都内で480万円の再建築不可物件を不動産鑑定士が査定した結果

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概要

YouTubeチャンネル「内見ゴリラの珍賃貸」のゴリラ(レッツゴーなぎら)は、東京23区内の土地建物を480万円で購入した。ローンが通らないような条件の物件で、現金で買ったという。今回は不動産鑑定士の桃太郎を招き、この自社物件を実際に査定してもらった。立地の確認から内見、敷地の実測、そして査定額の根拠まで、鑑定士がどこを見てどう評価したかが動画の中心になっている。

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鑑定は駅からの道のりと立地から始まる

ゲストの桃太郎は不動産鑑定士で、自身のチャンネルの登録者数は100万人近い。ゴリラのチャンネルに関わる映像制作会社のメンバーとは大学の同級生で、その縁から今回のコラボが実現した。

一行は物件の最寄り駅の南口から歩き始めた。物件は駅から徒歩3分にある。桃太郎は道中でまず駅の乗降客数を調べ、2025年時点で約1万5000人だと確認した。そのうえで「1万人以上いないとダメ」と話し、ゴリラはこれを喜んだ。桃太郎によれば、駅から対象不動産までの道は住む人が必ず歩くものなので、内見の際にも歩いて確かめてほしいという。歩いた印象として、桃太郎は住宅街として閑静でよい環境だと評価した。

物件の概要と、空き家期間についての見方

到着した物件は木造の2階建てで、築年数はおよそ50年とされる。土地面積は16.69平方メートル。隣家のおばあさんによれば、ゴリラが入る前の約3年間は空き家だった。

桃太郎は、建物は人が使っていた方が長持ちすると話した。人が住んでいれば通風や採光が確保されるためで、まったく使わない状態よりは多少使った方がよい。ただし3年程度の空き家期間であれば「まあまあ」という受け止めだった。

物件へは私道を通って入る。ゴリラは謄本で私道であることを確認したという。私道はきれいに整えられており、奥に住む内装業者が手入れしているのではないかとゴリラは推測している。建物は古い連棟式の長屋で、隣の住戸だけが新しく建て替えられ、外観の色が違っている。

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敷地の境界がわからない

敷地の前で、ゴリラは土地がどこからどこまでなのかわからないと切り出した。片側が私道なのはわかるが、境界杭のような目印が見当たらない。桃太郎は昔の測量図はあるはずだと見ていた。確認すると平成4年作成の測量図が見つかった。古いものではあるが、公的な資料として測量した実績があるので、境界自体はどこかにあるはずだと桃太郎は説明した。

ゴリラは玄関まわりのこだわりも語っている。上部に青く塗装したトタンがあり、その様子がフィリピンのスラム街とそっくりだという。スラム街を訪れるのが好きなゴリラにとって、この外観は「お前のための物件だ」と感じた決め手になった。

土足の室内と「建物の価値はゼロ」という指摘

室内は土足で上がるルールになっている。ゴリラは、世界に通用する企業を目指してアメリカ基準にしているのであって、古いからではないと冗談めかして説明した。玄関には前の住人のものと思われる古いガムが張り付いていて、桃太郎に掃除を促される場面もあった。

1階には4.5畳の和室があり、通勤用のロードバイクを室内に置いている。桃太郎は、ロードバイクは盗難にあいやすいので室内の駐輪場はよいと評価した。

ここでゴリラは築年数への疑問を口にした。以前動画を投稿した際、視聴者から「これは築50年ではない。自分が子どもの頃のような造りなので時代が違う」という趣旨のコメントが寄せられたという。桃太郎によれば、この建物は登記がされておらず、図面もおそらくないため、築年数は不詳と考えるのが正しい。ただ、前向きに考えれば使えれば問題ない。そのうえで、50年でも60年でも建物の価値はそもそもゼロだと言い切り、ゴリラを驚かせた。

それでも、誰がどう使ってきたかで維持管理の状態がわかるので、そこは見ていきたいと桃太郎は続けた。1階を見た時点の感想は「まあまあ妥当な使い方」だった。

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キッチンは『ALWAYS 三丁目の夕日』の世界

キッチンでは電気・水道・ガスがすべて通っていることを確認した。ゴキブリは今のところ見ていないという。シンクは入れ替えていないが、3年前まで人が住んでいたこともあり、意外ときれいだった。桃太郎は水を出して確かめ、錆は出ないことがわかった。ゴリラはここで歯磨きや洗顔をしているが、料理はしていない。

ゴリラは最近、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』を観たところ、戦後十数年を描いたその世界と物件の質感がまったく同じだったという。戦後を生き抜き、高度経済成長期をともに過ごしてきた物件だろうというのがゴリラの見方だ。桃太郎は、うまくいけばドラマ撮影のスタジオに使われるかもしれないと話した。ゴリラ自身もそうした理由からあまり手を加えたくないと考えており、掃除だけはするつもりだという。

トイレの床が抜ける

トイレは汲み取り式ではなく水洗だが、ゴリラは一度も使ったことがない。使いづらいため、現在は駅のトイレまで歩いて行っている。トイレは入れ替える予定だ。

しかし桃太郎は、便器だけ替えても床に設置できるのかと疑問を示した。ゴリラも床がすでに崩壊しかけていることを認めた。便器が動くほど傷んでいた床は、確認しているうちに実際に抜けてしまった。桃太郎は「これはマイナスだ」と反応し、調査中に家の一部が抜けるのは人生で初めてだと語った。

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敷地を自分で測り直す

登記上の土地面積は16.69平方メートルだが、ゴリラは実際にはもっと広いはずだと考え、メジャーで測り直した。境界がわからないまま測ったため、横幅は約2.9メートル、縦は6.8メートルから6.9メートル、さらに7メートルと数字が少しずつ伸びていった。2.9メートル×7メートルで20.3平方メートルとなり、ゴリラは「増えた」と喜んで今後は20平米と名乗ると宣言した。桃太郎は、その面積はさすがに査定には使わないと返している。

2階、ベランダ、そして目の前の空き地

ゴリラが「メイン」と呼ぶ2階は、毎日掃除しているだけあってきれいだった。ここだけは靴を脱いで上がる。ゴリラは、都内のマンションの洋室と同じくらいの広さがあると強調し、桃太郎も都内のマンションは部屋が狭くなっていると応じた。奥にはベランダがあるが、危ないので使っていない。

エアコンはないものの、かつて設置されていた痕跡が残っている。隣のおばあさんからは、前の住人が1年前に亡くなったと聞いたという。桃太郎が事故物件かと尋ねると、ゴリラは重要事項説明で事故物件ではないと説明を受けていると答えた。

ゴリラが最後の強みとして挙げたのは景観だ。正面に建物がなく視界が開けているので、査定額が上がるはずだと自信を見せた。桃太郎は、向かいの建物と見合いにならない点は悪くないと認めた。一方で、目の前が更地なので今後建物が建つ可能性があり、そこが懸念だと指摘した。ただし、景観が失われても査定額が半分になるようなことはなく、下がるとしても「誤差」だという。そもそもこの物件の金額水準を考えれば影響は小さい、というのが桃太郎の説明だった。

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内見を終えた鑑定士の所感

内見後、桃太郎は維持管理の状態はよいとは言えないとしつつ、2階を毎日掃除していることなどを評価した。今後の部分的なリフォームを通じて少しずつきれいになっていくだろう、という感想だった。また、建物の価値はないものの、建物がなかった場合は評価がもっと低かったはずだとも話した。この点の理由は査定額の説明で明かされる。

査定額は420万円

ゴリラは購入額が480万円であることをあらためて伝えた。現金で支払ったが、趣味のためではなく事業拡大のための投資だという。

桃太郎が示した査定額は420万円だった(発表直後に一度「400万円」と聞こえる箇所があるが、以降の説明はすべて420万円で進む)。購入額をやや下回る結果である。桃太郎は、この数字はぶれるものだと考えてほしいと付け加えた。420万円でしか売れないわけではなく、それ以下になることもある。この金額帯では売り手の言い値に近いところもあり、「この金額で売る」と決めて売れるまで待つという売り方もありうるという。

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再建築不可と「最有効使用の原則」

査定の最大のポイントは、この物件が再建築不可だという点だ。桃太郎の説明では、建物を取り壊すと基本的に新しい建物を建てられない。ただ、現に建物が残っていることが評価に影響する。

不動産鑑定では、最有効使用の原則に沿って金額が決まると桃太郎は説明した。たとえば隣の土地なら、戸建て住宅を建てて住む人が主な需要者、つまり市場参加者になる。この物件の場合、想定される買い手は主に二者だという。建物を現況のまま使う人と、改修やリフォームをして賃貸に出す投資家である。

金額の算定では、まず周辺の戸建て住宅用地の価格を、取引事例や鑑定士が毎年担っている地価公示などを参照して把握する。それが一般的な土地の平方メートル単価になる(具体的な単価は字幕では聞き取れない)。ただしこの物件は再建築不可なので、その単価をそのまま当てはめることはできない。そこからの減価を考慮した結果が420万円だという。

ゴリラが、もし接道していたらどの程度になるかと尋ねると、桃太郎はおおよそ1000万円前後になるだろうと答えた。それ以外に特記事項はなく、非常にシンプルな物件だという評価だった。

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売値は強気にできるのか

ゴリラは、どうしても欲しい人がいれば強気に値段を上げられるのではないかと尋ねた。桃太郎はそれを認めつつ、メルカリと同じで高すぎれば誰も買わないと指摘した。そのうえで、再建築不可の物件は全国にあるが、23区内で地主になったという点については、ゴリラを「仕入れのプロ」と持ち上げた。

桃太郎はさまざまな動画で繰り返している持論として、「一に立地、二に立地、三に立地、四に立地、五に間取り」を紹介した。家を買う際、予算の上限という事情もあるが、資産価値を重視するなら立地を必ず見てほしいという。ゴリラが立地から押さえに行ったと話すと、桃太郎はそれを評価した。

将来の値上がりについては、ゴリラが「何倍にもなりそう」と冗談めかして話をまとめようとすると、桃太郎はそうは言っていないと否定した。値上がりする可能性はなくはないが、値上がりしない可能性も十分ある。それがこの査定の結論だった。