GACKTの「人生で一番うまい店」から始めて、赤坂の名店を数珠つなぎで食べ歩く

YouTubeで開く ↗
概要

ヒカルは、ある人に「おすすめの飲食店」を聞いて実際に行き、その店の大将にまた次のおすすめを聞く、という連鎖を1週間続ける企画を始めた。最後にどんな店に行き着くのかを確かめるのが狙いである。当初はエミリンを起点にする予定だった。ところがGACKTの生誕イベント「魔王生誕饗宴2026」への出演依頼が来たため、起点をGACKTに変えた。この前編では、GACKTの楽屋での会話から、赤坂の馬肉店、喜多方ラーメン店、和食店までの3軒をたどる。

15分で読めます
1:01

魔王生誕饗宴の物販と「コインドロップチャレンジ」

イベント会場の物販には、GACKTが関わるブランドの商品が並んでいた。目を引いたのは約300万円の「GACKTモデル」の時計である。スタッフの説明によると、ベルトまで全面がダイヤモンドで、紐を通さずに職人が1個ずつ手で組み上げている。構想から完成まで10年かかったという。GACKT本人も着用し、今年の「格付けチェック」でも身に着けていた。試着したヒカルは、ここまで全面にダイヤが入っていると、かえっていやらしさがなく品があると感想を述べた。同じブランドのサングラスは、オンラインでは5分で完売し、プレミア価格がつくこともあるという。

会場で特に人気があったのが「コインドロップチャレンジ」だ。水槽の底に置かれたシャネルの皿の上に、90秒以内に落としたコインが乗れば、GACKTの私物の服がもらえる。先週まで着ていたドルチェ&ガッバーナの服も景品に含まれていた。スタッフは10万円という金額にも触れており、それでも私物が手に入るなら挑戦する人は多いだろうとヒカルたちは話した。ヒカルが挑戦したときは皿が中央から端に動かされた「ハードモード」で、コインは思ったより速く沈み、成功しなかった。

6:12

楽屋での会話:「人生のテーマは暇つぶし」

楽屋でGACKTは、上場企業関連のニュースや落語家デビュー(8月3日に明治座で落語イベント)など、最近のヒカルの話題に触れた。ヒカルが、GACKTが第一線で走り続けていることが刺激になると伝えると、GACKTは自分の活動は「暇つぶし」であり、それが人生のテーマだと答えた。楽しいからやるというより、暇だから始める。だが始めると本気になりすぎて、すぐに自分を苦しいところまで追い込んでしまう。だから面白いとは思っても、楽しむ余裕はあまりないのだという。

ヒカルが「話すスピードも含めて、どう考えても格好つけている」とからかうと、GACKTは否定した。もともと話すのがとても遅く、昔と比べれば2倍くらいの速さになっている。格好つけているのではなく、ただ話すのが遅いだけだ、とGACKTは説明した。

9:08

最初の推薦はエストニアの中華料理店

ヒカルがおすすめの店を尋ねると、GACKTはまず「マレーシアの店」を挙げた。ヒカルが国内、できれば都内にしてほしいと頼むと、今度は「本当に行った方がいい店」としてエストニアの中華料理店を挙げ、行くなら自分も一緒に行くと言い出した。

GACKTによれば、その店はエストニアの古い街並みの中にぽつんとある。初めて行ったのは夕方5時半ごろで、客は1人もいなかった。店の雰囲気はヨーロッパ風だったが、メニューには点心がずらりと並んでいた。点心は手作りに手間がかかるので、GACKTは全部冷凍だろうと疑った。店側が「冷凍は1つもない、全部手作りだ」と答えたため、メニューを全部持ってこさせて一口ずつ食べた。すると点心以外も含めてどれもとてもおいしく、見た目はヨーロッパの客が喜びそうでありながら、中華の一番大事なところを押さえていたという。

シェフを呼んで話を聞くと、マレーシア出身だった。マレーシアの有名な中華料理店で修業し、イギリスの有名な高級中華レストランでトップシェフを務めたあと、ヘッドハンティングされてエストニアに来たという。GACKTはこの店に3回続けて通ったと話した。

17:13

本当に行くのか:「現地集合」の約束

日本からは直行便がなく、パリで乗り換えて25時間ほどかかる。前後の移動に3日ずつ取られるので、10日は必要だとGACKTは見積もった。10月はひどく寒いので、行くなら春、5〜6月あたりがよく、4月でもいけるかもしれないという。ついでにラトビアとリトアニアも回れるとも話した。GACKTはバルト三国がかつてソビエトの一部で、1991〜92年ごろに独立した経緯も説明した。ヒカルが「無駄に知っている」と茶化すと、GACKTは「一言多い」と返した。

ヒカルは、さすがに冗談だろうと何度も疑った。対してGACKTは「社交辞令は基本的に言わない」と答えた。話は「現地集合」にまで進んだ。GACKTは、仲間とラトビア集合のようなことを実際にやっていると話した。ヒカルが約束の日に現れなかった場合、映像は「ヒカルが嘘をついた」で終わってもいい。ただし自分は日本に戻ってヒカルを直接連れて行く、とGACKTは言った。ヒカルはその場でGACKTのマネージャーに10日間の予定確保を頼んだ。マレーシアについても、GACKTからLINEが来ればイベント以外の予定はリスケしてでも行くと宣言した。GACKTによると、マレーシアのジャングルには虎や象がいるという。

日本の店としてGACKTが挙げたのは、赤坂の馬肉店と、麻布十番のジンギスカン店の2つだった。ヒカルは、収録の都合上、前者に行くことにした。

14:42

GACKTの語る会津の馬肉

GACKTは馬肉について持論を語った。日本人に馬肉で有名な土地を聞くと大体「熊本」と答える。これは栃木の餃子に似ていて、出荷量が日本一だという話であり、生産量の話ではない。熊本の馬の多くは海外産で、産地の馬だけで言えば山梨などにもおいしい馬がいる。GACKTが特に好きなのが福島の会津若松の馬である。生産量がとにかく少なく、地元でも追いつかないほどなので、東京にはまず出回らない。赤坂の店は会津若松の本店から直接仕入れており、都内で会津若松の馬が食べられる唯一の店だという。レバ刺しを食べたら「ひっくり返る」ほどで、ネギ下(首のあたりの部位)の焼きや鍋もおいしいとGACKTは勧めた。

30:09

1軒目「赤坂 鶴我」:GACKT仕様のコース

GACKTの推薦で訪れた鶴我では、本人仕様のコースが出た。馬肉の量が多く、キャビアや大量のレモン、からし味噌も添えられている。タンのスープ、焼きナス、冷やしトマト、馬の刺身のポン酢、食道の部位などが続いた。シャトーブリアンに当たる部位の「ヒレ刺し」は塊のように厚く切られていた。それでも歯で簡単に噛み切れ、筋をほとんど感じない。店側は「自信があるから、わざと厚く切っている」と説明した。レバ刺しについてヒカルが「体温が高いから馬は生レバーが食べられるのか」と尋ねると、店側は馬だけが唯一許されていると答えた。

店側によると、馬刺しは会津若松が発祥である。からし味噌で食べる文化もそこから全国に広がったが、ほかの店はあまりこの食べ方を真似しないという。最後の「鍋」はすき焼きの形で出た。会津ブランドの出汁を使っており、ヒカルは「人生で一番」と言うほど出汁を気に入った。

食事中、同席者たちはGACKTの食生活について話した。GACKTは1日1食で夜しか食べず、好物の白米も断ったという。ヒカルもご飯が欲しかったが、GACKTに合わせて頼まなかった。また、楽屋での持ち時間は本来15分ほどだったのに、GACKTは30分近く話し続けた。ほかの来客への挨拶を先に済ませ、ヒカルとの時間を確保してくれたことも明かされた。ヒカルは、学生時代にテレビで見ていた人と今こうして撮影できていることに、恵まれていると感じると話した。一方で、GACKTはエストニアの話で笑いを取ろうとしたのに、ヒカルが煽ったので引くに引けなくなったのではないか、と同席者たちは推測していた。

料金は通常コースもGACKT仕様も3万5000円。動画を見た客には、同じ料金でGACKT仕様を出すと店側は話した。店は予約制である。予約なしで来店すると、取り寄せが必要な馬肉が用意できないことがあるという。

44:17

大将の推薦:近所の喜多方ラーメン

鶴我の大将が次に挙げたのは、すぐ近くの喜多方ラーメン店だった。会津の有名店の息子が出した店で、大将は週2回通っている。もともと大将が持っていたテナントを貸したという縁もある。味は醤油のあっさり系だという。最初にエストニアを挙げられていたヒカルは、近所でよかったと安堵した。

48:09

2軒目「会津喜多方ラーメン 二代目 いわいや」

ラーメンは880円で、ほとんどのメニューがワンコイン前後の価格帯だ。大将がいつも頼むラーメンと、店主の地元の名物であるミニソースカツ丼を注文した。セットで約1300円になる。店主によれば、麺は多加水で、必ず1日以上寝かせている。硬すぎると粉っぽくなるので、狙って少し柔らかめにしている。チャーシューなどのトッピングも全部手作りだ。麺は喜多方ラーメンの中でも一番細い部類で、この店用に開発してもらったものだという。ヒカルは、量が多そうに見えて気づいたら食べ終わりかけていたと感想を述べた。

店を東京で開いた経緯は意外なものだった。店主の父は会津で一番繁盛していたラーメン店を30年余り営んでいた。しかし、店主に何の相談もなくM&Aで売却してしまった。店主は一生その店をやっていくつもりで、毎朝早くから夜遅くまで手伝っていた。「売れたよ」という報告を最初に聞いて驚いたという。父は現在、相談役のような立場にいるものの、基本的には何もしていない。売却先の店は今も観光名所のような存在で、11時開店で600〜700杯分のスープを用意し、15時前には売り切れるという。

味の違いについて、店主は「似ているが、食べ比べると全然違う」と述べ、自分の方がおいしいと思っていると話した。会津は日本有数の軟水の地域で、同じ作り方でも東京の水では味が変わる。そのため店主は、東京の水に合わせてレシピを少しずつ調整した。ヒカルは「地元の水を運んでいる」という話になると予想していたので、「全然こだわっていなかった」と笑った。店主は、店は愛情がほとんどで、ビジネスも当然考えているが、喜多方らしさを残したいと話した。今はM&Aを考えていないが、10年後の自分が何を考えているかはわからないとも言った。

開店からまもなく1年になる。オープン直後は猛暑で客が来ず、それが一番つらかったという。プレオープンを無料にしたところ、食べた人の口コミで広がり、涼しくなった10月ごろには行列ができるようになった。今は階段の先まで並ぶ日もある。SNSも多少は使ったが、基本は口コミだったという。

店主は喜多方ラーメン以外をラーメンと思っていないという。地元の喜多方では豚骨や家系は「ラーメンじゃない」と言われるほどだそうだ。カップヌードルについては「あれはカップヌードルという食べ物」と答えた。赤坂の街についても話を聞いた。店主によると、この辺りは一度出店すると店が潰れず、地元意識や店同士の横のつながりが強い。ミシュランの星付きの店も5〜6軒あるという。次の推薦先は、近くにある和食店「剱持」だった。濃い味付けではなく、素材そのものの味を楽しませる店だと店主は説明した。

1:01:59

脱線:「つけ」の文化と、地下のヘッドスパ

移動の合間に、ヒカルたちは常連文化について話した。ラーメン店の店主によれば、「つけ」は今もあり、居酒屋をやっていた頃にはそれなりにあったという。ヒカルは、若い世代はチェーン店に行きがちで、店の人と話さずスマホを見ている、と話した。昔の人が店で雑談しながら得ていた情報や、料理の成り立ちを知ることで食事がよりおいしくなるという考えに、憧れがあるという。

その例としてヒカルが語ったのが、日曜に急に行きたくなったヘッドスパの話である。1時間ほど探してもどこも満席で、運転手がようやく見つけたのは、路地裏の地下にある事務所のような店だった。入ると20本ほどのシャンプーが並び、占い師のような店主に選び方を15分ほど説明された。施術室は宇宙のような内装で、施術も肩や首まで含めて長く、90分の料金で実際は2時間ほどかけてくれた。店主は元々美容師を目指していたが、カットはうまくいかず、シャンプーだけを褒められたので、シャンプーを極めようと上京したという。本人は「大赤字」と言いながら、やりたいことをやって客が満足すればいいと話していた。ヒカルは、こうした店は個人店でなければできないと考える。もっと高い単価で富裕層を狙うしかないのではないか、自分なら5万円払っても違和感はない、と述べた。そして、チェーン店に行っているだけでは得られないエピソードだと締めくくった。

1:08:40

3軒目「赤坂 剱持」:器の目利き勝負

剱持は完全予約制の和食店で、この日は貸し切りにしてくれた。店主はなだ万で料理長を務めていたが、担当していた店舗が閉店したのを機に独立したという。料理はほとんど味付けをせず、野菜などから抽出した出汁で素材を味わわせる。早朝ロケが多いヒカルに合わせ、スタミナを意識した特別な内容にしたと店主は説明した。

店主は骨董の器を好む。この日は料理の合間に、人間国宝の作品とそうでない器を並べ、どれが本物かをヒカルに当てさせた。

1問目は、岐阜の人間国宝・加藤卓男の器と、同じ窯で作られた別の器の比較。ヒカルは直感で深みのある方を選んで正解した。店主は、器に描かれた魚にも決まりがあると話した。左向きが生きている魚、右向きが死んでいる魚で、店では必ず左向きに盛るという。2問目は、400年続く楽家本家の楽焼と、200年続く別の窯の器の比較で、これも正解した。ヒカルは本物の方を「モンスターハンターの古龍の鱗のよう」と表現した。

店主の器に対する考え方は独特である。高い器に盛ればいいというのではなく、いい器に乗せると料理が負けてしまう。だから器に勝てる料理を作ろうと考える。器が強すぎて、まだ使えていない皿もあるという。ヒカルはこれを、カメラマンの「まえっさん」に当てはめた。いい機材を使うなら、それに見合う技術を持たなければならないとプロ意識を説き、まえっさんは「そこまで考えていなかった」と認めた。

料理は、トウモロコシのすり流しにウニ、粉状のからすみ、ずんだ、アワビの吸い物と肝、包丁を細かく入れたアオリイカと梅肉、鮎の刺身の漬け、鮎の内臓の塩辛「うるか」と続いた。店主はイカについて、包丁を入れるほど甘みが増すと説明した。ヒカルも、切り込みのある方がおいしく感じると答えた。うるかは発酵食品で、ヒカルは「焦げた部分の苦みを凝縮した」「高い栄養ドリンクを飲んだ後のように喉が熱くなる」と表現した。1週間ぬか漬けにしたウナギについては、食べて3秒ほどすると旨味が「全速力で追いかけてくる」と驚いていた。

3問目は、北大路魯山人の器と、現代作家の器と、店主自作の器の3つを当てる問題だった。ヒカルは「古そうで不揃いなもの」を魯山人と予想したが、外れた。本物の魯山人は状態がよく、新しく見える器だった。店主によると、魯山人は作品数が多く、偽物も多く出回っている。箱だけ本物で中身が偽物という例もあるという。魯山人は織部をよく使い、魯山人の織部は値段が高いとも話した。

ここでヒカルは、買取業をしていた頃の経験を話した。骨董商の知人が市で数百万円分を買い付け、売れなかったものを中国に持ち込んで高く売っていた。あるとき「100万円ほどで買ってきた品が3000万円ほどで売れる」と言われたことがあり、すごい世界だと感じたという。4問目は伊万里焼で、江戸後期の古伊万里と、明治期に大量生産された印判を見分ける問題だった。ヒカルは時代を感じる方を選んで正解した。

1:36:01

松茸とフグへの執着、そして値段

店主が最も力を入れる食材は松茸である。直接の仕入れルートを多く持ち、9月上旬に岩手から始まり、桜前線とは逆に南下して、11月ごろには広島や岡山のものを扱う。サイズは「丸」「特丸」と呼び分ける。これまで扱った最大のものは500gほどで、ステーキのような大きさだったという。山で松茸が採れた場所に印をつけ、翌年は輪状に広がる位置を探すという、採る側の知恵も紹介された。ある客は松茸を食べて「これはデザートだ」と言ったという。

冬のフグについての話も細かかった。店主が探すのは5kg以上の天然フグのオスの白子である。大きな個体は水深200〜300mまで潜るため筋肉が発達し、白身に「赤いライン」が入る。店主はそれが「本当のフグ」だと言う。傷つけると身が赤くなるので、網や釣りで傷つけずに獲る必要がある。朝3時ごろから長崎、新潟、千葉などに連絡し、その日泳いでいる個体を狙うという。春には京都のタケノコを朝掘りでその日に出す。時間が経つとえぐみが出るためだ。

締めには、試作中というウナギのホットサンド、カニとトウモロコシの炊き込みご飯が出た。デザートは、その朝店主が千葉の農家で一緒に収穫した大玉のイチジク、硬いのに糖度が高い「天人メロン」、紫色のわらび餅だった。天人メロンは収穫を遅らせて育てるため果肉が硬い。熟成させるとかえっておいしくなくなるという。ヒカルは「人を殺せる硬さ」と驚いたが、食べると甘さに驚いた。メロンを盛ったのは100年前のバカラの器だった。

料金を尋ねると、このコースは税込2万2000円だった。ヒカルは3万5000円くらいはすると思っていたという。店主は、仕入れルートの多くを直接持っていることが大きいと説明した。上のクラスのコースもあり、松茸の時期には5万5000円などの本格的なコースを出すという。

1:52:12

次の推薦は横浜の麻婆豆腐

店主が次に勧めたのは、赤坂を離れた横浜の店だった。暑い時期には辛いものがいいとして、麻婆豆腐を挙げた。日本に麻婆豆腐を広めた四川飯店の系列の中でも格上の「スーツァンレストラン陳」の、横浜にいるシェフだという。店主はすでに電話で話を通していた。先方は麻婆豆腐を全部用意して待っているという。その店は「ゴチになります」に使われたことがあり、次は値段当てに来てほしいと言われたという。

前編はここで終わる。最後には次の店以降の断片的な映像が流れた。訪れるたびに違うラーメンを出し、これまで400種類ほどを出してきたという店や、ミシュランの星を14年間保ち、日本のイタリア料理の協会で会長を務めるシェフが登場するが、内容は途中で途切れている。GACKTとのエストニア行きが本当に実現するのかも、この時点ではまだわからない。