キングコング西野亮廣が「革命」賞の受賞スピーチで語った、AI時代に人間に残る仕事

YouTubeで開く ↗
概要

『THAT'S FASHION WEEKEND 2026 メディアレセプション』で行われた「The YOSOI Culture Awards」授賞式で、キングコングの西野亮廣が受賞者の一人として登壇した。同アワードは「時代を変えた人。時代を創る人。」をテーマに、さまざまなジャンルのアーティストやクリエイターを表彰するもので、日本のカルチャーの発展を願って今年創設されたと司会者は紹介した。西野に贈られたトロフィーには「レボリューション(革命)」という言葉が刻まれていた。

5分で読めます

西野は受賞スピーチで、AIで誰もがコンテンツを作れるようになった時代に、次のイノベーションはどこから生まれるのかを話した。答えとして示したのは、AIが生成できないものを作品に絡めることと、人間は「決断」と「営業」を担うことの二つである。

1:48

「革命」での受賞への受け止め

西野はまず、他の受賞者がさまざまな話をした後なので、自分はもう少し具体的な話をしたいと前置きした。「革命」で受賞したことについては、何がカウントされたのかよく分からないと率直に述べている。革命を起こしたかどうかは分からないとしながらも、いろいろなことをやってきたという自負はあると語った。

そのうえで、この時代に次にどんなイノベーションが起きるのか、起きるとしたらその震源地はどこなのかを共有したいと切り出し、見当はついていると述べた。

2:35

コンテンツは供給過多になり、驚きはコモディティ化した

西野の見立ての出発点は、AIによってコンテンツが供給過多になっているという認識である。主婦でも小学生でも、ハリウッドのような映像を作れるようになってきたと西野は言う。そのため、3年前なら「すごい」「とんでもない」と驚かれたような作品は、どんどんコモディティ化している。すごい映像もすごい音楽も誰でも作れてしまう時代に入ったというのが、西野の認識だ。

AIが生成できない「アンカー」を作品に絡める

では、そんな時代のクリエイティブはどこから生まれるのか。西野の結論は、AIで生成できないものを絡めておかなければ、これからの革命やクリエイティブのイノベーションは基本的に起きない、というものだった。

西野は、AIで生成できないものを「アンカー」と呼んでいる。例として挙げたのは、土地、時間、歴史、思い出、プロセス、そして「癒着」である。AIが絶対に作ることのできないこうした要素を、今後はあらゆるクリエイティブに絡めておかなければ、すべてのクリエイティブは淘汰されてしまう。西野はこれを自分に言い聞かせていると同時に、すべてのクリエイターが押さえておくべき点だとして、メッセージとして送りたいと述べた。

AIを使って分かった、人間が必要な部分

西野自身もAIを使って映像を作るなどしているという。その経験から、人間の創造が終わることはなく、人間が必要な部分は必ず出てくると感じたと語る。映像を作っていても、たとえば「決断する」といったことはAIにはできないので、人間がいなくなることはないと考えているという。

一方で、AIを認めないと言って触らないクリエイターも少なくないことに触れ、まずは触ってから判断すべきだと呼びかけた。やるかやらないかは触ってから決めればよく、まず触ってみて、人間の創造の余白がどこに残っているのかを押さえておかなければならない、というのが西野の考えだ。今後も新しいものを作り出し、世の中にさまざまな提案をしていきたいと述べて、スピーチを締めくくった。

5:03

日本のIPはAIと共存できるのか

スピーチの後、司会者は一つ質問をした。音楽やファッションなど日本が世界に誇るIPはこれからも多くあるが、それらをAIと共存できない、あるいは共存すべきでないと見るのはナンセンスだ、と理解してよいか、という趣旨の問いである。

西野は、クリエイターの友人がたくさんいると前置きしたうえで、共存はできると答えた。ただしそれには、AIを徹底的に触ることが前提になる。AIの得意領域はどこか、苦手領域はどこか、人間にしかできない表現は何かを、まず自分の中に入れておかなければ、クリエイターは危うい立場に置かれてしまうと西野は言う。この点については警鐘を鳴らしていかなければならないと述べた。

5:52

人間に残る仕事は「決断」と「営業」

西野は続けて、最近スタッフによく話していることとして、これからの時代に人間が押さえておくべきポイントは「決断」と「営業」だと語った。

決断について、西野はAIと人間の役割を次のように分けて説明した。AIは100通り、1万通り、10万通りといった正解らしい選択肢を提案してくれる。それがAIの仕事である。人間の仕事は、その数の提案をすることではなく、その中から選ぶことだ。しかも正解を選ぶのではなく、選んだ道を正解にする。西野はこれを「力技」と呼び、人間にはこれが必要なのだと述べた。

6:30

ブロードウェイで感じた「村に入る技術」

営業については、1対1のコミュニケーションを取っていかなければならないと話し、その実感を得た場としてブロードウェイでの経験を挙げた。

西野によれば、ブロードウェイではいきなりコンテンツ勝負はさせてもらえない。いい作品を持っていけば世界に出られるかというと、そうではない。世界のマーケットにはすでに「村」ができあがっているからだという。そのため、強いコンテンツを作るのと同時に、村に入る技術がとても必要になる。ブロードウェイという村に入るにはコミュニケーション能力、つまり営業が必要だと西野は語った。

こうした経験を踏まえて、西野は「決断」と「営業」こそがこれから人間に残された仕事なのではないかと述べ、受賞の場での発言を終えた。