう陰謀論が広がっているようで。でもこれは、例えばネタニヤフの支持派は8割ぐらいが信じていると。野党の支持派は8割ぐらいが、これはおかしいと言っているみたいに、そもそも分断した状態が、このニュースによって変わっていないという感じがするんですね。選挙への影響というのはどうご覧になっていますか?
今、本当におっしゃってくださった通りですね。やはり国内で反ネタニヤフか親ネタニヤフで分断されてしまっているので、そういった意味では、そこの境目がなくなるという方向よりは、より分断が深まるという方向になっていくのかなと思います。
そういった中で、ネタニヤフ首相とかつて密月関係とも言われていたトランプ大統領は、こういった選挙の動きをどういうふうに見ているのか、この後考えます。
トランプ大統領は先月28日に行われたタイム誌のインタビューで、イスラエルはネタニヤフ首相にもう1期を与えるべきかと尋ねられた際、明確に答えず、インタビュアーが同じ質問を2度、3度繰り返すと、短く「いいえ」と答えたということです。
先ほどの小谷さんの話と、ネタニヤフ首相がハマスの奇襲攻撃を事前に知っていたのではないかという報道で相当劣勢に追い込まれても、言ってみると一定の共感を示したような、そういった姿勢を取るんだという話もしていますが、ただ今回、ノーと言っているわけですよね。続投について。
ここは本当は多分、答えを出したくなかったんでしょうけれども、何度も聞かれる中で答えてしまったんだと思いますが、実際にはどちらが勝っても、ネタニヤフ氏が勝ってもアイゼンコット氏が勝っても、自分が求心力を持てるように、影響力を持てるように、あまり立場を明確にしたくないというのが今の状況だと思いますね。
これまでもネタニヤフ首相との密月も伝えられる中で、隙間風も伝えられていますよね。今、実際どういった人間関係なんでしょう、2人は。
これは、例えばそれこそ2月28日に2人で一緒にイランに対して攻撃をやったわけですから、2人は密月だということが言われますけれども、トランプ政権の、トランプの側近の中で、この2人が密月だと感じている人は1人もいないですね。もう1期目の時から非常に難しい関係だったと。時に2人の利益が重なる時は一緒に動きますけれども、そうじゃない時の方が多いんだということなので、密月だったことはおそらくないし、そう見えた時期があったということだけで、今はトランプ氏とすれば、いかにネタニヤフが使える存在であり続けるのかどうか。そうでないならもう切るという、そういう状況ではないかと思いますね。
じゃあ、人間的な、人格的なシンパシーを、何かお互いが共鳴し合っているということはないということですね。
全くなくて、それこそ2020年のアメリカの大統領選挙の時に、トランプ氏は負けを認めなかったわけですね。でも真っ先にバイデン氏に「おめでとう」と電話した1人がネタニヤフ氏なんですよ。そのことをいまだに許していないですね。
そうですか。今のイスラエルの総選挙をアメリカがどう見ているかという点についても伺いたいんですが、トランプ大統領の支持母体であるキリスト教の福音派ですとか、親イスラエルロビーの団体というのは、ネタニヤフについてはどういうふうに捉えているのか、もしくは思っているのか、この辺りはどうなんでしょうか。
これは、アメリカの今のユダヤ系のロビー団体にせよ、ユダヤ系の人たちにせよ、やっぱりネタニヤフ氏に対しては非常に不満を持っていたり、反感を持っている人が多いですし、むしろ増えていると思います。ですから、もちろんイスラエル支持だけれども、それは必ずしもネタニヤフ支持ではないということでしょうし、その傾向は3年前から民主党の中でかなり強かったですけれども、最近は共和党の中でも見られるようになってきていますので、これはこの数十年、アメリカの中でなかなか見られなかった現象ではないかなと思います。
共和党がもうネタニヤフにてこ入れするインセンティブはないということですね。
そうですね。それは基本的にはないと思います。もし勝てば、もちろんその関係は維持するんでしょうけれども、消極的な支持というところではないかと思いますね。
伊藤さん、いかがでしょうか?
ちょうど選挙のタイミングが中間選挙の前に来るので、アメリカの中間選挙にイスラエルの選挙結果が何かしら影響する可能性というのはありますか?
直接はないんでしょうけれども、結局このイラン戦争というのが、今アメリカの中間選挙では1つの大きな要因ですよね。共和党の中でも、ネタニヤフに引きずられてトランプ氏が戦争を仕掛けたことは許せないというような人たちはいて、一部MAGAの支持層もそこから離れたりはしていますので、そういうところは若干影響があるんでしょうけれども、今のアメリカでネタニヤフを積極的に支持するというのは、共和党であり民主党であり、なかなか見られないと思いますね。
なるほど。さらにアメリカが近くイランへの大規模攻撃を再開し、そこにイスラエル軍も参加する可能性が高いという報道が出ています。来月3日に迫る中間選挙への影響なども含めて考えます。
激しい揺れと共に上がる悲鳴。これは先月30日に旅客機内で撮影された映像です。
UAE、アラブ首長国連邦からイスラエルに向かっていた、UAEの航空会社フライドバイ内で起きた、副操縦士の男が機長を襲撃した事件。イスラエルメディアによりますと、副操縦士は飛行中に機長を襲って旅客機を乗っ取り、テルアビブ近郊のベングリオン空港に激突させる計画だったと供述しているということです。
この事件についてアメリカのトランプ大統領は、「現在その件について調べている。私が聞いている限りでは答えはイエスだが、調査中だ」。
詳細は明らかにしなかったものの、イランの関与を複数回にわたって示唆しました。一方、ヨーロッパでもイランの名前が取り沙汰される出来事が起きています。
アメリカ軍によるイランへの軍事作戦の重要な拠点となっている、イギリスのフェアフォード空軍基地。ウォールストリート・ジャーナルは今月4日、当局者の話として、アメリカ軍がこの基地に配備していたB1爆撃機12機を全て撤収させたと報じました。その理由について、何らかの脅威があったのかと問われたトランプ氏は、「脅威があったから少し移動させたのだ」。
この空軍基地を巡っては先月27日、攻撃を計画したとして複数の男が逮捕され、イランの関与が疑われていました。
こうした中、トランプ氏は今月3日、「イランは打撃を受けているが、その対処は私が決断する。穏便にやるか厳しくやるかだけの問題だ」。イランへの軍事攻撃の再開も選択肢に含まれるとの認識を改めて示しました。
一方、イランのアラグチ外相は4日、「もしアメリカが再び軍事衝突の道を選ぶなら、より激しい反撃を覚悟すべきだし、我々は以前よりも強固に自衛する」と述べ、アメリカを牽制しました。
こうした中、アメリカのニュースサイト、アクシオスは7日、当局者の話として、国防総省が数日前、中央軍に対し、イランでの戦闘再開に向けた準備を完了するよう指示したと報道。また、アメリカとイスラエルの情報筋の話として、攻撃はアメリカの中間選挙やイスラエルの総選挙の前に行われる可能性があり、その際にはイスラエル軍も参加する可能性が高いと伝えています。記事では、もし激しい戦闘が再開されれば、ネタニヤフにとっては追い風となり得るとも指摘。イスラエル、そしてアメリカと相次いで選挙が控える中、トランプ大統領がイランへの再攻撃を決断する可能性はあるのでしょうか?
今、VTRにありました、アメリカがイランへの大規模な攻撃を再開するということ、これを検討しているという報道についてなんですが、小谷さんはホワイトハウスに独自の人脈をお持ちでいらっしゃいますけれども、この報道の信憑性についてはどういうふうに見ていますか?
これは情報戦の一環だと思いますね。
そうですか。
大規模な攻撃をするという情報を流して、イランに圧力をかけることが目的であって、軍事的な攻撃という選択肢を排除しているとは思いませんけれども、それこそ中間選挙の前に攻撃をするということは、ちょっと考えにくいと思いますね。
トランプの認識は、イランに対するこれがかなり効いていると。それに加えて経済的な制裁の強化も今しているところで、イランの経済はもうかなり苦しいということなんですね。アメリカとしては、この海上封鎖と経済制裁を維持、さらに強化する中で、中間選挙の前なのか後なのか分かりませんけれども、イランから譲歩を引き出せる、そういうタイミングがあるだろうというのが大方の見方で、少しでも譲歩を引き出すタイミングを早めるために、こういう大規模な攻撃をやるかもしれないという情報をあえて流しているという、そういう可能性が高いと思います。
確かに私たちも今日、このニュースを伝えようと言った時に、最初びっくりしたというか、まさかイランへの軍事攻撃を行えば、その分、原油価格が高騰してしまったり、それに伴ってアメリカの国内の物価高にも影響すると。なんでこれを選挙前にやろうとするのかという、この報道に対するそういった目線も私たちの中でもあったんですが、やっぱりこういった攻勢に出るということは、今のトランプ政権にはないということでしょうか?
そうですね。今、攻撃をしていいことは基本的にないと思います。原油価格は上がるでしょうし、今、ホルムズ海峡からタンカーが出てくる数は増えていますけれども、おそらくイランはそれこそフーシ派とも協力をして、その代替ルートを防ぐということに行くでしょうし、湾岸諸国、その湾岸周辺の石油施設への攻撃もすれば、今、ただでさえディーゼル燃料の価格が高くて、アメリカの中でも困っているわけですから、マイナスしかないですよね。
そうですよね。
ですから、この大規模な攻撃という情報戦を仕掛けて、できれば中間選挙の前にイランが譲歩するような姿勢を引き出したいというのが、おそらく狙いではないかと思います。
ただ今回、このアクシオスの報道ですね、かなり詳細に書かれたような印象もあって、中では先週2日に、バンス副大統領など、トランプ政権の中枢がキャンプデービッドで集まって秘密のミーティングを行ったというふうなことも含めて、ひょっとしたらこの話題も議論されたのではないかというふうなこともあったんですが、実際にこの大規模攻撃というようなことを今、ホワイトハウス、もしくはトランプ政権の中枢ですよね、トランプ大統領以外のメンバーも含めて、それに賛同するような閣僚はいるんですか?
それはヘグセス長官はもしかすると賛成するかもしれないですけれども、今はおそらくないと思いますね。ベッセント長官は当然反対ですし、バンス、彼も元々攻撃をしたくなかったわけですから。ルビオ長官もその辺りはバランス感覚がありますので、基本的には反対なんだと思いますね。
そもそもこの会議の詳細が出ること自体がおかしいんですよね。これは完全に秘密の会議ですから。アクシオスは相当ホワイトハウスに食い込んではいますけれども、時にはホワイトハウスが情報戦のためにアクシオスを使うということもあるので、今回はおそらく情報戦としてアクシオスが使われたんじゃないかと思います。
そうですか。伊藤さん、いかがでしょうか?
その情報戦ということも含めて、11月に中間選挙があるので、結構郵便投票を使って先に投票してしまう人も多いじゃないですか。ですから、実際の選挙に影響を与えるために、何か政権として仕掛けるタイミングとか、デッドラインというのはどの辺になるんですかね。
おそらくもうそこは過ぎているんだと思いますね。何か対外政策でその結果を変えるようなことは、もう今考えていないと思います。何かを下手にやって原油価格が上がるということがあり得ますので、今ホワイトハウスとしては、トランプ氏やその他バンス氏なども含めて、国内の遊説ですね、激戦区を回って、共和党員が当日、あるいは期日前投票でも、きちんと投票するということを確実にするというところに、既に重点は変わっていると思います。
そうすると、こういった外交というのを、言ってみると形勢逆転の有効打にするというふうなことは、今のところないということなんですね。
実際の行動ではおそらく考えていなくて、今回のように、おそらく情報戦で少しでも有利になればというところではないかと思います。
ただ一方で、選挙後に、今この経済制裁ですとか、さらにはホルムズ海峡のアメリカ側による封鎖というのが効いているという手応えはあったとしても、いずれ攻撃に踏み切るというようなことは今後あり得るんですかね?
中間選挙が終わってしまうと、トランプ氏も恐れるものがなくなります。もちろん議会の構成がどうなるかというのはありますが、トランプ政権、その側近はもう口を揃えて、中間選挙が終わったらトランプ氏はもうレガシーづくりに。もう国内の情勢は動かしようがないので、対外政策、外交安全保障で何かしらのレガシーを作っていくだろうと。その中には、イランに対する、もしかしたら攻撃もあるかもしれないし、それこそキューバへの攻撃ですとか、あるいは北朝鮮との対話、そういうものが含まれてくるだろうという、そういう見立てですね。
そうですか。渡邊さんにお伺いしますが、今回のアクシオスの報道、小谷さんは情報戦の一環ではないかということですが、一方でネタニヤフ首相としては、もしイランへの大規模攻撃があるということになった場合、どういうふうに受け止めるのか?
そうですね。イスラエルの国内では、今のイランに対してのアメリカとイスラエルのやり方は手ぬるいと、もっと徹底的に叩くべきだという世論ですので、もし本格的な攻撃ということになったら、それは少しプラスの材料に、ネタニヤフにとってはなるのかなと思います。ただ一方で、イスラエル単独ではできないことであって、アメリカが協力しないと絶対にできないことですので、イスラエルからこれを動かせるというところは特にないのかなと思います。
そうですか。2月28日は、これまで様々な検証がされていく中で、ネタニヤフ首相がトランプ大統領に、いわばけしかける格好で、こういったイラン情勢が始まったと。今回もアクシオスの情報戦という域を出ませんが、ただ、さらにもう1度トランプ大統領に対して、大規模攻撃を仕掛けるような、もしくはけしかけるような、こういった動きが今後あり得るかどうか。今のネタニヤフ首相の置かれている状況を含めて、どういうふうに捉えますか?
そうですね。イスラエル国内の、イランに対してもっと強硬にやるべきだという世論を背景にして、攻撃を求めるということはあるんだと思うんですけれども、じゃあ何か有効な起死回生の一弾になるようなものをイスラエルが今持っているかというと、そこはちょっと疑問かなと。
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月の時は、イランの政府高官だったり、主要な人物を一気に抹殺できるチャンスだというところを持っていったわけですけども、今の現状においてイスラエルが何か有効な手段を持っているかというと、そこは疑問です。
小谷さん、改めてネタニヤフ首相がいくら「もう1度やりましょう」と言ったとて、トランプ大統領はもう動かないということでしょうかね。
そうですね。ネタニヤフ氏が持っていた手というのは、すでにもう失われていると思いますので、うまく口車に乗せてトランプ氏を操って、再び攻撃するというのはまず考えにくいと思いますね。
渡邊さん、今のイスラエルの有権者においては、次のリーダー、これがネタニヤフ氏なのか、アイゼンコット氏なのか、またそれ以外なのか、様々ありますが、やっぱり強い指導者が求められるのか、それとも「いい加減、戦争を終わらせてくれ」というような指導者が求められるのか、根源的にはどっちなんですかね。
そうですね。強い指導者は間違いなく求めていると、先ほど軍人の経歴の人が多いというところで申し上げた通りなんですけども、戦争を終わらせるという方向に関しては、もちろん財政負担が起きてますし、ずっと戦争が続いているので、兵士の疲弊感であったり、兵員不足という問題もあったりするわけです。ただ、イスラエルに対しての脅威をなくしてくれと、イランが、例えば核開発を絶対できないようにするべきだとか、そういったところまで含めてようやく戦争が終わりだというのが、イスラエルの支配的な世論ですので、我々がイメージするような、すぐ戦争を終わらせるという方向には、なかなかいかないのかなと思います。
今お話があった核開発の阻止というのは、これはトランプ政権も共通の1つのテーマだと思うんですね。今、実際には核開発について、ある程度、抑制が効いてるのかどうかも含めて、加えて今後、その核、今もうホルムズの管理について、もうアメリカができてるんだっていう自負がアメリカにあるわけですが、この核についてどういうふうに今後動かしていこうとするのか、その際にまだ軍事的なオプションが残っているのか、この辺りいかがですか。
国連総会に合わせて、アメリカとイランの間接協議が再開されましたけれども、イランは引き続きホルムズの管理のあり方について議論しようと言ってるんですが、アメリカはもうホルムズはアメリカが解放したんだから、核の問題を話そうということを言ってるわけですね。
焦点になってくるのは、引き続きそのウランの濃縮の権利、これを放棄するかどうかということと、すでに濃縮したウラン、これの取り扱いということになりますが、バンス副大統領のこの12日の発言などを見ていると、その濃縮ウランの取り扱い、これを優先しているようですので、今後、中間選挙の前なのか後なのか分かりませんが、イランとこの問題を集中的に話したいという、そういう流れはできるかもしれませんし、それをイランがいつまでも拒否すると、まさに大規模攻撃という、そういう流れになることも中間選挙の後にはあるかもしれないです。
その完全に、いわゆる地下深くの施設の攻撃という、最終手段みたいな攻撃は、一応その選択肢として保持はしているけれども、それはなかなか前に出てくるようなものではないと。
それこそ今イスラエルの方からは、この核施設の周辺をキルゾーンにしようというような提案が出てるんですね。つまりイランがそこに近づくような動きを見せれば、そこはもう攻撃するという形で、物理的に核施設へのアクセスを拒否するという案が出てきて、これはアメリカとしても検討に値するものではないかなと思います。
ある意味、核施設、その中の濃縮ウランの取り出しとかってことではなく、その核施設自体を無力化していくと。
そうですね。今の段階では、衛星などを使って常に監視はしているんですけども、そこに近づくような動きが見られると、そこを攻撃するといったところに今後踏み込む可能性はあると思います。
ある意味、合理的な作戦というふうに評価できるわけですか。
そうです。なれば、そこへのアクセスを拒否するということはありえると思います。
さらに、イラン情勢を巡って1つ気になる動きもありますのでご紹介します。ウォール・ストリート・ジャーナルは1日、複数の当局者の話として、アメリカ軍が原子力空母セオドア・ルーズベルトと追加の海兵隊部隊を中東地域に派遣すると報じました。
また、ウォール・ストリート・ジャーナルは4日、当局者の話として、アメリカ軍がイギリスのフェアフォード空軍基地に配備していたB1爆撃機を全て撤収させたと伝えました。撤収の理由について、安全保障上の懸念があったとしています。
この原子力空母の派遣について、これは小谷さん、どう見てますか。
これは大規模攻撃があるかもしれないという情報戦の一環だとは思いますけれども、実際にはイランに対する海上封鎖、これを維持するということだと思います。今、中東に展開している、横須賀を母港とするジョージ・ワシントン、これも展開期間がかなり長くなってきてますので、どこかの段階で下げなければなりませんから、おそらくジョージ・ワシントンと交代させるというのが主な理由で、それは結局、海上封鎖を継続するということだと思いますね。
このB1爆撃機の撤収について、これはどういうふうに捉えればいいでしょうか。
これは、それこそイギリスの米軍基地に対するテロ攻撃があるんじゃないかということで、一時、工作されて、それをイギリス当局が捕捉するということがあって、動きがありましたけれども、引き続き、これ去年だったと思いますが、ウクライナがロシア領内でやったスパイダーウェブ作戦。
はいはいはい、あの作戦ってやつですね。
あれと同じように、イギリスの領内でイランがドローンで、イギリスにあるアメリカ軍基地を攻撃するという、そういう情報があったらしいんですよね。ただ、この情報源がイスラエルなんですよ。イスラエルからそういう情報がイギリスの機関に流されて、それがアメリカとも共有されて、今回、念のために下げたということなんですけども。
本当にそのイスラエルの情報が正しいのかどうかは、アメリカの中でもやはり評価は割れているんですが、それこそ7月のNATOサミットの時に、トランプ大統領がやはりイスラエルの情報で狙われるんじゃないかということで、飛行機を乗り換えてたというのもありましたので、一部、トランプ政権の中には、このイスラエルの情報はやっぱり無視できないと考える人たちがいて、今回、爆撃機を下げたということのようですね。
なるほど。そういった中、渡邊さん、改めてお伺いしたいんですが、今後この総選挙、これがどういうふうに展開するのかといったところで、現在は接戦というところかもしれませんが、この残り、月末までにかけて、今後どういうふうにこの票というか、この支持が動いていくのか、この辺り、大きくどういうふうに今、見てらっしゃいますか。
そうですね。私はこのまま割と接戦のまま選挙まで進んでいくのかなと思っています。良くも悪くも、これまでの日数だと選挙に向けた材料が揃っておりますし、先ほど話題にも上ったように、やはり国内で世論が結構分極化、割れておりますので、そこから浮動層っていうのは限られているというところで、このまま接戦で続くかなと思っております。
いわゆる、例えば軍事攻撃のような、場合によってはこれはアメリカで使う言葉かもしれませんが、オクトーバー・サプライズのような、何かネタニヤフに対して追い風が吹くような、もしくはアイゼンコットに追い風が吹くような、こういったようなことはなかなか今後動きづらいというのが現状でしょうか。
そうですね。そこまでなかなか考えられないかと思っています。
なるほど。さて、中間選挙の応援演説に臨んだトランプ大統領に抗議の声が相次ぎ、支持者と衝突する場面もありました。この後。
トランプ大統領は7日、中間選挙の激戦州テキサスに応援演説に入りましたが、集会では抗議の声が相次いで、少なくとも17人が退場させられるなど、一時騒然となったようです。これ、共和党の集会ですから、こういうこと珍しいんですか、やっぱり。
そうですね。トランプ氏の集会ではあまり見られない光景なので、やはり求心力がやや落ちてきているということだと思います。MAGAの支持層の一部、イラン戦争をきっかけに離れた人たちもいますので、そういう声が出てきたんだと思います。
ただ、トランプとしてはこの先も激戦州を回っていくということになるでしょうし、副大統領もそれを側面支援するような動きを見せてますので、それでどこまで共和党支持者を固められるかっていうのが今後の課題だと思います。
そして、イスラエルではこれから総選挙があるわけですが、渡邊さん、この選挙、まだ分かりませんが、選挙後にイスラエルはどのような国家になろうとしていこうとするのか、この辺りどういうふうにご覧になりますか。
そうですね。ネタニヤフ首相が残るのか、アイゼンコット氏になるのか分からないですけども、基本的には安全保障路線は変わらないのかなと思います。ただ、その中で批判を大きく国際的に浴びている論点に関しては、引いていく可能性がありますので、であったり、広く見ていくことは必要かなと思っております。
共に大きな選挙を抱えたアメリカとイスラエルの状況を考えていきました。どうもありがとうございました。
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