北海道新聞記者のスパイ容疑拘束、元モスクワ支局長「ここまでやるか」
日テレNEWSロシア国営メディアは、北海道新聞ユジノサハリンスク支局の日本人記者がロシア当局にスパイ容疑で拘束されたと報じた。今年5月までNNNモスクワ支局長を務めていた日本テレビ国際部の平山晃一デスクが、拘束の受け止め、ロシアの狙い、記者の今後の見通しを解説した。平山氏は、外国人記者への対応としては異例の措置だとみており、日ロ関係の緊張の中で拘束が長期化することを懸念している。
国外退去ではなく、いきなり身柄拘束
平山氏は今回の拘束について、「ここまでやるか」と驚いたと述べ、記者の今後の処遇を強く懸念していると語った。拘束されたのは、サハリン州の州都ユジノサハリンスクに拠点を置く北海道新聞の日本人男性記者である。ロシアの治安機関は、この記者が千島列島と北方領土で行っていた情報収集が、ジャーナリストの活動範囲を大きく逸脱していたと主張している。
平山氏が特に驚いた点は、国外退去ではなく、一気に身柄拘束に踏み切ったことだ。国際的なジャーナリスト団体によると、ロシア国内ではこれまでに少なくとも7人の外国人記者が、資格を取り消されたり更新を拒否されたりして、事実上の国外退去処分になっている。一方で、スパイ容疑での拘束は異例だと平山氏は指摘する。
日本や欧米の国々は、ウクライナ支援を続けていることを理由に、ロシア国内で「非友好国」とされ、事実上の敵国扱いを受けている。平山氏はモスクワ駐在時の体験も紹介した。取材のアポイントが不可解な形で突然キャンセルされることがあり、圧力があったのではないかと感じたことがあったという。
日本への圧力の一環という見方
ロシアがなぜ異例のスパイ容疑での拘束に踏み切ったのかについて、平山氏はまず、事実関係は定かではないと断った。そのうえで、ロシアはこうした事案を政治的に利用することが多く、今回も対ロ制裁を続ける日本への圧力の一環である可能性があるとの見方を示した。
平山氏によると、日ロ間の緊張が高まるきっかけは、今年8月のプーチン大統領による北方領土・択捉島への訪問だった。日本政府はこれに反発したが、プーチン大統領はその後も、ウクライナ支援を理由に日本を繰り返し非難してきた。今月2日には日本政府がロシアの船舶などを対象に追加制裁を発表し、ロシア外務省は今月5日に対抗措置を取ると表明していた。
北方領土をめぐっては、中国の代表団が択捉島を訪問したことも前日に発表された。平山氏はこの動きについて、ロシアが中国を巻き込む形で日本への圧力を強めているとみている。
拘束長期化の懸念と、過去の事例
記者の今後について、平山氏は捜査や裁判の進み方次第だとしながらも、拘束が長期化するおそれがあると述べた。ロシアメディアによれば、今後の裁判で有罪となった場合、10年から20年の刑が科される可能性もあるという。
平山氏が参考として挙げたのは、ウクライナ侵攻開始後の2023年3月に拘束された、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルのアメリカ人記者の事例である。この記者はスパイ罪に問われ、非公開の秘密裁判の末に禁錮16年の有罪判決を言い渡された。平山氏の説明では、その後、昨年8月にアメリカとロシアの間で行われた大規模な身柄交換によって釈放された。ロシアはこの交換でロシア人スパイらを取り戻しており、平山氏は、この記者がいわば人質として利用された形だと述べた。
平山氏は、今後は日本政府によるさまざまな働きかけが続くとみている。ただし、拘束された日本人記者の処遇については、先行きの不透明な状況が続きそうだと締めくくった。
ここからは今年5月までNNNモスクワ支局長を務めていた国際部デスクの平山さんに聞いていきます。よろしくお願いします。
お願いします。
平山さんは今回の日本人記者の拘束についてどう受け止めましたか?
はい。ここまでやるかと驚きましたし、今後のこの記者の処遇も大変懸念されます。今回スパイ容疑で身柄を拘束されたのは、こちらサハリン州の州都、ユジノサハリンスクに拠点を置く北海道新聞の日本人男性記者です。
ロシアの治安機関は、千島列島と北方領土における情報収集がジャーナリストの範囲を大きく逸脱していたと主張しています。ただ、国外退去ではなく一気に身柄拘束ということで驚きました。
日本や欧米の国々はウクライナ支援を続けているという理由で、今ロシア国内で非友好という、これ事実上の敵国扱いを受けています。私自身もですね、取材のアポイントがこれ不可解な形で突然キャンセルになったり、圧力があったのかなと感じることもありました。
そして国際的なジャーナリスト団体によりますと、ロシア国内ではこれまでに少なくとも7人の外国人記者が資格を取り消されたり、更新が拒否されて、これ事実上の国外退去処分になっているんですが、スパイ容疑での拘束は異例です。
はい。今回、ロシア側はなぜこの異例とも言えるスパイ容疑での拘束に踏み切ったんでしょうか?
はい。事実関係は定かではありませんが、ロシア側はこうした事案を政治的に利用するケースが多々ありまして、今回もロシア制裁を続ける日本に対する圧力の一環である可能性があります。
そして日本とロシアとの間で、今非常に緊張が高まっているわけですけれども、そのきっかけがですね、今年8月のプーチン大統領による北方領土の択捉島への訪問です。日本政府の反発に対して、その後もプーチン大統領はウクライナ支援を理由に日本を繰り返し非難していきました。
そして今月2日はですね、日本政府がロシアの船舶などを対象に追加の制裁を発表しまして、ロシア外務省はその後、今月5日ですね、対抗措置を取ると表明していました。
また北方領土を巡っては、昨日もですね、択捉島を中国の代表団が訪問したと発表があり、これロシアが中国を巻き込む形で日本への圧力を強めていました。
拘束された日本人記者は今後どうなっていくんでしょうか?
そうですね。今後の捜査や裁判次第ですが、拘束は長期化する恐れがあります。ロシアメディアによりますと、今後の裁判で有罪となった場合、10年から20年の刑が科される可能性もあるといいます。
そしてこれまでの事例を見てみますと、ウクライナ侵攻が始まった後、2023年の3月に拘束された、アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルのアメリカ人記者はスパイ罪に問われ、非公開の秘密裁判の末に、禁錮16年の有罪判決が言い渡されました。
この記者を巡ってはその後、昨年8月にアメリカとロシアとの大規模な身柄交換によって釈放されています。ロシアはこの身柄交換でロシア人スパイらを取り戻していて、この記者はいわば人質として利用された形です。
今後、日本政府による様々な働きかけが続くと見られますが、日本人記者の処遇を巡っては先行き不透明な状況が続きそうです。
はい、ここまで平山さんとお伝えしました。
ありがとうございました。
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