防衛省が即応型の宇宙輸送能力の調査研究を開始 小泉防衛相会見の主な発言

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概要

小泉防衛相は閣議後の記者会見で、自衛隊による宇宙輸送能力に関する調査研究を始めると発表した。人工衛星が失われた場合に機能を素早く回復する能力を、防衛省だけでなく国内の宇宙産業の技術を募って検討するという内容である。質疑では、原子力潜水艦をめぐる議論、次期戦闘機の共同開発(GCAP)へのドイツ参加の可能性、ウクライナへの装備支援、沖縄で米海兵隊員が逮捕された事件と米軍の対応についても問われた。

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宇宙輸送能力の調査研究を始める理由

冒頭で小泉防衛相は、自衛隊が宇宙領域を安定的に利用し続けられるよう、即応性のある宇宙輸送能力に関する調査研究を開始すると述べた。防衛省・自衛隊は現在、宇宙領域の能力強化を進めている。大臣はそれと並行して、有事を含めて自衛隊が利用する人工衛星の一部が失われた場合に、その機能を迅速に回復することが安全保障上の重要な課題だと位置づけた。

背景として大臣が挙げたのはアメリカの状況である。アメリカでは打ち上げ通知から24時間以内に打ち上げる即応的な運用がすでに実現しており、宇宙へ素早くアクセスする能力の重要性が高まっていると説明した。

必要な輸送能力、つまりロケットの性能、製造方法、打ち上げ方法については「様々な可能性」があると大臣は述べた。そのうえで、この課題は防衛省だけでは解決できないとし、今回の調査研究では宇宙産業の技術力や創意工夫を生かした幅広い考えを募るとした。

1:15

防衛投資を経済成長につなげる狙い

大臣は、宇宙輸送の分野は大きな変革期にあるとの認識を示した。今回の調査研究をきっかけに、国際競争力を持つ新しいシステムが日本から生まれることを願っていると述べた。この取り組みは、防衛力強化のための投資が経済成長につながるモデルケースの一つになる可能性があるとも語り、日本の宇宙産業に携わる人々の技術、想像力、挑戦する力を存分に発揮してほしいと呼びかけた。冒頭発言は、この事業は防衛省にとって小さな一歩かもしれないが、日本の宇宙産業にとって大きな飛躍になることを期待する、という言葉で締めくくられた。

7:40

射場の課題と「アンカーテナンシー」

質疑の後半では、記者がこの冒頭発言に関連して、国内のロケット射場の課題をどう認識しているか、今回の取り組みがその解決にどう役立つかを尋ねた。

大臣は、政府の成長戦略でもロケットや射場は日本が自立的に宇宙空間へアクセスする手段を確保・拡大するうえで重要とされており、打ち上げの高頻度化、ロケットの国内製造能力の向上、射場などの整備が必要とされていると答えた。

今回の調査研究は、防衛省・自衛隊が必要とする即応的な輸送能力の具体像を明らかにするためのものである。大臣はそのうえで、防衛省が需要を示せば民間事業者の投資や事業化を後押しでき、ロケットや射場を含む国内の宇宙産業基盤の強化にも貢献できると考えていると述べた。将来は防衛省が民間事業者の提供する輸送サービスの利用者となり、安定した需要を示す、いわゆる「アンカーテナンシー」として日本の宇宙能力の発展を後押ししたいとの考えも示した。

2:08

原子力潜水艦の議論について

最初の質問は、安全保障関連3文書の改定をめぐるものだった。抑止力強化の選択肢として原子力潜水艦の導入に言及する案が政府・与党内で浮上していると一部で報じられたことについて、記者が大臣の考えを尋ねた。

大臣は、これまでも「あらゆる選択肢を排除しない」と述べてきた通りだと答えた。現時点で何かを決め打ちすることはないが、幅広く議論するのは当然だという立場である。国民の命と平和な暮らしを守り抜くための政策は、あらゆる選択肢を排除せず、国民に丁寧に説明しながら議論していくと述べた。日本を取り巻く安全保障環境には楽観できる要素がほとんどない中で、議論の必要性は国民にも理解されるのではないかとの見方も示した。

続けて大臣は、あくまで一般論と断ったうえで、原子力潜水艦の特徴を長所と短所の両面から説明した。長所として挙げたのは次の点である。

  • 長時間の潜航や無補給での長期間の行動が可能で、水中速力が速いとされる。これらの特徴により、乗組員の安全をより高いレベルで確保しつつ、必要な活動に従事できる。
  • オーストラリアなどで導入の議論が進んでいるほか、従来課題とされてきた静粛性も向上しつつあるとされる。
  • 通常動力型より優れた速力を生かし、危険な海域から安全に離脱できるという長所も指摘されている。

一方の短所としては次の点を挙げた。

  • 通常動力型に比べて水中での静粛性が劣るとされる。
  • 原子力機関そのものが高価で、船体の大型化が必要になる。
  • 原子力機関の維持整備や運用に特殊な専門技術が必要になる。

大臣は、政府として3文書の年内改定に向けて検討を進めている段階であり、具体的な内容について予断を持って答えることは控えると述べた。今後の防衛力のあり方については、日本の主体的な判断のもとで、国民の命や暮らしを守るために何が必要かを安全保障環境を踏まえて考え、具体的かつ現実的な議論を積み上げていくとした。

4:20

GCAPへのドイツ参加の可能性

次の記者は、日本、イギリス、イタリアで進める次期戦闘機の共同開発(GCAP)について質問した。イギリスのバーナム首相がドイツとの首脳会談後の会見で、ドイツがGCAPへの参加に前向きだと述べたことへの受け止めを問うものである。

大臣は、GCAPはもともと3か国それぞれの同盟国や同志国との協力を念頭に進めてきたプログラムだと説明した。第三国との協力についても、GCAPがより良いプログラムになるよう、イギリス、イタリアと連携して取り組んでいきたいと答えた。

会見の終盤には別の記者が、ドイツから日本に対して、あるいはイギリスやイタリアに対して参加の意向表明があったのかを確認した。大臣は、関係国とは様々なコミュニケーションを取っているが、その内容の紹介は控えたいと答えた。そのうえで第三国との協力の現状として、カナダのオブザーバー参加を今年3か国で正式に認めたことに触れ、今後もイギリス、イタリアと連携して取り組むと繰り返した。

5:04

ウクライナへの武器移転とドローン協力

ウクライナに関しては2つの質問があった。1つ目の記者は、日本がライセンス生産する米国製の防空システム「パトリオット」のミサイルについて、ウクライナ側が提供への期待を示してきたと指摘した。記者によれば、その背景には4月に防衛装備移転三原則と運用指針が改正され、戦闘中の国への移転も特段の事情がある場合は例外的に認める規定が設けられたことがある。記者は政府内の検討状況を尋ねた。

大臣は、現時点で政府としてウクライナに自衛隊法上の武器の移転を行うことは考えていないと答えた。ただし、ロシアの侵略を受けているウクライナを支えていく決意に変わりはないとも述べた。これまで自衛隊の車両や防弾チョッキなどを支援し、負傷兵の受け入れも行ってきたことを挙げ、今後も供与可能な装備品を支援していくとした。日本とウクライナ両政府の間で意思疎通を続けていくとも述べた。

2つ目の記者は、先月末に元防衛相がウクライナを訪問した際、日本政府がウクライナ製ドローンを試験的に導入することを明らかにしたと紹介した。そのうえで、ドローンの導入や技術協力に何を期待するかを尋ねた。

大臣は、防衛省がすでにウクライナの「スカイフォール」の迎撃用ドローンについて取得契約を結び、早期の納入に向けて取り組んでいると明らかにした。技術協力については、ドローンに限らず、ウクライナは新しい戦い方について世界で最も経験を積み、継戦能力を速いスピードで高め続けていると評価した。防衛産業の育成や産業基盤の観点から大臣が特に挙げたのは、「ラピッドフィードバックサイクル」とも呼ばれる仕組みである。2、3週間ごとに新しい性能を持ったドローンが登場し、それを作り続けることができる点について、日本が学ぶべきことは多いと述べた。日本の抑止力と対処力に必要なものは、具体的なものを見ながら検討していくとした。

8:47

沖縄の事件と米軍の措置

沖縄の報道機関の記者2人は、那覇市で起きた強盗殺人事件で在沖縄米海兵隊員が逮捕されたことを受けた米軍の措置について質問した。

大臣によると、ワトソン在日米軍沖縄地域調整官は沖縄に駐留する全ての米軍人に対し、次の措置を命じたと米軍が公表した。

  • 10月7日12時から9日12時までの48時間、運用停止、外出禁止、飲酒禁止とする。
  • 10月9日から30日間の反省期間中は、24時を門限とする外出禁止とする。

米側は今後、行動指針や外出ルールを定めた「リバティ制度」をさらに精査していくと大臣は理解していると述べた。

大臣は、米軍関係者による事件は地元に大きな不安を与えるもので、あってはならないと述べた。今回の措置については、米軍が事件を重く受け止め、綱紀粛正と事件防止のために迅速に対応していることの表れだと理解していると評価した。

措置の中身について、防衛省が米側から受けた説明も紹介した。期間中、沖縄に駐留する米軍人の通常の軍事活動は停止されるが、任務上必要な全ての活動が止まるわけではない。沖縄とその周辺での不測事態への対処や、そのための即応態勢は維持されるという。

10:23

沖縄県知事の要請と再発防止

琉球新報の記者は、大臣が7日に沖縄県知事と面会したことを踏まえ、知事の意見や要請を受けてどのような再発防止策を講じるのかを尋ねた。30日間の夜間外出禁止などに再発防止の効果があると考えるかも問うた。

大臣によると、10月7日の面会で知事からは、沖縄政策協議会の早期開催とあわせて、この事件に関する要請を受けた。大臣は知事に対し、米側に強く抗議し、捜査への全面的な協力を求めたこと、綱紀粛正と再発防止の徹底、被害者遺族への適切な対応を申し入れたことを伝えたという。知事からは、このような悲惨な事件が二度と起きないよう、実効性のある抜本的な対策を求める強い要望があった。

大臣は、防衛省として引き続き在日米軍に綱紀粛正と再発防止の徹底を働きかけると述べた。沖縄県の声を十分踏まえ、関係省庁や米側と意思疎通を図りながら、実効性のある措置をどう取るかを日米間で協議していくという。米軍の措置の効果を問われた点については、措置は米側が事件を重く受け止め迅速に対応していることの表れだとの理解を繰り返した。効果があるかどうかを直接評価することはなく、実効性のある措置については日米間で引き続き協議するという答えにとどまった。