灯油の供給不安に3つの対策:赤沢経産相が閣議後会見で説明

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概要

赤沢経済産業相は閣議後の記者会見で、灯油の供給と価格への対策を強化すると発表した。大臣の立場は、日本全体では灯油を含む石油製品の必要量を確保できており供給不足にはならない、というものだ。そのうえで、一部の流通で注文の偏りが起き、国民の間に不安が広がっていること、輸入灯油の価格が高止まりしていることを理由に3つの対策を示した。質疑では、国際エネルギー機関(IEA)の軽油需給見通し、COP31に向けた電化率目標、高レベル放射性廃棄物の最終処分、北海道の灯油価格が取り上げられた。

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「供給不足に陥る状況にはない」という前提

大臣は冒頭、灯油は冬の暖房に使われる国民生活に不可欠な燃料であり、安定供給は重要な課題だと述べた。冬の寒冷地では「まさに命に関わる問題」だという認識も示した。

現状について大臣は、灯油を含む石油製品は日本全体として必要な量を確保できていると説明した。一方で、一部の卸売事業者などが例年の需要を大幅に上回る注文を出している。これに対し、一部の石油元売り事業者が安定供給を続けるため、想定需要に沿った注文をするよう求める動きも出ている。こうした動きを受けて国民の一部に冬の灯油供給への不安が広がっていることは承知しているとしたうえで、大臣は「決して供給不足に陥る状況にはありません」と改めて強調した。

価格面では事情が異なる。大臣によると、国際的な精製能力の低下により、輸入灯油の価格は原油と比べて高止まりしている。国内の灯油価格もその影響を大きく受ける可能性があるため、対策の強化に踏み切ったという。

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3つの対策の中身

大臣が示した対策は次の3点である。

  1. 石油元売り事業者、輸入業者、卸売事業者などに対し、前年同月比で同量の販売と注文を要請する。
  2. 供給の偏りや流通の目詰まりが起きた場合に、石油元売り事業者が直接販売する「灯油直販スキーム」を新設する。
  3. 輸入価格と国内卸価格の差額を「輸入灯油調整単価」として補助する制度を導入する。

1点目は、例年を大きく超える注文と、それを抑えようとする元売り側の動きの双方を、前年並みの水準に戻すことを狙ったものと読める。2点目は、全体量は足りていても特定の流通経路で灯油が届かない事態に、元売りが直接対応する仕組みである。3点目は、高止まりする輸入灯油の価格が国内価格に波及するのを抑える措置だ。

大臣はさらに、供給に支障が出ないよう万全を期すとともに、元売り事業者と緊密に連絡を取り、寄せられた個別の案件、相談、要請を一件ずつ解消していくと述べた。

補足として大臣は、2月28日の中東情勢の緊迫化以降に経産省が全力で取り組み、経験を積んできた問題と、今回の問題は「基本的には同じ相手」だとの見方を示した。これまでトライアンドエラーで実施してきた政策がきちんと機能するだろうと理解しており、それによって万全の対応を期したいという。

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IEAの軽油需給見通しと経済への影響

産経新聞の記者は、IEAが16日に公表したレポートを取り上げた。中東やロシアの製油所への攻撃などで世界の生産が抑えられ、主にディーゼル燃料に使う軽油の需給ひっ迫が2027年まで続く可能性があるという内容である。記者は、石油製品や原油の価格が高止まりするなかで日本経済への影響をどう認識しているか、また打開に向けて関係国への働きかけを考えているかを尋ねた。

大臣はレポートの内容を、2026年末にかけて精製処理量は回復するものの、中東情勢などの影響で失われた在庫の補充は2027年下半期まで見込めず、世界的な軽油市場のひっ迫が2027年にも続くという見通しだと受け止めていると説明した。

日本経済への影響については、情勢の先行きが依然として不透明なため予断を持って答えるのは難しいとした。ただし、高い緊張感を持って注視していることは間違いないと述べた。

エネルギーの安定供給には産油国と消費国の協力が鍵になり、極めて重要だというのが大臣の考えである。大臣自身、先週末に開かれた産油国・消費国の閣僚会合(字幕では「IEF閣僚会」。IEF閣僚会合とみられる)にリモートで出席し、両者の連携の重要性を発信したという。今後も軽油をはじめとする石油の安定供給に全力で取り組むとした。

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COP31に向けた電化率目標とGX戦略

日本経済新聞の記者は、政府が年末に向けてGX戦略をまとめる予定であり、8月に示したパッケージでは産業部門の転換の深化を掲げていると指摘した。そのうえで、COP31の議長国となるトルコが世界の電化率を2035年までに35%に引き上げることを提唱している点について、電化率の向上が日本のGXの方向性と整合的と考えるか、政府としての評価や検討状況を尋ねた。

大臣は、この目標については11月に開かれるCOP31に向けて、電化率の定義や算定方法などの国際的な議論が進んでいる段階で、詳細はまだ明らかになっていないと説明した。このため、予断を持って評価することは差し控えるとした。

そのうえで日本の立場として、各国の事情に基づく多様な道筋のもとで世界全体の脱炭素を進めるという考え方が示されることが重要だと述べた。

国内については、「パワーGX」は今回の中東情勢を受けてまとめたものだと説明した。化石燃料の調達安定性の抜本的な向上と、GXの加速・強化という2つの強靱化を進め、エネルギー需給構造の強靱化に取り組む方向性を示している。この方向性のもとで、電化を含めたものづくり現場のエネルギー需要の革新も、進めるべき取り組みの1つに位置づけているという。具体的な政策は現在議論中で、年末までにGX戦略として取りまとめたいとした。

6:45

高レベル放射性廃棄物:常陸大宮市での文献調査開始と茨城県知事の表明

共同通信の記者は、高レベル放射性廃棄物の最終処分について質問した。前日に茨城県常陸大宮市で文献調査が始まったことへの受け止めに加え、茨城県の大井川知事が、原発立地県として負担を抱えていることなどを理由に、次の段階の調査に進む予定はないと表明した点を取り上げた。記者はさらに、茨城県を含め、これまで概要調査以降の調査を認めた知事はいないと指摘した。そのうえで、選定プロセスを先に進めるために経産省としてどう対応するのか、また市町村長と都道府県知事の双方の意見に反して先に進まないとする現行制度を見直す必要があるかを尋ねた。

大臣は、前日に原子力発電環境整備機構(NUMO)の事業計画などの変更を認可し、常陸大宮市での調査を開始したと説明した。鈴木市長をはじめ常陸大宮市の住民が真摯に向き合ってくれたことに、改めて心から敬意と感謝を表した。文献調査の実施にあたっては、先日の面談で鈴木市長から指摘された事項への対応も含め、丁寧にコミュニケーションを取りながら進めるとした。

大井川知事の発言については、茨城県は原子力発電所が立地するなど国のエネルギー政策にすでに大きく貢献し、かなりの負担を負っていると大臣は述べた。そのうえで、知事が県内に最終処分場を受け入れるつもりはなく、概要調査に進むことにも同意するつもりはないとの考えを表明したことは承知していると語った。国としては、今後の文献調査を通じて丁寧に説明を尽くしたいとした。

制度見直しの問いに対して、大臣は見直しの要否を明言しなかった。現行のプロセスは地域の負担が重いという意見も聞いているとし、調査を受け入れる自治体の負担に向けた対策を検討する必要があるのではないかと考えている、と述べるにとどまった。

9:22

北海道の灯油価格

最後の質問は北海道の灯油価格についてだった。記者は、北海道の灯油価格が全国平均より10円以上高く推移しており、市場価格の値上がりや流通の目詰まりが要因とみられると指摘し、大臣の受け止めと対応を求めた。

大臣は、冬の暖房に使う灯油が国民生活に不可欠であり、寒冷地では命に関わるという冒頭の認識を繰り返した。北海道の灯油価格が他の都府県と比べて高く、上昇傾向にあることも承知しているとした。

一方で大臣は、灯油を含む石油製品は日本全体として必要な量を確保できており、今後も確保できる見通しだと改めて確認した。本来は供給不足に陥る状況にはないという。それでも、北海道民を含む国民の一部に冬の灯油供給への不安が広がっていることを踏まえ、冒頭で述べた3つの対策を強化すると説明した。そのうえで、前年同月比で同量の販売・注文の要請、灯油直販スキームの新設、輸入灯油調整単価による補助制度の導入を改めて列挙した。記者が触れた北海道生活協同組合連合会の件も含め、供給の偏りや流通の目詰まりについては元売り事業者と緊密に連絡を取り、個別の案件を一件ずつ着実に解消していくとした。

価格については、直販スキームなどを通じて実際に灯油が出てくることが周知され、理解が広がれば落ち着いていくだろうという見通しを示した。大臣は、さまざまな事情で北海道の灯油価格が他府県より高くなることは起こりうるとしつつ、徐々に落ち着いていくことを期待していると述べ、会見を締めくくった。