千島列島「M9.9」と誤推定した緊急地震速報、気象庁会見で分かったこと

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概要

2026年10月16日の昼過ぎ、気象庁は北海道から中部地方にかけての広い範囲に緊急地震速報(警報)を発表し、その後に取り消した。実際に国内で観測された最大震度は1だった。誤った警報がなぜこれほど広い範囲に出たのか。日本テレビの報道番組では、報道部の矢島アナウンサーが気象庁の記者会見と公開資料をもとに、会見で分かったことと分かっていないことを整理した。

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会見で明らかになった事実

気象庁の会見資料によると、気象庁は12時40分に北海道から中部地方という広い範囲に緊急地震速報を誤って発表した。震源を千島列島付近と推定し、マグニチュードを9.9と過大に推定したことが原因だという。巨大地震が起きたと判断して速報を出したため、対象範囲が非常に広くなった。

実際に地震が起きたこと自体は確かで、震源はカムチャツカ半島付近、マグニチュードは速報値で6.9だった。気象庁は、システムが何らかの原因でこの地震をM9.9の巨大地震と誤って推定した可能性があると説明している。

誤った推定がなぜ起きたかは調査中である。矢島アナウンサーによると、会見では、システムのハード面ではなく、データを処理する過程に何らかの問題があった可能性に言及があった。記者からサイバー攻撃の有無を問われると、気象庁はそうした攻撃があったという情報は受けていないと答え、サイバー攻撃ではないと断言した。

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マグニチュード「3」の差が意味するもの

矢島アナウンサーは、推定値9.9と実際の6.9の差が「ちょうど3」である点を強調した。マグニチュードが1違うと地震のエネルギーは約32倍違う。3違えば32倍を3回掛けることになり、約3万2000倍になる。つまり、実際の地震より約3万2000倍大きな地震が起きたと処理したことになり、その結果として北海道から中部地方まで警報が出た、という説明である。

緊急地震速報の警報は、本来は震度5弱以上など強い揺れが予想される地域に出される。しかし今回観測されたのは函館市の震度1だけで、ほとんどの人は揺れを感じなかった。

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震源の位置と深さも誤っていた

番組では、気象庁ホームページで公開されている図をもとに、警報時の推定震源と実際の震源を比べた。警報時の推定は、北海道の北東にあたる千島列島付近、M9.9、深さ140km。実際の震源は千島列島というよりカムチャツカ半島に近い場所で、M6.9、深さ160kmだった。

矢島アナウンサーは、位置・深さ・マグニチュードの3点すべてで誤った数値が出ていたと指摘した。両地点が大きく離れていることも強調したが、距離の数値は解説中に「4500km」と「45km」の二通りが出てきており、どちらが正しいかは字幕からは確定できない。

会見で気象庁が明言したのは、M6.9の地震を9.9と過大評価したことだけである。位置の推定のずれが影響したのかという記者の質問には明確な答えがなく、その点も含めて調査しているという回答にとどまった。

位置の推定が難しかった理由として、気象庁は観測点の配置を挙げた。日本国内や近海で起きた地震なら、気象庁などの観測点が多数あるため、位置・深さ・規模を比較的捉えやすい。一方、カムチャツカ半島付近のように遠い場所の地震を日本国内の観測点のデータだけで推定するのは難しい、と気象庁は説明した。

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警報は2回出ていた:地域による鳴り方の違い

気象庁が公開した図によると、警報は2回発表されていた。1回目の対象は北海道、東北、関東、中部地方で、西は石川県、岐阜県、愛知県あたりまで含んでいた。その約30秒後に2回目が出て、新たに加わったのは福井県だけだった。

このため、北海道から石川県までの地域ではスマートフォンがおそらく2回鳴り、福井県では1回だけ鳴ったはずだ、と矢島アナウンサーは説明した。福井県より西では鳴っていない。

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「予報」と「警報」:第17報で突然警報に

番組では、気象庁ホームページの「緊急地震速報の発表履歴」も取り上げた。緊急地震速報には「予報」と「警報」の2種類がある。テレビ画面に強制的に表示され、スマートフォンが鳴るのは警報のほうだ。予報は、より小さな震度が予想される場合の情報で、一般には届かない。鉄道会社や電力会社など、契約している一部の事業者にだけ提供される。

今回の履歴を見ると、最初に地震を検知したのは12時38分で、その後に多数の予報が出ていた。カムチャツカ半島付近で地震が起きたらしいという段階から、日本がどの程度揺れるか、深さはどのくらいかを計算し直すたびに予報が出されていたという。

第1報から第16報までは、大きくても震度2程度という予想だったため、スマートフォンは鳴らなかった。ところが12時40分02秒の第17報で警報に切り替わり、突然、緊急地震速報が流れた。テレビやスマートフォンで警報が出たのは、この第17報と第19報である。

履歴では、報を重ねるごとにマグニチュードの数値が大きくなっていた。矢島アナウンサーによると、震源の要素(北緯・東経・深さ)を非常に少ないデータから計算し直すうちに、最初M6程度だったものが7程度になり、ついに9.9という計算が成り立ってしまった。その結果、大きく揺れると判断されて警報が出たという。

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予想されていた揺れの大きさ

第17報と第19報の内容から、誤った推定に基づく予想震度も紹介された。北海道の根室地方北部は震度5弱から7程度、胆振や石狩を含む地域も震度4から7程度とされ、北海道のほぼ全域が震度7程度まで揺れうるという予想だった。矢島アナウンサーはこの資料を番組中に初めて見ながら説明していた。

震度5弱以上の予想は山形県、福島県、宮城県など東北地方にも及び、震度4まで含めると東京を含む関東も強い揺れの対象になっていた。

長周期地震動階級の予測も出ていた。巨大地震が起きたと判断されたため、高層ビルなどが長く揺れる可能性があるとして、最も大きい階級4が北海道から石川県、愛知県にかけて予測されていた。福井県が加わった第19報では、福井県は長周期地震動階級3の地域として追加されていた。矢島アナウンサーはここから、福井県の追加は震度の予想ではなく、長くゆっくり揺れる可能性によるものだと読み取れると説明した。

これだけ広い範囲で震度5弱から7程度が予想されていたのに対し、気象庁の震度分布図では北海道はほぼ真っ白だった。震度1を観測したのは函館市の1か所だけで、全国を見てもほとんど揺れは観測されていなかった。

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2013年の誤報との比較

会見では、13年前の事例についても記者とやり取りがあった。2013年8月8日午後4時56分、奈良県で地震が起きたとする誤った緊急地震速報が出され、西日本と東日本の広い範囲が対象になった。ちょうど夏の甲子園の開催中で、多くの人が驚いたという。

矢島アナウンサーによると、その後13年間でさまざまな改善が進められてきた。それでも、遠くで起きた地震を瞬時に判断して処理し、速報を出すのは非常に難しかった、と会見では述べられた。気象庁は会見の冒頭と最後で重ねて謝罪し、影響が非常に大きかったとして、原因の究明と再発防止に努めると話した。

誤報の後に残る課題:身の安全を確保したか

スタジオでは、誤報の後に取り消しが続くと、次の警報も誤報ではないかと油断してしまうのではないか、という懸念が出た。会見で気象庁は、現在は正常に判断・推定できる状態だと説明しており、警報が出たらきちんと対策を取るべきだという意見が示された。

矢島アナウンサーもこれに同意した。人は大したことはないだろうと考えがちだが、今後警報が出たときには身の安全を確保することが大事だと述べた。そのうえで、今回の対応を自分たちも含めて振り返った。警報が鳴った時間帯に街中の様子をライブで撮影していたところ、皆の携帯電話が鳴っているはずなのに、身の安全を確保している人は誰もいなかったという。結果的には誤った警報だったが、身の安全を確保する行動をもう一度確認したほうがよい、と矢島アナウンサーは話した。

番組の最後には改めて事実関係が伝えられた。12時38分頃にカムチャツカ半島付近でM6.9の地震が起き、気象庁のシステムがこれをM9.9と誤って推定した可能性がある。国内の最大震度は1だった。詳しい原因は調査中で、気象庁は午後2時からの会見で、サイバー攻撃を受けたわけではないと説明している。