AIの進化によって翻訳機能の精度が上がり、日本語と英語の相互変換が容易になったことで「これからの時代に英語学習は不要になるのではないか」という議論が見られるようになった。しかし勝間和代氏は、むしろAI時代だからこそ英語が必要であると主張する。その主な理由は、AIそのものを使う場面ではなく、先端的なAI関連ツールを「使いこなすためのセットアップや環境構築」において英語力が不可欠となるためである。
最先端のAIツールや設定画面に立ちはだかる言語の壁
大規模なAIモデルそのものは日本語に対応しているケースも多いが、APIを利用して簡単なプログラムを組んだり、AIを組み込んだ新しいソフトウェアを導入したりする際、設定画面やマニュアルは英語で提供されていることが大半である。一部のソフトウェアは日本語にも対応しているものの、対応を待っていると最新の機能に触れるタイミングが遅れてしまう。現場で流通するツールの多くは「英語のみ」または「英語と中国語のみ」で提供されているのが実情であると勝間氏は指摘する。
毎回画面のスクリーンショットを撮影して翻訳ツールにかけるという回避策もあるが、設定項目を変更するたびにその作業を繰り返すのは手間がかかる。そのため、各種マニュアルや設定画面をそのまま自力で読みこなせる程度の英語力があるかどうかが、新しいツールを試す際のハードルの高さを大きく左右するという。
英語設定でつまずきやすい具体的なツール事例
勝間氏は、自身が活用しているAI関連ツールの具体例を挙げ、いずれもセットアップが英語であるために導入で挫折する人が多い現状を説明している。
- Dictate Keyboard(Android) 買い切り(勝間氏の購入時は約400円、現在は約700円程度)の音声入力ソフト。GroqのAPIを組み合わせて利用することで、TypelessやAqua Voiceのように高速かつ柔軟にカスタマイズ可能な音声入力環境を構築できる。API利用料も月額数十円程度に抑えられるが、セットアップ画面がすべて英語で構成されている。
- Superwhisper(PC) 勝間氏がPCで愛用している音声認識ツールだが、設定項目がすべて英語であるため、他人に導入を勧めようとしても設定段階で諦められてしまうことが多いという。
- LM Studio ローカル環境でAIを動かすためのインターフェース。Gemmaなどのローカルモデルを読み込むことで、ほぼコストをかけずにAIを自由に利用できる環境が整うが、ツールの設定が英語であるために使い始められずにいる人が多いと述べる。
このように、コストパフォーマンスが高く便利なツールほど、英語のインターフェースを自力で突破できるかどうかが利用の分かれ目になっている。
動画配信サービスを活用した実践的な英語の学び方
設定画面を読み解くための英語力をどのように身につけるかについて、勝間氏は実用を通じて覚える方法に加え、Netflixなどの動画配信サービスを「英語音声・日本語字幕」で視聴する方法を推奨している。子どもが言葉を覚えるように、耳から入る英語と字幕の日本語の対応関係を自然にインプットできる点がメリットだという。
勝間氏自身がリアリティ番組『ミリオンダラー・シークレット』を視聴した際の事例として、以下の単語のニュアンスの違いが挙げられた。
- agenda:日本語では「議題」と訳されることが多いが、番組内ではプレイヤーに課される「ミッション」や「なすべきテーマ」を指す言葉として用いられていた。
- immunity:一般的には「免疫」と訳されるが、ゲーム内で脱落などを免除される「特権・切り札」の意味で使われていた。
こうした動画視聴を通じて単語の多様な意味合いを楽しみながらインプットしつつ、日頃の生活のなかで様々なAIツールを英語のまま積極的に使い倒していく姿勢が有効であると勝間氏は語っている。




