【都市伝説⁉】プロも驚くファッション用語説明の数々!用語大辞典 な行・は行編
石川俊介の〇〇〇概要
デザイナー石川俊介氏が、基礎的なファッション用語の背景にある歴史や製造技術、そして業界で語り継がれてきた「都市伝説」の真偽を徹底解説したまとめ。
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1. な行の重要用語解説
ナイロン(Nylon)
- 概要と歴史: 1935年に米デュポン社が開発した世界初の本格的合成繊維。天然唯一のフィラメントであるシルクを目標に合成され、1938年に歯ブラシの毛、1940年にストッキングとして爆発的ヒットを記録。
- 軍事転用とMA-1: 太平洋戦争で日本からの生糸供給が途絶えたことで軍用パラシュート材として徴発。戦後、フライトジャケット(B-15B/Cを経てMA-1)の素材として定着。
- 66ナイロンと6ナイロン: デュポンが特許を握る66ナイロンに対抗し、日本では東レが独自製法で6ナイロンを開発(ドイツBASFも先行開発したが軍事機密として未特許)。
ナチュラルカラー(Natural Color)
- 定義: 染色や脱色を行わず、動植物の天然繊維が本来持っている色味をそのまま生かした素材。
- ペルーの有色コットン: 紀元前から存在したが、染色効率や白綿保護のため1940年代末にペルー政府が栽培を禁止。人類学者ジェームス・フリーランド博士の尽力により2008年に禁止令が解除され復活。
- アルパカの天然色: 本来は多様な有色種が存在したが、鮮やかな染色カーディガンの流行で一時期白種ばかりに淘汰。現在パコマルカ研究所等でブラックアルパカなどの保存が進められている。
ナッパレザー(Nappa Leather)
- 特徴: 再鞣し(ダブルタンニング)を施した、非常にしなやかで柔らかい光沢のある革。
- 由来: 米カリフォルニア州ナパバレーに移住したドイツ人タンナーの独自製法に由来。かつて兵庫県川西市周辺でも欧州に輸出される最高峰の薄物ナッパが作られていたが、都市化と排水処理問題により生産拠点が消滅。
波付け(ウェーブ / アザミ起毛)
- カシミヤ等の表面に現れるさざ波状の起毛加工。植物「フラーズチーゼル(アザミ)」の実をローラーに敷き詰めて掻き出す伝統技法。国内で現存する加工工場は深喜毛織と藤井毛織など極めて少数。
ニット(Knitting / 編み物)
- 織物との違い: 織物は縦横の糸をピンと張って交差させるため伸びない(スーツやシャツ向き)。編み物は1本の糸でループを作り連ねるため横方向に伸縮する(カットソーやセーター向き)。
- 丸編みとメリヤス: 靴下編みから発展した丸編みは反物生地(カットソー)に多用される。「メリヤス」はポルトガル語/スペイン語の靴下(meias/medias)に由来し、漢字では伸縮性を表す「莫大小」と書く。
2. は行の重要用語解説
バイアス(Bias)
- 生地を斜め45度で使用すること。主な理由は以下の3点:
- 伸縮性とドレープの付与(交差する糸が動くため。マドレーヌ・ヴィオネが確立)
- 長さの確保と曲線への追従(バイアステープによるパイピング)
- 柄の斜行と柄合わせの解消(チェックのポケットなど)
ハイゲージ(High Gauge)
- 編み機の針密度(1インチあたりの針数)が高い状態。一般に12〜21G以上を指す。ジョン スメドレーなどの「30G」はフルファッション機基準(1.5インチあたりの針数)であり、通常の横編み機とは計測基準が異なる。
ピークドラペル & フィッシュマウス
- ピークドラペル: 剣先が上に向かって尖った襟。タキシードやダブルブレストに多用されるフォーマルな仕様。
- フィッシュマウス: ノッチの刻みが浅く魚の口のように見える襟。ピークドほど堅苦しくならず、程よい脱力感とクラシックな味わいを持つ。
ビスポーク(Bespoke)
- 現代のサヴィル・ロウでは「個別型紙の作成・複数回の仮縫い・手作業」を指す最高峰の仕立て服を意味するが、語源(bespeak)本来の意味は「あらかじめ注文されたもの」。過去にはピクルスや既製パターンオーダーにも使われていた言葉を、仕立屋たちが厳格化して価値を高めた。
パイル(Pile)
- 表面にループを形成した生地。カットパイルの代表がコーデュロイ(横パイル)、ベルベット(縦パイル)、別珍(綿の横パイル)。現在、日本のコーデュロイのカッティング加工職人は高齢化により絶滅寸前。
3. 暴かれる「ファッション都市伝説」
| 用語 / アイテム | 語り継がれてきたストーリー(神話) | 実際の事実・真相 | | :--- | :--- | :--- | | ベンタイル (Ventile) | 第二次大戦中、RAFパイロットの冷海着水時の生存時間を2分から20分に延ばし救助率80%を達成した救命素材。 | 第二次大戦中のフライングスーツには一切不使用。実戦配備は戦後10年以上後。2000年代にデザイナーの解説等から広まった後付けの美談。商標は現在日本のMNインターファッションが保有。 | | デニムのインディゴ染め | ゴールドラッシュ時代、鉱夫をガラガラヘビから守るためにヘビが嫌うインディゴで染めた。 | 当時綿を濃色(ネイビー)に染められる実用染料がインディゴしか存在しなかっただけであり、ヘビ除けの意図はない。 | | ガンジーセーターの前後同型 | 朝暗い時間に漁へ出る漁師が、暗闇でも前後を気にせず素早く着用できるように襟ぐりを同じにした。 | 大量生産時の型紙・縫製工程を共通化して生産コストを下げるために後から前後同型にされた。 |
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