叫び続けた2日間と「バイオ」の思い出 ――映画『バイオハザード』日本語吹替版 声優舞台挨拶

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概要

映画『バイオハザード』日本語吹替版の公開を記念して、声優の下野紘、早見沙織、杉田智和が舞台挨拶に登壇した。下野は主人公ブライアンの吹き替えで経験した過酷な収録を振り返った。トークの後半はゲーム版『バイオハザード』の思い出話になり、会場では笑いが続いた。

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オーディションの「テスト」がそのまま本番に

登壇した下野の声は少しかすれており、本人は「何かのウイルスにかかってるわけじゃないですよ」と断ってから話し始めた。

下野は自分でもゲームをプレイしていたため、オーディションの話をもらった時点から強く緊張していたという。オーディションでは最初に音量などを調整するテストがあり、「軽く叫んでいただければ」と言われた。それでも、この映画に吹き替えで出られるならぜひ出たいと思っていた下野は、全力で叫んだ。するとそのテストに「今のでOKです」と言われ、テストがそのまま本番として収録された。その後に合格の連絡を受けたため、スタッフから大きな期待を寄せられているのではないかと「勝手に思った」と下野は話した。

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2日間に分けて、たった1人で叫び続けた収録

本番のアフレコにも、下野は強い緊張を抱えたまま臨んだ。ブライアンは作中でずっと叫んでいるキャラクターなので、自分の喉を潰すくらいの気持ちで演じたという。ただ、それではあまりに負担が大きいという判断が、下野本人だけでなく周囲のみんなから出た。そのため、収録は2日間に分けて叫び続ける形になった。

下野はこれまで演じた役のうち、「頭の黄色い子」が一番叫んで悲鳴を上げていると思っていた。しかし今回のブライアンが、自分の演じてきたキャラクターの中で一番叫んだ役になったと振り返った。

しかも収録は1人だった。ずっと叫んでいるので、他のキャストと一緒に録ると声が重なってしまうからだ。下野は誰ともキャストに会わなかった。休憩中にスタッフがスタジオに入ってくることもほとんどなく、来るのは「喉は大丈夫ですか」という確認と水を持ってくる時くらいだった。下野は、その寂しさが一番過酷だったと語った。

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早見沙織とバイオハザード4、そして「武器商人」

『バイオハザード』の思い出を聞かれた早見は、子どもの頃に『バイオハザード4』をプレイしたと話した。操作が下手で、主人公のレオンを何度もやられさせてしまった。ゾンビと戦うどころではなく、トラバサミのような罠に足を取られていたという。これを聞いた周囲からは「若干ブライアンみがある」という声が上がった。早見は、ブライアンに感情移入しすぎて結末まで見入ってしまったとも話し、観客もきっと同じ気持ちで観るだろうと続けた。

下野によると、早見はプレイは得意ではないが、人がプレイしているのを見るのは大好きだという。直前の取材で早見の口から「ロケラン」という言葉が出てきて、下野は驚いたそうだ。早見は「大事な一発がありますからね」と応じた。さらに、自分がこの世界で生きていくなら武器商人がいいかもしれない、と考えたことも明かした。

話がゲームに寄っていくなかで、登壇者からは「カプコンさん、新作の武器商人は早見さんにしない?」という声が上がり、「珍しいタイプの武器商人が来た」と会場が沸いた。登壇者は「だいぶコアな話をしている」と認め、知らない人にはぜひ映画を観た後にゲームもプレイしてほしいと呼びかけた。

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杉田智和が語る「ラジコン操作」と本体の貸し借り

ゲームに詳しい杉田について、下野は、杉田が入場の時に初期作品の移動方法をまねていたと指摘した。杉田は「ラジコン操作」だと答えた。話題は、下野が以前に話していた梯子の挙動にも移った。梯子を上っている途中で方向キーの入力が切り替わり、視点が逆になって、上っては下りるのを繰り返していつまでも上に着けない、というものだ。

杉田によると、『バイオハザード』が発売された頃はさまざまなゲーム機が出ており、『バイオハザード』はそうした機種のキラータイトルだった。ドリームキャストで『コード:ベロニカ』が出て、ゲームキューブで『0』やリメイクが出た時には、杉田は友人同士でゲーム機の本体ごと貸し借りして回していたという。ソフトも本体も簡単には買ってもらえない時代だったので、『バイオ』に限らず話題の作品を貸し合ってみんなで楽しんでいた、と杉田は振り返った。

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『バイオ5』のオンライン協力プレイの相棒

Xbox 360の時代、杉田は『バイオハザード5』をオンラインの協力プレイで遊んでいた。杉田は主にシェバを操作しており、クリスを操作していた相手が厳しかったという。杉田は相手の口調をまねて、「シェバやってんだから、ちゃんとサポートしてよ」と言われたと再現した。杉田が「なんでそんなに突っ込むんだよ」と言い返すと、さらに厳しい言葉が返ってきたそうだ。

ところが、シェバがウェスカーに捕まった時だけは、その相手が「てめえ、離せ」と、とてもいい声で本気で叫んだという。この話に共演者から「なんて優しいんだ」「候補が浮かんでしまいます」と声が上がった。杉田は「もう1人しかいねえよ」と返し、相手の名前は言わないまま、観客の想像に任された。動画のタイトルでは、この相手は中村悠一だとされている。

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最後の挨拶:杉田「この映画もバイオの歴史に組み込まれるべき」

ウェイドの吹き替えを担当した杉田は、『バイオハザード』のルーツをたどると『スウィートホーム』というタイトルに行き着くと話した。そして、現代に『スウィートホーム RE』を出せないだろうかと提案し、共演者も「いいと思う」と賛同した。『スウィートホーム』をリスペクトしたゲームはほかにも数多く出ているが、杉田は『バイオハザード』をその最高峰だと考えている。自分の命がある限り、万一何かあっても「なんとかウイルス」で復活して、『バイオハザード』の最後を見届けたいと語った。そのうえで、今回の映画も『バイオ』の歴史に組み込まれるべきタイトルだと述べ、観客に寛大な心で観てほしいと呼びかけた。

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早見「ブライアンの視点は、今を生きる私たちに近い」

早見は、今回の作品について、ごく普通の一般市民がこの世界に飛び込んでしまい、先の読めないまま物語が進んでいくと説明した。そのため、ブライアンの視点は今を生きる私たちにとても近いものとして感じられるはずだという。シリーズをよく知る人にも、初めて『バイオハザード』に触れる人にも楽しんでほしいと話した。観た後に周りに広めてもらうのも、何度もブライアンと一緒に楽しんでもらうのも歓迎だと述べ、繰り返し観てほしいと伝えた。

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下野「怖いだけではないエンターテインメント作品」

最後に下野は、この映画には「バイオハザード愛」のようなものがたくさん詰まっていると語った。ゲームをプレイした人なら、初めて観ても「あれ、ここって」と気づく発見や懐かしさを感じられるのではないかという。ホラーが苦手な人に向けては、怖い部分は確かにあるが、それだけではないと説明した。コミカルな場面もあれば、人と人とのつながりを感じるシーンもあり、個人的には本当にエンターテインメント作品だと思っていると述べた。早見と同じく何度も観てもらい、この映画を愛してもらえたら嬉しいと締めくくった。