武部新氏、農林水産相への起用を受けて語った課題と姿勢
日テレNEWS簗農林水産相が事実上更迭されたことを受け、後任に内定した武部新元農林水産副大臣が、2026年10月15日に高市首相と面会した後、記者団の取材に応じた。前大臣の辞任という異例の経緯のなかで、武部氏は高市首相から何を求められたのか、農政の信頼回復にどう取り組むのか、地元である北海道の農業課題にどう向き合うのかを語った。
首相からの要請:フードテック推進と供給力の強化
武部氏によると、面会では高市首相から農林水産大臣への就任を打診された。首相が具体的に期待した内容として、武部氏は二つを挙げた。一つは、気候変動などで環境が変わってきているなかで、フードテックを前に進めることだ。もう一つは、中山間地域も含めた農地のフル活用である。武部氏は、現在が農業の構造転換を進める「5年集中期間」にあたるとしたうえで、首相から供給力の強化にしっかり取り組んでほしいと言われたと説明した。これらは首相からの指示として受け取ったとも述べている。
就任の受け止めを問われると、武部氏は農林水産行政が「大変重要な局面」を迎えているとの認識を示した。これまで自民党の農林部会長や農林水産副大臣を務めてきた経験を挙げ、そこで培ってきたものを全力で出し切りたいと語った。首相もその経歴を承知していたようで、部会長も副大臣も経験しているので全部頭に入っているはずだから、しっかりやってほしいと声をかけられたという。
前大臣の発言と「信頼される農政」
前任の簗氏の辞任について、武部氏は簗氏とは同期で、ともに農政に一生懸命取り組んできた間柄だとして、今回のことは非常に残念だと述べた。そのうえで、予算をカットするという発言自体は「あってはならないこと」だとし、一個人として簗氏には説明責任を果たしてほしいと語った。
こうした経緯を受けて職務にどう臨むかについて、武部氏は、農林水産行政の責任者として、国民が信用・信頼できる、公平性と透明性の高い政策を推進する必要があると強調した。国民から再び政治への信頼を得られるよう取り組むという。
NHKの記者が改めて農政への向き合い方を問うと、武部氏は、必要で重要な政策はこれまでも党内や副大臣の職務の中で進めてきたと説明した。政治家の発言が実際に行政に影響を及ぼすことはないとしながらも、そうした懸念を持たれているのであれば、行政の責任者として透明性・公平性を確保し、生産者が安心して農業・漁業・林業の経営をできるようにすることが信頼につながるとの考えを示した。なお、公平性や透明性について首相から話があったのかという質問には、その話はなかったと答え、あくまで大臣としての自らの姿勢として大切にしたいことだと説明している。
突然の大臣交代となったことへの思いについては、海洋環境、気候変動、国際情勢のいずれも厳しい状況にあり、そのなかで働く責任を痛感していると述べた。これまでも継続して農林水産分野に取り組んできたので、その経験を「チーム農林水産省」で発揮し、与党の力も借りながら前に進めたいとした。
起用の理由とアンケートの中身
テレビ朝日の記者は、前回の内閣改造で首相がアンケートをもとに人事を行ったとされることに触れ、今回の任命理由を尋ねた。武部氏によれば、首相からはアンケートをしっかり読んでいると言われ、受け取った指示書にも、武部氏が書いた内容を前に進めてほしいという趣旨が含まれていたという。武部氏は、アンケートを見たうえで選んでもらったのだろうと受け止めている。
アンケートに書いた内容として、武部氏は次の点を挙げた。まず、食料安全保障を確立すること。次に、中山間地域を含め、すべての生産者がしっかり経営できる体制を、経営安定対策も含めて作ること。そしてフードテックである。植物工場や陸上養殖といった未来に向けたシステムを構築するとともに、それを活用した技術を広く汎用的に広げることも重要だとした。養殖分野では、種苗や餌などの開発がまだ足りていないとも書いたという。
米国産ジャガイモの輸入解禁問題
フジテレビの記者は、米国産ジャガイモの輸入解禁の判断が課題になっていると指摘し、ジャガイモの産地である北見市などを選挙区とする武部氏の考えを尋ねた。武部氏は、自身の選挙区はまさに馬鈴しょの産地であり、シストセンチュウという病害虫が発生していて、生産者は苦労しながらそれと戦って馬鈴しょを作っていると説明した。そのため、米国からの輸入には強い懸念や心配の声が寄せられているという。
対応については、科学的根拠をもってリスクを評価し、その評価に基づいてどのような管理が必要かを判断するという、毅然とした対応で米国に臨みたいと述べた。
コメの価格下落と水田政策の見直し
日本農業新聞の記者は、コメの需給が緩んで価格が下落基調にあることへの対応を質問した。武部氏はまず消費拡大に取り組むことが重要だとした。コスト指標も作っているので、価格がその水準になるべく近づくよう、流通も含めて関係者に協力を求めながら需要を拡大していきたいという。
一方で、まだ供給が足りていない分野もあると武部氏は指摘し、米粉などを作ってもらえるよう、現在進めている水田政策の見直しの中で、生産者が意欲を持って取り組める政策を作り上げることが大事だと語った。
来年度からの水田政策の単価をどの水準にするかという質問には、11月を目指す予算編成の中で基準単価を決めていくと答えた。生産現場からは現行の水田活用交付金よりもしっかりした単価を求める要請が来ていると認識しているとしたうえで、生産性を高め、作れば作るほど意欲を持って生産してもらえる制度にしたいと述べた。
生産資材の高騰と酪農の在庫問題
前大臣のもとで首相から生産資材の高騰対策の指示があったことに関連して、対応を問われた武部氏は、北海道では肥料が25%上がるなど様々な生産資材が値上がりし、農業経営が厳しい状況にあると承知していると答えた。物価対策を含め、新しい水田政策や畑作の対策でもコストを勘案しながら政策を作る必要があるとし、年末に向けて、現場が物価高や生産資材の高騰で大変な状況にあることを踏まえて予算編成を含めた議論をしていきたいと述べた。
地元・北海道の酪農について、脱脂粉乳の在庫が膨らみ持続可能性に不安の声があることへの考えも問われた。武部氏は、これまでも生産現場、メーカー、国が連携して在庫対策を行ってきたと説明したうえで、コメと同様に需要拡大が重要だとした。新商品の研究・開発に加え、消費者に牛乳を飲もうと呼びかけるようなアピールも必要になるとして、関係者と協力しながら需要拡大に努めると語った。
残された課題
取材の中で武部氏は、具体的な数値目標や新たな施策の中身までは示していない。水田政策の基準単価は11月を目指す予算編成の中で決め、資材高騰への対応も年末に向けて議論するとしており、米国産ジャガイモの輸入解禁問題も科学的なリスク評価を軸に対応するという方針の段階にとどまる。前大臣の発言で揺らいだ農政への信頼を、透明性と公平性を重視する姿勢でどう回復していくのかが、新大臣として最初に問われることになる。
本日は総理とのご面会の内容を教えてください。
はい。高市総理から、農林水産大臣にというお話をいただきました。
総理から具体的に期待することですとか、どういう発言があったかというのはいかがでしょうか?
まず、フードテックについて、これだけ気候変動もあり、環境も変わってきてるので、フードテックを前に進め……。
すいません。大丈夫。テレビ東京です。よろしくお願いします。
進めていくということをお願いしますということと、それから中山間地域も含めて、田畑をフル活用するよう、農業の構造転換5年集中期間でありますけれども、供給力の強化に向けてしっかりと取り組んでいただきたいというお話がありました。
率直に、更迭という問題があっての今回ですけれども、大臣に任されたご感想はいかがでしょうか?
大変重要な、農林水産行政にとって大変重要な局面を迎えているというふうに思っております。しっかりとその重責をこなしていくようですね。これまでも自民党の農林部会長、農林水産副大臣も務めておりますけれども、これまで培ってきたものを全力で出し切っていきたいというふうに、取り組んでいきたいというふうに思ってます。
今おっしゃっていただいた、これまでのご経験などあると思うんですけれども、それを踏まえて総理から具体的に、頑張ってねとか、そういった激励の言葉みたいなのがあったんでしょうか?
そうですね。そのことも総理も承知いただいていたみたいでして、部会長もやってるし、副大臣もやってるので、全部頭に入ってるはずだからしっかりやってくださいというふうに、お話をいただきました。
ありがとうございます。
簗農水大臣の一連のご発言については、具体的にどういうふうに見られていたんでしょうか?
簗先生とは同期で、同じく農業に一生懸命取り組んできた間柄ですので、今回のことは非常に残念でありますけれども、予算をカットするというその発言自体は、あってはならないことだというふうに思います。一個人として、簗先生にはしっかりと説明を果たしていただきたいなと思ってます。
ありがとうございます。いかがでしょうか?
共同の小と申します。先ほどフードテックのお話ありましたけど、それは総理から指示書を受け取ったということでよろしいですか?
はい。総理から指示をいただきました。
先ほどありましたけど、前任の簗前大臣が辞任されたことを受けての就任ですけれども、それを受けてどのように職務に臨まれるか、抱負をお聞かせください。
はい。まず、農林水産行政を所管する責任者になりましたので、この農林水産行政が国民の皆様方にとって信用できる、信頼できる、公平性の高い、透明性の高い政策を推進していく必要があるんだろうというふうに思ってます。国民の皆様方から、また政治に対してご信頼をいただけるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
テレビ朝日です。すいません。前回の内閣改造のタイミングでは、アンケートをもって人事を行ったというふうに総理はおっしゃられていましたけど、今回任命の理由について総理から何かお伝えされたのか、あるいはそのアンケート、前回書かれたことなどで何かありました?
総理からも、しっかりアンケートを読んでいますと。指示書もいただきましたけれども、私が書いたことをしっかりと前に進めてほしいということで、しっかり目を通していただいてるんだなというふうに思いました。
具体的に任命の理由について、何か言及ありました?
いや、もうアンケートを見ていただいて、お選びいただいたんだろうというふうに思います。
よろしいですか? フジテレビの甘野と申します。よろしくお願いいたします。米国産のじゃがいもの輸入解禁の判断というものが今、課題となってると思います。武部大臣はじゃがいもの産地である北見市などの選挙区の選出で、ご地元との向き合いもあると思いますが、そうした中で輸入解禁という問題に今後どう向き合っていかれるか、お伺いできますか?
はい。私の選挙区は、それこそ馬鈴薯の産地で、また、シストセンチュウという病害虫が出ていて、大変苦労しながらその病害虫とも戦って、馬鈴薯を作ってる地域でありますので、米国産からの輸入については大変強い懸念を持ってる、心配の声を寄せられているところであります。私どもはしっかり科学的根拠をもって、リスクをどう評価するか、そしてその評価に基づいてどのような管理が必要なのかということを、毅然とした対応で米国には臨んでいきたいというふうに思ってます。
すいません。日本農業新聞です。今、米の需給が緩んでですね、価格が下落基調になっています。これ、どういうふうに対応されるお考えでしょうか?
まずは、消費拡大をしっかりやることだというふうに思っています。コスト指標も作っておりますので、この価格になるべく近づいていくように、しっかりと需要を拡大しながら、流通も含めて皆さんにご協力を求めるところ、しっかりと調べてまいりたいというふうに思いますし、また、まだまだ足りない、需要が足りていない、供給が足りてない部分もあると思います。麦だったり米粉だったり、こういったものを作っていただけるように、今、水田政策の見直しをしてる最中ですから、意欲を持って取り組んでいただけるような政策をしっかりと作り上げることが大事だと思ってます。
ありがとうございます。冒頭で重要な局面っていうお話ありましたけれども、来年度からの水田政策の単価等をこれから決めていくことになると思いますが、どういった水準で、どういうふうに臨まれるか、教えていただけますでしょうか?
これからですね、11月を目指して予算編成もありますので、その中で基準単価を決めていきたいというふうに思います。生産現場からは、今の水田活用交付金よりもしっかりとした単価をというご要請も来てると思いますし、我々は生産性を高めていく、しっかりと作っていただければいただけるだけ、意欲を持って作っていただけるような制度にしたいというふうに思ってます。
前大臣の時は、生産資材の価格が高騰してるということで、総理から高騰対策をされてましたが、大臣はどのように取り組まれるお考えでしょうか?
北海道も肥料が25%上がったりしています。様々な生産資材が上がってて、農業経営が今厳しいというのは承知しています。これから物価対策も含めて、当然、水田活用、新しい水田政策も含め、あるいは畑作の経営安定対策も含め、そういったコストをしっかりと勘案しながら政策を作っていく必要があるんだろうというふうに思います。これからしっかりと年末に向けて、現場の皆さん方が物価高騰、生産資材等で大変な状況にあるということを踏まえながら、予算編成も含め政策について議論していきたいと。
すいません。あともう一つ、大臣のご地元、北海道ですけれども、酪農についてですね、脱脂粉乳の在庫が大変膨れ上がって、持続可能性に不安の声もあるんですけれども、どういうふうに進めていかれるお考えでしょうか?
これまでも在庫対策はしっかりとメーカーも含めて、生産現場、メーカー、そして国も含めて在庫対策を行ってきています。米とも同じになるんですけれども、やっぱりしっかりと需要を拡大していくことが大事だというふうに思っています。新商品も研究し、開発しなければならないと思いますし、あるいは消費者の皆様方にもご協力いただくようなアピールもですね、牛乳を消費しよう、飲もうというようなアピールも当然必要になってくると思いますので、皆さんと協力しながら需要拡大に努めてまいりたいと思います。
ありがとうございます。
先ほどアンケートを見て、ポストについて選んでいただいたというお話、総理が選んでいただいたというお話も、差し支えなければアンケートにはどういったことを書かれましたでしょうか?
まず今、食料安全保障をしっかりと確立しなければならないということ。それから、中山間地域も含めて、全ての生産者の皆様方がしっかりと経営できる、そういう体制を作ること。経営安定対策も含めてですね。そしてフードテック、植物工場も陸上養殖もありますが、このシステム、未来に向けたシステムをしっかり作っていくってこともあると思いますけれども、これを活用した技術を広く汎用的に広げていくってことも大事なんだろうと思います。養殖で言えば人工魚ですとか、あるいは餌ですとか、そういったものの開発もまだまだ足りてないと思いますので、そういったことをアンケートで書かせていただきました。
すいません。NHKの下平です。農林水産行政の信用、信頼という言葉もありました。今後どういうふうな役割を担っていくお考えなのか、まさに問われている局面かと思うんですけれども、改めて今後の農林水産行政の向き合い方、姿勢についてお願いします。
行政として、必要な政策、重要な政策については、これまでもしっかり私も党の中で、あるいは副大臣の職務の中でも進めてきたというつもりでおります。さらに、この政治家の発言が行政に対して影響を及ぼすことはないんですけれども、実にはないんですけれども、そういった懸念を持たれてるということであれば、行政の責任者として、そこについてはしっかりと農林水産行政について、透明性、公平性、そして安心して農業をしていただける、漁業をしていただける、森林経営していただける、それがまた信頼につながっていくんだろうというふうに思ってます。改めて、これまでもやってきていますけれども、それについて国民の皆様方から信頼される、信用される農林水産行政を進めていきたいという、その強い思いを持ってます。
改めてこのタイミングでの、いわば予期せぬタイミングでの大臣への今後のご就任というところ、お気持ちとして、いろいろ……。
こういう局面だからこそ、農林水産行政にとって大変今、先ほども申し上げましたけど、海洋環境も気候変動も国際情勢も大変厳しい状況にありますから、その中でしっかりと働いていくということの責任をしっかりと痛感してます。急遽、大臣が交代したということではありますけれども、これまでも継続して、農林水産、農政や林業、水産についてしっかりと取り組んできましたので、そのことをチーム農林水産省で発揮していきたいと思いますし、党のお力も借りながら、与党のお力も借りながら、前に進めていきたいというふうに思います。
よろしいですかね? 総理からは、公平性であったり透明性の話っていうのは?
いや、その話はなかったです。これはあくまでも私が今、農林大臣にというお話をいただいた上で、自分の大臣としての姿勢として、それを大切にやっていきたいというふうに思ってます。
ありがとうございました。
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