中間選挙3週間前、共和党への逆風とトランプ離れ ロシア産ディーゼル合意から激戦州回避まで
日テレNEWSアメリカの中間選挙(11月3日投開票)まで約3週間となった時点で放送されたBS日テレ「深層NEWS」は、共和党に逆風が吹くなかでトランプ大統領が巻き返せるのかを議論した。出演者は、選挙戦略や選挙とメディアの関係を研究する上智大学の前嶋和弘教授、アメリカ政治・外交に詳しい同志社大学大学院の三牧聖子教授、読売新聞編集委員の飯塚恵子氏である。キャスターは右松健太氏が務めた。出演者の見方はおおむね一致している。物価高とイラン戦争によって政権への支持が落ち、その結果、共和党候補者のあいだでトランプ氏と距離を取る動きが広がっている。ただ、候補者は資金面などでトランプ氏から完全には離れられず、難しい選挙を強いられている、という見立てだ。
ロシア産ディーゼル燃料の制裁緩和は「対露制裁の骨抜き」
番組はまず、週末にトランプ大統領が見せた対ロシア政策の転換を取り上げた。トランプ氏は9日、ロシアがアメリカと世界の市場にディーゼル燃料を供給することでプーチン大統領と合意したと自身のSNSで発表した。これを受けて財務省は、ロシア産ディーゼル燃料への制裁を来年4月7日まで緩和すると発表している。さらにトランプ氏は10日、ディーゼル燃料の世界的な高騰はゼレンスキー大統領が招いたと批判し、ウクライナには新たな大統領が必要だとの考えを示した。
前嶋氏はこの合意を「対露制裁の骨抜きとしか言いようがない」と評した。前嶋氏によれば、トランプ政権は昨年春のトランプ・ゼレンスキー会談のころから、ウクライナをもう支援しない方向に動いてきた。現在ウクライナ支援の中心は完全にヨーロッパに移っている。アメリカとしてはウクライナとの関係を切り、ロシアとの関係を強めた方がよいという考え方なのだろう、というのが前嶋氏の推測である。ただし大きな転換であるにもかかわらず、実際の輸入量を考えると割に合わず、アメリカにとってプラスになるのかは首をかしげざるを得ないと述べた。
燃料高騰の深刻さと、割に合わない取引
番組によると、全米のディーゼル燃料の小売価格は、2月末にアメリカとイスラエルがイランを攻撃して以降、約60%上昇している。三牧氏は、この高騰は政権にとって「大変深刻」だと述べた。ディーゼル燃料は建設や農業など多くの機材に使われており、価格が上がれば日々の食料などの値段も上がる。トランプ氏は焦って制裁緩和に踏み切ったのだろうと三牧氏は見る。一方で三牧氏は、国際刑事裁判所(ICC)に制裁を科すと言いながら、侵略戦争をやめないロシアには少量の取引であれ制裁を解除したことを問題視した。今回の電話会談でも戦争の話は出なかったとされる。国際的に大きな影響がある選択であり、本当に割に合うのか疑問だという。
右松氏は数量面のインパクトを確認した。ロシア側の供給は10月に30万トン、11月に50万トン、12月に100万トンとされる。これに対し、アメリカ国内のディーゼル燃料消費量は1日あたり約52万トンだ。10月分の30万トンは1日分にも満たない。前嶋氏はこれを、小さな利益のために国際関係を揺るがす「非対称」な取引だと表現した。
「ゼレンスキーのせい」は通用しているか
飯塚氏は、トランプ氏が10日に限らず9月ごろから、燃料価格の上昇はゼレンスキー大統領がロシアの製油所を攻撃しているせいだと主張してきたと指摘した。しかし価格のグラフを見れば、急上昇は2月末から3月初めに始まっている。飯塚氏は、トランプ氏が始めたイラン攻撃によって価格が上がったのは明らかで、ゼレンスキー氏とは関係がなく、自ら招いたことを他人になすりつけていると述べた。
三牧氏もこの見方に同意し、世論の変化を説明した。少し前までは、物価高の原因は民主党の物価対策が悪かったからだという共和党側の説明が、それなりに受け止められていた。しかし関税に加え、イラン戦争が決定打となった。いまの物価高はトランプ政権の政策が原因だと答える人が、有権者全体でも共和党支持者のあいだでも増えているという。三牧氏によれば、ゼレンスキー氏のせいだという言い訳は通用しておらず、多くの人はトランプ政権の政策、とりわけイラン戦争が原因だと見極めている。
前嶋氏は、トランプ氏が支持者向けに繰り返している論法も紹介した。ディーゼルに限らず消費者物価指数(CPI)が上がったのは基本的にイラン攻撃以降である。トランプ氏はこの攻撃で核の脅威をイスラエルだけでなくアメリカからも排除したのだから、これくらいの痛みはいいだろうと語っている。この言い方がどこまで支持者に受けるかは何とも言えない、と前嶋氏は留保をつけた。またトランプ氏は、就任時に3%台だったCPIを半分にすると言っていたが、実際にはむしろ上がっている。トランプ氏はバイデン政権期の前年比8%の物価高を持ち出して比較するが、それはコロナ禍という例外期の数字であり、説明として厳しいと前嶋氏は述べた。
「感情的分極化」と支持者の受け止め
右松氏は、トランプ氏が会談後に「世界中のディーゼル価格は記録的な速さで下落するだろう」と投稿したことに触れた。1日分にも満たない量でそう言っていることを、共和党支持者は真に受けるのかと問いかけた。
前嶋氏はキーワードとして「感情的分極化」を挙げた。共和党支持者は民主党のやることはすべて悪いと考え、民主党支持者はトランプ氏のやることはすべて悪いと考えている。その中で共和党支持者の多くは、世界やアメリカが楽になるとは思えなくても「トランプは頑張っている」「バイデン時代の8~9%のインフレの方がひどかった」と受け止める。前嶋氏によれば、共和党支持者に限るとトランプ氏のインフレ政策などへの支持は7割ほどあり、日本からは見えにくい難しさがあるという。
ゼレンスキー退陣論と「エネルギー停戦」発表
トランプ氏がゼレンスキー氏に「新たな大統領が必要」と言及した背景について、三牧氏はイラン戦争の行き詰まりを挙げた。トランプ氏はもともと中間選挙までにイラン戦争を停戦・終結させると言っていた。しかし現在は、近く終わるだろうと言いつつ大規模攻撃もあり得るとしており、発言がぶれている。物価高とイラン戦争を結びつけて政権を責める見方が強まるなか、戦争を終えられないまま、責任をゼレンスキー氏に転嫁して人々の目をそらそうとしている、というのが三牧氏の分析だ。
トランプ氏は11日にも、ロシアとウクライナがエネルギー停戦で合意したとSNSで発表した。しかしゼレンスキー氏は初耳だとしている。三牧氏は、イラン戦争でも同様のパターンが繰り返され、多くの人が本当に合意したのか怪しんでいると述べた。そのうえで、トランプ氏にもディーゼル価格を落ち着かせたい動機はあるので、うまくエネルギー停戦に結びつけてほしいとも語った。前嶋氏は、同様の「合意」発表は2カ月ほど前にもあったと補足した。
前嶋氏はさらに、ゼレンスキー氏に退陣を求める発言は複雑な意味を持つと指摘した。ウクライナは戒厳令下にあり、ロシアによる選挙介入の懸念もある。国民は世界中に避難してディアスポラとなっており、まともな選挙はできない。そのため選挙は行われていない。大統領選挙を実施していないからゼレンスキー氏には大統領としての正統性がない、というのはロシアの主張であり、それを受け入れてはいけないところだと前嶋氏は述べた。
3日間に起きた3つの出来事が意味するもの
飯塚氏は、日本の連休にあたるこの週末の3日間に、トランプ氏が大きな発言・行動を3つ重ねたと整理した。ロシアからのディーゼル燃料輸入の決定、ゼレンスキー氏は辞めるべきだという主権侵害のような発言、そしてICCへの制裁の発表である。ICCについて飯塚氏は、アメリカは加盟国ではないので判断に異議を唱えることはできると認める。しかし圧力で裁判所を機能不全に追い込むのは筋違いで、法の下の平等や法の支配を脅かすものだと批判した。
飯塚氏の見方では、これらは選挙が共和党にとって低調で、トランプ氏への支持が下がっていることの表れであり、MAGA支持層へのアピールだという。加えて、プーチン氏と会談したばかりで「頭がそこに洗脳されているのかな」との個人的な感想も述べた。さらに飯塚氏は、ICCへの制裁がノーベル平和賞の発表(先週金曜)の数時間後に発表されたことに触れ、トランプ氏の個人的な嫉妬心から決まったのではないかとすら思うと語った。こうした不安定さと、選挙のためなら何でも言い、何でもする態度を考えると、残り3週間でさらにいろいろなことが起きるのではないかと見ている。右松氏も、ロシアのナラティブ(物語)が色濃いという印象を受けると応じた。
選挙情勢と逆風の背景
選挙分析機関クック・ポリティカル・リポートは、下院で民主党が優勢と報じている。中間選挙では上院が定数の約3分の1、下院が全435議席改選される。今回、上院は7つの州で接戦が予想され、下院は民主党が過半数を上回る224~234議席を確保するのが最も可能性の高いシナリオと分析されている。
三牧氏は、逆風の背景としてイラン戦争と物価を挙げた。トランプ氏は前回の大統領選で物価を解決すると訴えて信任を得た。また、歴代政権のような無駄な対外戦争はしないというのも支持者への重要な約束だった。その2つが破られたと三牧氏は言う。関税政策も物価高に拍車をかけている。当初は人気のあった移民政策も、ICE(移民・関税執行局)があまりに暴力的な取り締まりを行ったことで、不支持が上回るようになった。主要政策すべてで不支持が支持を上回っているという。下院は全議席改選なので民意が直接反映されやすい。上院は3分の1の改選だが、それぞれ特徴のある候補が出てきており、共和党の議席を民主党が奪う可能性が出てきたと三牧氏は述べた。
中間選挙で与党が負けやすい構造
前嶋氏は、中間選挙が政権与党に不利になる構造的理由をシンプルに説明した。投票率の違いである。中間選挙の投票率は大統領選挙より10~15%ほど下がる。大統領本人が候補にならないため、大統領の「応援団」が投票に行かないからだ。第2次世界大戦後の20回の中間選挙で、大統領の政党は下院で平均26議席減らしているという。
前嶋氏によると、現在の下院は共和党220対民主党215でスタートし、共和党が5議席(現在は4議席ほどかもしれない)上回っている。ここから26を引く。共和党側が選挙区割りの見直しで議席を上積みしようとしており、それがプラス10程度になるかもしれない。それらを加味しても、民主党がプラス10~20となり、先ほどの224~234という数字になる。上院は戦後平均でマイナス4議席である。前嶋氏は、政策やインフレをまったく無視しても、ほぼこの数字になると述べた。
「35カ所すべてを訪問」と言いながら激戦州を避ける理由
トランプ氏は9月の共和党大会で、勝敗に重要な選挙区や州が35カ所あり、そのすべてを訪問すると述べた。しかし実際の遊説先を見ると、アラバマ州やオクラホマ州など共和党が優勢な地域を回っている。ワシントン・ポストは、激戦州を訪れていないことは、トランプ氏が国内の多くの地域で依然として不人気であることを浮き彫りにしていると報じた。
三牧氏は、激戦州の共和党候補から見れば、実はトランプ氏にあまり来てほしくないというのが多くの候補者の心理だろうと述べた。トランプ氏は、中間選挙では投票率が落ちることを踏まえ、「私が投票用紙に載っていると思って投票してくれ」と訴えて自分の力で支持者を動員しようとしている。しかしイラン戦争をはじめ、トランプ氏の政策は軒並み不人気だ。接戦の候補にとっては、トランプ氏が来ると不人気な政策と自分が結びつけられてしまう。有権者から、なぜイラン戦争や関税政策にもっと反対しないのかと問われかねない。候補者はトランプ氏と距離を取り、「自分は州のために政治をしている」と訴えたい。選挙を全国的なトランプ選挙にしたい大統領と、距離を置いて戦いたい接戦候補とでは、選挙に対する考えが相当違うと三牧氏は分析した。
アラバマの空席が示すもの
10月2日にトランプ氏が訪れたのは、共和党の地盤が特に強いアラバマ州だった。ワシントン・ポストによれば、大統領選なら4万人規模の会場に入りきれないほどの聴衆が集まるところだが、今回は空席が目立った。
三牧氏は空席の原因について次のように説明した。予備選と違って本選は、岩盤支持層だけでなく無党派層、さらには民主党支持者の一部も取り込まなければ勝てない。しかしトランプ氏は熱狂的な集会を重ねることで勝とうとしている。2期目に入り、戦争を始めるなど約束が裏切られた現状では、トランプ氏を支持し続ける人はいても、関税政策やイラン戦争が本当に「アメリカを再び偉大に」しているのか、少なくとも国民のためになっていないのではないか、という違和感を持つ人が出てきている。そうした人は民主党に投票はしなくても、熱狂的な集会に足を運ぶのはやめているのではないか、というのが三牧氏の見立てである。
三牧氏によれば、MAGAの中にはトランプ氏がやることなら「戦争しない」と言って始めた戦争すら支持する、個人のファンのような層もある。一方で、民主党に見捨てられた地域の人々のために国内に注力し、産業を取り戻してくれると期待して支持した人も多かった。しかし関税はカナダなどとの関係で跳ね返り、産業を取り戻すどころか庶民の家計負担を増やしている。熱狂的な支持はいまもあるにせよ、以前ほどではなく、離れていく人も出てきていると三牧氏は述べた。
税金を使ったテレビ広告は「確信犯」
トランプ政権が9月に放送したテレビ広告も批判を招いている。政権の政策紹介や「共産主義の打倒」といったメッセージを含む複数の広告で、与野党から、公的資金つまり税金が選挙活動に使われていると批判された。トランプ氏は、偉大なアメリカを前向きに宣伝するもので政府の広報だと公共性を主張していたが、10月5日には税金による負担を取りやめると表明した。
前嶋氏は、これは確信犯だと見る。問題のある広告を流せば、日本の番組を含め世界中が問題視して取り上げる。本来なら見なくてもいい映像を、結果的に多くの人が見てしまう。そこがポイントだという。遊説で失言や暴言が出るのも同じ構図で、前嶋氏はテネシー州での演説を例に挙げた。トランプ氏はその場と関係のないミシガン州の民主社会主義者エルサイード氏の話を持ち出し、「ミドルネームは自分が作ってやった、モハメッドだ」、つまりムスリムだという趣旨の勝手なことを言ったという。テレビに注目され、それが各所に流れる。トランプ氏はテレビの人なので、いかにメディアをジャックできるかを考えているのだろうと前嶋氏は述べた。
右松氏が「それでも違法な手段はだめだろう」と指摘すると、前嶋氏も違法行為に見えると認めた。そのうえで前嶋氏は、2010年代の最高裁判決により、外部資金で意見広告を出すことは、大金持ちがトランプ氏のために大金を出す場合でも問題ないと説明した。広告を出す方法はいくらでもあるのに、わざわざ政府の金を使うのは、やはり何か意図があるのだろうと語った。
テキサス州上院選、パクストン氏の音声流出
番組はVTRで、共和党が38年にわたって上院選で勝ち続けてきたテキサス州が異例の接戦になっている状況を伝えた。共和党の上院候補パクストン氏(63)は弁護士出身で、現在は州司法長官を務める。トランプ氏から「真のMAGA戦士」と称賛される人物だ。トランプ氏はこの州を3度訪れている。9月9日の共和党大会でトランプ氏は、パクストン氏の話し方は今ひとつかもしれないし最もハンサムな男でもないと冗談を交えつつ、国内最高の司法長官で次の上院議員にふさわしいと絶賛した。パクストン氏も謝意を示した。
ところがニューヨーク・タイムズは9月30日、パクストン氏が資金集めの会合でトランプ氏を批判したとされる音声を入手したと報じた。音声でパクストン氏は、共和党大会の後に支持率が下がり、誰もが数字を落としていると語っていた。トランプ氏の応援演説が逆効果だったとの認識を示したことになる。番組が取材したテキサスの政治コンサルタントは、トランプ氏と距離を置く無党派などの有権者には演説がかえって逆効果だった可能性があると話した。特にトランプ氏との特別な関係が強調されたことが、無党派層への支持拡大でマイナスに働いた可能性を指摘した。
パクストン氏は疑惑を巡って州議会に弾劾されたほか、不倫問題も明るみに出るなど、数々のスキャンダルを抱える。それでもトランプ氏が支持する理由として、VTRは2人の長年の関係を挙げた。パクストン氏は州司法長官としてトランプ政権の政策を後押しする訴訟を多く手がけてきた。2020年の大統領選でトランプ氏が敗れた際には選挙結果の無効を求め、バイデン前政権に対しては100件を超える訴訟を起こしたという。コンサルタントは、候補者たちが急速に方針を転換しているのは大統領の支持率や有権者の考えをはっきり把握しているからだと述べた。
テキサスの変化と「予備選で勝てる候補」の問題
前嶋氏は、テキサスが接戦になっている理由を2つ挙げた。1つ目は人口動態の変化である。州の法人税がないなど税負担が軽いため、カリフォルニアなどから人が流入し、ダラスなどの都市部はかなり多様化している。共和党の牙城といっても共和党一色ではなくなり、民主党も勝てる土壌が出てきた。
2つ目は候補者選びである。前嶋氏によれば、アメリカの議会選挙では現職が出れば9割勝つ。テキサスの上院議席は穏健派の共和党現職が持っていた。しかしトランプ氏と親しく、トランプ氏の盾のような役割を果たしてきたパクストン氏が予備選で勝った。前嶋氏は、スキャンダルを抱え、ヨーロッパ風に言えば極右の候補に替えてしまったことで、そもそも弱い候補にしてしまったと述べた。予備選はイデオロギー的に右寄りあるいは左寄りの人が投票に行く構造なので、本選で勝てるか怪しくても、トランプ支持者が多い予備選ではこうした候補が勝つ。前嶋氏はさらに、テキサスでは州知事(共和党のアボット氏)も怪しく、州議会も共和党から変化があるかもしれないと見られていると付け加えた。
三牧氏は、トランプ氏の後押しがなければパクストン氏は予備選での勝利も難しかったはずで、音声流出はどうかと思うと述べた。トランプ氏に押し上げられた候補だからこそ、いまは関税などトランプ氏の政策と距離を取らなければならず、そこに苦労しているという見方だ。民主党側は、37歳のジェームズ・タラリコ氏を擁立している。牧師になるために勉強している人物で、職権乱用や不倫問題を抱えるパクストン氏とは対照的であり、世代の新しさも感じさせる。三牧氏は、ずっと「赤い州」だったテキサスで民主党が勝つ可能性があるのはそのためでもあると説明した。
なぜ本選に強い現職を立てなかったのかという右松氏の問いに、三牧氏はトランプ氏の発想を挙げた。トランプ氏は自分のラベルを貼ることが候補者にとってプラスだと考えており、いまの遊説もその発想で行っている。しかし実際には、トランプ系の議員ですらトランプ色を薄めないと勝てない。大統領の考えと選挙の実情が相当ずれている。ただ、党内でのトランプ氏の影響力は絶大で恐ろしく、候補者は距離を取りきれない苦しさがあるという。
前嶋氏は数字でこの構造を補足した。トランプ氏の支持率は全体では40%から30%台に落ちているが、国民の3割ほどの共和党支持者に限れば、まだ8割5分ほどある。民主党支持者の間では3~5%程度だ。自分の応援団を連れて行けば勝てるというのがトランプ氏の発想だが、中間選挙で投票に行かないのはまさにその応援団である。予備選では勝ちやすくても、本選では相対的に応援団が減って勝てなくなる構図だと前嶋氏は述べた。
移民政策とヒスパニック票の離反
飯塚氏は有権者を大まかな図で整理した。民主党支持が約3割、MAGAを含むトランプ支持が約3割、その間に無党派層・浮動票がある。争点はまず物価高で、これはすべての層に響いている。次に戦争への介入で、民主党支持者は当然反対しており、MAGAの人々も別の理由から対外介入を許せないとしている。岩盤層がここで崩れてきているのが重要だと飯塚氏は言う。3つ目が移民対策とICEである。テキサスを含む南部には、ヒスパニックの人々が多い。前回の大統領選などでトランプ氏に賭けてみるという珍しい動きがあったことが勝利の原動力になったが、ICEはやりすぎだとしてこの層が離れつつある。岩盤層が崩れ、勝因の1つだったヒスパニック票も逃げつつあるため、トランプ氏は厳しい状況にあると飯塚氏はまとめた。
三牧氏も、ヒスパニック票の動向はテキサスに限らず重要で、2024年大統領選でのトランプ氏勝利の大きな原動力だったと述べた。当初は移民政策を支持していたヒスパニック有権者も、取り締まりがあまりに暴力的で効率も悪く、自分たちが中南米系出身だというだけで疑いの目を向けられる状況に直面している。さらにカトリック教会が、宗教はもっと平和的で寛容であるべきだとして、政権の移民政策や戦争を強く批判している。自らの信仰に照らして支持してよいのかという宗教面の要因もあり、ヒスパニック票は中間選挙で相当程度民主党側に移るのではないかと見られていると三牧氏は述べた。
広がる「トランプ離れ」と離れきれない事情
ロイター通信は、激戦の62の選挙区・州のうち41カ所で、候補者がトランプ氏と距離を取る姿勢を示していると報じた。番組では、フロリダ州から下院に立候補しているベルトラン候補の選挙サイトを例示した。8月時点ではトランプ氏とベルトラン氏の家族が一緒に写る写真が掲載されていたが、現在は家族だけの写真に替わり、トランプ氏には一切触れていない。ロイターによれば、選挙サイトからの画像削除などトランプ氏と距離を置く姿勢は、少なくとも12人の候補者で確認されている。
この変化について三牧氏は、現実的だとしつつ、共和党側の問題も指摘した。トランプ氏に支持されれば勝てるという状況が続いたため、候補者が州の課題を観察して訴えを練ったり、候補者としての資質や魅力を高めたりする努力が不足していたのではないか、という見方である。対照的に民主党は、前回の敗北を受けて、経済や労働者への訴えが欠けていたのではないかという議論を党内で進めてきた。物価高など生活問題に具体的に答えなければ信頼も票も取り戻せないという問い直しが進み、テキサスのタラリコ氏やミシガンのエルサイード氏のような特徴的で魅力のある候補が出てきた。社会主義者がさまざまな接戦州で台頭しているのもその表れだと三牧氏は述べた。
一方で、露骨にトランプ氏を批判すれば、本人や岩盤支持層から攻撃される恐れもある。三牧氏は、トランプ氏の応援演説は応援なのかけなしているのか紙一重のところがあり、怒りを買えば集会の場で罵倒されかねないと述べた。さらにトランプ氏は自身のスーパーPACに巨額の資金を集めている。選挙には金がかかるため、パクストン氏のように音声が流出しても、トランプ氏の資金援助を得なければ勝てない。機嫌を取って露骨には距離を取れないが、政策からは距離を取りたい。共和党候補はそうした難しい選挙を戦っていると三牧氏は分析した。
前嶋氏は、候補者が写真を載せるかどうかは綿密な調査に基づいて決めていると説明した。トランプ氏の写っている写真とそうでない写真のどちらがよいかを有権者に尋ねているのだという。また、予測を覆して共和党が下院の多数派を維持するとすれば、それは本来は行かないはずのトランプ応援団が投票に行く場合だと述べた。だからこそ候補者はトランプ的なものを完全には捨てられない。トランプ氏が全米を回って「自分がいると思って投票しろ」と訴えているのは、まさにこの逆転の可能性を狙ったものだという。これに対し三牧氏は、イラン戦争や政策への不支持が高まっていることをトランプ氏自身が理解していないのではないかと述べた。候補者にとって、イラン戦争や関税政策を前面に出されるのはむしろ困ることであり、大統領と候補者の間に大きな不一致があるという。
前嶋氏はまた、大統領が中間選挙の応援に回るのはここ25年ほどの傾向だと指摘した。それ以前は、大統領の応援団が投票に行かない選挙なので行っても効果がなく、基本的には行くべきではないとされていた。前嶋氏は、2002年にジョージ・W・ブッシュ大統領が全米を遊説した際に「大統領が中間選挙で自党の応援に行った」とニュースになり、変だと思って見ていたことを覚えているという。それ以降、大統領の応援がかなり定着したと述べた。
下院で敗れた場合にトランプ氏が恐れるもの
飯塚氏は、選挙結果はまだ分からないと前置きしたうえで、仮に世論調査どおり民主党が下院の過半数を取った場合を考えた。それは単にトランプ氏がレームダック化するということにとどまらないという。民主党はエプスタイン問題や私腹を肥やしているといったスキャンダルについて、議会の調査権限を使い、委員長ポストを取り、召喚するなどして調査を始めるだろう。飯塚氏は、トランプ氏が法案が通らなくなることよりも自分の身を守ることを考え、身の危険を感じて必死になっているのではないかとの見方を示した。
国際選挙監視団を招待せず
番組の最後には、トランプ政権が中間選挙に国際的な選挙監視団を招待していないことが取り上げられた。欧州安全保障協力機構(OSCE)は、アメリカの中間選挙に監視団が招待されていないことを明らかにした。2002年に監視を始めて以降、初めてのことだという。
三牧氏は、トランプ氏周辺のインフルエンサーなどが、選挙結果が思わしくなければ戒厳令を敷けばよいといった発言をしており、トランプ氏自身も類似の発言をしていると指摘した。アメリカの民主主義が危うく、選挙が形式的に行われているだけだと言われてきたが、その選挙すらまともに行えないかもしれない、と懸念を示した。
前嶋氏は、選挙で最も大事なのは透明性だと強調した。OSCEを招くようになったのは、2000年の大統領選でフロリダ州のわずか538票で決着がつく事態になり、これではまずいという反省から、外部に不正がないかを厳密に見てもらうためだったという。共和党側が民主党の不正を主張するのであれば、むしろ監視団に来てもらえばよい。呼ばないことで、逆に共和党側が不正をしそうに見えてしまう。前嶋氏はそう述べたうえで、そう断言してよいかどうかは微妙だと留保をつけ、議論は締めくくられた。
アメリカの中間選挙までおよそ3週間。共和党に逆風が吹く中、トランプ大統領は弱気とも取れる発言を見せています。また、応援演説で相次いで打開策を打ち出していますが、批判を招く場面も見られます。トランプ大統領は巻き返しを図ることができるんでしょうか?
深層NEWS、本日のゲストをご紹介します。アメリカ政治がご専門で、選挙戦略や選挙とメディアなどとの関係について研究する上智大学教授、前嶋和弘さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
アメリカ政治や外交に詳しい同志社大学大学院教授の三牧聖子さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。よろしくお願いします。
来月3日に迫る中間選挙。大統領は冒頭にあったように、選挙での苦戦を意識したとも取れる弱気発言を見せています。一方、この週末には対ロシア政策の転換とも取れる発言をして、これに波紋が広がっています。焦点となっているのがロシアからのディーゼル燃料の供給です。
トランプ大統領は9日、自身のSNSで、ロシアがアメリカと世界の市場にディーゼル燃料を供給することでプーチン大統領と合意したと発表しました。これを受け、財務省はロシアのディーゼル燃料への制裁を来年4月7日まで緩和すると発表しています。トランプ大統領は10日、ディーゼル燃料の世界的な高騰はゼレンスキー大統領が招いたと批判。ウクライナには新たな大統領が必要だとの考えを示しています。
まずは9日の米ロ首脳の電話会談で、ロシアからディーゼル燃料の輸入を決めたことについて伺います。前嶋さん、これまで各国が協調して行ってきた、こういう対ロ制裁を骨抜きにするような合意ですよね。どのように受け止めましたか?
対ロ制裁の骨抜きとしか言いようがないんですよね。ただ、トランプ政権としては、例えば昨年の春のトランプ・ゼレンスキー会談の辺りから、ウクライナの話は結構、もうアメリカとしては支援していかないぞと。この動きはやっぱりあり、今、ウクライナの支援の中心となっているのは、もう完全にヨーロッパになっている。
アメリカとしては、むしろウクライナとの関係を切っていく。むしろロシアとの関係を強くやっていった方がいいと、こういう考え方なんでしょうかね。ただ、大きな転換であって、それに関しては、実際、輸入する量を考えてみると全然割に合わない。いろんなことがここからアメリカにとってプラスなのかというと、結構、首をかしげざるを得ない。こんなふうに思いますね。
三牧さん、全米のディーゼル燃料の小売価格についてなんですが、2月末にアメリカとイスラエルがイランを攻撃して以降、およそ60%上昇しているということなんですよね。前提として、この中間選挙を前にして、この燃料価格の高騰、これ、トランプ政権にとってどれほど深刻だと見ていますか?
もう大変深刻ですね。このディーゼル燃料は本当に建設とか農業とか、様々な機材に使われていて、この価格が高くなると、日々の食料とかも高くなる。この時期に、トランプ大統領としてもやはり焦って、このロシアへの制裁緩和になったんだと思いますが、やはりアメリカの見え方としても、ちょうど国際刑事裁判所に制裁すると言って、他方で侵略戦争をやめていない。
今回、プーチン大統領との電話でもそういう話はなかったということですから、全く戦争の手を緩めないロシアに対して、これだけの少量の取引であれ、やっぱり制裁解除してしまったという、国際的に大きな影響がある選択をして、これ、本当に割に合うんだろうか、合わないというような、そういう動きですね。
飯塚さん。
そうですね。トランプ大統領は10日に限らず、もう先月から、9月ぐらいから、軽油、石油の燃料が上がっているのは、ゼレンスキー大統領がロシアの製油所を爆破攻撃していることだということを、理由に上がっているということで批判をしているわけですけれども。グラフ出ますかね。がっと上がっているのは明らかにこの3月、2月末ですね。ここから3月の頭からぐわっと価格が上がっている。
もうこれ、明らかにトランプ大統領が始めたイラン攻撃によって燃料の価格は上がっていると。ウクライナのゼレンスキー大統領とは関係ない話ですね。むしろ自分が招いた危機を、よその人になすりつけていると、そういうことが言えると思いますね。
三牧さん、その辺りどうでしょうか? まさにイラン情勢によるツケを、ウクライナに回した格好になりますよね。
本当に飯塚さんがおっしゃる通りで、最近、やはりトランプ大統領の経済政策に支持が下がっているんですが、さらに現在、物価高の問題は誰にありますかという質問に対して、少し前までは、あまりに民主党の物価高対策が良くなかったので、まだインフレ、物価高ですというふうな共和党側の説明が、それなりに受け止められていたんですが、関税、さらにこのイラン戦争が決定打になって、今の物価高はトランプ政権の政策が原因だというふうに回答する人が、有権者全体でも共和党支持者でも、どんどん多くなっているんですね。
ですので、トランプ大統領の、このゼレンスキー大統領のせいだという、そういう言い訳は通用していないです。多くの人はもうトランプ政権の政策、とりわけイラン戦争が原因だと正しく見極めていますね。
そして、今回の合意、ロシア側は10月に30万トン、そして11月に50万トン、そして12月に100万トンと。これ、どのぐらいのインパクトがあるのかという点で、先ほど前嶋さんからも、それほど大きくないというふうなことをおっしゃっていました。アメリカ国内における1日のディーゼル燃料の消費量というのは、およそ1日で52万トンだと。ですから、10月に供給を開始すると言っているこの30万トン、これ、1日分にもならないわけですよね。そうすると、お話の通り、言ってみると微量ですよね。
微量ですよね。本当に微量。
それでもって今回、国際秩序を、言ってみると壊していく。この代償の大きさ、これ、どういうふうに捉えればいいですか?
大きいですよね。非対称というか。これだけ小さいことでウクライナの支援というか、国際関係を揺るがしてしまうので、これ、大きな問題だと思います。
ただ、トランプ大統領が支持者向けにいつも言っていることは何なのかというと、エネルギー価格と、価格よりもイランの、そもそもこれ全部、ディーゼルもそうだけど、様々なCPI、物価指数ですね。上がっているのは基本的にイランへの攻撃以降なんですけど、これ、イランの攻撃で核の脅威が、イスラエルだけじゃなくてアメリカも言っているんですけど、私は排除した。だからこれぐらいの痛みはいいだろうという言い方。この言い方がどれだけ支持層に受けていくのかというのは、何とも言えないところです。
トランプ大統領、物価高に関してはこんなことを言いました。CPIは私が就任してから半分にする。3%ちょっとだったんですが、今もっと上がっていますよね。やっぱり半分に全然なっていない。あと、これ、政権の数値が出てくるんですが、バイデン政権の時には高かった、8%の物価高だった。これは前年比ですね。だけど、これはコロナの時だったから、例外の時を出して説明しているところだから、やっぱりこれ、一連のお話というのはちょっと厳しいですよね。
一方で、共和党支持者だけに限れば、トランプのインフレ政策とか政策、7割ぐらい支持しているわけですよね。
それで言うと、トランプ氏は会談後にSNSの投稿で、今回こういったロシア産ディーゼル燃料の制裁緩和をして、供給を増やす、輸入すると発表した時に、世界中のディーゼル価格は記録的な速さで下落するだろうと言ったんですね。これ、1日にも満たない量を輸入して、そういうことを言っているわけです。これを共和党支持者は真に受けて信じているものなんですか?
こう言えばいいですかね。トランプ大統領のいつもの誇張ですので、というふうに見ている人がいるかもしれませんが、今、アメリカってやっぱりキーワードは分極化だけど、感情的分極化。これ、何かというと、民主党がやっていることは全部悪いんだと共和党支持者は思っていて、民主党支持者はトランプがやっていることは全部悪いんだと思っている。
やっぱり感情的分極化の中で、いや、それでもトランプは頑張っているんだ。世界がこれで楽になるとは全く思えないんですけど、アメリカだってそんなに楽になるわけじゃないんだけど、でもトランプは頑張っているんだ。バイデンの時の8%、9%のインフレを見ろという、あっちの方が高かっただろうみたいなことは、やっぱり過半数以上はそう思っているわけですね。7割ぐらい。その辺りの難しさというのが、我々日本では分かりにくいところだと思うんですよね。
そして2つ目の点なんですが、今回の措置を批判したゼレンスキー大統領に対して、トランプ大統領は、世界的なディーゼル燃料高騰はゼレンスキー大統領が招いたと批判をして、先ほど話がありましたが、新たな大統領が必要だということまで言及しているんですね。三牧さん、この発言の背景ですが、真意をどういうふうに分析されますか?
まず、やはりこのディーゼル燃料のみならず、物価高騰の原因はイラン戦争にあって、しかしトランプ大統領は、そもそもは中間選挙までにイラン戦争は停戦して終戦するんだと言っていたところ、もう今、イラン戦争は終結するだろう、でも大規模攻撃するかもしれないと。もうイラン戦争の終結に関して発言がぶれているわけですよね。
国民が物価高問題とイラン戦争を結びつけて、トランプ大統領を責めるような、そういう視点も強まる中で、しかし結局イラン戦争を終えられなくて、いろいろ発言を、こうしてゼレンスキー大統領に責任転嫁したり、イラン戦争から人々の目をそらそうとしている。しかし多くの人は、トランプ大統領に責任があると見ている状況ですね。
加えてそういった中で、トランプ大統領が11日にSNSで、ロシアとウクライナがエネルギー停戦で合意したという発表もしているわけですね。ゼレンスキー大統領は初耳だと言っていると。もうこの発表というもの、どういうふうに私たちは捉えていけばいいのか、ため息も少し出てしまうんですが、三牧さん、どうですかね。
これ、イラン戦争でもこういうパターンが繰り返されて、多くの人が、これ怪しいな、本当に合意したのかなと。エネルギーは非常に重要な局面でもありますので、そしてトランプ大統領としても、もう少しこのディーゼル燃料価格を落ち着かせなきゃいけないという動機もあるので、うまくエネルギー停戦には結びつけてもらいたいというところではあります。
これ、ちょっと足していくと、今回初めてじゃないんですよね。トランプ大統領が言った、ウクライナとロシアがエネルギー停戦で合意した、2か月ぐらい前にもあったんですね。だから、またかということでしょうかね。ただ、もう1つだけ付け加えていくと、これ、ゼレンスキーやめろというのは、すごく複雑な意味なんですよね。
ゼレンスキーがやめないと俺はディールできない、みたいなことを言っていますが、ウクライナで選挙が行われるかどうかというのは、やっぱりいろんな形で選挙をロシアが妨害してくると同時に、ウクライナの人たちはディアスポラ、世界中にもう逃げていますので、まともな選挙なんかできないと思って言っているわけですよね。
戒厳令でもありますしね。
そうです。戒厳令だから大統領選挙をしていないから、だからゼレンスキーは大統領としての立場じゃないんだというのは、ロシアが言うことであって、でもそれをのんじゃいけないところなんですよね。
そうです。
飯塚さん、いかがでしょうか?
そうですね。実はこの週末、まさに日本は連休でしたけれども、この金土日で、トランプ大統領って、ほぼ毎日、仰天することは起きているんですけれども、大きな3つ、発言したり言ったり、やったりしているわけですね。1つは最初のディーゼル燃料のロシアからの輸入を決めたこと。それから2つ目は、このウクライナのゼレンスキー大統領はもうやめるべきだという、主権侵害のようなことを言っているということ。そして3番目、これはICC、国際刑事裁判所への制裁を発表したということで。
このICCというのは、アメリカはメンバーではありませんけれども、だからその判断に異議を唱えるということはできると思うんですね。だけれども、その裁判所を圧力で機能不全に追い込むというのは、これも全然筋違いの話ですよね。だからやっぱり法の下の平等とか法の支配とか、そういうものを完全に脅かす発言であるということ。この3つのことが、その3日間で一度に起きたわけですね。
これ、何を意味しているかというと、やはりこの選挙が非常に低調であると。つまり民主党じゃなくて共和党への支持が、トランプへの支持がどんどん下がっているということで、このMAGAの支持層にアピールすることを言ったりやったりしていると。加えて、プーチン大統領と会談したばかりなので、頭がそこに洗脳されているのかなと私は思いますけれども。
いずれにしろ、この制裁自体は、ノーベル平和賞、先週金曜日やりましたけれども、この受賞の発表があった数時間後に、これ、制裁が発表されているんですね。もう明らかにトランプ大統領の個人的な嫉妬心から、これは決まったんじゃないかとすら私は思いますね。やっぱりこの不安定さと、それから選挙のためだったら何でも言ったりやったりするこの態度というのは、これから3週間、さらにもっといろんなことが起きるんじゃないかと思いますね。
そうですね。洗脳というか、とにもかくにもロシアのナラティブが色濃いなというふうな印象を、どうしても覚えざるを得ないですよね。
そうですね。
さて、トランプ大統領は、重要と位置づける35の選挙区を全て訪問するとしていて、巻き返しを図ろうとしていますが、党集会の会場では異変も見られます。この後、中間選挙、最新の情勢を見ておきます。
選挙分析機関クック・ポリティカル・リポートは、下院で民主党が優勢と報じています。中間選挙は4年に1度の大統領選挙の中間年に実施され、上院は定数のおよそ3分の1、下院は全435議席が改選されます。今回の中間選挙で、上院は7つの州で接戦が予想されています。また、下院は民主党が半数を上回る224から234議席を確保するのが、最も可能性の高いシナリオだと分析されています。
各世論調査によってばらつきは当然あるわけなんですが、三牧さん、上院は五分五分、下院は民主党優勢という見方が比較的強いですよね。この辺り、共和党への逆風の背景というのは、どういうふうに見ていらっしゃるんですか?
先ほどから出ているように、やはりイラン戦争、そして物価の問題ですね。トランプ大統領はそもそも2020年大統領選は、物価を解決すると言って、そこに任されたと。さらにやはり、そうした歴代政権が行ってきたような無駄な対外戦争はしないと。これも重要な支持者との約束でしたが、その2つが破られたと。
他にも関税政策。これも物価高に拍車をかけて、今、トランプ大統領の経済政策や、あとは当初は人気があった移民政策に関しても、ICEがあまりに暴力的な取り締まりを行って、それも今、不支持が上回っているという状況で。主要な政策全てに関して不支持が上回っている状況では、やはり下院は全て改選ですので、民意が直接的に反映される形で。上院に関しては3分の1の改選ですけれども、それぞれに結構特徴のある候補も出てきていることもあって、共和党の議席を民主党が奪う可能性が出てきたということです。
前嶋さん、トランプ大統領が言うように、そもそも中間選挙というのは、政権与党側が不利に働くことが多いというふうにも言われます。これ、構造的にどうしてそういったことが言えるのか、この辺り解説してもらえますか?
シンプルに言うと投票率が違う。大統領選挙の投票率に比べて、中間選挙というのは10%ぐらい下がっている。10から15。これ、何かというと、大統領が出ないから、要は大統領の応援団が行かない。だから基本的に、大統領の政党は、特に下院を中心に、下院は全部改選なので、大負けですよね。平均して、第2次大戦後20回の中間選挙がありましたが、下院でマイナス26ですよ。平均して26。
これまで20回行われたこの中間選挙の中で、それぞれが大体平均26ぐらい、政権側が減らすということなんですか?
これが大きいわけですね。今現在のスタート、今の議会のスタートで最初、220対215でスタートしました。共和党がプラス5で、今4ぐらいかもしれませんが、ここから26を引いていく。あといろいろ、今回、今日はあまり時間がないからお話ししませんけれども、選挙区割りの見直しを無理やり共和党側がやって、これでプラス10かもしれないとかやっていくと、先ほどの220から234、これ、民主党がプラス10から20ぐらいの数字になっていくと。そもそも、それだけでも占えるわけですね。
ちなみに上院の方はどうかというと、第2次大戦以降で平均するとマイナス4なんですね。なので微妙という。だから実は、政策とか今のインフレとか、ああいうことを全く無視して考えても、ほぼこの数字になるんですよね。
なるほど。では、コマーシャルを挟んで、この共和党に逆風が吹いている中、トランプ大統領はどのような巻き返し策を図ろうとしているのか、この後です。
共和党に逆風が吹く中、トランプ大統領は巻き返しを図っています。トランプ大統領は先月行われた共和党大会で、勝敗に重要な選挙区や州は35か所あり、その全てを訪問すると述べています。
実際に発言後、トランプ大統領は各地を訪問していますが、その遊説先を見てみると、共和党が優勢の地域を回っています。さらに共和党が地盤のアラバマ州やオクラホマ州なども訪問しています。一方、ワシントン・ポストは、激戦州を訪問していないことについて、トランプ大統領が国内の多くの地域で依然として不人気なことを改めて浮き彫りにしているとしています。
三牧さんにお伺いしますが、トランプ大統領は重要な選挙区を訪問すると言いながら、最も大事な激戦州を訪れていない。これはなぜなんでしょうか?
これ、とりわけ激戦州の共和党の候補から見ると、実はあまりトランプ大統領に来てほしくないと。トランプ大統領に言い方は難しいと思いますが、というのが多くの候補者の心理だと思うんですね。
というのも、トランプ大統領は、先ほど前嶋先生もご指摘されたように、中間選挙ってどうしても投票率が落ちるので、私が投票用紙に載っていると思って、ということで自分の力で動員しようと思っているわけなんですが、とりわけ今、トランプ大統領がやってきた政策、戦争をはじめ、軒並み非常に不人気ということがあるので、接戦で戦っている候補からすると、トランプ大統領が来ると、そのトランプ大統領の不人気な政策と自分を結びつけてしまう。
有権者から見ると、どうしてイラン戦争にもっと反対しないんだとか、関税政策に反対しないんだと。やっぱりトランプ大統領と距離を取って、私は私の州のために政治をやりますよというふうに言いたいところなので、実は自分の名前で、むしろ全国的な選挙にしたいトランプ大統領と、むしろトランプ大統領と距離を置いて戦いたい、こうした激戦州、接戦の候補との間には、相当この選挙に対する考えが違うというところだと思いますね。
トランプ大統領が今月2日に訪れたのは、共和党の地盤が特に強いアラバマ州なんですが、ワシントン・ポストによると、本来だったら、大統領選だったら、この4万人規模の会場にはもう入りきれないほどの聴衆が集まるんだというふうな指摘があるんですが、今回このように空席が目立つということはあったわけなんですよね。
三牧さん、そもそも共和党が強い地盤で、加えて共和党の集会にもかかわらず、こういった支持者の不満みたいなものが如実に表れているような感じもするんですが、この空席の原因って、どういうふうに捉えていらっしゃいますか?
やはり予備選と違って、本選というのは、そうした岩盤のトランプ大統領の支持者のみならず、無党派まで、さらには若干、他党の支持者も取り込んで勝たなきゃいけないんですけれども、トランプ大統領はこうした熱狂的な集会を重ねることで勝とうとしていると。
しかし実際には、やはり2期目で、そして戦争をはじめ、トランプ大統領の約束が裏切られた現状にあっては、トランプ大統領をそれでも支持する人はいると思いますけれども、MAGAと言うけど、トランプ大統領がやっている関税政策、イラン戦争、様々な政策、本当にアメリカを偉大にしているのかどうか、少なくとも国民のためにはなっていないというふうな違和感を持つ人は、それでも民主党にすることはなくても、こうした熱狂的な集会に足を運ぶということをやめる者も出てきているんではないかと。
これ、やはりMAGAがそうしているんですか?
MAGAって、トランプ支持者、もうだからトランプ大統領がやることは、戦争しないと言っていてやった戦争も支持するという、もうトランプ大統領個人のファンというか、そういう人。しかし、そもそもトランプ大統領は民主党に見捨てられた州のために、人々のためにと、そういう、トランプ大統領が国内に注力してくれると、産業を再び戻してくれると、そういう政策に期待した人も多かったわけですよね。
しかし、関税に至っては、とりわけカナダと始めた戦争が、戦争中心に本当に跳ね返って、むしろマイナスになっているような状況で、産業を取り戻すどころか、庶民の家計の負担を増しているような状況では、やはり熱狂的な支持というものはいまだにあるにしても、以前のような熱狂ではないし、離れていく人も出てきているというところだと思います。
さらにトランプ大統領は、政権の実績などを主張したテレビ広告を制作しましたが、これが批判を招く原因となっています。こちら、トランプ政権が先月放送したテレビ広告が出るでしょうか。トランプ政権の減税策の紹介や、共産主義の打倒というメッセージなど、複数の広告があります。
しかし、このテレビ広告について与野党からは、公的資金、つまり税金が中間選挙に向けた選挙活動に使われていると批判しています。一方、トランプ大統領は、広告は偉大なアメリカを前向きに宣伝するものだとし、あくまでも政府の広報と公共性を主張していましたが、今月5日には税金による負担を取りやめると表明しました。
つまり、テレビ広告というのは本来、共和党ですとかトランプ大統領の選挙資金から出さなきゃいけないんですね。ただ、これが公的資金、税金を使って今回テレビ広告を出したんじゃないかということが批判されているということなんですが、前嶋さん、そもそもトランプ大統領は政府の広報だと主張しているわけですが、本当に思っていたのか、それとも確信犯的にやるのか、この辺りどういうふうに。
確信犯だと思うんですよね。
そうですか。
どういうことかというと、これを流したら、この深層NEWSでも、これは問題じゃないかと世界中が言うわけですよね。それだけ注目が集まる。この映像が、我々が見なくてもいいこの映像を、我々も見てしまう。これがポイントなんですよね。
トランプ大統領、先ほどの遊説のところもそうなんですけど、全部できるだけ多くのところを回りながら、何かというと、そこでテレビが出てきて、自分の言っていることを流してくれる。これがポイントです。
先ほどのご指摘もあったんですが、そこに放言もあったり、放言というか、とんでもない話も言ったり、あるいは全く関係ないところで、あれはどこだっけな、アラバマ、いや、テネシーでした時にミシガンの話をして、ミシガンのエルサイードという民主社会主義の人がいますが、あれは俺がミドルネームを作ってやったんだ、モハメッドなんだと。要するにムスリムなんだ、みたいなことでね。
勝手なことを、要するにテレビに注目される、そしてこれもいろんなところに流れる。これが大きなポイントで、トランプなりに、やっぱりテレビの人なので、いかに自分がPR、自分が出てメディアジャックできるか、これを考えているんだと思うんですよね。
それでも違法な手段を取っちゃ駄目じゃないですか、それは。嘘とかなら、100歩譲って、またトランプ節と言ってギリギリ抑えるとかできても、これ、違法行為でしょう。
違法行為に見えますよね。ただ一方で、そもそも論で、こんな広告なんかどんな形でも出せるわけですよ。今、アメリカ最高裁の2010年代の判決で、要するに外部資金がどれだけ意見広告として、例えばどこかの大金持ちが、ぼんとトランプのために出すぞと言っても、これも問題ないわけですね。わざわざ政府のお金を使うというのは、やっぱり何か意図があるわけですね。
さて、トランプ政権の逆風が強まる中、共和党の牙城が崩れ始める事態に陥っています。焦るトランプ氏は3度も訪れた場所がありました。この後です。
パクストンを当選させるためなら、私はテキサスに戻ってくる。必要であれば何度でも戻ってくる。
アメリカの中間選挙までおよそ3週間。異例の接戦となっているのが、上院選では38年にわたり共和党が勝利を重ねてきたテキサス州です。そのテキサス州で共和党の上院議員候補となっているのが、ケン・パクストン氏、63歳。弁護士出身で、現在、州の司法長官を務めるパクストン氏。トランプ大統領を熱烈に支持するMAGAの代表格として、トランプ氏から真のMAGA戦士と称賛されている人物です。先月の共和党大会では。
話し方もいまひとつかもしれない。私がこれまで見た中で最もハンサムな男というわけでもない。だが、彼は我が国最高の司法長官だ。そして次の上院議員にふさわしい人物だ。
冗談を交えながらもパクストン氏を絶賛。一方のパクストン氏も、トランプ氏への謝意を示しました。
トランプ氏は他の誰よりも大きな成果を我が国にもたらした。そして常にテキサス州に力を尽くしてくれた。大統領、ありがとう。
しかし、先月30日、ニューヨーク・タイムズは、そのパクストン氏が資金集めの会合でトランプ氏を批判したとされる音声を入手したと報じました。
正直に言うと、共和党大会の後、支持率が下がってしまった。誰もが数字を落としている。良くない状況だ。
先月9日の共和党大会でのトランプ氏の自身に対する応援演説が、逆効果だったとの認識を示したのです。これまでトランプ氏に忠誠を尽くしてきたパクストン氏の、手のひらを返すような発言。2人の間に今、何が起きているのでしょうか? 深層NEWSは、テキサス州を拠点に活動する政治コンサルタントに話を聞きました。
共和党大会でトランプ氏はパクストン氏支持を表明し、投票を呼びかけました。しかし支持率が低迷する中、トランプ氏から距離を置く無党派などの有権者には、あの演説はかえって逆効果だった可能性があります。
特に無党派層の支持を広げる上で、トランプ氏との特別な関係が強調されたことは、パクストン氏にとってマイナスに働いた可能性があると指摘します。パクストン氏はこれまで、収賄を巡る容疑で州議会に弾劾されたほか、不倫問題が明るみに出るなど、数々のスキャンダルを抱える人物でもあります。それにもかかわらず、トランプ氏がパクストン氏を支持し続ける理由について。
パクストン氏はこれまで州の司法長官として、トランプ政権の政策を後押しする訴訟を多く扱ってきました。2人は長年、緊密な関係を築き、支え合ってきたのです。
2020年の大統領選でトランプ氏が敗れた際には、パクストン氏はテキサス州の司法長官として、選挙結果の無効を求めて提訴。バイデン前政権に対し100件を超える訴訟を起こすなど、強硬にトランプ氏を支持する姿勢を示してきました。
パクストン氏は非常に早い段階からトランプ氏に忠誠を尽くしてきました。それが今回、トランプ氏がテキサス州の上院選でパクストン氏への支持を表明することにつながったのだと思います。
こうした中、パクストン氏に限らず、トランプ氏と距離を置こうとする動きが広がりつつあります。
選挙が目前に迫る中、候補者たちが急速に方針を転換しているのは、大統領の支持率や有権者の考えをはっきりと把握しているからです。
鮮明となる共和党候補者のトランプ離れ。中間選挙までおよそ3週間。トランプ氏に巻き返し策はあるのでしょうか?
共和党のテキサス州では、トランプ大統領に忠誠を尽くしていたパクストン候補が出馬していますが、裏ではトランプ氏の存在が選挙に悪影響を与えているんだと発言したことが明らかになっています。まず前提として、前嶋さんにお伺いしたいんですが、そもそもこの選挙におけるテキサスというのは、どのような要素を含んだ選挙と見るべきでしょうか?
テキサス全体としては、まず人口動態がだいぶ変わってきて、共和党の牙城と言っても、都市部、ダラス辺りはかなり多様な人々が入ってくる。そもそも税金が安いところなので、州の法人税がないところなので、カリフォルニア辺りからどんどん人が来るわけですね。そうするとかなり多様な感じになって、要するに共和党の牙城、共和党一色がだいぶ収まっていて、民主党も勝てる土壌が出てきた。これが1つ。
2つ目が、この上院のパクストンですが、今、アメリカは一種、法則みたいな、必ず鉄則みたいなのがあって、現職が出ると9割勝つんですよね。
現職が出ると。はい。
現職は共和党の議員だったんです。これ、トランプにとっては穏健派であって、パクストンの方が、先ほどのビデオでもあったんですが、仲がいい。ずっと自分の手足のような感じでやっていた。だからパクストンを支持した。でも、どう考えてもスキャンダルもあるし、ヨーロッパ風に言うと極右な候補ですよ。だから、これに変えちゃったというのは、そもそも悪い候補にしちゃった。
ただ、このテキサスで予備選を行って、パクストン氏が勝ったということなんですよね。そうすると、一定のパクストン氏に対する支持というのは、当時、共和党の支持者にもあったわけですよね。トランプ氏も含めて。
そうですね。ただ、とは言っても、それは予備選と本選挙の話で、予備選の方がよりイデオロギー的に右か左かの人が行きますので、そういう構造があります。
そうすると、現職よりもトランプ支持者が比較的、予備選でボリュームが大きいことの特性があって、パクストン氏が選出されたという。
そう。だから本選挙には、もしかしたら勝てるかどうか怪しいけれど、この人の方を応援したというパターンですね。さらにもう1点だけ、テキサス全体で言うと、これだけじゃなくて州知事選も怪しいんですね、共和党。アボット知事がいて、やっぱりこれは人口動態が変わっている。だからテキサスって、今年の選挙戦の大きなポイントです。もしかしたら州議会も変わっているかもしれない。共和党から大変化があるかもしれないと見られていますね。
三牧さん、こういったパクストンはトランプ大統領に忠誠を誓っていた人物にもかかわらず、今、相当厳しいということで、音声が流出してしまっているということ。これ、今パクストン氏が置かれている状況というのは、どういうふうに見ていらっしゃいますか?
そうですね。今、前嶋先生がご説明いただいたように、そもそもトランプ大統領がいなければ、おそらく予備選もちょっと勝つのが難しかったということなので、こういう音声が流出してしまうのはどうかなと思うんですが、やはり、そうしたトランプ大統領に後押しされた候補者だからこそ、今、トランプ大統領の政策と距離を取らなきゃいけない。そういったところに苦労していると。
こうしたテキサス州の構造的な変化。しかし、それでもやっぱりずっと赤かった州が、ひょっとしたら民主党が勝つかもしれないというのは、こうしたパクストン氏、1人の候補者として見ても職権乱用とか、不倫の問題とか、そういう候補に対して、民主党の側が37歳、非常に若いジェームズ・タラリコという、牧師になるために勉強しているという、非常に好対照で、世代も違う新しい感じを抱かせる候補者が出ていて、それも民主党がひょっとしたらテキサスで勝てる。
これ、タラリコに対抗するという点で、共和党としては予備選で誰を候補者にするかというようなことが、今年あったわけですよね。その時に、本選で勝てる候補をしっかりとテキサスで置けばいいのに、言ってみると予備選で、言ったようにトランプ人気で左右されがちな、このパクストン氏が立ったという、この構造的な問題。言ってみると、共和党としては本気で勝ちに行くなら、もうちょっと今の現職の方が良かったんじゃないかという、この辺りはどういうふうに共和党の中で整理できるんですか?
これ、本当にどう考えても現職は強いですし、より穏健な方が良かった。本選も戦いやすいわけですが、やっぱりトランプ大統領としては、自分のラベルを貼ることがむしろ候補者にとっていいんだと。今の遊説キャンペーンというのも、その発想でトランプ大統領はやっているわけですよね。
でも、多くの候補者はむしろ、このパクストンのようなトランプの議員ですら、トランプ色を薄めないと勝てないという事情がある。そこがトランプ大統領の考えと、そうした選挙の実情が相当ずれていると。ただ、みんなやっぱりトランプ大統領が恐ろしい。やっぱり党内の影響力は絶大ですので、なかなか距離を取れない、取りきれないという現状、苦しさがあるんだと思います。
こういうことなんですね。共和党全体の支持率は悪いと、よく皆さん言います。40%から30%台になっています。ただ、共和党支持者、国民の3割ぐらいに限ると、まだ8割5分あるんです。民主党支持者からは3とか4とか5である。ポイントは、トランプ大統領にとって、自分の応援団、自分の共和党支持者を連れていけば勝てるんだけど、最初の話です。投票率は下がる。誰が行かないか。トランプの応援団が行かない。
それが今回、まさにそれで、どこにも当てはまっちゃうんですよね。だから予備選では勝ちやすいけれども、その本選になった時は、そもそもトランプ応援団が相対的に減ってしまうから勝てなくなるということの構図が、もう構造的に難しい。
飯塚さん、いかがでしょう。
そうですね。まさに今、お2人の先生方が言われた、これももう完全によく言われることですけれども、このアメリカの有権者ですね。大体3割ぐらいが民主党で、こっちの3割ぐらいがMAGAですね、トランプで、中間と書いて無党派層とか浮動票があって、ここがどう動くかという話で。今回の争点というかテーマ、本当にばくっとした図ですけれども、明らかに1番、青ですけども、物価高。これ、もう全部に響いているわけですね、基本的に。
そして2、戦争介入。これはもう民主党も絶対駄目ですし、あの人たちは別の理由で、対外的に介入することは許せんと言って、ここが崩れてきているという、これが大事なんですね。そうすると、もう1つ、3つ目。これ、移民対策、先ほど来出ているICEですね。
これはどういうことかというと、特にアメリカの南部の辺り、テキサスを含むここに、ヒスパニックの人たちがやっぱり多いわけです。この人たちが前回の中間選、あるいは大統領選で、やっぱりトランプさんに賭けてみようという、今までとはちょっと珍しい動きができたことで、トランプ氏が大勝する原動力になっているんですね。
この人たちが今回、移民で、やっぱりICEはやりすぎじゃないのということで、この浮動票がもうあっちに逃げつつあるということもあり、そうするとMAGAの岩盤が崩れている。それから、前回の大統領選で勝つ力の1つになったヒスパニックの票がこっちに逃げつつあるということで、トランプさんは厳しい状況になっていると言えますね。
その点で言うと、トランプ離れの本質、この辺りどういうふうにご覧になりますか?
はい。色々あるんですが、飯塚さんが今ご指摘されたヒスパニック票の動向っていうのは、テキサス、さらには他の州でも非常に重要で、2024年大統領選のトランプ大統領勝利の1つの大きな原動力になったんですが、やはり移民問題、最初は支持していたんですが、あまりにICEの取り締まりが本当に暴力的で、効率も悪いということで、自分がたまたま中南米系出身だと、なんかこう、ざされてですね。的にしてても法委みたいをけられると、そう、政策の批判。
カトリック教会が今非常に、トランプ政権の移民政策や戦争に対して、宗教はもっと平和的でもっと寛容であるというですね。そういうことで、自分の信仰に照らして、本当にトランプ政権の戦争、移民政策を支持していいのかと。そういう宗教面の要因もあって、ヒスパニック票が相当、中間選挙では民主党の側に移るのではないかとも見られてます。
こういったトランプ離れというのは、テキサス州だけにとどまらず、多くの激戦州にも波及しているようです。
ロイター通信は、激戦が続く62の選挙区や州のうち41か所で、候補者がトランプ大統領との距離を取る姿勢を示していると報じています。こちらはフロリダ州から下院選に立候補しているベルトラン候補の選挙サイトです。8月時点の写真ですが、トランプ大統領とベルトラン氏の家族が共に写る写真が掲載されていました。しかし現在は家族との写真だけが掲載され、トランプ氏については一切触れられていません。ロイター通信は、こうした選挙サイトからの画像の削除など、トランプ氏との距離を置く姿勢は、少なくとも12人の候補者で確認されているとしています。
この写真は、トランプさんが見たらショックかもしれませんけどね。これまで、三牧さん、ある意味トランプ印が押されること、これは必勝パターンみたいなところもあったわけじゃないですか。この間、この写真を見ると隔世の感があるというかですね。この辺りの変化っていうのは、どういうふうにご覧になりますか?
結構、現実的にですね、あ、だなとも思うんですけれども、やはりトランプ大統領に支持されると勝てるっていうのがあったので、候補者が自分たちの州の問題とかちゃんと観察して、どういう訴えをすればいいかとか、自分の候補者としての資質とか魅力を高めるですね。
すぎて、経済面の訴え、労働者への訴えが欠けてきたんじゃないかと、党内でも色んな議論があって、実際負けましたので。今回、社会主義者が色んなところで、接戦州でも台頭してるのは、やっぱり生活問題、物価高問題に関して具体的に答えないと、やっぱり民主党も信頼されないし、票も取り戻せないと。敗北したこともあって、民主党の方はそういう問い直しが進んで、テキサス州のタラリコとか、ミシガン州のエルサイードとか、かなり特徴的な魅力的な候補が出てきていると。やはりトランプ大統領に頼ってしまった、共和党候補の問題でもあると思いますね。
なるほど。今の話は世界にも日本にも言えそうな話なのかなって思いますが。ただ、三牧さん、これ、あんまりトランプに対して露骨に批判をしたり、先ほどの音声が流出するとか、こういうことがあると、やっぱりトランプ大統領から攻撃を受けるんではないか、MAGAの、その強烈な支持者からの、1点目と批ヒにさらされるんではないかという。この辺り、候補者としても、この3週間の間のバランスの取り方、これ難しいですよね。
ちょっと応援演説を聞いてても、応援なのか、けなしてるのか、ちょっとすれすれのところがありますので、怒りを買って、こうした場で罵倒されるかもしれないと、結構な危機があると思うんですが。トランプ大統領、今回ご自身のスーパーパックにものすごいお金を集めてると。やっぱりテキサス州のパクストン氏もあんな音声が流出してしまいましたけども、やはりトランプ大統領の資金援助を得ないと勝てないというのがあるので。やはり、とりわけお金面、選挙はお金がいりますので、それでトランプ大統領の機嫌を取って、そんなに露骨に距離を取れない。しかし政策からは距離を取りたいと。かなり難しい選挙を、今回、共和党候補は戦ってるという状況だと思います。
前嶋さん、言ってみるとこれ、トランプ大統領に近づいても離れても、なかなか厳しいという、言ってみれば、いばらの道のようなですね。
これ、結構、候補者自身が今苦しんでると。これは大変ですよね。というか、まずこれ、もし今回、色んな予測とか、今日もクック・ポリティカル・レポートがありましたが、これを外して、これじゃなくて共和党が下院で多数派を維持して、上院の方はその可能性はまだありますけど、こうなっていくっていうのはどういうことかというと、トランプ大応援団が行くことなんですよね。そもそもがね、行かないと思ってた。要するに、大統領選挙と中間選挙で10ポイントぐらい、10ポイント以上、投票率は下がる。それで、その多くが大統領の応援団だけど、この人たちが行く場合は、もしかしたら逆転があり得るわけですよ。
そう考えていくと、トランプ的なものはやっぱり応援しないといけない。一方で、先ほどのフロリダのベルトランの話は、ああいう写真を撮る、撮らない、入れる、入れないかは、あれ、密にカスタムな調査してるんですよ。入れた方がいいかどうかって、トランプを入れた写真ってどちらがいいですかと、こう調査してるんですよ。その調査の結果っていうわけだけど、これも要するに、今のところトランプ団が行かないと思ってどうなのかっていう、行くか行かないかを聞きながら調査してる。
これ、トランプ団をいかにこの選挙に、言ってみると投票所に行かせるかって、それ自体の戦略ってどうするんですか?
トランプ大統領が今やってるやつですよね。俺がそこにいると思って投票しろと、例の党大会に言った話。今、全米に出まくっているのは、逆転の可能性は俺に投票することだ、になってるわけですよね。
三牧さん、それで逆効果の可能性もあるわけですよね。
やはりイラン戦争と、政策の不支持が高まってることを、トランプ大統領自身が理解していないのかなというところですよね。この候補者から見ると、自分のところにやってきて、イラン戦争とか関税政策とか語ってしまったら、むしろ困るわけで。その辺りがやっぱり、トランプ大統領と候補者の間にかなりの不一致があって、本当に大変な選挙になってますね。
そもそも大統領が中間選挙の応援に行くっていうのは、この25年の傾向なんですよ。それ以前は基本的に行ったらまずいんです。要するに、大統領の応援団が行かない選挙だから、行っても効果はないわけです。だから基本的にほとんど行かなくて。覚えてるんです、2002年のG・W・ブッシュ、息子の方のブッシュが色々全米遊説した時に、おかしいですね、大統領が中間選挙で自分の共和党の応援に行きましたってニュースがありました。私も変だなと見てたんですが、それ以降、結構定着しちゃったんですけどね。
そもそも行政と議会って、ぶつかり合うことがあるということ。
そういうことですよね。
飯塚さん、まだ選挙、全く分からないということを前提にですね。ただ、トランプ大統領の置かれる状況は厳しくなるかもしれませんね。
そうですね。仮に、下院で本当に世論調査に出てるように、過半数を、民主党が半数以上を取ったとなると、これ、いわゆる簡単に言うレームダックということだけではなくてですね。要するに民主党は、トランプ大統領のエプスタイン問題とか、それから私腹を肥やしてるだろうとかいうスキャンダルとか、こういうのの調査を始めると思うんですね。議会の調査権限を使うとか、委員長のポストを取るとか、召喚するとかですね。これが私は、トランプ大統領は、そのレームダック化して法案が通らないとか、そういうことよりも、おそらく自分の身を守ること、身の危険を感じて、今、非常に必死になってるんじゃないかなと思いますね。
はい。
今回、トランプ政権が中間選挙に国際的な選挙監視団を招待していないことが明らかになりました。この後。
国際的な選挙監視団のOSCE、ヨーロッパ安保協力機構は、アメリカ中間選挙に監視団が招待されていないことを明らかにしました。これは監視を始めた2002年以降、初めてのことだといいます。いかがでしょう。
そうですね。トランプ大統領周辺のインフルエンサー等は、選挙結果が思わしくなかったら、もう戒厳令を敷いてしまうとかですね。トランプ大統領自身も、そういった類似の発言をしていて。アメリカ、今、民主主義が危ういと、選挙が形式的に行われてるだけと言われてきたんですが、選挙すらちゃんとまともに行えないかもしれないと。国際所の裁の話が、民主との支分の板をら裏切ってるような現状だと思います。
前嶋さん、いかがでしょう?
はい。これ、やっぱり選挙って透明性が一番で、要するに、OSCEを呼んだのは何かっていうと、2000年選挙の時にもめたフロリダ州の538票で決めることになった。これじゃまずいっていうことで、もっと厳密に、他のところから見て不正がないかを見てもらうわけですね。だから逆にトランプ、共和党側が民主党側は不正をすると言ってるんだったら、来てもらえばいいんです。呼べばいいのに、逆に不正をしそうだって見えちゃいますもんね、党側がね。それをそう言って断言していいかどうか微妙だけれども。
はい。前嶋さん、三牧さん、今夜どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
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