江ノ電に乗った外国人観光客はどこへ向かうのか 鎌倉から江の島まで密着した旅の記録

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概要

鎌倉と藤沢を結ぶ江ノ電に乗る外国人観光客は、どこで降りて何をしているのか。この特集は、鎌倉駅の切符売り場で声をかけた旅行者に同行し、その行き先と楽しみ方を追っている。大仏や富士山といった定番の名所だけでなく、サラダ、キティちゃんグッズ、貝殻、スタンプ集めなど、取材班が予想していなかった目的が次々に出てくるのが番組の見どころである。

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鎌倉駅に集まる旅行者と、それぞれの目的

旅の出発点は江ノ電の鎌倉駅で、切符売り場には外国人観光客が次々とやってくる。最初に話を聞いたのはアメリカから来た友人3人組だ。大きな袋の中身はコンビニで買い込んだお菓子で、ポッキーやチリ味のポテトチップスなど、どれも初めて食べるものだという。海沿いを走る江ノ電に乗ってみたくて、そのついでにビーチでピクニックをするつもりだと話した。

同じくアメリカから来た夫婦は、東京から日帰りで行ける観光地をChatGPTに尋ねたところ、最初に勧められたのが鎌倉だったという。番組は、AIに勧められて訪れる外国人も多いと伝えている。夫婦の目的は江ノ電でビーチへ行き、富士山の写真を撮ることだった。

江ノ島電鉄、通称「江ノ電」は鎌倉から藤沢までのおよそ10kmを結ぶ。番組の説明によれば、日本のアニメに出てくるようなレトロな車両で海沿いを旅できる点が外国人観光客に人気で、車窓からは目の前にビーチが広がる。

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フィンランドの親子:2週間和食が続いた末のサラダ

取材班が同行したのは、フィンランドから来た母親と双子の姉妹である。「どうしても欲しいもの」を江ノ電で買いに行くというので、ついて行くことにした。

一家が降りたのは長谷駅。観光の前に昼食をとる店を探し、選んだ決め手は「サラダがある」ことだった。わざわざ日本まで来てなぜサラダなのかと尋ねると、来日して2週間、日本食を山ほど食べてきたので、少しサラダが恋しくなったのだという。スマートフォンには、浅草の焼き鳥店で食べたヤングコーンの炭火焼き、中野の居酒屋で食べたマグロ料理、伊豆の旅館で出た金目鯛の煮付けなどが写っていた。運ばれてきたサラダに一家は喜び、続いて姉妹はサーモンのムニエル、母親は牛肉のワイン煮込みと、久しぶりの洋食を味わった。

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大仏よりもご当地キティ

食事を終えた一家が向かったのは高徳院、つまり鎌倉の大仏である。母親は「できてからどれくらい経つのかな」と大仏に関心を示したが、娘たちは大仏には無関心で、向かった先は土産物店だった。「ここが目的地だった」という姉妹が手にしたのは、鎌倉大仏のご当地キティちゃんだ。

姉妹によれば、フィンランドでもキティちゃんは大人気で、日本に来た目的の一つがキティちゃんグッズの買い物だった。少し前にはハローキティにも会いに行ったという。ハローキティのどこか懐かしい感じが好きだと話し、フィンランドでサンリオのグッズを買うととても高いが日本では安いと説明した。手にしていたキーホルダーは、フィンランドでは7000円以上したという。

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由比ヶ浜で見つけた「色のある貝殻」

長谷駅で降りたもう一つの目的は由比ヶ浜海水浴場だった。双子の姉妹は波打ち際で大はしゃぎする。フィンランドにも海はあるのではと尋ねると、フィンランドの海は穏やかで波がほとんど立たず、ヘルシンキにもビーチはあるが家の近くは人工の砂浜ばかりだと答えた。

姉妹は砂浜できれいな貝殻を見つけ、「すごく輝いている」と喜んだ。フィンランドにも貝殻はあるが、グレーや茶色ばかりで色鮮やかではないという。拾った貝殻は友人への土産にするそうで、ビーチは「とにかく最高」だったと話した。

同じ由比ヶ浜では、メキシコから来た夫婦にも出会った。このあたりの海はいい波が立つと聞いてサーフィンに来たという。2人はこの後七里ヶ浜へ向かい、後日、取材班に動画を送ってくれた。富士山を見ながらの波乗りは最高だったという。

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ポーランドのカップル:「風情」を撮り続ける旅

続いて取材班は江ノ島駅へ向かい、ポーランドから来たカップルに同行した。駅に降りるなり、クラウディアさんは何やら写真を撮り始める。どこが気に入ったのか尋ねると、「とても美しい。風情のある写真が好き」との答えだった。旅の目的は日本の風情を感じることで、パートナーによれば、彼女は風情があるものは何でも写真に収めるという。

ところが、撮った写真を見せてもらうと、中には歩きたばこ禁止の掲示や、きゅうりの一本漬けもあった。ナレーションは「外国の人はこういうのにビビッと来ちゃうんだね」と受け止めている。江の島へ続く橋を渡っていると、クラウディアさんは霞んだ空の向こうに富士山を見つけ、うまく撮影できたようだった。

古民家で江ノ電を眺めながらの夕食

江の島を見て回った2人が夕食に選んだのは、江ノ島駅近くの店だった。昔ながらの雰囲気があるレストランに来てみたかったという。築100年を超える古民家を改装したこの店にはもう一つの売りがある。席に着くと、窓の目の前を江ノ電が通り過ぎていくのだ。番組によれば、古民家で江ノ電を眺めながら食事ができることから、多い日には20人以上の外国人観光客が訪れるという。

2人が英語のメニューから選んだのは、柚子胡椒の効いた炭火焼きチキンの定食である。この店は備長炭で焼き上げる炭火焼きが自慢で、厳選された国産の鶏肉に黒胡椒を振り、備長炭でじっくり焼いて肉の旨みを閉じ込める。仕上げに大分県産の柚子を使った柚子胡椒をたっぷりのせて完成する。

2人は箸を上手に使いこなしていたが、なぜか鶏肉を味噌汁につけて食べ始めた。「とても上品な味」と感想を述べたが、そのまま食べると味が物足りず、味噌汁につけた方が味がするのだという。ナレーションは、炭火焼きの香ばしさと柚子胡椒の風味を味わってほしかったと苦笑しつつ、「美味しいでしょ」と見守った。2人はこの後、京都などを巡って日本の風情を満喫したそうだ。

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イギリスの夫婦:スタンプ集めと「夏のクレンジング」

再び江ノ島駅から取材を始め、イギリスから来た夫婦に出会った。東京の語学学校で働く息子に会うための来日で、これまでに世田谷区の豪徳寺や北海道の洞爺湖などを巡ってきたという。江の島では神社を見て回り、島の高台にある展望灯台「江の島シーキャンドル」を最終目的地にしていた。

妻のルイザさんは真っ先に観光案内所へ向かった。実はスタンプ集めにはまっていて、案内所でスタンプを押してきたのだという。手帳には今回の旅で集めたスタンプが並んでおり、各地の駅や観光案内所などで押したものだった。イギリスにはこうした文化がないのかと尋ねると、ルイザさんは「大人も楽しめる。最高」と答えた。

江島神社では、ルイザさんが見慣れないものに目を留めた。茅などで作った大きな輪をくぐって災いを払い、無病息災を願う「茅の輪くぐり」である。Google翻訳で意味を調べると「夏の浄化儀式」と表示され、自分たちもやってよいらしいと分かった。案内を頼りに見よう見まねで初めての茅の輪くぐりに挑戦し、「夏のクレンジング、いいじゃない」と楽しんだ。

13:55

シーキャンドルからの眺めと、初めての人力車

いよいよ江の島シーキャンドルへ。エレベーターを降りると相模湾の大パノラマが広がり、夫婦は「あのあたりを回って、あそこでご飯を食べた」と自分たちの行程を指さした。あいにくこの日は曇りで、晴れた日に楽しめる富士山の景色は見られなかったが、ルイザさんは「霞んでいるのは残念だけれど、それでも素敵」と話した。

帰り道、ルイザさんが食いついたのは人力車だった。一度も乗ったことがないという夫婦は、江ノ島駅までの道のりを初めての人力車で行くことにした。車夫の斎藤成亮さんは15年前から浅草や鎌倉で人力車を引いてきたベテランで、5年前に江の島で初めて観光人力車を始めたという。斎藤さんは英語で観光案内をしながら走ったが、夫婦がスマートフォンを向けていたのは景色ではなく、ずっと人力車を引く斎藤さんの後ろ姿だった。

約20分走って江ノ島駅に到着すると、夫婦は「すごく楽しかった」「とってもラブリーな体験だった」と振り返り、斎藤さんが地元の歴史にとても詳しかったことも称えた。

取材を終えて

江ノ電で旅する外国人観光客を追った結果、番組が見たのは、大仏や富士山といった名所よりも、サラダやキティちゃんのグッズ、色鮮やかな貝殻、スタンプ、人力車の車夫の姿に心を動かされる旅行者たちだった。番組は「私たちが知らないいろんな楽しみ方があるんですね」と締めくくっている。