ネタニヤフ与党はなぜ苦戦しているのか、トランプ政権はイランを再び攻撃するのか

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概要

ハマスによるイスラエル奇襲攻撃から3年がたった。イスラエルでは10月27日に、この攻撃後で初めての総選挙が行われる。アメリカでは11月3日に中間選挙が控えている。両国の選挙を前に、アメリカのニュースサイト「アクシオス」は、トランプ政権が近くイランへの大規模攻撃を再開し、イスラエル軍も加わる可能性が高いと報じた。BS日テレ「深層NEWS」は、アメリカの外交・安全保障戦略を専門とする明海大学教授の小谷哲男氏と、日本エネルギー経済研究所中東研究センター主任研究員の渡邊駿氏を迎え、次の3点を議論した。ネタニヤフ首相率いる与党リクードが苦戦している理由、奇襲を事前に把握していたとする報道の影響、そしてイラン攻撃再開報道の真意である。小谷氏は、攻撃報道を「情報戦」とみる立場をとった。

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停戦後も続く死者と、動かないガザ和平

番組の紹介によれば、ガザでの戦闘による死者はイスラエル側で2300人以上、ガザ地区で7万4000人を超える。昨年10月、トランプ政権が主導した計画の第1段階として停戦合意が交わされた。しかしその後もイスラエル軍の空爆は続き、ガザ保健当局によれば停戦後だけで1400人以上が死亡した。渡邊氏は、停戦が第1段階から先に進まないなかでパレスチナの民間人の死者が減らないことを「非常に残念で悲しい」と述べた。

イスラエルはハマスの完全な武装解除を撤退の前提とし、ハマスはイスラエル軍の撤退を求めている。双方の主張は折り合っていない。小谷氏によれば、平和評議会でもハマスの武装解除を進めることになってはいるが、イスラエル側が協力しないため進んでいない。トランプ政権は現状を快く思っていないものの、選挙前のイスラエルから協力を引き出すのは難しいと判断し、選挙が終わるまで待つ構えだという。直後にはアメリカの中間選挙もあるため、当面は両国とも「国内モード」になると小谷氏はみる。選挙後もトランプ政権の最優先課題はイラン情勢であり、すぐにガザが動くわけではない。ただ、イラン情勢が落ち着くか膠着した段階で、再びガザに目を向ける可能性はあると小谷氏は述べた。

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世論調査でリクードを上回る中道政党「ヤシャル」

総選挙の世論調査は媒体によってばらつきがあるものの、リクードの苦戦が予測されている。イスラエルの民放チャンネル12が5日に公表した議席予測では、アイゼンコット元参謀総長が率いる中道政党ヤシャルが23議席で、リクードの21議席を上回った。陣営別では野党側が54議席、ネタニヤフ陣営が49議席で、どちらも過半数の61議席に届いていない。どの政党が勝っても、連立に向けた交渉が必要になる見通しだ。

渡邊氏によると、ヤシャルは中道のなかでもかなり右派に近い政党で、リクードと重なる部分が大きい。だからこそ、ネタニヤフ氏に「うんざり」した従来のリクード支持者の受け皿になっているという。不満の背景として渡邊氏は三つを挙げた。第一に、汚職裁判が続くなかで、最高裁に口出しされないよう司法制度を変えて政治家がコントロールできるようにしようとしたこと。第二に、10月7日の攻撃をなぜ防げなかったのかという批判に対し、独立調査委員会の設置に後ろ向きであること。第三に、それらを通じて首相個人への不満が高まっていることである。

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アイゼンコット氏とはどのような人物か

番組の紹介によれば、アイゼンコット氏は2015年から2019年までイスラエル軍の制服組トップである参謀総長を務め、2022年に中道政党「国民連合」に加わって国会議員になった。ガザでの戦闘中はネタニヤフ氏の呼びかけで戦時内閣に入ったが、のちに首相の方針に抗議して離脱した。昨年には国民連合からも離れ、ヤシャルを設立している。2023年12月には、当時25歳だった息子のガル氏をガザでの戦闘で亡くし、甥2人もガザで亡くなっている。

渡邊氏は、経歴の中心は軍人としてのキャリアであり、国の安全を守ってくれるという期待を集めやすいと説明した。イスラエルでは安全保障が重視されてきた時代が長く、歴代首相にも軍歴を持つ人物が多いという。その点ではネタニヤフ氏と重なるが、首相とは違う路線をとってきた。政治活動の経験が浅いため「良くも悪くも未知数」だが、汚職の汚点もない。このクリーンさがネタニヤフ氏に対する強みになっていると渡邊氏はみる。息子を亡くした経験については、10月7日の検証に後ろ向きな首相と比べて、「アイゼンコット氏ならしっかり明らかにしてくれるだろう」という期待につながっているという。人柄は実直だと言われ、党名の「ヤシャル」も「まっすぐ」「実直」といった意味にかけたもので、それを強みとして打ち出していると渡邊氏は述べた。

トランプ政権の見方について、小谷氏は先週のタイム誌インタビューを挙げた。トランプ氏はアイゼンコット氏について「悪い話は聞かない」と表現しており、ポスト・ネタニヤフのパートナーとして一定の評価をしているとみられる。イランに強硬であること、ハマスの一部武装解除と引き換えにガザ復興に前向きであることは、トランプ政権にとって組みやすい点だという。一方で選挙結果は接戦になりそうなため、連立をうまく組めるのかについて、大統領よりも政権内の中東担当者の間で懸念があるようだと小谷氏は話した。渡邊氏も、イスラエル国内には政権運営への不安感があり、リクードが「しっかりやれないのではないか」という攻撃材料にしていると述べた。

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ヨルダン川西岸をめぐる両党の違い

各メディアの報道をまとめると、パレスチナ国家の樹立には両者とも反対している。ヨルダン川西岸への対応では、リクードが強硬姿勢、ヤシャルが比較的慎重な姿勢をとる。渡邊氏はこの違いを二点で説明した。一つは、リクードの連立相手に極右政党がいることである。極右政党は、パレスチナ人を力で追い出してでも西岸を自分たちのものにすべきだと強く主張している。もう一つは、ヨーロッパを中心に国際社会の批判が強まっていることで、アイゼンコット陣営は国際社会ともう少しうまくやるべきだと考えているという。

ただし渡邊氏は、ヤシャルが政権を取っても入植の拡大が止まるとは期待できないとみる。今ほど強硬ではなくなっても、拡大自体は続くだろうという見立てである。コメンテーターの伊藤俊行氏(読売新聞編集委員)は、ネタニヤフ氏には業績投票、ヤシャルには期待投票が働いているのではないかと指摘し、何が期待されているのかを尋ねた。渡邊氏は、長期政権でダーティーなイメージがついたネタニヤフ氏から、とにかく違う路線に移りたいという思いがいちばんの要因だと答えた。

14:51

「奇襲を事前に知っていた」報道

イスラエル紙ハアレツは先月8日、UAE(アラブ首長国連邦)のムハンマド大統領がハマスの襲撃の10日ほど前にネタニヤフ首相に警告していたと報じた。同紙はほかにも、エジプトの総合情報庁長官、パレスチナ自治政府の主流派ファタハの元高官、イスラエルの情報機関シンベトの長官から事前警告があったと伝えている。ネタニヤフ氏は一連の報道を否定している。

渡邊氏は「結構びっくりしちゃうような話」と述べた。そのうえで、もし警告を黙殺したのであれば、ネタニヤフ氏に過信があったのではないかと推測した。ハマスがそれほど大きな攻撃をするとは思わなかった可能性と、何があってもイスラエルなら防げると信じていた可能性である。背景には、10年以上ガザを封鎖してハマスを封じ込めてきた実績への自信があったとみる。UAEにとっても大規模な紛争で中東全体が混乱するのは望ましくないはずで、脅威を感じていたならしっかり伝えていたはずだと渡邊氏は述べた。

2020年のアブラハム合意で国交を正常化したUAEの警告が無視された形になった点について、渡邊氏は次のように説明した。正常化後の安全保障協力は、主にイスラエルの技術をUAEに持ち込む方向で進んできた。そのため、今回のUAEからイスラエルへという逆方向の件で関係が大きく損なわれたとは思わないが、UAE側に「これで大丈夫か」という不安が生じた可能性はあるという。イスラエル側にUAEの情報を黙殺する政治的思惑があったとまでは考えていない。

国内の受け止めについて渡邊氏は、10月7日の検証に後ろ向きな首相への怒りはもともと反ネタニヤフ層の間で強く、同じ点を批判する材料が加わった形だと述べた。アイゼンコット氏は独立調査委員会を設置すべきだと主張しているため、政権を取れば委員会の立場から経緯を精査する方向になるとみる。

19:48

アメリカへの説明と、深まる分断

小谷氏によれば、イスラエルは10月7日の直後、当時のバイデン政権に対し「完全にハマスに騙された」と説明していた。攻撃に至るまで、ハマス側から関係を改善したいというシグナルがさまざまに出ていたという趣旨である。最近はトランプ政権にも同様の説明をしているようで、事前把握説を否定しようとしているという。

トランプ氏はネタニヤフ氏と複雑な関係にある。ただ小谷氏によれば、現職の国のトップがミスを理由に突き上げられ、退陣に追い込まれるような流れには、自らに照らして同情する。トランプ氏はこれまでもネタニヤフ氏をめぐってイスラエル側に働きかけてきた経緯があり、この問題で首相を追及することはなく、むしろかばう言動を続けるだろうと小谷氏はみる。

伊藤氏は、ネタニヤフ支持者の間で陰謀論が広がっていると紹介した。イスラエルとして情報は得ていたが、知っていたのは治安機関であり、首相をはめるために黙っていたという説である。支持者の8割ほどがこれを信じ、野党支持者の8割ほどがおかしいと考えているという。伊藤氏は、もともとの分断がこのニュースで変わっていないように見えると述べた。渡邊氏も同意し、境目がなくなるよりも分断が深まる方向に進むだろうと答えた。

22:35

トランプ氏の「ノー」と、ネタニヤフ氏との実際の関係

トランプ氏は先月28日のタイム誌のインタビューで、イスラエルはネタニヤフ氏にもう1期を与えるべきかと問われた。明確には答えず、インタビュアーが2度3度と同じ質問を繰り返すと、短く「いいえ」と答えたという。小谷氏は、本当は答えたくなかったが何度も聞かれて答えてしまったのだろうとみる。実際には、ネタニヤフ氏とアイゼンコット氏のどちらが勝っても自分が影響力を持てるよう、立場を明確にしたくないのが現状だという。

両者の関係について小谷氏は、2月28日に共にイランを攻撃したことから「蜜月」と言われるものの、トランプ氏の側近で2人が蜜月だと感じている人は1人もいないと述べた。1期目から難しい関係で、利益が重なるときは一緒に動くが、そうでないときのほうが多い。蜜月だったことはおそらくなく、そう見えた時期があっただけだという。今のトランプ氏にとっての基準は、ネタニヤフ氏が使える存在であり続けるかどうかで、そうでなければ切るという状況だと小谷氏はみる。人格的な共感はまったくなく、2020年の大統領選でトランプ氏が負けを認めなかったときに、真っ先にバイデン氏へ祝福の電話をした1人がネタニヤフ氏だった。トランプ氏はそのことを今も許していないという。

アメリカの支持基盤についても、小谷氏は変化を指摘した。ユダヤ系ロビー団体やユダヤ系の人々のなかで、ネタニヤフ氏に強い不満や反感を持つ人は多く、むしろ増えている。イスラエル支持が必ずしもネタニヤフ支持ではないということだ。この傾向は3年前から民主党内で強かったが、最近は共和党内でも見られ、ここ数十年のアメリカでは見られなかった現象だと小谷氏は述べた。共和党がネタニヤフ氏をてこ入れする動機は基本的になく、勝てば関係は維持するとしても、支持は消極的なものにとどまるという。伊藤氏がイスラエルの選挙結果と中間選挙の関係を尋ねると、小谷氏は直接の影響はないとしつつ、イラン戦争が中間選挙の大きな要因になっていると答えた。共和党内にも、ネタニヤフ氏に引きずられてトランプ氏が戦争を仕掛けたことを許せないという人がおり、MAGA支持層の一部も離れているという。

27:47

相次ぐイラン関与疑惑とアクシオスの攻撃再開報道

番組はイランをめぐる最近の出来事を紹介した。9月30日、UAEからイスラエルに向かっていたUAEの航空会社フライドバイの機内で、副操縦士が機長を襲撃する事件が起きた。イスラエルメディアによれば、副操縦士は旅客機を乗っ取り、テルアビブ近郊のベングリオン空港に激突させる計画だったと供述している。トランプ氏は「私が聞いている限りでは答えはイエスだが調査中だ」と述べ、イランの関与を示唆した。

イギリスでは、アメリカ軍の対イラン作戦の重要拠点であるフェアフォード空軍基地をめぐり、9月27日に攻撃を計画した疑いで複数の男が逮捕され、イランの関与が疑われた。ウォール・ストリート・ジャーナルは今月4日、米軍が同基地に配備していたB1爆撃機12機をすべて撤収させたと報じた。トランプ氏は「脅威があったから少し移動させた」と述べている。トランプ氏は3日にも、イランへの対処は自分が決めるとし、穏便にやるか厳しくやるかの問題だと述べて、攻撃再開も選択肢に含まれるとの認識を示した。イランのアラグチ外相は4日、アメリカが再び軍事衝突の道を選ぶなら、より激しい反撃を覚悟すべきだと牽制した。

アクシオスは7日、当局者の話として、国防総省が数日前に中央軍に対しイランでの戦闘再開に向けた準備を完了するよう指示したと報じた。攻撃は両国の選挙前に行われる可能性があり、その際はイスラエル軍も参加する可能性が高いという。記事は、激しい戦闘が再開されればネタニヤフ氏にとって追い風になりうるとも指摘している。

32:38

小谷氏「選挙前の攻撃は考えにくい、これは情報戦」

報道の信憑性を問われた小谷氏は、「情報戦の一環」だと答えた。大規模攻撃の情報を流してイランに圧力をかけるのが目的だという。軍事攻撃という選択肢を排除しているとは思わないが、中間選挙前の攻撃は考えにくいとした。トランプ氏は、ホルムズ海峡でのイランに対する海上封鎖がかなり効いており、経済制裁の強化もあってイラン経済は相当苦しいと認識している。封鎖と制裁を維持・強化すれば、いずれイランから譲歩を引き出せるタイミングが来るというのが政権の大方の見方で、その時期を早めるためにあえて攻撃情報を流している可能性が高いと小谷氏はみる。

小谷氏は、今攻撃しても基本的にいいことはないと述べた。原油価格は上がる。ホルムズ海峡から出てくるタンカーの数は増えているが、イランはフーシ派とも協力して代替ルートを塞ぎ、湾岸諸国の石油施設も攻撃するだろう。アメリカ国内ではすでにディーゼル燃料の価格高騰に困っており、マイナスしかないという。

アクシオスの記事には、2日にバンス副大統領ら政権中枢がキャンプデービッドで秘密会合を開いたことまで書かれていた。キャスターの右松健太氏が、攻撃に賛同する閣僚がいるのかを尋ねた。小谷氏は、ヘグセス長官は賛成するかもしれないが、今はおそらくいないと答えた。ベッセント長官は当然反対で、バンス副大統領ももともと攻撃したくなかった。ルビオ長官もバランス感覚があり、基本的には反対だろうという。小谷氏はさらに、完全に秘密の会議の詳細が出ること自体がおかしいと指摘した。アクシオスはホワイトハウスに相当食い込んでいるが、ホワイトハウスが情報戦のためにアクシオスを使うこともあり、今回もそうだった可能性があるという。

伊藤氏は、郵便投票で先に投票する人も多いなか、選挙結果に影響を与えるために政権が仕掛けるデッドラインはいつごろかと尋ねた。小谷氏は、それはおそらくもう過ぎていると答えた。対外政策で結果を変えることは考えておらず、トランプ氏やバンス氏が激戦区を回り、共和党支持者に期日前投票を含めて確実に投票させることに重点が移っているという。外交を形勢逆転の手段にするのは実際の行動ではなく、情報戦で少しでも有利になればという程度だとみている。

一方、中間選挙が終わればトランプ氏には恐れるものがなくなると小谷氏は述べた。議会の構成次第ではあるが、側近たちは口をそろえて、中間選挙後のトランプ氏はレガシーづくりに入り、国内情勢は動かしようがないので外交・安全保障でレガシーを作ろうとするだろうと見ているという。そのなかにはイランへの攻撃や北朝鮮との対話なども含まれうるというのが、側近の見立てだと小谷氏は紹介した。

38:59

ネタニヤフ氏はトランプ氏を再び動かせるか

渡邊氏によれば、イスラエル国内では、アメリカとイスラエルのイランへのやり方は手ぬるく、もっと徹底的にやるべきだという世論がある。本格的な攻撃になればネタニヤフ氏にとって多少のプラス材料になるという。ただ、それはイスラエル単独ではできず、アメリカの協力が不可欠である。イスラエル側から動かせる余地は特にないと渡邊氏はみる。

2月28日の攻撃は、ネタニヤフ氏がトランプ氏をけしかける形で始まったと検証されてきた。同じ動きが再びありうるかについて、渡邊氏は、世論を背景に攻撃を求めることはありうるとしつつ、局面を打開する有効な手段をイスラエルが今持っているかは疑問だと述べた。2月のときは、イランの政府高官や主要人物を一気に殺害できる好機だという材料を持ち込んだが、現状ではそうした手段が見当たらないという。小谷氏も、ネタニヤフ氏が持っていた手札はすでに失われており、うまく口車に乗せてトランプ氏を再び攻撃に向かわせることはまず考えにくいと述べた。

イスラエルの有権者が求めているのは強い指導者か、戦争を終わらせる指導者か。渡邊氏は、強い指導者を求めていることは間違いないと答えた。財政負担や長引く戦争による兵士の疲弊、兵力不足といった問題はある。しかし、イスラエルへの脅威を取り除くこと、例えばイランの核開発を絶対にできないようにすることまで含めて、ようやく戦争が終わるというのが支配的な世論だという。外から想像されるような「すぐに戦争を終わらせる」方向には、なかなか向かわないだろうと渡邊氏はみる。

42:13

核問題の焦点と、核施設周辺の「キルゾーン」案

小谷氏によれば、国連総会に合わせてアメリカとイランの間接協議が再開された。イランはホルムズ海峡の管理のあり方を議論しようとしているが、アメリカはホルムズ海峡は自分たちが開放したのだから核の問題を話そうという立場である。焦点は二つある。イランがウラン濃縮の権利を放棄するかどうかと、すでに濃縮したウランの扱いである。バンス副大統領の発言を見ると、濃縮ウランの扱いを優先しているようだと小谷氏は述べた。今後この問題に集中した協議の流れができる可能性があり、イランが拒否し続ければ、中間選挙後に大規模攻撃という流れもありうるという。

地下深くの施設を攻撃するような最終手段はあくまで選択肢として保持するにとどまる。それとは別に、イスラエル側から核施設の周辺を「キルゾーン」にする提案が出ていると小谷氏は紹介した。イランが施設に近づく動きを見せれば攻撃し、物理的にアクセスを拒否するという案で、小谷氏はアメリカとしても検討に値するのではないかと述べた。現在は衛星などで常時監視しており、今後そこに近づく動きがあれば攻撃するところまで踏み込む可能性はあるという。

45:08

空母派遣とB1撤収の背景

ウォール・ストリート・ジャーナルは1日、米軍が原子力空母セオドア・ルーズベルトと追加の海兵隊部隊を中東に派遣すると報じた。小谷氏は、これも大規模攻撃をにおわせる情報戦の一環ではあるが、実際の目的はイランに対する海上封鎖の維持だとみる。横須賀を母港とするジョージ・ワシントンは中東での展開期間がかなり長くなっており、どこかで下げる必要があるため、交代させるのが主な理由だろうという。

B1爆撃機の撤収について、小谷氏は次のように説明した。イギリスの米軍基地へのテロ計画が浮上し、イギリス当局が摘発した件があった。それに加えて、ウクライナがロシア領内で行った「スパイダーウェブ作戦」と同じように、イランがイギリス国内からドローンで米軍基地を攻撃するという情報があったらしい。ただし、その情報源はイスラエルだった。イスラエルからイギリスの当局に流された情報がアメリカとも共有され、念のために爆撃機を下げたという。イスラエルの情報が正しいのかについてはアメリカ国内でも評価が割れている。それでも、7月のNATOサミットの際にトランプ氏がイスラエルの情報で狙われる可能性があるとして飛行機を乗り換えたこともあり、政権内にはイスラエルの情報を無視できないと考える人たちがいるという。

47:54

揺らぐトランプ氏の求心力と、選挙後のイスラエル

トランプ氏は7日、中間選挙の激戦州で応援演説を行った。集会では抗議の声が相次ぎ、少なくとも17人が退場させられるなど一時騒然となった。小谷氏は、トランプ氏の集会ではあまり見られない光景で、求心力がやや落ちてきている表れだとみる。MAGA支持層の一部はイラン戦争をきっかけに離れている。トランプ氏は今後も激戦州を回り、バンス副大統領もそれを支える動きを見せているが、どこまで共和党支持者を固められるかが課題だという。

イスラエルの総選挙の行方について、渡邊氏は接戦のまま投票日を迎えるとみている。選挙に向けた材料は出そろっており、世論は二極化して浮動層は限られているからだ。右松氏が、アメリカでいう「オクトーバー・サプライズ」のように、どちらかに追い風が吹く出来事が起きる可能性を尋ねた。渡邊氏は、そこまでは考えにくいと答えた。

選挙後のイスラエルの姿について、渡邊氏はネタニヤフ氏が残ってもアイゼンコット氏の政権になっても、基本的な安全保障路線は変わらないとみる。ただ、国際的に大きな批判を浴びている論点については引いていく可能性があるため、ヨルダン川西岸の問題なども含めて広く見ていく必要があると述べ、議論を締めくくった。